・・・私の毎日の時間割に読書があるが、その際、私は小説の類はほとんど読まない。
サラリーマン現役時代に仕事で読んでいた専門書の読書以上の熱心さで日本の古代史の本を読んでいる。
ただ、読むだけだから、あまり、社会には役立ってはいないが、私個人的には尽きない知識欲が、読書と共に、湧き出るので、毎日、楽しく本を読んでいられる。
・・・今日、読んでいたのは「幻の王国・狗奴国を旅する」という古代歴史のまじめな本です。
著者は愛知県埋蔵文化財センターの職員と云うことで考古学の専門家であるので、実際のデータが多く紹介され、知識欲が満足される本である。
・・・本の内容は、あの有名な魏志倭人伝に書かれている、『・・・西暦200年前後の倭国は乱れるが、女王、卑弥呼が現れることによって、倭国の乱は終わる、とある。
しかし、邪馬台国に属さない国「狗奴国」があり、その後、西暦247年に卑弥呼の邪馬台国と「狗奴国」は交戦した・・・』とある。
古代、倭国において、有名な卑弥呼の治める邪馬台国の唯一のライバル国だった狗奴国の有力な所在場所である伊勢湾岸の遺跡についての考古学的知見がこの本では紹介されている。
・・・特に面白い内容の一つとして、この地方独特で且つ、狗奴国の勢力範囲を特定する土器S字甕についての解説がある。
このS字甕の製造成分は三重県の雲出川しかない砂粒を各地の粘土に混ぜて作る独特の成分である。
この土器、S字甕は古墳時代につながる、奈良盆地東南部に起こる古代ヤマト王国の巻向き遺跡でも発掘されており、古代史のなぞを推測する上での重要な土器である。
その他、謎とされている邪馬台国の世紀(西暦三世紀後半)における、名古屋近辺の遺跡が数多く紹介されている、数少ない書籍であり、面白く読ませていただいた。