日常消費用になる可能性のあるワインを試飲する。2006年産であるが、なかなか良い。旨味に欠けるが、まあまあ綺麗に仕上がっている。しかし汚れを気にし出すと、無視出来ない。
馴染みらしい客さんが入って来て、グランクリュの話題となる。玄武岩の土壌ペッヒシュタインのワインの収集家のようである。BASFの買い付けのために開けられた、四種類のグランクリュの試飲を勧められる。
このフランクフルトからやって来たと言う御仁の好みと買い付けの傾向は明快で、その試飲の様を見ていると到底素人さんとは思えなかった。寧ろ、玄武岩のワインをラインヘッセンやバーデン地方のカイザーシュトュールの数件に買い付けに行っているのを伺うと、玄人さんに違いなかった。そして、魚料理の幾つかの種類とソースの可能性と挙げられると、そちらの専門家とも後から思わせる。
その趣味に合わせて、1999年産と2005年産のペッヒシュタインを比較試飲する。後者がまだまだ若く、殆ど開いていなくてそれほどに判断を下せないのに比べ、前者は全開と思わせるほどに、名前通りタールの味がするのである。不躾な表現をすれば、鉄道の枕木のあの匂いである。それが、川蟹や海老などの料理に素晴らしいのは容易に想像できる。そして、その状態になるまでワインを寝かさなければいけない。これも、奥深いドイツ・リースリング・ワインの世界である。この1999年産を購入しようとすれば、直接分けて貰っても手ごろなアイスヴァインの価格を越えるのは理解できよう。
そうした覗き見る世界とはどうにも違うのが、2005年産イェズイーテンガルテンであり、既に葡萄の31年の樹齢に達している。深く強く根を張って淘汰されているのである。だから、少々の環境の変化にはびくともしない。それだけに、極限られた収穫を使命とする。下支えが出来ている斜面の下部に位置する土壌は内包が多く、密なワインを齎す。それによってか甘口ワイン用の土壌とする醸造所も存在する。日当たりの良さから、糖比重が高いので、味があるワインとなる。このワインも、まだまだ充分に開いていないが、既に楽しむ事が出来る。今後十年は、浮き沈みがあろうが、まだまだこれから成長していくワインである。
その隣の地所であるキルヘンシュトックは、土壌を下支えしているのが玄武岩であるだけでなくアスファルトなど様々な組成が混ざっており、出来上がるワインも遥かに複雑である。その分、開き初めていない現時点ではまだまだその成分を分析することなど不可能である。こうした味覚からすると、フランスのグランクリュワインなどは如何に単純であるかと認識出来る。既に価格面でも高級フランス・グランクリュの価格であり、寝かせる事でロマネコンティーやサンテミリオンやメドックを越える潜在力を見せている。
明らかに、百年前のようにドイツワインの価値がシャトーマルゴーと並ぶ方向へと動いており、尚且つその時代とは違う大きな質の発展を見せている。
始の日常消費用に試飲したワインを試すときには、アムステルダムからやってきていたオランダ人は三百三十ユーロ以上を使って、そのワインを中心に購入して行った。なるほど、オランダ人には、フランスワインを直接購入するにはその原産地はあまりにも遠い。
馴染みらしい客さんが入って来て、グランクリュの話題となる。玄武岩の土壌ペッヒシュタインのワインの収集家のようである。BASFの買い付けのために開けられた、四種類のグランクリュの試飲を勧められる。
このフランクフルトからやって来たと言う御仁の好みと買い付けの傾向は明快で、その試飲の様を見ていると到底素人さんとは思えなかった。寧ろ、玄武岩のワインをラインヘッセンやバーデン地方のカイザーシュトュールの数件に買い付けに行っているのを伺うと、玄人さんに違いなかった。そして、魚料理の幾つかの種類とソースの可能性と挙げられると、そちらの専門家とも後から思わせる。
その趣味に合わせて、1999年産と2005年産のペッヒシュタインを比較試飲する。後者がまだまだ若く、殆ど開いていなくてそれほどに判断を下せないのに比べ、前者は全開と思わせるほどに、名前通りタールの味がするのである。不躾な表現をすれば、鉄道の枕木のあの匂いである。それが、川蟹や海老などの料理に素晴らしいのは容易に想像できる。そして、その状態になるまでワインを寝かさなければいけない。これも、奥深いドイツ・リースリング・ワインの世界である。この1999年産を購入しようとすれば、直接分けて貰っても手ごろなアイスヴァインの価格を越えるのは理解できよう。
そうした覗き見る世界とはどうにも違うのが、2005年産イェズイーテンガルテンであり、既に葡萄の31年の樹齢に達している。深く強く根を張って淘汰されているのである。だから、少々の環境の変化にはびくともしない。それだけに、極限られた収穫を使命とする。下支えが出来ている斜面の下部に位置する土壌は内包が多く、密なワインを齎す。それによってか甘口ワイン用の土壌とする醸造所も存在する。日当たりの良さから、糖比重が高いので、味があるワインとなる。このワインも、まだまだ充分に開いていないが、既に楽しむ事が出来る。今後十年は、浮き沈みがあろうが、まだまだこれから成長していくワインである。
その隣の地所であるキルヘンシュトックは、土壌を下支えしているのが玄武岩であるだけでなくアスファルトなど様々な組成が混ざっており、出来上がるワインも遥かに複雑である。その分、開き初めていない現時点ではまだまだその成分を分析することなど不可能である。こうした味覚からすると、フランスのグランクリュワインなどは如何に単純であるかと認識出来る。既に価格面でも高級フランス・グランクリュの価格であり、寝かせる事でロマネコンティーやサンテミリオンやメドックを越える潜在力を見せている。
明らかに、百年前のようにドイツワインの価値がシャトーマルゴーと並ぶ方向へと動いており、尚且つその時代とは違う大きな質の発展を見せている。
始の日常消費用に試飲したワインを試すときには、アムステルダムからやってきていたオランダ人は三百三十ユーロ以上を使って、そのワインを中心に購入して行った。なるほど、オランダ人には、フランスワインを直接購入するにはその原産地はあまりにも遠い。