Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ミラノの紅白歌合戦

2020-12-09 | 
地元の指数が少し下がっている。174から159になっている。変動が激しいという事は直ぐに200を超えるかもしれないが、150以下から一挙にとなると大きなクラスターが必要な筈だ。床屋の日程が流れると辛い。暖かくなるとムズムズしそうだ。

ミラノからの中継は、この手のものとしては、つまり無観客の劇場からの中継としても、ガラの中継としても最高度のものだった。イタリアの第一放送が制作していて、生中継もTVラディオで同時にされていた。その進行も詩の朗読などの手の込んだもので、中止になったシーズン初日に代わるものだった。

男女の名うての歌手が次々と出てくるのでまるで紅白歌合戦で、最初は進行の朗読などが邪魔になっていたのが徐々に切り詰められて行って、頂点を迎えたのはまだ若手の歌手ローザ・フェオーラのドニゼッティだった。そこに至るまでも奈落から出て客席に舞台に向かうようにして仮舞台が作られていて、指揮者の背中の本舞台で歌手が歌う。だからいつも以上に楽員は歌手を見ながらの演奏故か、歌の良し悪しにビンビンと反応していた。毎晩のように歌手を聞いているような集団だからそれはそれは反応も早く、その歌に絡みついてアクセントを入れてというのは指揮者の指示とはもう一つ早いところで動いているかのようだ。
Quel guardo il cavaliere, Rosa Feola, La Scala, 2020


音楽監督シャイーの指揮も立派なのだが、それはそこいつもの感じで間抜けな音を出しているかと思う、いい歌にはせっせと危険を顧みずにあたって来る。一番の三時間の番組の中にそのだらけた感じとここぞの演奏と両方を聞かせてくれた。各人がよく分かっているのだろう。又マスクをした下にはトップに座っている友人も見つけて、こういうことを学んだのだなと思った。

男声陣もドミンゴのみならずベチャーラ、アラーニャ、メーリという人気テノールに有名な人が沢山出ていた。ベルンハイムとか最近名前を聞く人の顔も見れた。その中で上のベチャーラとアラーニャを比較してみるのも悪くは無かった。先頃発売されたシャンソンのCDが買わないでくださいと言われる程聞くに堪えない制作のようだが、それなりの声は出していた。余計にベチャーラの安定ぶりも印象に残った。

途中で「ヴァルキューレ」一幕から人気のニールントとシャーガーの二重奏もあったが、二人とも声があっているようで、この二人にとって今までで一番良い出来だった。反対に、ガラコンサートでもオポライス得意の蝶々さんなども荒っぽくて良くなく、もう一人のマリーネ・レベッカという人の歌が冴えた。同じようにヴィヴラートでお国物のカルメンを歌ったクレバッセもとてもこの調子の歌唱ではとても頂点の世界には出てこれない様子で、身体だけがあっても駄目である。

そしてソプラノで矢張り忘れてはいけないのは、ヨンチェヴァで、先日のシュヴァーベンの教会からのMET中継もお休みしたのでジュネーヴ在住でコロナにやられたかと思ったら元気そうだった。昨年デズデモーナを妊娠中にバーデンバーデンで歌っていたが、やはり声のコントロールという事でも見事だった。その意味からもローザ・フェオーラの自然な発声も余計に素晴らしい。

後でヴィデオ等を確認すると、フェオーラが歌った「ドンパスクエー」今回の舞台作りは2018年の本プロダクションの道具を使っているようで、虫干しのような調子でストリーミングの為に出して来ていたようだ。その車で夢心地で空を遊泳する。全体の映画仕立ての演出は分からないのだが、高音を攻めるコロラテューラを歌うシーンとしてもとても気が利いている。
Quel guardo il cavaliere - Don Pasquale - Rosa Feola - Teatro alla Scala


来年の五月にはベルリナーフィルハーモニカーとオイローパコンツェルトをガウディ―の教会で歌う事になっている。その前に復活祭でレクイエムを歌う事になっていたが、こちらは厳しいかと思う。2018年に三部作で二回聴いている。
IL TRITTICO: "O mio babbino caro (Gianni Schicchi) | Conductor: Kirill Petrenko


明らかに紅組の勝ちだった。そしてカルロス・クライバーが振った時以来に活き活きとした管弦楽を聞けたのが嬉しかった。指揮者をはじめすべてマスクをしてご苦労様だった。



参照:
指数200を超えると 2020-12-08 | 生活
コロナ死者の為のミサ曲 2020-09-06 | マスメディア批評


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