Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ドイツワイン三昧 I 2006年

2007-03-07 | ワイン
名前:
バッサーマン・ヨルダン

場所:
ダイデスハイム

特記:
2003年のファン・バーッサーマン家の持ち株売却から、様々な投資を行って近代化を履行している。その反面、名門中の名門に期待する伝統は薄れ、従来とは異なる尺度で評価される必要がある。現場の判断と営業面での判断が合致して、従来のイメージを継承出来るか否かに興味は移った。

履行日時:
2007年3月3日

試飲ワイン:
発砲酒 セッコ ― リースリング+5%ソビニョンブラン+炭酸ガス、

2006年ヴァイサーブルグンダー、
2006年シャドネー、
2006年グラウワーブルグンダー、
2006年スヴィニオンブラン、
2005年ヴァイサーブルグンダー+シャドネー(バリック仕立て)、

2006年リースリングリッター瓶、
2006年リースリング・ゾンマーヴァイン、
2006年リースリングリッター瓶半辛口、

2006年リースリングキャビネットリッター瓶、
2006年ヘアゴットザッカー キャビネット、
2006年ルパーツベルガー・ライターパード キャビネット、
2006年ルッパーツベルク・ホーヘブルク キャビネット、
2006年ダイデスハイマー・キーセルベルク キャビネット、
2006年ダイデスハイマー・ウンゲホイヤー キャビネット(ファスプローべ)、

2006年ダイデスハイマー・ラインヘーレ 半辛口キャビネット、
2006年ダイデスハイマー・パラディースガルテン キャビネット甘口、

2006年アウフ・デア・マウアー(ファスプローべ)、
2006年プローブス(ファスプローべ)、

2006年ダイデスハイマー・ラインヘーレ シュペートレーゼ(ファスプローべ)、
2006年ダイデスハイマー・キーセルベルク アウスレーゼ(ファスプローべ)、
2006年ムスカテラー アウスレーゼ(ファスプローべ)、

2005年シュペートブルグンダー、
2006年シュペートブルグンダー+ピノノワール ロゼー、
2006年ブラン・ド・ピノノワール、

全二十五種類。

感想:
リースリング以外のワインは苦味が強かったり酸のアクセントが全く利いていなかったりと、買えるものは無かった。しかしヴァイスブルグンダーが良いという人も居たので、酸味よりも苦味が心地良いのだろう。買い付けたリースリング葡萄で作られるレヴェルの2006年産ワインには期待していなかったが、味の汚れが気になり試してみたい物すらなかった。ゾンマーヴァイン等は既に購入していたが、本格的試飲が出来るのはこのレヴェルから上である。ヘアゴットザッカーやキーセルベルクなどは既に書いた通りで、高級ワインで質には文句はない。ホーヘブルクは、後味とステンレス熟成の炭酸の残留が品を著しく落としている。ウンゲホイヤーは、樽出しで瓶詰めには数週間掛かる状態であったが、潜在力は感じられた。再び試飲する必要がある。

半辛口仕立てにしたラインヘーレは、ラインガウのチャルタワインのような食事に愉しめるワインで好感が持てる。しかし、最も興味深かったのは新カテゴリーと呼べる、マウワー(ペッヒシュタイン+イエズイーテンガルテン)とプローブス(フロインデンシュテュック+イエズイーテンガルテン)の二種である。二種類の土壌から醸造したワインをキュヴェーとして混ぜたリースリングは、新規な商品であって、コカコーラワインが輸入されるEU市場を象徴している。特に両方の味覚を知るものにとっては喜びでもあって、上等なお遊びでもある。樽出し試飲であったので、まだ未開であるが、今回試飲した中で上位に位置した。特に前者はクラシックな木樽の熟成が功を奏していた。それに比べ後者のステンレス熟成は、よりコーラに近づいていた。

ステンレス醸造は炭酸が抜けないのでシュペートレーゼなどでも素性が直ぐ判る。赤ワインについてはあまり語る必要は無い。

総論:
何よりもステンレス熟成とチャルタのような作りは、ラインガウの超一流醸造所の試みと失墜を連想させる。もはや伝統は名ばかりの醸造所で、キャビネットにガラス栓を使ったりして近代的なワイン市場を狙っている。一部商品は殆どコーラワインへの道を歩んでおり、失望以外の何ものでもない。ただそうした営業的コンセプトの中でも、従来のトップ土壌を使った高級ワイン作りを行っていて、幾つかのワインは素晴らしいに尽きる。但し、その価格が魅力的であるには、あまりにも下劣なものを多く見せ付けられて、有難味が薄れてなかなか手が伸びない。高級大手醸造所の市場ポジションの取り方の困難性である。例えキャビネットといえどもガラス栓のワインには投資は出来ないとハッキリと申し上げておいた。しかし、営業方針に対する現場の対応と苦慮を垣間見ると、丁寧に評価しなければいけないのだ思わせる。思いの外多くの常連さんが駆けつけていて、顧客リストの大きさを見せ付けた。

上質の個人の顧客には、それなりに伝統的な品格を示し続けて貰わないといけない。十把一絡げではない営業と生産をこうした大醸造所が出来るかどうかが問われている。一部汚れた2006年産のワインの特徴を確認出来た。昨年とは違い廉いワインや単純な醸造所にはあまり期待出来ないヴィンテージである。

特に明記の無いものは全て辛口である。それは、温暖化による糖比重の高さを示していて、酸が強すぎてバランスが取れないものは皆無である。如何に綺麗に仕上がるかが、高級ワインの署名となっている。



参照:
ドイツワイン三昧 第一話 [ ワイン ] / 2004-11-07
ドイツワイン三昧 第一話 2005年版 [ ワイン ] / 2006-03-07
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする