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米国 VS 官僚機構

2010-02-05 04:10:00 | 時事/金融危機



■ 小沢一郎、不起訴 ■

小沢一郎は不起訴になったようです。
東京地検特捜部は、元々無理のある捜査を行いまいたが、
国民の反小沢世論が高まれば、
起訴する事も可能であったでしょう。

しかし、マスコミの過剰な煽りにも係わらず、
ネットを中心に「小沢擁護」派が多数発生し、
世論は「小沢批判」と「特捜部批判」に二分されました。

■ 米国の日本統治と官僚機構 ■

今回の小沢騒動は表面的には
「民主党 VS 官僚機構」と捉えられています。

しかし、少し穿った見方をすると、
「米国 VS 官僚機構」という構図が透けて見えてきます。

アメリカは、アメリカの為に日本を構造改革しようとしまいた。
小泉純一郎と竹中平蔵が粛々と進めたこの改革は、
実行段階において、官僚達により骨抜きにされました。

■ 免疫細胞としての官僚 ■

日本の官僚が、いつも日本の国益を考え
大局を見据えて行動しているとは限りません。

むしろ日本の官僚機構の特徴は、
「改革を嫌う、事なかれ主義」にあるとも言えます。
前例を重視し、誤謬を嫌います。

それゆえに、官僚達は免疫細胞の様に、
「アメリカの為の改革」というウィルスを駆除し続けてきました。

■ 総体として機能する官僚組織 ■

アメリカがいくら省庁再編を仕掛けても
日本の官僚機構を破壊する事は出来ませんでした。
それは、官僚機構が総体として作用するからです。

官僚達は「蟻」の様に、
本能的に「総体」の意志に従っています。
防衛省の守谷氏の様に個々に排除しても、
「総体」は揺らぐ事はありません。

■ 小沢一郎は「噛ませ犬」 ■

そこで、アメリカが仕掛けたのが「民主党への政権交代」でした。
小沢一郎は「対官僚」の姿勢を明確にしています。
官僚への「噛ませ犬」としての役割を負わされています。

■ しくまれた「検察の敗北」 ■

特捜部は結局小沢逮捕に踏み切れませんでした。
法的に起訴は難しいと判断した様です。

この唐突な検察の敗北は、
梯子をいきなり外された様にも見えます。
「小沢を挙げろ」と指示していた誰かに、
「小沢を追及するな」と言われたかの様な
幕引きです。

これで勢いに乗るのは、他ならぬ小沢一郎です。
今度の件で、煩いネット世論も味方に付けています。

■ 官僚の弱体化と政治主導 ■

今後、民主党の主導の元で、
官僚機構の弱体化が進行していくでしょう。

民主主義の観点からすれば、
政治主導の国家運営は好ましい事です。

しかし、民主主義は不完全なシステムです。
国民はメディアのミスリードで簡単に誤謬を犯します。

国民の選挙に因らない官僚機構は、
国民の手の届かない存在ですが、
政治家はスキャンダルで葬り去る事が可能です。

そこで、アメリカは民主党を使って官僚機構を破壊した後に、
民主党政権を崩壊に導くでしょう。
そのタイミングで政界再編が動き出し、
小泉純一郎の再登場もあるかも知れません。

■ 日本人の敵は「官僚」では無い ■

我々はメディアによって、
「官僚=日本人の敵」であるかの様に刷り込みをされています。

しかし、多くの官僚達は、日本の国益を優先して働いています。
私達は、税金を無駄に消費する地方の一部の公務員と、
能力の割りに安い給料で働く、
キャリア官僚を混同すべきではありません。

■ 注意すべきは民主党の動向 ■

世論は小沢一郎を検察やアメリカから守りました。
これは、民主主義の勝利とも言えます。

私もブログで小沢一郎を擁護してきましたが、
それはあくまでも、主権者である国民の意思が、
アメリカや特捜部に蹂躙される事に対する問題意識からです。

しかし、今後は、小沢一郎や民主党を
国民が監視する番です。

政治に「カネ」は付き物です。
アメリカは今後も、「カネ」の問題で
民主党に揺さぶりを掛けて来るでしょう。

しかし、我々が本当に監視し評価すべきは、
国家としての「理念」であり、「戦略」です。

日本がランドパワーの一員として中国を選択するのか
アメリカと供に、シーパワーの一員を続けるのかは、
本来、国民が下すべき判断です。

ただ、その認識すら持ち得ない国民の代わりに
小沢一郎の様な政治家が存在するのでしょう。