<京都・丹波口、みやこ食堂(1)>
・・・・ところで『黄そば(きぃそば)』っちゅう食べものをご存じでっか?
早い話、茹でた中華麺にうどんの出汁をかけたもんで、<黄そば>っちゅうのは近畿地方のソウルフードでんねん。メニューにうどんと中華そばがあれば、たいていの食堂で「黄そば」は食べられますわ。
(この、いかにも昭和風の佇まいなら、もしかしてアレがあるかも・・・)
先ほどチラリと見かけたときに、そう感じた。よし、入ってみるとしよう。
とっくに昼を過ぎた中途半端な時間帯なので、客は誰もいなかった。適当な卓を選び座ると、壁にあるメニューに素早く目を走らせる。うどん、中華そば、丼もの、定食・・・オッとビールだけでなく酒もあるぞ・・・それにコロッケも。メニューにアレはなかった。
「とりあえず酒と、それとコロッケも」
つい勢いで酒を頼んじゃったので、本日の観光はここまでとしよう。殿田食堂では瓶ビールしかなかったもンな。若いころから医師に“ビールだけはとにかく節制せよ”と言われているのだ。
「お酒どうします、燗しますか?」
「燗でお願いします」
運ばれてきた燗酒をぐいとひと口呑み、厨房に近寄って恐る恐る言った。
「あのォー、中華の麺をうどんの出汁で食べたいのですが・・・」
さすがに知ったかぶりして「黄そば」とは言いにくかった。メニューにあらへんし、発音のイントネーションもアクセントもようわからんし、ね。
「上の具はなににします?」
ひゃっほー、見事に通じたぞ!
「えっ、上の具って?」
「たとえば天麩羅とかきつねとか」
ははあ・・・“天麩羅”うどんとか“きつね”うどんとかのことだな。よし、“力”黄そばでいくか。
「じゃあ『餅』でお願いします」
たまたま「みやこ食堂」をみつけたのは、この店の前の路をずっと先に行ったところにある、老舗煎餅屋でどうしても買ってみたい煎餅があったのだ。
JR嵯峨野線で京都から3駅、丹波口駅からのほうが近いのだが、まァたいしてかわらんだろうと、京都駅からテクテク歩いてしまったのだ。(ホンマ歩くの好っきやなあ)
酒がなくなることを見計らったように“力黄そば”が届いた。
煮た丸餅よりは、焦げ目のついた四角い餅のほうが好みだが文句は言えない。
中華麺というよりは、腰と味がしっかりしたうどん、という感じ。悪くない。大阪では黄そばに焼そばの麺を使う店もあるというからジツに奥が深い。
丸餅も、ぐったりさ加減は餅好きには上々であった。もちろん、出汁も上々。
黄そばの経験はジツのところ一度あった。
初めて食べた“黄そば”が神戸駅ホームの立ち食い蕎麦店であったとは、ずっと後にして知ったのだが、そのときの“天麩羅黄そば”の美味しさと比べてみると、まあ予想通りの味であった。しかし、関東モンとしては注文が通っただけでも大満足。
次はどこかの食堂で<冷やし黄そば>をみつけて試したいものだ。
老舗煎餅屋「菱屋」で買ってみたかったもの、それは「うすばね」という一袋500円の煎餅で、知ったころの値段は一袋がたしか300円くらいだった。煎餅好きなら食指が動く逸品である。
今日は、食べたかった(というか注文してみたかった)“黄そば”を京都の食堂で食べることができ、買いたかった煎餅も手に入れることができたのは嬉しい誤算。なんにしても稀有な佳き一日だった。
― 続く ―
→「京都・東寺通、殿田食堂のうどん」の記事はこちら
・・・・ところで『黄そば(きぃそば)』っちゅう食べものをご存じでっか?
早い話、茹でた中華麺にうどんの出汁をかけたもんで、<黄そば>っちゅうのは近畿地方のソウルフードでんねん。メニューにうどんと中華そばがあれば、たいていの食堂で「黄そば」は食べられますわ。
(この、いかにも昭和風の佇まいなら、もしかしてアレがあるかも・・・)
先ほどチラリと見かけたときに、そう感じた。よし、入ってみるとしよう。
とっくに昼を過ぎた中途半端な時間帯なので、客は誰もいなかった。適当な卓を選び座ると、壁にあるメニューに素早く目を走らせる。うどん、中華そば、丼もの、定食・・・オッとビールだけでなく酒もあるぞ・・・それにコロッケも。メニューにアレはなかった。
「とりあえず酒と、それとコロッケも」
つい勢いで酒を頼んじゃったので、本日の観光はここまでとしよう。殿田食堂では瓶ビールしかなかったもンな。若いころから医師に“ビールだけはとにかく節制せよ”と言われているのだ。
「お酒どうします、燗しますか?」
「燗でお願いします」
運ばれてきた燗酒をぐいとひと口呑み、厨房に近寄って恐る恐る言った。
「あのォー、中華の麺をうどんの出汁で食べたいのですが・・・」
さすがに知ったかぶりして「黄そば」とは言いにくかった。メニューにあらへんし、発音のイントネーションもアクセントもようわからんし、ね。
「上の具はなににします?」
ひゃっほー、見事に通じたぞ!
「えっ、上の具って?」
「たとえば天麩羅とかきつねとか」
ははあ・・・“天麩羅”うどんとか“きつね”うどんとかのことだな。よし、“力”黄そばでいくか。
「じゃあ『餅』でお願いします」
たまたま「みやこ食堂」をみつけたのは、この店の前の路をずっと先に行ったところにある、老舗煎餅屋でどうしても買ってみたい煎餅があったのだ。
JR嵯峨野線で京都から3駅、丹波口駅からのほうが近いのだが、まァたいしてかわらんだろうと、京都駅からテクテク歩いてしまったのだ。(ホンマ歩くの好っきやなあ)
酒がなくなることを見計らったように“力黄そば”が届いた。
煮た丸餅よりは、焦げ目のついた四角い餅のほうが好みだが文句は言えない。
中華麺というよりは、腰と味がしっかりしたうどん、という感じ。悪くない。大阪では黄そばに焼そばの麺を使う店もあるというからジツに奥が深い。
丸餅も、ぐったりさ加減は餅好きには上々であった。もちろん、出汁も上々。
黄そばの経験はジツのところ一度あった。
初めて食べた“黄そば”が神戸駅ホームの立ち食い蕎麦店であったとは、ずっと後にして知ったのだが、そのときの“天麩羅黄そば”の美味しさと比べてみると、まあ予想通りの味であった。しかし、関東モンとしては注文が通っただけでも大満足。
次はどこかの食堂で<冷やし黄そば>をみつけて試したいものだ。
老舗煎餅屋「菱屋」で買ってみたかったもの、それは「うすばね」という一袋500円の煎餅で、知ったころの値段は一袋がたしか300円くらいだった。煎餅好きなら食指が動く逸品である。
今日は、食べたかった(というか注文してみたかった)“黄そば”を京都の食堂で食べることができ、買いたかった煎餅も手に入れることができたのは嬉しい誤算。なんにしても稀有な佳き一日だった。
― 続く ―
→「京都・東寺通、殿田食堂のうどん」の記事はこちら
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