<千貫石温泉(3) 岩手・金ヶ崎>
さすがに未明の時刻なので浴場には誰もいない。時間はまだ朝風呂には早い、4時ちょい過ぎで、いるはずもないか。(オマエは豆腐屋か!)
淡い琥珀の掛け流しの熱い湯が、浴槽から溢れていた。朝はとにかく熱い湯がいい。
ルーティンの掛け湯をすると、湯が跳ねかえる音が意外に響く。するりと湯に滑り込む。
つるりとして少しだけ油臭のする湯に、身体がすっぽり包まれる。まるで薄い美容液のような肌触りのいい温泉である。しかもブランドニュー、新品の、源泉100%だ。
昨日、夕食を早めに終わらせ急いで大浴場へいったが、なんとまだ日帰りの入浴客はけっこういた。
いまは無人だが、きっと朝でも同じことになるだろう。日帰り入浴を朝7時から夜9時まで、料金500円で営業しているからである。常連客ならとぼけて7時前には押しかけてくるに違いない。
浴衣を手早く羽織ると、廊下の先にある階段を降りて半地下っぽい露天エリアに移動した。無人を確認したので、小さな内風呂から露天風呂と、正攻法で攻めることにした。
(それにしても、日帰り温泉に泊まるのは何年ぶりになるだろう・・・)
いつだったか、10年を要して達成した温泉1000湯の踏破を振り返ったことがある。
都道府県別に集計してみると、1位が「長野130湯」、2位が「群馬126湯」と、これは近いからわかるが、3位が「北海道94湯」となって、我ながらびっくりしたことを思いだす。このときの九州エリアの踏破数計は34湯である。
実に“九州2個分”の広さを持つ、でっかい北海道を回るのには日数もかなり要するし、当たり前だが路銀(旅費)も滅法嵩む。往復のフェリー代と走りまくるためのガソリン代はしょうがないとすると、食費と宿代を節約するしかない。
車のなかで寝るのは乗用車ではきついことを、最初のころに思い知ったので、ここは体力温存のためにも、横になって布団かベッドで眠りたい。
そこで目をつけたのが宿泊料金の安い、町営など公営の日帰り温泉施設だった。
広すぎて予定どおりなんてわけにいかないので、すべて当日の午後の電話予約だった。日帰り用の食堂で食べれば安くすむので、B&B泊があれば助かるし、素泊まりでも充分である。
浮いた路銀を日帰り入浴に注ぎ込んだ結果が“温泉踏破数”に出たってわけだ。
喫煙室を飛ばして部屋に戻ると、窓を全開にして禁じられた一服をする。
千貫石温泉では日帰り入浴したあとに大広間休憩もあるが、料金3,300円(6畳)から5,500円(10畳)で個室休憩することもできる。わたしの泊まった部屋が、画像を撮りたくないほど年季が入ってしまったのは、そんなところに原因があるのかもしれない。
朝食は一階の食堂で、セルフスタイルだった。ご飯がまた不味いと厭なのでパンにしようと思ったが残念ながら選択肢なし。
残しても目立たぬ程度のおかず(おにぎりの具かよ!)を選び、ご飯は用心して軽く盛った。(まだ大船渡温泉が尾を引いているのだ)
(なんてこった!)
恐る恐る、ご飯をひと口食べて瞠目した。旨いじゃないか! しかも、滅法で飛切りだ。二杯目はてんこ盛りにしちまったくらい。さらに三杯目をかるく。
なんか、メシもおかずも旨かったので、久しぶりに朝メシたんと食べてしまったぞ。締めにヨーグルトもいっちゃうか。まんぞく満足。
「ここの温泉、熱くなかったですか?」
呼んでもらったタクシーが走りだすと訊かれた。いやちょうど良かった、というと、この辺の湯は源泉掛け流しばかりなので、日によって温度が極端に変わるんだそうだ。
あの千貫石温泉の食堂だが、メシ炊き名人のおばちゃんがきっといるに違いない。
“車”で東北を旅する時に、路銀節約を兼ねて千貫石温泉で一泊(もちろんB&Bでも)するのもテである。素泊まりなら5,000円ちょっとだしね。
チェックアウトが9時半と早めなのと、もしも鉄道旅で訪れるなら、コインバスは“平日のみ運行”をくれぐれお忘れなく。
→「なか締め」」の記事はこちら
→「魔力(続なか締め)の記事はこちら
→「千貫石温泉(1) 岩手・金ヶ崎」の記事はこちら
→「千貫石温泉(2) 岩手・金ヶ崎」の記事はこちら
さすがに未明の時刻なので浴場には誰もいない。時間はまだ朝風呂には早い、4時ちょい過ぎで、いるはずもないか。(オマエは豆腐屋か!)
淡い琥珀の掛け流しの熱い湯が、浴槽から溢れていた。朝はとにかく熱い湯がいい。
ルーティンの掛け湯をすると、湯が跳ねかえる音が意外に響く。するりと湯に滑り込む。
つるりとして少しだけ油臭のする湯に、身体がすっぽり包まれる。まるで薄い美容液のような肌触りのいい温泉である。しかもブランドニュー、新品の、源泉100%だ。
昨日、夕食を早めに終わらせ急いで大浴場へいったが、なんとまだ日帰りの入浴客はけっこういた。
いまは無人だが、きっと朝でも同じことになるだろう。日帰り入浴を朝7時から夜9時まで、料金500円で営業しているからである。常連客ならとぼけて7時前には押しかけてくるに違いない。
浴衣を手早く羽織ると、廊下の先にある階段を降りて半地下っぽい露天エリアに移動した。無人を確認したので、小さな内風呂から露天風呂と、正攻法で攻めることにした。
(それにしても、日帰り温泉に泊まるのは何年ぶりになるだろう・・・)
いつだったか、10年を要して達成した温泉1000湯の踏破を振り返ったことがある。
都道府県別に集計してみると、1位が「長野130湯」、2位が「群馬126湯」と、これは近いからわかるが、3位が「北海道94湯」となって、我ながらびっくりしたことを思いだす。このときの九州エリアの踏破数計は34湯である。
実に“九州2個分”の広さを持つ、でっかい北海道を回るのには日数もかなり要するし、当たり前だが路銀(旅費)も滅法嵩む。往復のフェリー代と走りまくるためのガソリン代はしょうがないとすると、食費と宿代を節約するしかない。
車のなかで寝るのは乗用車ではきついことを、最初のころに思い知ったので、ここは体力温存のためにも、横になって布団かベッドで眠りたい。
そこで目をつけたのが宿泊料金の安い、町営など公営の日帰り温泉施設だった。
広すぎて予定どおりなんてわけにいかないので、すべて当日の午後の電話予約だった。日帰り用の食堂で食べれば安くすむので、B&B泊があれば助かるし、素泊まりでも充分である。
浮いた路銀を日帰り入浴に注ぎ込んだ結果が“温泉踏破数”に出たってわけだ。
喫煙室を飛ばして部屋に戻ると、窓を全開にして禁じられた一服をする。
千貫石温泉では日帰り入浴したあとに大広間休憩もあるが、料金3,300円(6畳)から5,500円(10畳)で個室休憩することもできる。わたしの泊まった部屋が、画像を撮りたくないほど年季が入ってしまったのは、そんなところに原因があるのかもしれない。
朝食は一階の食堂で、セルフスタイルだった。ご飯がまた不味いと厭なのでパンにしようと思ったが残念ながら選択肢なし。
残しても目立たぬ程度のおかず(おにぎりの具かよ!)を選び、ご飯は用心して軽く盛った。(まだ大船渡温泉が尾を引いているのだ)
(なんてこった!)
恐る恐る、ご飯をひと口食べて瞠目した。旨いじゃないか! しかも、滅法で飛切りだ。二杯目はてんこ盛りにしちまったくらい。さらに三杯目をかるく。
なんか、メシもおかずも旨かったので、久しぶりに朝メシたんと食べてしまったぞ。締めにヨーグルトもいっちゃうか。まんぞく満足。
「ここの温泉、熱くなかったですか?」
呼んでもらったタクシーが走りだすと訊かれた。いやちょうど良かった、というと、この辺の湯は源泉掛け流しばかりなので、日によって温度が極端に変わるんだそうだ。
あの千貫石温泉の食堂だが、メシ炊き名人のおばちゃんがきっといるに違いない。
“車”で東北を旅する時に、路銀節約を兼ねて千貫石温泉で一泊(もちろんB&Bでも)するのもテである。素泊まりなら5,000円ちょっとだしね。
チェックアウトが9時半と早めなのと、もしも鉄道旅で訪れるなら、コインバスは“平日のみ運行”をくれぐれお忘れなく。
→「なか締め」」の記事はこちら
→「魔力(続なか締め)の記事はこちら
→「千貫石温泉(1) 岩手・金ヶ崎」の記事はこちら
→「千貫石温泉(2) 岩手・金ヶ崎」の記事はこちら
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