温泉クンの旅日記

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久村の酒場(1)

2012-09-16 | 食べある記
  <久村の酒場(1)>

(よし、店はもうやっているようだ・・・)



 暖簾がかかっていて提灯も灯っている。日枝神社門前通りの久村の酒場である。同じ棟続きが酒屋になっている。ずっと一度行きたいと熱望していた酒場だ。
 歴史のありそうな佇まいだがそれもそのはずで、創業は慶応三年というから大政奉還の年である。現在の主人は六代目を数える。

 五時半ぴったりに、ちょっと胸をときめかせながら店に入った。

 入り口は狭かったが奥行きのある酒場である。
 入ってすぐの、ガラステーブルの下に一品料理の皿小鉢が忍ばせてある、幅のある長い屋台のようなカウンター席がどうも常連客専用の聖地らしく、一見のわたしは奥の座敷に案内された。聖地のテーブルの奥に女性の一人客がいるのをちらりとみかけた。どうやらこの店は開店時間前でも顔なじみ客は入れているようである。



 座敷にあがり座布団を探すが、どうもここは直に座る流儀らしい。

「焼酎の水割りを」
 反射的に注文してしまった。まあいいか。
「米、麦、芋などの好みは?」
「芋で。それとピザを」
「・・・!?」
 いきなりピザかよ、とちょっと怪訝そうな顔をされた。



 座敷に座ってすぐに壁に貼られたメニューのピザが眼についたのだ。わたしは、その瞬間、一番食べたいと思ったものをすぐに食べたいという流儀である。桶に盛られた鮨などが出されると、とにかく好きなものから順に食べるほうだ。
 ピザはきっとある程度の時間がかかるだろうから、すぐに届く塩辛も追加する。
 今夜は、新鮮な腹わたでつくられた塩辛といつもの芋の水割りで発進である。





 陶製の杯が日本酒のぐい呑みくらいで小さいから、ずっと焼酎ではお代わりが忙しくなる。
 
 やはり、ここで呑むには酒が本流だ。冬場は、ストーブで温めている寸胴に豪快に日本酒を一升瓶ごと突っ込んで燗をするそうだ。
 よし、切り替えよう。



 銘柄はどうしようか。ふむ、目の前に貼られた日本酒の銘柄を下から順に頼むと決めた。頼んだ冷酒と同時にピザが届く。



 熱々のピザにキンキンに冷えた酒「限定 杉勇つや姫純米原酒」も、これはこれでなかなか悪くない。



 客は次々と入ってくるが、いずれも地元客のようだ。
 この店奥に座敷がいくつもあるようで、思ったよりかなり広い。狭いがちょっとした中庭には鯉が泳ぐ池もあった。




  ― 続く ―



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