温泉クンの旅日記

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京都・丹波口、みやこ食堂(2)

2024-07-21 | 京都点描
  <京都・丹波口、みやこ食堂(2)>

 西本願寺北側の花屋町通を、西に向かってぐんぐん歩く。

 

 迷うことはない、いわゆる一本道である。
(着いた・・・)

 

 日を置かずに「みやこ食堂」を再訪したのには理由がある。
 前回に壁に貼られたメニューを見まわしているときに、「焼めし」という短冊メニューに目を奪われたのだ。
 ありふれた「炒飯」でなく、気どって「ピラフ」でもない、「焼めし」とはジツに懐かしいグッと来るメニューじゃないか。

 

 早めの夕食だろうか、ふた組ほどの先客がいた。
 多少でも客がいたほうが、こちらも気が楽で落ち着ける。どうやら先客のひとり客は鍋焼きうどん、話好きそうな年配女性の二人客は中華そばの注文のようである。
「お酒と、冷や奴を」
 顔を見覚えているらしく、燗しますかとも訊かれなかった。
 あまり待つこともなく熱燗と、3分の1丁ほどの冷や奴が運ばれてくる。

 

 キンキンによく冷えた冷や奴が酒に合う。コロッケと違い、豆腐は冷たさも味の大事な一部、これなら半丁は食べたいところだ。
 お銚子半分あたりで立ちあがると、入口出たところに設置されている灰皿を利用して一服する。若い外国人男性と日本人女性のカップルが入っていく。
 
「焼めし・・・それとお酒のお代りと、稲荷寿司を一個ください」
 厨房に声をかけて席に戻った。
 稲荷寿司は、席に戻る途中で見かけた冷蔵ショーケースに並んでいたのだ。知るひとは少ないが、わたしはカッパ巻きでも梅干1個でも充分酒のアテにしてしまう変わり者なのだ。
 外国人カップルは定食を注文したようで、もしかしたら常連なのかもしれない。年配婦人たちが談笑しながら中華そばを大事そうに食べていた。

 

(うわ、この稲荷、ばか旨い!)
 稲荷寿司をひと口食べて、眼を剥いた。さすが京都だ。しっとりした油揚げとなかの飯の、ほどよい上品な甘さに舌を巻く。もう少し食べたい。
 気が変わらぬうちに、土産に2個を追加注文してしまった。

 

 酒の2本目が終りそうなころ、焼めしが届く。
「山高きが故に貴からず」というが、「炒飯、パラパラ故に美味しからず」だと思っている。どちらかというと、しっとりした炒飯がわたしの好みなのだ。

 

“しっとり”というより“パラパラ”寄りの焼めしであるが、旨い。
 旨いが想像通りの味の範疇だ。焼めしより先に、稲荷の旨さに感動しちゃったのがきっといけなかったかもしれない。

 味の好みは、千差万別。その味でさえ、誰と食べるかで微妙に変化するから始末に負えない。
 早い話「もうコレ少し食べたい」とか、「ああ、またアレ食べたいな」と感じる食べものが、そのひとにとって本当に美味しいものに違いないのだ。
 そう、思う。

 みやこ食堂、気にいった。
 旅先の食堂や酒場は、地元住民が普段使いする処を選ぶのがたいてい間違いなく、なにより安心だ。
 黄そばと焼めしはそれなりに満足したので、次に来た時は、ノーマルなうどんか中華そば、それに稲荷を付けよう。



  →「京都・丹波口、みやこ食堂(1)」の記事はこちら


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