昨年のドイツでの最悪の言葉は「クリマヒステリー」と車中のニュースで聞いた。「気候ヒステリー」の事でティーンエイジャーの叫びだけでなくそれ相応の情景が思い浮かぶ。良いも悪いもその年を表す言葉となる。
東京からのオペラ劇場からの中継録音を初めて聞いた。私の知っているときは日本にはオペラ劇場はなく二国と呼ばれていた新劇場予定地の工業試験場を見に行ったことがあった。どこかに写真が残っているかもしれない。だから写真で見たことがある中の音響を初めて聴いた。可成りいい感じで鳴っていて、舞台の声も良く録れているが奈落の楽音がまた素晴らしい。思った通り昔からオペラを得意としていた名門東フィルだった。
慣れも技術的な裏付けもあってドイツの劇場と比較して可成り上部にランキングできそうだ。ネットでは楽団が変わることからこの東フィルの程度の高さについて一度も読んだことがなかったが、もし日本が世界に誇る楽団があるとしたらこの東フィルしかないのではないかと思うほど素晴らしい。東フィルがはいった新国からの力の入った公演はストリーミングにしたら可成りファンが増えると思う。少なくともN響は余程プログラムを厳選しないと誰も関心を持たないが、東フィルが入った新国からの音声中継やストリーミングは話題になるだろう。
シカゴ交響楽団演奏会の一曲目「オランダ人序曲」をティーレマン指揮バイロイトの2012年の実況録音で聴いた。とんでもなく酷い演奏である。どうしてこの人が元祖としてこんなヴァークナーを指揮しているのか分からない。指揮技術以前に正しく楽譜を読めていない。この人がピアノ譜を弾いてもただの下手な練習ピアニストでしかないことが分かる。センスとか芸術的信条以前の純粋に教育の低さでしかない。これならMIDIに指揮させた方が楽匠の音楽に迫れると思う。国内外でこの指揮者の演奏を評価する人にはこれを聴いて貰って猛省を促したい。
それ以上に驚いたのは、二曲目の画家マティス交響曲をMeTooガッティが指揮したもので、ベルリナーフィルハーモニカーが演奏している。これはもはや第二次想像かと思うほどの好き勝手な指揮をしていて、楽譜を全く読んでいない。ティーレマンは能力が無いとしても、このイタリア人指揮者は脳が無い。しかしこんな人が新ヴィーン学派や二十世紀の古典をプログラムに入れて、コンセルトヘボー管弦楽団が雇っていたというのはそれだけでスキャンダルだと思う。これならロート氏がやっても文句のつけようがないと思う。流石にムーティはここまで酷い指揮をしないことはそのヒンデミットを放送で聴いているので知っている。
ヒンデミット 画家マティス/ガッティ ベルリン・フィル
その直後にあまりにも無茶苦茶な読みなので自作自演の録音を見つけた。流石にこれはアーティキュレーションとフレージングをしっかり使い分けて動機をクッキリと描いており、指揮者としてもとっても立派な仕事を聴かせる。1955年のベルリナーフィルハーモニカーの演奏で、なるほどもしペトレンコがハルトマンなどとこれを演奏したらもっとっもっと正確に音化されるだろうと思う。それでもその楽譜の面とこの録音を聴けば如何に作曲家が入念に音符を書き込んでいるということが分かる筈だ。特にヴィオラの名手が弓の使い方だけではなく、それ以上に書き込んでいるという事が当然の如く分かる。
Hindemith: Mathis der Maler Symphony (1/4)
しかしこうして最初からプログラムを追ってくると、オランダ人の書法、ヒンデミットの書法、そしてドヴォルジャークの書法とこれは中々プログラミングとして通向きなものであるということが分かって来た。ムーティのそれは一般大衆を魅了するという事ではとても素晴らしいサウンドと音楽を提供するのだがビッグファイヴの名門として共通するのはその通を唸らせる奥深さではないか。
その点で明らかにペトレンコ指揮ベルリナーフィルハーモニカーの国内お披露目ツアーのプログラムは苦戦している。フランクフルトからお知らせがあって、五週間前の広報だ。散々な売れ行きで、最高の146ユーロのみならず、90ユーロまでどっさり余っている。恐らく今までのベルリナーフィルハーモニカーとして最低の売れ行きだと思う。しかし安いところは流石に残りがあるものの売れていて、その聴衆の質を感じる。最前列が売れていて二列目が売れていないなどもそれらの質を感じさせる。つまり、ラフマニノフやツィムマーマンが並ぶととっかかりが無いというようなプログラムに多くの人が躊躇したとなる。そこがシカゴなどのビッグファイヴの巧さとは異なるところだ。そしてムーティ指揮ほど高品質のエンタメを提供してくれる指揮者はいない。
参照:
素材になり易いもの 2020-01-14 | 雑感
年末年始のリストアップ 2019-12-18 | 暦
東京からのオペラ劇場からの中継録音を初めて聞いた。私の知っているときは日本にはオペラ劇場はなく二国と呼ばれていた新劇場予定地の工業試験場を見に行ったことがあった。どこかに写真が残っているかもしれない。だから写真で見たことがある中の音響を初めて聴いた。可成りいい感じで鳴っていて、舞台の声も良く録れているが奈落の楽音がまた素晴らしい。思った通り昔からオペラを得意としていた名門東フィルだった。
慣れも技術的な裏付けもあってドイツの劇場と比較して可成り上部にランキングできそうだ。ネットでは楽団が変わることからこの東フィルの程度の高さについて一度も読んだことがなかったが、もし日本が世界に誇る楽団があるとしたらこの東フィルしかないのではないかと思うほど素晴らしい。東フィルがはいった新国からの力の入った公演はストリーミングにしたら可成りファンが増えると思う。少なくともN響は余程プログラムを厳選しないと誰も関心を持たないが、東フィルが入った新国からの音声中継やストリーミングは話題になるだろう。
シカゴ交響楽団演奏会の一曲目「オランダ人序曲」をティーレマン指揮バイロイトの2012年の実況録音で聴いた。とんでもなく酷い演奏である。どうしてこの人が元祖としてこんなヴァークナーを指揮しているのか分からない。指揮技術以前に正しく楽譜を読めていない。この人がピアノ譜を弾いてもただの下手な練習ピアニストでしかないことが分かる。センスとか芸術的信条以前の純粋に教育の低さでしかない。これならMIDIに指揮させた方が楽匠の音楽に迫れると思う。国内外でこの指揮者の演奏を評価する人にはこれを聴いて貰って猛省を促したい。
それ以上に驚いたのは、二曲目の画家マティス交響曲をMeTooガッティが指揮したもので、ベルリナーフィルハーモニカーが演奏している。これはもはや第二次想像かと思うほどの好き勝手な指揮をしていて、楽譜を全く読んでいない。ティーレマンは能力が無いとしても、このイタリア人指揮者は脳が無い。しかしこんな人が新ヴィーン学派や二十世紀の古典をプログラムに入れて、コンセルトヘボー管弦楽団が雇っていたというのはそれだけでスキャンダルだと思う。これならロート氏がやっても文句のつけようがないと思う。流石にムーティはここまで酷い指揮をしないことはそのヒンデミットを放送で聴いているので知っている。
ヒンデミット 画家マティス/ガッティ ベルリン・フィル
その直後にあまりにも無茶苦茶な読みなので自作自演の録音を見つけた。流石にこれはアーティキュレーションとフレージングをしっかり使い分けて動機をクッキリと描いており、指揮者としてもとっても立派な仕事を聴かせる。1955年のベルリナーフィルハーモニカーの演奏で、なるほどもしペトレンコがハルトマンなどとこれを演奏したらもっとっもっと正確に音化されるだろうと思う。それでもその楽譜の面とこの録音を聴けば如何に作曲家が入念に音符を書き込んでいるということが分かる筈だ。特にヴィオラの名手が弓の使い方だけではなく、それ以上に書き込んでいるという事が当然の如く分かる。
Hindemith: Mathis der Maler Symphony (1/4)
しかしこうして最初からプログラムを追ってくると、オランダ人の書法、ヒンデミットの書法、そしてドヴォルジャークの書法とこれは中々プログラミングとして通向きなものであるということが分かって来た。ムーティのそれは一般大衆を魅了するという事ではとても素晴らしいサウンドと音楽を提供するのだがビッグファイヴの名門として共通するのはその通を唸らせる奥深さではないか。
その点で明らかにペトレンコ指揮ベルリナーフィルハーモニカーの国内お披露目ツアーのプログラムは苦戦している。フランクフルトからお知らせがあって、五週間前の広報だ。散々な売れ行きで、最高の146ユーロのみならず、90ユーロまでどっさり余っている。恐らく今までのベルリナーフィルハーモニカーとして最低の売れ行きだと思う。しかし安いところは流石に残りがあるものの売れていて、その聴衆の質を感じる。最前列が売れていて二列目が売れていないなどもそれらの質を感じさせる。つまり、ラフマニノフやツィムマーマンが並ぶととっかかりが無いというようなプログラムに多くの人が躊躇したとなる。そこがシカゴなどのビッグファイヴの巧さとは異なるところだ。そしてムーティ指揮ほど高品質のエンタメを提供してくれる指揮者はいない。
参照:
素材になり易いもの 2020-01-14 | 雑感
年末年始のリストアップ 2019-12-18 | 暦