門司港 「 出征軍馬の水飲み場 」
「 門司市・畜産組合馬水飲場 」 と書かれている
多くの観光客で賑わう門司港の西海岸。
その通りに面した場所に、かつて “ 御国のため ” に出征した馬が
ふるさとでの 「 最後の水 」 を飲んだ場所がある。
戦前より交通の要所であった門司港からは、
戦時中に多くの軍用馬が戦地へ渡って行った。
それは、人よりも大きな力を発揮する馬が、
貨物の牽引や兵士を乗せて働くためであった。
その数は百万頭にも及ぶともいわれている。
これらの馬は生きて故郷へ帰ることはなかった。
当時は、こうした水飲み場が付近に数ヵ所あったようだが、
現在はここ1ヵ所だけしか遺されていない。
この時代は、馬だけではなく犬も軍用犬として出征していた。
以前テレビでドラマ化された 「 アルマ 」 という軍用犬の話しであったが、
家で家族同然に育てられた犬や馬が出征して行くのは、
育てた者からすれば、身を切る思いだったろう。
ボクは、門司港駅に向かう足を止め、
母国に帰ることなかった馬たちを悼み、そっと手を合わせた。