<豊橋カレーうどん>
豊橋にも市電がはしっている。
200X年初夏、豊橋鉄道の会議室。
「夏季の納涼ビール電車のようなもので、冬季限定の、斬新な電車のアイデアを出してもらおう」
「・・・・」
「手はあがらんようだな。でもそれぞれ考えてはきたのだろうねぇ。キミ、そう君だ。なにか考えてきたかね」
「おでんしゃ、というのはどうでしょうか」
居並ぶ一同の目が点になり、ポカンと鯉の口状態となる。
「なに!?」
議長も椅子からずっこけそうになったが、踏みとどまった。
「おでんと電車で、おでんしゃ。豊橋名物のちくわ、ちくはといえばおでんということで」
凄い! 発想の離れ業というやつだ。
「ふぅむ。市電・・・電車・・・でんしゃ・・・おでん・・・おでんしゃ。ええじゃないか、キミ。その線でこの冬に間に合うようにプロジェクトチームをつくって進めてくれたまえ。それと、おでんだと、提供するのはビールもいいが酒も忘れずにな」
てなことがあったのではないか。
豊橋の市電のなかに「おでんしゃ」と名づけられた、意表をついた変り種の電車があるのだ。
なにしろ「ええじゃないか豊橋」が豊橋のメッセージ・テーマなのだ。とにかく豊橋人の発想は凄い。
天賦の離れ業的発想能力を持つ豊橋の料理人が、およそどこにもないカレーうどんを考案した。とろろご飯とカレーうどんを合体させたのだ。
ええいついでに五箇条も作っちゃえ。
1) 自家製麺を使用する
2) 器の底から、ごはん、とろろ、カレーうどんの順に入れる
3) 豊橋産ウズラ卵を使用する
4) 福神漬または壺漬・紅しょうがを添える
5) 愛情を持って作る
カレーうどんだけで立派な一品料理である。とろろご飯も強力なサイドメニューだ。
それを組み合わせようとは、乱心というか斬新というか、なんとも恐るべき発想である。必殺の関節技でキメながら、自慢の頭突きをギブアップ(タップ)している相手の後頭部に情け容赦なくぶち込む・・・そんな感じ。
でも、ここは豊橋だ、なかなか「ええじゃないか」と流行らせてしまったのだ。
せっかくだ、今年最後にそのカレーうどんにチャレンジしてみっか。
豊橋駅の脇にあるコインパーキングに車を止めて、街をぶらつく。気温が低く風もあるのでものすごく寒い。
店選びに さんざ迷ったあげく老舗の勢川本店に決めた。
店の前に行列こそなかったが、なかに入ると満卓で驚いた。
相席でかまわないというと、夫婦二人連れの四人掛けテーブルに案内された。場慣れした常連なのか、相席しやすいように並んで座っていた。会釈して男性の前に腰をおろした。
目の前の夫婦にカレーうどんが運ばれる。男性にでっかい丼、女性に並の丼。お盆には焼肉屋でよくみかける紙製のエプロンが付いている。
メニューの品書きが多い店であるが、初心貫徹だ。
「カレーうどんをひとつ」
「ふつうのでしょうか、豊橋でしょうか」
そうか、普通のもあるのか。
「豊橋カレーうどんを」
さあ、きたきた。
ウズラの玉子と、油揚げがいっぱい散らして入っている。ウズラもとろろ(自然薯)も豊橋の名産だ。
福神漬の小皿がついているのがカレーライスのようでなかなか面白い。紙エプロンを装着する。
熱つアツのカレーうどんは、蕎麦ツユの割合がすくない。下にご飯が隠されているせいだろうか。
さて、カレーうどん層を食したところで、とろろご飯の登場である。
これを残ったカレーに絡めて食べる・・・と。
ふぅ、食べきったぞ。腹いっぱいだ。
結論からいうと、この食べ方も悪くないが、横浜生まれのわたしとしては、できれば別々に食べたい。
腹ごなしに駅の反対側にいってみた。
時間も午前と早いので閉まっているが、酒呑みの鋭い嗅覚で、なんとも魅力的な酒場をみつけてしまう。
なんとなーく、後ろ髪を引かれてしまった。
→「伊良湖岬で、あんかけスパ」の記事はこちら
豊橋にも市電がはしっている。
200X年初夏、豊橋鉄道の会議室。
「夏季の納涼ビール電車のようなもので、冬季限定の、斬新な電車のアイデアを出してもらおう」
「・・・・」
「手はあがらんようだな。でもそれぞれ考えてはきたのだろうねぇ。キミ、そう君だ。なにか考えてきたかね」
「おでんしゃ、というのはどうでしょうか」
居並ぶ一同の目が点になり、ポカンと鯉の口状態となる。
「なに!?」
議長も椅子からずっこけそうになったが、踏みとどまった。
「おでんと電車で、おでんしゃ。豊橋名物のちくわ、ちくはといえばおでんということで」
凄い! 発想の離れ業というやつだ。
「ふぅむ。市電・・・電車・・・でんしゃ・・・おでん・・・おでんしゃ。ええじゃないか、キミ。その線でこの冬に間に合うようにプロジェクトチームをつくって進めてくれたまえ。それと、おでんだと、提供するのはビールもいいが酒も忘れずにな」
てなことがあったのではないか。
豊橋の市電のなかに「おでんしゃ」と名づけられた、意表をついた変り種の電車があるのだ。
なにしろ「ええじゃないか豊橋」が豊橋のメッセージ・テーマなのだ。とにかく豊橋人の発想は凄い。
天賦の離れ業的発想能力を持つ豊橋の料理人が、およそどこにもないカレーうどんを考案した。とろろご飯とカレーうどんを合体させたのだ。
ええいついでに五箇条も作っちゃえ。
1) 自家製麺を使用する
2) 器の底から、ごはん、とろろ、カレーうどんの順に入れる
3) 豊橋産ウズラ卵を使用する
4) 福神漬または壺漬・紅しょうがを添える
5) 愛情を持って作る
カレーうどんだけで立派な一品料理である。とろろご飯も強力なサイドメニューだ。
それを組み合わせようとは、乱心というか斬新というか、なんとも恐るべき発想である。必殺の関節技でキメながら、自慢の頭突きをギブアップ(タップ)している相手の後頭部に情け容赦なくぶち込む・・・そんな感じ。
でも、ここは豊橋だ、なかなか「ええじゃないか」と流行らせてしまったのだ。
せっかくだ、今年最後にそのカレーうどんにチャレンジしてみっか。
豊橋駅の脇にあるコインパーキングに車を止めて、街をぶらつく。気温が低く風もあるのでものすごく寒い。
店選びに さんざ迷ったあげく老舗の勢川本店に決めた。
店の前に行列こそなかったが、なかに入ると満卓で驚いた。
相席でかまわないというと、夫婦二人連れの四人掛けテーブルに案内された。場慣れした常連なのか、相席しやすいように並んで座っていた。会釈して男性の前に腰をおろした。
目の前の夫婦にカレーうどんが運ばれる。男性にでっかい丼、女性に並の丼。お盆には焼肉屋でよくみかける紙製のエプロンが付いている。
メニューの品書きが多い店であるが、初心貫徹だ。
「カレーうどんをひとつ」
「ふつうのでしょうか、豊橋でしょうか」
そうか、普通のもあるのか。
「豊橋カレーうどんを」
さあ、きたきた。
ウズラの玉子と、油揚げがいっぱい散らして入っている。ウズラもとろろ(自然薯)も豊橋の名産だ。
福神漬の小皿がついているのがカレーライスのようでなかなか面白い。紙エプロンを装着する。
熱つアツのカレーうどんは、蕎麦ツユの割合がすくない。下にご飯が隠されているせいだろうか。
さて、カレーうどん層を食したところで、とろろご飯の登場である。
これを残ったカレーに絡めて食べる・・・と。
ふぅ、食べきったぞ。腹いっぱいだ。
結論からいうと、この食べ方も悪くないが、横浜生まれのわたしとしては、できれば別々に食べたい。
腹ごなしに駅の反対側にいってみた。
時間も午前と早いので閉まっているが、酒呑みの鋭い嗅覚で、なんとも魅力的な酒場をみつけてしまう。
なんとなーく、後ろ髪を引かれてしまった。
→「伊良湖岬で、あんかけスパ」の記事はこちら
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