陶磁器に箱を誂える時には真田紐は自分で手配します。そのほうが安上がりですが、気に入った真田紐は意外に少ないこともその理由です。作品にあった柄や太さの紐を選びますが、できれば平紐より袋紐のほうが紐の締め具合がいいですし丈夫です。
また袋紐のほうが紐の端部処理もやりやすいようです。真田紐の端部処理の方法を知らない方が多いようですが、これは基本的なことですので、覚えていたほうがいいでしょう。
ところで保管用の桐箱には向きがあるのをご存知でしょうか? 底の側面が二重になっているほうが蓋を上から見たときに上下です。そうでない方が左右です。
さらに蓋の柾目の細かいほうが右側です。このような桐箱の扱い方を知らない方があまりに多いのは教える人、知っている人が身近にいなくなったからでしょうか? 私は母や陶芸の平野先生に教わりましたが・・・。
真田紐の掛け方は茶道の流派でも様々ですが、肩掛けになるほうが上にくるほうが締めやすいでしょう。ともかく保管箱ひとつとってみても、蒐集する人は覚えておくことは多々あるものです。扱い方でひとつで、箱の中の作品、蒐集する人間の素性が解るものです。
さて本日は古画を修復した作品の紹介です。古画に類する作品で痛みのある作品は多々あります。当方では気に入った作品から改装していますが、今回は下記の作品の改装が完了しましたので投稿します。古画といっても江戸後期ですからそれほど古くはありません。
虎図 渡辺秀詮筆
紙本着色軸装 軸先木製
全体サイズ:縦1950*横717 画サイズ:縦1240*横581
渡辺秀詮は江戸後期の画家。秀彩の子。字は元瑜、号は自適斎。猛虎を能くした画家です。文政7年(1824)歿、89才。同じく虎の絵を得意とする著名な片山楊谷との師弟関係は明確ではありません。
マイナーな画家ですが、渡辺秀詮の虎の作品は人気があります。当方でのブログの記事でもこの作品へのアクセス数は多い方です。
掛け軸を蒐集するならマイナーな画家に焦点を当てたほうがいい作品が揃うものようです。
贋作は少ない方ですし、購入費用も割と抑えられます。著名な画家に手を出すのは筋のしっかりした画商や骨董店を通して入手したほうがいいでしょう。
掘り出し物を狙うマイナーな画家の作品蒐集には審美眼が大いに必要です。
また愉しめる眼を持たねばなりませんね。ただ古伊万里ばかり、古九谷ばかり、特定の画家ばかりと視野の狭い蒐集は意外に掘り出し物にはあたらないようです。
作品中には「秀詮元瑜写」と落款が記されており、印章は白文朱方印「?」朱文白方印が押印され、遊印「画間□□□」が押印されています。
「渡辺秀詮者長崎之人也就沈南蘋学画殊能虎鳥取藩画師楊谷之師也 □井書屋蔵」と巻止めに記されていましたが、改装の際して箱の蓋の裏側に貼り付けておきました。詳細は不明であり、前述のように虎の絵を得意とする片山楊谷との師弟関係は明確ではありません
「渡辺秀詮」を知っている人は少ないでしょうが、昨年の「なんでも鑑定団」に作品が出品されており、記憶にある方も多いかもしれません。
参考作品
なんでも鑑定団出品作 2019年7月29日
安河内眞美氏評:江戸時代前期に中国から長崎に沈南蘋が来て、写実的な極彩色の絵を広める。沈南蘋から直接学んだ熊代熊斐という人の影響を受けたのが渡辺秀詮。残っている作品はだいたい虎図。当時は虎を見たことがないので、猫に原型を求めて描いている。猫のようにかわいらしいが、毛描きや肢体など虎の凄さは出ている。これほど迫力ある大幅の虎図は秀詮でもなかなか見かけない。 評価金額:120万円
なお片山楊谷の参考作品には下記のものがあります。
鳥取市鹿野町 池田政綱の菩提寺「凌泰山雲龍寺」蔵
下記の屏風は、2010年9月28日に放送された「なんでも鑑定団」に出されて、1200万円の評価が付けられたようです。片山楊谷は、17歳で鳥取に居着き、鳥取藩士・片山家の養子になっています。
「渡辺秀詮」より「片山楊谷」の作品のほうが評価は高いようですが、たまにともに贋作がありますので注意が必要です。「なんでも鑑定団」には「片山楊谷」の贋作が出品されたことがあり、安河内眞美氏が片山楊谷にも贋作があるのですねと意外そうな感じでした。
蒐集する者は作品を大切に扱うことが肝要で、そのための正しい知識、扱い方は身に付けておかないといい作品は寄り付かないようです。
また袋紐のほうが紐の端部処理もやりやすいようです。真田紐の端部処理の方法を知らない方が多いようですが、これは基本的なことですので、覚えていたほうがいいでしょう。
ところで保管用の桐箱には向きがあるのをご存知でしょうか? 底の側面が二重になっているほうが蓋を上から見たときに上下です。そうでない方が左右です。
さらに蓋の柾目の細かいほうが右側です。このような桐箱の扱い方を知らない方があまりに多いのは教える人、知っている人が身近にいなくなったからでしょうか? 私は母や陶芸の平野先生に教わりましたが・・・。
真田紐の掛け方は茶道の流派でも様々ですが、肩掛けになるほうが上にくるほうが締めやすいでしょう。ともかく保管箱ひとつとってみても、蒐集する人は覚えておくことは多々あるものです。扱い方でひとつで、箱の中の作品、蒐集する人間の素性が解るものです。
さて本日は古画を修復した作品の紹介です。古画に類する作品で痛みのある作品は多々あります。当方では気に入った作品から改装していますが、今回は下記の作品の改装が完了しましたので投稿します。古画といっても江戸後期ですからそれほど古くはありません。
虎図 渡辺秀詮筆
紙本着色軸装 軸先木製
全体サイズ:縦1950*横717 画サイズ:縦1240*横581
渡辺秀詮は江戸後期の画家。秀彩の子。字は元瑜、号は自適斎。猛虎を能くした画家です。文政7年(1824)歿、89才。同じく虎の絵を得意とする著名な片山楊谷との師弟関係は明確ではありません。
マイナーな画家ですが、渡辺秀詮の虎の作品は人気があります。当方でのブログの記事でもこの作品へのアクセス数は多い方です。
掛け軸を蒐集するならマイナーな画家に焦点を当てたほうがいい作品が揃うものようです。
贋作は少ない方ですし、購入費用も割と抑えられます。著名な画家に手を出すのは筋のしっかりした画商や骨董店を通して入手したほうがいいでしょう。
掘り出し物を狙うマイナーな画家の作品蒐集には審美眼が大いに必要です。
また愉しめる眼を持たねばなりませんね。ただ古伊万里ばかり、古九谷ばかり、特定の画家ばかりと視野の狭い蒐集は意外に掘り出し物にはあたらないようです。
作品中には「秀詮元瑜写」と落款が記されており、印章は白文朱方印「?」朱文白方印が押印され、遊印「画間□□□」が押印されています。
「渡辺秀詮者長崎之人也就沈南蘋学画殊能虎鳥取藩画師楊谷之師也 □井書屋蔵」と巻止めに記されていましたが、改装の際して箱の蓋の裏側に貼り付けておきました。詳細は不明であり、前述のように虎の絵を得意とする片山楊谷との師弟関係は明確ではありません
「渡辺秀詮」を知っている人は少ないでしょうが、昨年の「なんでも鑑定団」に作品が出品されており、記憶にある方も多いかもしれません。
参考作品
なんでも鑑定団出品作 2019年7月29日
安河内眞美氏評:江戸時代前期に中国から長崎に沈南蘋が来て、写実的な極彩色の絵を広める。沈南蘋から直接学んだ熊代熊斐という人の影響を受けたのが渡辺秀詮。残っている作品はだいたい虎図。当時は虎を見たことがないので、猫に原型を求めて描いている。猫のようにかわいらしいが、毛描きや肢体など虎の凄さは出ている。これほど迫力ある大幅の虎図は秀詮でもなかなか見かけない。 評価金額:120万円
なお片山楊谷の参考作品には下記のものがあります。
鳥取市鹿野町 池田政綱の菩提寺「凌泰山雲龍寺」蔵
下記の屏風は、2010年9月28日に放送された「なんでも鑑定団」に出されて、1200万円の評価が付けられたようです。片山楊谷は、17歳で鳥取に居着き、鳥取藩士・片山家の養子になっています。
「渡辺秀詮」より「片山楊谷」の作品のほうが評価は高いようですが、たまにともに贋作がありますので注意が必要です。「なんでも鑑定団」には「片山楊谷」の贋作が出品されたことがあり、安河内眞美氏が片山楊谷にも贋作があるのですねと意外そうな感じでした。
蒐集する者は作品を大切に扱うことが肝要で、そのための正しい知識、扱い方は身に付けておかないといい作品は寄り付かないようです。