Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

メルケルの啓蒙的演説

2020-12-13 | マスメディア批評
雨が予想されていた。何とか一度上がったが、走るころにはさらさらと降って来ていた。それでも濡れることなく峠から下りて来られた。気温はそれほど下がらなかったが手袋だけはして走った。ゆっくりだけど、朝一番では濡れた地面でいい運動になった。

フランクフルトの土曜日の街中の状況を聞いた。最後のクリスマス前の買い物になる筈だ。しかし多くの人はそれほど情報も持っておらず、先を読めるほどの見識も無い。それどころか非合法の疑いみある反コロナ施策団体「クヴェア―デンカ―」がデモ活動を呼び掛けて、正式には憲法裁判所へ送られることになって許可が下りなかったのにも拘らず、集合をネットで呼びかけた。そこで連邦警察など二千人規模が出動して突発事故を防いだために街角にパトカーと警察官が並んだ様だ。

警察官の労組が先ずは接種させろと要求しているが、治安維持などの上のような場合を考えるとその理屈はある。勿論危険因子を持つ弱者や医療関係者や老人の介護などに先立つことは無いと思うが、舞台関係者などよりは優先されても仕方がないであろう。

その接種が一月中に必要な人に殆ど済んでしまうだろうという幻想に注意を促している。恐らく物理的にも不可能なのだろう。という事から、何とか一月中に接種を大々的に展開する一方、感染を抑制することなく春へと繋げて行くというのは難しいという事。

ライプチッヒのゲヴァントハウスが二月も休館するとしたように、二月から感染を恐れずにという方法もないようだ。先ずは新年も休暇を長くして10日まで産業を止めておいて、その間の学校休みを利用して大幅に陽性者数を減少させる。その後に一月、二月と徐々に動かし続けられるかどうかが鍵になる。春になっての自然消滅とワクチンの効果が相乗されてという事にならなければ余計に時間が掛かる。ビオンテクのワクチン開発者は来年のクリスマス期になって初めて完全に正常化すると発言している。

先日のメルケル首相の一般演説が独語圏最古の高級紙「ノイエズルヒャー」に短く取り上げられている。見出しには、乞う首相か?アンゲラ・メルケルは、感情と啓蒙の意味において試みると、高まる感染故のハードロックダウンを訴え、野党に非難を浴びたとある。

しかしその見出しの啓蒙とは何かといえば、春の初回の時の国民への演説内容にもあったことの意味合いだ。その時に此処でも述べたように、国民の殆どの人にはその意味はよく理解出来ないと思った。そして同じように国会でも試みたとなる。

そしてこの高級紙は、ナッシムニコラス・タレムという一月には世界的なパンデミーの到来を警告していた研究家の「Skin in the Game」からの一節を引用して、危険性が未知の場合、最も危険な場合を想定して、防御的に決断して扱うべきだと、そこからメルケル首相は合理的とすることが出来るとしている。

これが高級紙の書き方であって、高級ジャーナリズムである。そこからもう一度その春の演説内容が一般の人々には難しかったであろうことを思い出すとよい。

首相は、感染は遅かれ早かれ八割にも達する。そして八割の健康な人にとってはただの風邪でしかない事、その一方弱者は感染によって亡くなる事を語った。それを社会としてどのよう課題として扱っていくか、その土台には啓蒙思想がある。そして国会の場でもう一度それを強調せずにはいられなかった、目的へと向かって課題を敢行する為にである。

このことの扱いを見ても、日本は非科学的、非合理的だけであるだけでなく、思想思潮も時代の意匠でしかなく、ジャーナリズムどころか知的に幼い。マッカサ―の「日本人は12歳程度」とは言わないが本当に精神的に成人しているかどうかはとても怪しい。




参照:
Die flehende Kanzlerin?, Jonas Hermann, NZZ vom 9.12.2020
大戦以来のドイツの危機 2020-03-19 | 歴史・時事
薄氷上の騎行の芸術活動 2020-08-27 | マスメディア批評
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