夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

影青陰刻草花文様輪花碗

2012-03-04 07:35:45 | 陶磁器
仙台の骨董店のご主人に「骨董というのは不思議なもので持つべき人間が所有していると真贋相半ばでも本物に思えてくる。」と述べておられました。

そういう御仁になりたいと切に願っています。そのために一番警戒するのは出来の悪い贋作を所有しないことです。よく「悪貨は良貨を駆逐する(グレシャムの法則)」にたとえられますが、ひとつの出来の悪い作品を持つ人は所有するほとんどが出来の悪いと作品であるいいます。なんでも鑑定団のテレビを観ているとほんとにそう感じます。

さて本日の作品はいかがなものか・・。陶磁器については避けては通れない中国陶磁器です。

影青陰刻草花文様輪花碗
口径180*高台径*高さ50



影青刻花とは青白磁に刻花したものを影青(いんちん)と呼び、刻まれた筋に釉薬がたまり、そこだけ少し色が濃くなり、なんとも静謐にして艶かしい様相となります。



その文様が花の文様となり珍重されているようです。



全体に薄作りで品格があり、文様が洒脱であり味があります。また、輪花の器の形に品格があります。高台を低く作り、円筒形の台を当てて焼いているため、褐色に台の跡が残る。この有無が真贋鑑定のポイントの一つとなります。



以上、宋時代の影青の作品ならばと述べてみましたが・・。

似たような作品を少しずつ集めてみては一つ一つ解明していくしかありません。早急な判断はいけません。

本作品は近代の作品と判断しております。発掘品のようにして見せかけようとしたのかは不明ですが、土がこびりついていました。技巧は素晴らしいものがあり、薄作りの技術は見事です。ただ、陰刻がなんとなく淡白です。普段使いにはいいでしょう。


このような作品を時代を偽ってオークションに「宋時代」として出品している人がたくさんいます。
写真の撮りかたによっては古く見えるので騙されやすいです。クレームをつけても「本物保証ではありません」という回答ですから困ったものです。

このような作品をコレクションから排除しないと冒頭のような御仁にはなれそうにありません。


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