温泉クンの旅日記

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越前そばにハズレなし

2012-06-27 | 食べある記
  <越前そばにハズレなし>

 近くまで来ているはずなのに目的の店がみつからない。
 運よく通りかかった在のひとらしい優しそうな小母さんに車からおりて訊ねると、丁寧に道順と駐車場所まで教えてくれた。



 越前そばの名店、「森六」である。明治四年創業というから、なんと百三十年を超える超老舗だ。
 暖簾をくぐって引き戸を開けて入ると、案外小体な店内で、いきなり大きめの丸テーブルがひとつ、座敷にも丸い大きな座卓がひとつ。それぞれが詰めれば七、八人ぐらいは座れそうだ。





 靴を脱ぐのも面倒なので丸テーブルに座った。



 壁にある三種類しかないシンプルなメニューをしばらくみつめてから、鼻から決めてある越前(おろし)そばを注文した。

 しばし待たされて、越前そばとお茶がわりのそば湯が運ばれてきた。



(おっとぉー!)
 置かれた越前そばをまじまじみてしまう。なんて小さな皿そばだろう。足りるだろうか。
 箸を割ってさっそく食べようとして、蕎麦が意外と太くて腰のあるのに驚く。



 むむ、山形の板蕎麦みたいな風味としっかりとした噛みごたえがある。
 ついで、ぴりりと辛いおろしとふんわりとした香り高い鰹節と、つゆと刻んだ葱を蕎麦に絡めていただく。



(めちゃめちゃ、旨い!)
 大きく眼を剥いてしまった。
 つゆは地元の醤油だけだというが、とても信じられない。
 思わず飛び切りの笑顔になってしまう。気味が悪いだろうが、女将さんも厨房で店に誰もいないのを確認してのことだ。
 
 四代目店主は蕎麦とともに、おろしの大根にも情熱を傾けている。
 森六では、甘味のある青首大根、辛味があり身もおいしい練馬大根、辛味が強く搾り汁だけを使うねずみ大根と信州地大根、の四種類を季節によってブレンドして使い分けているそうだ。

 おろしの辛みが蕎麦の味を引き立て、ほのかな甘みを引っ張り出し、奥深い鰹節の滋味と協調するのだ。
 そばを食べきり、残った辛みのほどよい絶妙の、旨いつゆも飲みきった。使用している皿はあんがい綺麗で高価そうであった。



 どえらい満足である。量は腹が減っているとすこし足らない。焼鯖鮨か稲荷鮨を二個くらいサイドメニューであったら嬉しいのだが。次にきたら、大盛りにしよう。また食べたいと、猛烈にあとを引くそばが越前そばである。
 しょうがない、今回はコンビニで「ます寿司」でも一個買って食べるとしようか。
 
 
 なぜか越前そばを食べると会津大内宿の高遠そばを思い出すのは、きっと味にどこか(いっぱい)共通点があるのだろう。
 この越前そばだが、江戸期に信州信濃から優れた蕎麦の種が持ち込まれ、越前全土に広まったという。
 高遠蕎麦は信州高遠の味を持ってきたものだし、出石皿そばも信州から蕎麦職人を連れてきたもので、旨い蕎麦は蕎麦王国信州信濃の影響が少なからずあるようだ。

 越前そばを食べるのはこれで四、五回目だがどこの店で食べても実に旨いと思う。ハズレの店に当たらない。
 それにしても、この森六、仕事場の近くにあったらいいな。だけど週にいったい何回いってしまうことだろう。
 

  →「三澤屋の高遠蕎麦」の記事はこちら
  →「出石皿そば」の記事はこちら

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