温泉クンの旅日記

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生牡蠣はセエェーフ。鯛でアウト!

2015-02-25 | 雑文
  <生牡蠣はセエェーフ。鯛でアウト!>

 自主的でない、眠りからの突然の覚醒は逆上と混乱、そしてお岩さんの前髪ごっそりみたいな記憶の塊の脱落をもたらす。とわたしは経験的に強く思う。

「はちおーじ、みなみのォー!」
 ええーっ、寝ぼけ眼が驚愕で見開き、「またやったか」と慌ててドタバタと電車を降りた。ああ、それにしても終点の八王子まで行かなくてよかった。(莫迦言え、八王子は二駅先だ)
 その時点では知らなかった能天気なわたしはホッと胸を撫で下ろしていたのだった。

 はあー、久しぶりのトラベルだったぜ。自慢にならないのでひとには言わないが、こういうことが結構あるのだ。しかもなぜか深酒でないときに限っての失敗。

 新橋で眼の前に新幹線を見ながら東海道線下りに乗り、いつのまにか眠ってしまい眼を開けたら眼の前に新幹線であれれの小田原駅、げっ、しまったと上りに乗り性懲りもなくまた眠りこんで眼を開けたらまた眼の前に新幹線で新橋駅だったこともある。



 東海道線で寝たらいかんと最終の横須賀線を選択、東京駅で雑誌を買い込み、出発したら寝ないように読み始めよう。そう決めて軽く眼をつぶってしまい、次に眼を開けたら真っ暗けの久里浜駅にいた。横須賀駅でなくてよかったあ、と見事な勘違い。久里浜駅は横須賀の先なのに頂点越えの逆上をしているからだった。駅前のタクシーに、乗りこむ前に「いくらぐらい?」と運転手に訊いたら、鴨ネギの客だものあとでどうとでもいい抜けられる「たいしたことないですよ」の返事に騙され、温泉宿二食付き料金ぐらい取られたなあ。老舗名店のタイ焼きのお土産も忘れたし・・・なんかいちいち努力したぶんショックの累積だった。
 数え上げると枚挙のいとまがないので、やーめた。とにかく、なんとも“切ない”。



 八王子みなみ野駅のホームで横浜方面の電車を待ちながら、一時的に失った記憶の塊の復元にとりかかる。
 午前中に東京駅付近で用を済ませ、昼を食べようと京浜東北に乗り、最近すっかり馴染みになっている大井町駅で降りた。

 アルコール解禁になったのでランチに真っ当な洋食もなんである。ぶらぶらしていると、ある店の前のメニューに「生牡蠣」というのを見つけて入った。
 わたしは頑丈な胃袋を持っているわりに、魚介系、とくに貝類にはけっこう臆病である。何人かの知人に貝で当った悲惨な話を聞いたせいである。でも宮島に行ったら必ず焼き牡蠣を食べずにいられない隠れ牡蠣好きでもあるのだ。
 恐る恐る、ためしに生牡蠣を注文し、食べてみるとこれが新鮮で旨い。大きさもわたしの好みジャストである。



 兵庫の室津、広島の情島、福岡の門司、三重の桃鳥湾のいずれもブランド牡蠣の四種盛りだ。濃厚な甘みと噛みごたえに思わず酒もすすむ。でも、門司に牡蠣なんてあったかなあ。



 それでも昼間だから芋焼酎の水割りを二、三杯に、灘の生を一杯で抑えたはず。
 食事後にたしか、大井町から京浜東北で横浜に向かった。きっと乗り越して桜木町で覚醒して横浜線の始発でひとつ戻ろうとしたのがこの失敗だ。返す返すも情けないこっちゃ。まあ小田原とか久里浜よりマシか。

 日曜の深夜、正しくは月曜の未明、腹に激痛が走り、堪らずトイレに駆け込む。
 あの牡蠣のどれかに見事当ったか。まてよ、牡蠣は土曜の昼だったから違うか。直前の食事は・・・ロールキャベツと・・・、
「鯛の塩焼きか!?」

 鯛だ。あの尾頭つきの鯛しかない。魚が古かったか。それとも焼きが足らなかったか。きっと、内臓をとる下処理が甘かったか、包丁が狂い毒が入った内臓が破れて身に移ったかであろう。購入した大手スーパーへ怨みはらしに殴りこんでやろうと思ったが、「殿中でござる。おやめくだされ」と茶坊主どもに取り押さえられる松の廊下の内匠頭(たくみのかみ)みたいに、ま、泣き寝入り。腹に力も入らんしね。

 激しい下痢と嘔吐、激痛で、忙しいのに月曜は突発で休みをもらった。日頃から「月曜金曜に突発で休む奴はダメだ」が鉄の持論だったが、さすがに会社までというより駅まで無事に辿りつけそうもなかったからだ。
 水分をとると、「ゴロゴロ、グルグルグル」と築百年を超すボロアパートの、詰まった配管のごとき異音を立てて派手に体内を落ちていく。こりゃあかんわ。

 救急車を呼んでも魚の食中毒に特効薬はなく、内視鏡を使って胃壁から一匹ずつ毒の蟲をひっこ抜くという身の毛もよだつ拷問のような荒療治も御免蒙るので、ひたすら毒が抜ける持久戦に持ち込んだ。痛みを堪えるのは自信があった。
 しかし、不意打ちの下痢に往復の通勤でまったく往生した。なんてものでなかった。蛇口がゆるゆるな排水管を強制的に内臓しての電車往復旅だ、想像してくれ。したくないよね。お陰で痩せさらばえてしまった。(それはないって)
 金曜朝の下痢三回を最後に、どうやら毒が完全に抜け、めでたく土曜に完全に食欲が戻って「しょうが焼弁当」が食べられるようになった。



 大きなしょうが焼が四枚も入っており、さすがは崎陽軒だメシも旨い。



 弁当一個で足りずにインスタントの丼ラーメンも追加しての完全復活。

 新鮮な魚介系に眼がない善男善女のみなさまがた、くれぐれもご用心あれ。あっしはトラウマが消えるまで、しばらく干物だけにしておきますがのォ。



  →「門司港驛、しばしの別れ」の記事はこちら

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