<炒、飯、でっす!>
「チャー、ハン、でっす!」
わたしの注文をお婆ちゃんが元気に厨房に大声で通す。さすが江戸っ子、滑舌がはっきりしていて、しかも若々しい。
なぜか「サンペイです」というギャグに一脈通じるものをわたしは感じて、微笑ましい。できれば身振りをつけてくれると爆笑できるのだが・・・と不埒なことを考えてしまう。
深川のわたしの仕事場界隈の飲食店は火曜定休のところが多い。だから月に一度ほどはお婆ちゃんと年配の息子で切り盛りするこの店「中華しん」を利用している。店名はもしかしたらお婆ちゃんの名前かもしれない。

店の自動ドアの具合が悪くてなかなか入れない。羊羹一本を平たく薄切りにしたようなスイッチを押して入るのだが接触が悪くて、あちこち押しまくらないと開かないのである。出る時に押す内側のスイッチは正常に作動する。

入ると、四掛けテーブル席が、整然と八卓並ぶ小体な店である。立地場所としては、店の裏側がちょうど清澄庭園になる。

昼時はいつもテレビがついていて、全国各地からの実況中継などがあると、お婆ちゃんが「ああ、懐かしい」とか「もう一遍行ってみたい」とか言っているので、旅好きだったのだろう。きっとわたしとは話が合うと思いのだが、いまのところ寡黙をつらぬいている。
初めてこの店で麺類を食べたとき、不摂生が高じてついに身体に変調をきたしのかとおおいに焦った。超高血圧の患者用の病院食みたいに味がまるでしなかったからだ。
当然、それきりいかなかったのだが、この店によく通う同僚から「炒飯」と「冷やし中華」なら他の店に引けをとらないよと聞き、恐る恐る試してみて、なるほどと納得したのだった。
大ぶりでぷりぷりしたエビも入った本格的な炒飯である。

この炒飯、味もほとんど一流なのに、お値段が驚異の五百円。これはなんとも安すぎて狂喜してしまう。
(いくらになっているだろうか・・・)
そう思って増税後に初めていったのだが、そのままの値段で驚いた。味からいったら、五十円アップの五百五十円でもおかしくないのである。

ところでこのお婆ちゃん、滑舌もいいが眼配りもたいしたものだ。
一年中冷えた麦茶が供されるのだが、残量が半分以下になると目ざとく飛んできて注ぎ足していくのである。まるでわんこそばみたいに。ありがたいといえばありがたいのだが、気が弱いわたしなどは出るタイミングを失ってしまうのだ。
消費税が四月に上がって、いままで七百五十円だった定食が七百七十円になったり、八百円が八百五十円になど、飲食店は軒並み値上げを断行している。
そのなかで、増税前も増税後も五百円と値上げしない姿勢に頭が下がる。サラめし(サラリーマンの昼メシ)なので、五百円の一食が常に選択肢にあるのは心強い。
この店には五百円のメニューも豊富にあるのだが、わたしは「炒飯」をまずはお勧めしたい。ちなみにオーダーの六割が炒飯、三割が五目焼きそばである。夏場には、これに強豪の冷やし中華が参戦してくるのだ。

ああ、そうだ。自動ドアのことだが、店に苦情をつけて修理したらメニューの値段にはね返りそうなのでわたしは言うつもりはない。
→「清澄庭園」の記事はこちら
→「深川で刺身定食」の記事はこちら
「チャー、ハン、でっす!」
わたしの注文をお婆ちゃんが元気に厨房に大声で通す。さすが江戸っ子、滑舌がはっきりしていて、しかも若々しい。
なぜか「サンペイです」というギャグに一脈通じるものをわたしは感じて、微笑ましい。できれば身振りをつけてくれると爆笑できるのだが・・・と不埒なことを考えてしまう。
深川のわたしの仕事場界隈の飲食店は火曜定休のところが多い。だから月に一度ほどはお婆ちゃんと年配の息子で切り盛りするこの店「中華しん」を利用している。店名はもしかしたらお婆ちゃんの名前かもしれない。

店の自動ドアの具合が悪くてなかなか入れない。羊羹一本を平たく薄切りにしたようなスイッチを押して入るのだが接触が悪くて、あちこち押しまくらないと開かないのである。出る時に押す内側のスイッチは正常に作動する。

入ると、四掛けテーブル席が、整然と八卓並ぶ小体な店である。立地場所としては、店の裏側がちょうど清澄庭園になる。

昼時はいつもテレビがついていて、全国各地からの実況中継などがあると、お婆ちゃんが「ああ、懐かしい」とか「もう一遍行ってみたい」とか言っているので、旅好きだったのだろう。きっとわたしとは話が合うと思いのだが、いまのところ寡黙をつらぬいている。
初めてこの店で麺類を食べたとき、不摂生が高じてついに身体に変調をきたしのかとおおいに焦った。超高血圧の患者用の病院食みたいに味がまるでしなかったからだ。
当然、それきりいかなかったのだが、この店によく通う同僚から「炒飯」と「冷やし中華」なら他の店に引けをとらないよと聞き、恐る恐る試してみて、なるほどと納得したのだった。
大ぶりでぷりぷりしたエビも入った本格的な炒飯である。

この炒飯、味もほとんど一流なのに、お値段が驚異の五百円。これはなんとも安すぎて狂喜してしまう。
(いくらになっているだろうか・・・)
そう思って増税後に初めていったのだが、そのままの値段で驚いた。味からいったら、五十円アップの五百五十円でもおかしくないのである。

ところでこのお婆ちゃん、滑舌もいいが眼配りもたいしたものだ。
一年中冷えた麦茶が供されるのだが、残量が半分以下になると目ざとく飛んできて注ぎ足していくのである。まるでわんこそばみたいに。ありがたいといえばありがたいのだが、気が弱いわたしなどは出るタイミングを失ってしまうのだ。
消費税が四月に上がって、いままで七百五十円だった定食が七百七十円になったり、八百円が八百五十円になど、飲食店は軒並み値上げを断行している。
そのなかで、増税前も増税後も五百円と値上げしない姿勢に頭が下がる。サラめし(サラリーマンの昼メシ)なので、五百円の一食が常に選択肢にあるのは心強い。
この店には五百円のメニューも豊富にあるのだが、わたしは「炒飯」をまずはお勧めしたい。ちなみにオーダーの六割が炒飯、三割が五目焼きそばである。夏場には、これに強豪の冷やし中華が参戦してくるのだ。

ああ、そうだ。自動ドアのことだが、店に苦情をつけて修理したらメニューの値段にはね返りそうなのでわたしは言うつもりはない。
→「清澄庭園」の記事はこちら
→「深川で刺身定食」の記事はこちら
桃太楼、伊勢屋は、ダメなんでしょうか!!
今はない、どうしてこんなにスッパイのか、訳のわからぬ、そしてテーブルの上で昆虫(?)に会える、2櫂にあったカレー屋は、いかがでしょうか?
図書館筋向かいの、天ぷら屋さん、コーナン脇の小道を公園沿いに下って右側、マンション2櫂のスパゲッティー屋さん!
いえ、何といっても、駅前はディープでした。
深川東京モダン館・・・、コーヒー100円、喫茶にちよう、そしてモダン食堂!
今は「ラーメン花月」になってしまいましたが、ここの「塩ラーメン」、にんにくのパンチが凄かった、家族中華食堂でした。
永代通りを川沿いに向かえば、2本の小道。ここに、夜のお店がズラリと・・・。でも、ある夏の午前中、この小道で、和服を着こなし、まさに「凛」とした雰囲気のご婦人とすれ違いました。日本の夏うを制する和服・・・、心を奪われました。
あっ、すみません!
食べ物屋さんの話でしたよね・・・。
いつもコメントありがとうございます。
なにかこの記事のどこかしらが、にゃあ様の記憶のスイッチに強力に作用してしまったようで・・・。
あれほど通った門前仲町界隈も、いまは昔の懐かしい風景に一ページとなりつつあります。
伊勢屋の冷し中華と餅入りラーメンには未練がありますので、いずれ再訪してみようかと考えております。
開始時間の12時30分まで時間があったので、早めの昼を「懐かしの店」で食べようと、門仲駅から清澄方向へ向かいました。
そうそう、ワンコインのメニューだったよな・・・そう思い出しながら清澄通りをうろうろしたのですが、店がないのです!
2往復しました。確かゴルフ屋さんの隣だったはず・・・。
でも、ないのです。もしかして・・・。
この界隈は、最近、こじゃれたパンヤさんや喫茶店がオープンし始めています。また、昔、なじみだったお店でも、居ぬきで経営者が変わってきています。
時は人(迷い猫)を待ってはくれないようです。
で、どこで食べたかってですか?
ももたろうです。
おばちゃん、相変わらず元気でした。
はい、もちろん食べ終わった食器は、自分でカウンターに・・・
いつもコメントありがとうございます。
わたしも今年門中に行ったとき、確認いたしました。
こうして、ひとつひとつが思い出のなかだけに残っていくのでしょう。
これは食べ物の話なのですが・・・なにか寂しいものがありますね。
とにかく、そのうち行こうなどと思わずに再訪したくなったらとにかくすぐに行動するのが肝要なのかもしれません。
温泉クン
この「ないない現象」を目の当たりにし、そのまま帰るわけには行きません。ちょうど、お隣のゴルフ店のご主人様が出ていらっしゃいました。そこですかさず、
「あの~、お隣さん、お母さんと息子さんがやられていた、確か「しん」って言う中華料理屋さんでしたよね! どうしちゃったんですか? まさか・・・。」
するとご主人、にっこり微笑み、
「いや、辞められたけど、あっちに「(門仲方向を指さし)いらっしゃいますよ。」
と・・・。
ちょっぴりホッとして、そしてちょっぴり残念・・・。
あの500円の、チャーハン、焼きそば、ラーメン、中華飯、餃子、冷やし中華には、もう会えないんですね・・・。
いえいえ、何より残念なのは、出前をとって、それをお母さんが運んでいた、近所の派出所のお巡りさんでは・・・。
光陰矢のごとし!
また一つ、さよなら、僕たちの懐かしい風景・・・。
「半年くらい前に辞められたよ・・・」
とのことでした。
立て続けのコメントありがとうございます。
さて、19年前に閉店した蕎麦屋が復活と再開の希望に応えて、寡黙な先代の味をよく知る娘さんとお孫さんが16年ぶり、つまり三年前に蕎麦屋を再開しました。
松江の古曽志という蕎麦屋で、わざわざ出かけていってしまいましたよ。
たまにはこういう嬉しいこともあるのです。
温泉クン