舟屋としか言葉が浮かばない。湖の畔にはいくつもの舟屋が並んでいて、近くには有名な魚のレストランがある。そこで昼食を摂る為に朝早くから出発したのである。
9時にワイン街道を出て13時にはレストランに座っていた。湖から釣り上げた様々な魚が食べられる。今日のお勧めは、ベルカという平べったいフナのような魚である。これにも赤と白の二種類あり、初めて白のヴァイスバルシュというのを食す。フィレとして出されるので、その赤と白の違いは分からない。それでも、今まで赤を食べてきた印象からすると、より淡白な感じである。ジャガイモと野菜を付け合せに小さなフィレが二枚であるので、一皿20ユーロの満腹感は求めようが無い。しかし、思いがけず初めての魚を食せて満足である。フランケンワインを注文するほどのこともないのでヘレスビーアで愉しみ、チップを入れて25ユーロの昼食でまずまず希望が叶う。
ここのシュタルンベルガー湖には、機会があれば度々立ち寄る。其の度に、この湖に身投げしたルートヴィッヒ二世の魚を食す。1886年のことなので、作曲家ブラームスがここに滞在してから十年以上後の事件である。楽匠ヴァーグナーが死んで既に三年経っている。時は、産業革命から不況を向かえたビスマルク体制末期である。そして第二帝國は、落日へと突き進んだ。社会主義の台頭とSPDの創立も近い。レアリズムや自然主義華やかりし頃で、これを以ってこの国王のその狂気の沙汰と取り巻きの様子が良く分かる。先月偶々ベルリンで廻りあった森鴎外もそのスキャンダラスな大衆ジャーナリズム報道を見て「うたかたの記」のために態々取材に来ているようだ。
魚で思い出したので忘れないうちに、先ごろダーウィンの亀が175歳の誕生日を祝った事をメモしておく。ガルパゴス諸島から、ビーグル号に乗せられて1835年にロンドンに連れられてきた亀は、気候を考えて1842年には更にそこからオーストラリアに送られた。ダーウィンの生物学・医学的な範疇に留まらない影響を齎した「種の起源」は、1859年に著されている。その後も1882年の死まで数多くの論文は書かれ、議論が展開されている。
さて、淡水魚の世界も思いのほかその種や亜種が多く興味深い。舟屋に掛かっていた大きな看板を見て、記憶に残っているのは、ロートアウゲンがプランクトンなどを食べて、カマスの餌食になる食物連鎖の図である。ロートアウゲンといえばなるほど小骨が多いが身離れが良かった。恐らく種の進化の中で、これは食べられやすい体質を持っているのだろうか。
「求めなさい。そうすれば、神がくださる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば神が開いてくださる。」(マタイオスによる福音第七章7)、「あなたたちの中に、自分の子供がパンを欲しがるのに、石をやる者がいるだろうか。魚を欲しがるのに、蛇をやる者がいるだろうか。」(マタイオスによる福音第七章9、10)
参照:
新たな郷土の淡水魚 [ アウトドーア・環境 ] / 2005-07-25
ドイツ鯉に説教すると [ 文学・思想 ] / 2005-03-14
お宝は流れ流れて [ 文学・思想 ] / 2005-03-15
心の鏡に映される風景 [ 音 ] / 2005-11-23
お休みの所をお邪魔して [ アウトドーア・環境 ] / 2005-02-17
湿気た文化政策 [ 文学・思想 ] / 2005-10-24
9時にワイン街道を出て13時にはレストランに座っていた。湖から釣り上げた様々な魚が食べられる。今日のお勧めは、ベルカという平べったいフナのような魚である。これにも赤と白の二種類あり、初めて白のヴァイスバルシュというのを食す。フィレとして出されるので、その赤と白の違いは分からない。それでも、今まで赤を食べてきた印象からすると、より淡白な感じである。ジャガイモと野菜を付け合せに小さなフィレが二枚であるので、一皿20ユーロの満腹感は求めようが無い。しかし、思いがけず初めての魚を食せて満足である。フランケンワインを注文するほどのこともないのでヘレスビーアで愉しみ、チップを入れて25ユーロの昼食でまずまず希望が叶う。
ここのシュタルンベルガー湖には、機会があれば度々立ち寄る。其の度に、この湖に身投げしたルートヴィッヒ二世の魚を食す。1886年のことなので、作曲家ブラームスがここに滞在してから十年以上後の事件である。楽匠ヴァーグナーが死んで既に三年経っている。時は、産業革命から不況を向かえたビスマルク体制末期である。そして第二帝國は、落日へと突き進んだ。社会主義の台頭とSPDの創立も近い。レアリズムや自然主義華やかりし頃で、これを以ってこの国王のその狂気の沙汰と取り巻きの様子が良く分かる。先月偶々ベルリンで廻りあった森鴎外もそのスキャンダラスな大衆ジャーナリズム報道を見て「うたかたの記」のために態々取材に来ているようだ。
魚で思い出したので忘れないうちに、先ごろダーウィンの亀が175歳の誕生日を祝った事をメモしておく。ガルパゴス諸島から、ビーグル号に乗せられて1835年にロンドンに連れられてきた亀は、気候を考えて1842年には更にそこからオーストラリアに送られた。ダーウィンの生物学・医学的な範疇に留まらない影響を齎した「種の起源」は、1859年に著されている。その後も1882年の死まで数多くの論文は書かれ、議論が展開されている。
さて、淡水魚の世界も思いのほかその種や亜種が多く興味深い。舟屋に掛かっていた大きな看板を見て、記憶に残っているのは、ロートアウゲンがプランクトンなどを食べて、カマスの餌食になる食物連鎖の図である。ロートアウゲンといえばなるほど小骨が多いが身離れが良かった。恐らく種の進化の中で、これは食べられやすい体質を持っているのだろうか。
「求めなさい。そうすれば、神がくださる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば神が開いてくださる。」(マタイオスによる福音第七章7)、「あなたたちの中に、自分の子供がパンを欲しがるのに、石をやる者がいるだろうか。魚を欲しがるのに、蛇をやる者がいるだろうか。」(マタイオスによる福音第七章9、10)
参照:
新たな郷土の淡水魚 [ アウトドーア・環境 ] / 2005-07-25
ドイツ鯉に説教すると [ 文学・思想 ] / 2005-03-14
お宝は流れ流れて [ 文学・思想 ] / 2005-03-15
心の鏡に映される風景 [ 音 ] / 2005-11-23
お休みの所をお邪魔して [ アウトドーア・環境 ] / 2005-02-17
湿気た文化政策 [ 文学・思想 ] / 2005-10-24