温泉クンの旅日記

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岩室温泉(3)

2016-06-19 | 温泉エッセイ
  <泊まれる料亭(3)>

 高島屋には建物に囲まれるように奥に向かって広い中庭があり、宿全体の静謐さをつくり出している。



 小さな池もあるが、百年を超えるという竹林が素晴らしい。





 この竹林に面したところに囲碁の棋聖戦や将棋の十段戦などのタイトル戦が行われる「対局室 常盤(ときわ)」がある。囲碁好きなのでぜひとも見学してみたいがまあ無理だな。



「フクロウの松」と呼ぶ、この松の真ん中に大きな樹洞があいていて、初夏に(五月ごろ)アオバズクというフクロウがつがいでやってきて子育てをしていたという。
 六年前(2010年)、二十六年ぶりの豪雪(積雪八十一センチ)で松が折れてしまい、いまは大きな巣箱が載せてある。



 フクロウの顔はよく見るととても可愛い。
 つぶらな眼が可愛い猫に似てとても愛くるしいと思う。



 道東の養老牛温泉にいったとき、深夜に道東に百羽しかいないというシマフクロウが餌を食べにくるのをロビーで待ったことがあったが、たしかダメだった記憶がある。

 高島屋の庭にアオバズク(青葉木兎、青葉熟)は今年も来ているそうである。名前の通り青葉のころにやってくるという。逢えるだろうか。九時ごろが狙い目だそうで、楽しみである。
 夜の九時前、テレビを消し部屋の照明を落として広縁の椅子に陣取った。窓はすこしあけてある。
 水割りを手に、耳をすます。
 夜の中庭には保安のためもあるのだろう、一部に照明が点けられている。



 眼の前に広がるのは、森閑とした夜の静寂(しじま)と竹林と木々を渡るかすかな風の囁きだけである。
 あれっ、いま聞こえたような・・・。
「ホッーホッー」
 アオバズクは規則正しく二声ずつ鳴くというから、間違いない。ハト大というから鳴き声はそれほど大きくない。嬉しくなる。見えないが中庭のどこかにたしかに来ているのだ。



 それから三度ほど鳴き声を聞いて、充分満足したのである。

 寝る前に温泉へいった帰りにロビーのほうへいってみると廊下に置いてある鯛車に気がついた。



 江戸末期から伝わり昭和の中ごろまで行われてきた越後巻地区の鯛車(たいぐるま)は、竹と和紙で原形をつくり、ロウの鱗に赤色を付けたもので晩夏の風物詩であった。


  ― 続く ―


   →「養老牛温泉」の記事はこちら
   →「泊まれる料亭(1)」の記事はこちら
   →「泊まれる料亭(2)」の記事はこちら


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