<泊まれる料亭(4)>
さてさて、岩室温泉の宿へ宿泊したわけであるからそろそろ温泉の話にいかねばなるまい。
到着した日に入った温泉は「翁の湯」であった。
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源泉掛け流しとはほど遠い、温泉好きにはもの足らない湯で、まあ料理が売りの宿なのでこれはしょうがあるまい。
高島屋七代目、高島庄左衛門道順は三日間にわたる枕頭に立つ老翁による夢知らせにより霊泉を知らされ、一羽の雁が傷を癒していた「霊雁泉」を発見したと伝えられている。
次の日には入れ替わって、前日に女湯だった「竹生の湯」だった。
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温泉は同じようなものだが、外に五右衛門風呂があった。
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蓋を踏み沈めて、その上に載るようにして壺のなかに身体を沈める。残念ながら、この五右衛門風呂は温泉ではない。
温泉通としては竹林近くにあった足湯が源泉で、すこし寂しいがこいつは満足できた。もしかしたら、風呂付の高い部屋は源泉なのかも知れない。
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最初に書いた、わたしが喰いついたというこの宿の格安プランだが、具体的にいうと、通常のB&B(Bed & Breakfast = 朝食付き宿泊)値段で二食付き宿泊という驚くべきものだ。
通常の宿泊料金であれば、川鱒がたぶん鯛の塩釜だったり、食材が高価な鮑や蟹や海老に変わるのであろう。
夕食に提供された、コストを考え抜いたであろう食材でもとにかくわたしは十二分に満足した。
朝食は部屋ではなく、恐れ多くも明治天皇が御小休されたという「駐蹕(ちゅうひつ)の間」で供された。遅い時間にしたので、昨日、宴を催して宿泊した客は早々と朝食をすませて帰ったようだ。
昔ながらの越後の朝食だそうだ。
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名物の具なし(びっくり!)の茶碗蒸し。
(む、旨いぞ、これ・・・)
ふだん食べないのだが、この宿の名物とあれば食べねばなるまい・・・これが出汁が絶妙で、冷やしてあったらデザートになりそうな旨さであった。
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高島屋特製の鮭の味噌漬けは、さすがにご飯が進む。
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自家製飛竜頭、越後名物車麩と季節の青菜炊き合わせ、季節のお浸し。岩室産大豆の汲み上げ豆腐。ご飯は岩室産こしひかり米。浅利の味噌汁。季節の野菜浅漬けと梅干。
仲居がさりげなく待機していて、食事の進み具合を注視しているのはさすがだ。
チェックアウトして車の鍵をもらおうとすると、しばらくお待ちくださいという。なんと、行動的な女将なのだろう、運転しづらい着物姿にもかかわらず素早く車を玄関前まで廻してくれたのには驚いて眼を丸くしてしまう。老舗高級宿の女将だから、しとやかなのかと思ったらどちらかというとお転婆だったのが面白かった。
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→「泊まれる料亭(1)」の記事はこちら
→「泊まれる料亭(2)」の記事はこちら
→「泊まれる料亭(3)」の記事はこちら
さてさて、岩室温泉の宿へ宿泊したわけであるからそろそろ温泉の話にいかねばなるまい。
到着した日に入った温泉は「翁の湯」であった。
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源泉掛け流しとはほど遠い、温泉好きにはもの足らない湯で、まあ料理が売りの宿なのでこれはしょうがあるまい。
高島屋七代目、高島庄左衛門道順は三日間にわたる枕頭に立つ老翁による夢知らせにより霊泉を知らされ、一羽の雁が傷を癒していた「霊雁泉」を発見したと伝えられている。
次の日には入れ替わって、前日に女湯だった「竹生の湯」だった。
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温泉は同じようなものだが、外に五右衛門風呂があった。
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蓋を踏み沈めて、その上に載るようにして壺のなかに身体を沈める。残念ながら、この五右衛門風呂は温泉ではない。
温泉通としては竹林近くにあった足湯が源泉で、すこし寂しいがこいつは満足できた。もしかしたら、風呂付の高い部屋は源泉なのかも知れない。
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最初に書いた、わたしが喰いついたというこの宿の格安プランだが、具体的にいうと、通常のB&B(Bed & Breakfast = 朝食付き宿泊)値段で二食付き宿泊という驚くべきものだ。
通常の宿泊料金であれば、川鱒がたぶん鯛の塩釜だったり、食材が高価な鮑や蟹や海老に変わるのであろう。
夕食に提供された、コストを考え抜いたであろう食材でもとにかくわたしは十二分に満足した。
朝食は部屋ではなく、恐れ多くも明治天皇が御小休されたという「駐蹕(ちゅうひつ)の間」で供された。遅い時間にしたので、昨日、宴を催して宿泊した客は早々と朝食をすませて帰ったようだ。
昔ながらの越後の朝食だそうだ。
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名物の具なし(びっくり!)の茶碗蒸し。
(む、旨いぞ、これ・・・)
ふだん食べないのだが、この宿の名物とあれば食べねばなるまい・・・これが出汁が絶妙で、冷やしてあったらデザートになりそうな旨さであった。
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高島屋特製の鮭の味噌漬けは、さすがにご飯が進む。
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自家製飛竜頭、越後名物車麩と季節の青菜炊き合わせ、季節のお浸し。岩室産大豆の汲み上げ豆腐。ご飯は岩室産こしひかり米。浅利の味噌汁。季節の野菜浅漬けと梅干。
仲居がさりげなく待機していて、食事の進み具合を注視しているのはさすがだ。
チェックアウトして車の鍵をもらおうとすると、しばらくお待ちくださいという。なんと、行動的な女将なのだろう、運転しづらい着物姿にもかかわらず素早く車を玄関前まで廻してくれたのには驚いて眼を丸くしてしまう。老舗高級宿の女将だから、しとやかなのかと思ったらどちらかというとお転婆だったのが面白かった。
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→「泊まれる料亭(1)」の記事はこちら
→「泊まれる料亭(2)」の記事はこちら
→「泊まれる料亭(3)」の記事はこちら
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