Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

浮かび上がる動機

2020-01-19 | 
ルクセムブルクのフィルハーモニーの駐車料金が割安になっていた。たった3ユーロで五時間停めれる。以前は無かったのでこのシーズンからかもしれない。何処にも書いていなかった様なので。気が付かなかった。実は往路往復50㎞程寄り道をしてしまった。モーゼルタール三叉路で乗り換え損なったようだ。コブレンツの方へとピースポーターなどを通り過ぎて工事渋滞に引っかかっても気が付かなかった。要するにモーゼル下流域まで走ってしまった。逆戻りしてゆっくり走っても十五分前にはついていた。最近は駐車場で落ち着いて楽譜を見ながら音を聴けるので駐車料さえ嵩まなければ早くベストポジションに停めておいた方が都合がよい。ミュンヘンならば14ユーロから長い楽劇ならば25ユーロほど払わなければいけないので格別安く付く。ルツェルンも公演は高価だが駐車料金はミュンヘンよりは安い。当然だろう。

最近は冷たいものしか出さないところが増えてきている。コーヒーメーカーを置かないのだ。これはコンサートやオペラ訪問者には大きな問題だ。眠さに戦う事こそが重要だからだ。演奏者でないのでどうしても眠くなる時がある。どんなに楽譜が頭に入っていても変わらないと思う。所詮聴衆は受け身である。

フランクフルトへの往路先月写真撮影されたところを検証した。思っていたよりもインターチェンジから近く、加速する程までも無くカメラが隠されていた陸橋の下へと着く。勿論意識していたように制限速度は80㎞だった。つまり上手く誤差が引かれれば減点されなかった。未だに納得が行かないので、調書が来たら「制限速度80㎞であった筈だ」と反論する。勿論法廷う闘争に持ち込むつもりはないが、警察が事情を説明することがあれば、制限速度40㎞超過違反の状況を裏打ちして証明することが可能となるだろう。自分自身眼が効いていなかったかと思ったが、私が走った数百メートル間には速度表示はその間一回しかなく、橋の下から次の制限速度100kmが窺えた。有り得ないような制限速堵区間だった。腹立たしい。金の事よりも今後一年間改めて十字架を背負わされるのが適わない。

承前)アムランのリサイタル後半のシューベルトについては少し触れた。またアンコールの自作、そのあとにクールダウンのガーシュインで〆という熱狂に包まれたが、アンコール一曲目はシューマンととても充実したプログラムだった。しかし前半のファインベルクのソナタは想定を超えて圧巻だった。

その意味は、先ずは作曲家やその作品の位置づけにある。アムラン自身が舞台で短く紹介したのは、この曲がフランクフルト初演だろう言う事で、この楽譜が出版されたのが1974年という事もある。それから半世紀近く。当夜のプログラムには次のように書かれている。つまり、直前に演奏されたプロコフィエフの「サルカズム」の作曲された1914年にピアニストとして、当夜最初に演奏されたスクリャビンなどの曲を盛んに演奏していたサミュエル・ファインベルクがバッハの平均律全曲演奏をロシアで初めて行ったという事がある。そして戦争から送り返されてきたピアニストが1916年に作曲したのがこの三番のソナタと呼ばれるもののようだ。ソナタの名は第三部になって初めて名付けられていて、実際はプレリュードとトッカータと最後にはフーガで〆られるという曲である。つまり葬送行進曲のショパンのプレリュードからベートーヴェンの変イ長調のソナタへと、勿論バロックへと遡って行く。
Hamelin plays Feinberg Sonata No. 3 Op. 3


この記述で思い起こされるのは新古典主義的な要素でもあるのだが、プロコフィエフのように上手に問題を解消していない。それはその社会的なつまりソヴィエトにおける社会主義リアリズムに器用に融合させていないのである。それゆえに1962年までモスクワ音楽院のピアノ科の教授でありながら、中々曲を撤回も多く出版できずにいたような状況になっていたとするのは理解されよう。兎に角、その楽譜面も興奮を誘うものだが、最初の左手の楽想だけでも素晴らしいと思わせる。そこでの声部の弾き分けこそがアムランが示したもので、徹底した打鍵の芸術だ。なるほど誰もフランクフルトでは演奏していないというのが理解出来た。直前に楽譜に眼を通していたのでその声部の流れにもついて行けたのだが、リズムの転換など明確に弾き分けられない限りこの曲を弾く意味が無い。それは後半のシューベルトで示した通りで、要するにブレンデルのようなピアニストが幾ら弾いてもこの曲はどうにもならないという事である。YouTubeにアムランの演奏録音が上がっているがそれよりも遥かに明晰に動機が綺麗に浮かび上がっていた。(続く)



参照:
素材になり易いもの 2020-01-14 | 雑感
忘却とは忘れる事なり 2019-05-14 | 音
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする