登武那覇グスクは、伊敷索按司の四男・笠末(かさす)若按司が築城し、
居城としていたと伝えられている。
若按司は具志川間切の玉那覇に生まれ、兄たちとは異母兄弟で、
母は粟国島の出であったといわれている。
そんな若按司は高潔な人物で、人々が慕い信頼した按司であった。
それを皮肉にも妬み恨んだ父・伊敷索按司は、ひそかに殺害を企てたが、
そのことをいさめる若按司の母を、怒りにまかせて粟国島へと追放してしまう。
そのことを伝え聞いた若按司は、父の不信を悲しみ、
粟国島に帰った母を慕って島の見えるスナミの丘で泣いたという。
いつしかその涙で岩にくぼみが出来た石は涙石(ナダイシ)と言われ、
今でも乾くことがないという。
父は若按司に対して憎しみは増すばかりで、
とうとう兵を挙げて登武那覇グスクへ攻め入ったが、父方の敗戦に終り、
兵を引き揚げる途中に深田にはまって動けなくなった父の伊敷索按司を若按司が助け出してやる。
だが、「息子の思い父知らず」で、母に逢いに粟国へ行こうとしていた時に、
スナミの崖下で父方の兵によって攻められ、とうとう自害してしまう。
登武那覇グスクへのアクセス
県道242号線を久米島役場仲里庁舎から左折して約1キロほど行き、
途中から標識に沿って300mほどでグスクのある公園に着く。
駐車は、公園内に駐車できる。
( 沖縄県久米島町仲里宇根 )