夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

桜下京美人図 無銘

2019-09-23 00:01:00 | 掛け軸
江戸末期頃の作か?円山派の美人画の影響が多い画風で、山口素絢の画風に似ているのですが、無銘ですので贋作云々と騒ぎ立てる必要がない作品です。また表具が刺繍の施された友禅染を使った粋な作品です。

桜下京美人図 無銘
絹本着色刺繍軸装 軸先朱塗 合箱
全体サイズ:縦1640*横375 画サイズ:縦830*横275

 

有名な作品の模写かもしれませんが、余計な銘などはいらずに無銘で遺っているのがいいですね。



こういう作品を担当は当方は蒐集しようとしているのですが、無銘や無名でいい作品は最も入手が難しいようです。



有名な画家の作品を追い回すのは金銭的に余裕のある方以外は基本的に避けたほうがいいようです。



なぜなら贋作の山、もしくは真贋不詳の作品の巣窟となります。陶磁器もそうですが、蒐集家の99%がその部類に属します。当方の蒐集作品などはまだましな部類です。



なんでも鑑定団の鑑定される方は「あまり有名でない方の作品でよい作品を集めるのがいいと思います。」と仰っていましたがまさしくその通りなのでしょう。



一般の蒐集家の方に、通常揃えるべき資料すらないで蒐集を続けてるいる方が多いのですが、作品を蒐集する初期の段階でまずは資料が必要になります。その資料なしに、学習なしに蒐集するのは暴挙に近いものです。



そういうある画家の蒐集の過程を踏まないと無名や無銘の作品の良しあし、ありがたみが解らないものだと思います。



陶磁器も同じです。無名の名もなき陶工の作品の良しあしはすぐには解らないものです。白洲正子氏が最初からいいものの目利きができたわけではなく、かなり苦い思いをしてからのようです。



さて作品は美人画の描きといい、表具の刺繍といい、出来の良いものです。表具は友禅染の生地を使ったのでしょう。葵の文様ですね。美人画や所謂京美人画に分類される円山応挙風の画風です。応挙の「楚蓮香」の作品に通じる画風です。帯には龍の文様、着物の下は雲錦文様が描かれています。



一般的ですが時代のある美人画の表具の誂えになっています。



節度のある、出来の良い、状態の良い、無銘の作品は繰り返しになりますが意外に少ない。



友禅染の作品を工夫して表具していますね。



展示では湖東焼の作品や古伊万里と並べてみました。


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