■ FRBのバランスシート ■
金融危機後、FRBは輪転機をフル稼働し、
ドルを大量に発行しながら、
不良債権を一手に引きうけてきました。
さらに、禁じ手とも言える「米国債の直接購入」を行って、
政府の赤字も肩代わりしてきました。
この状況を端的に表すのが上のグラフです。
FRBの資産を現すグラフですが、
金融危機後、FRBのバランスシートが
約3倍にも膨れ上がっている事が分かります。
■ 資本注入からMBS購入へ切り替え ■
金融危機直後は流動性を供給する為に
TAFによって資金を提供していました。
しかし、TAFの金利は市場金利に近く、
結局、緊急性の低下と供に応札が減って行きます。
興味深いのはTAFの減少と平行して
MBS(=GSE発行・保障証券)の額が増えている事です。
FRBは銀行への資金提供の手段を
返済義務のあるTAFから、
MBSの買い入れへとシフトしていったとも受け取れます。
TAFは金利が発生し、返済義務も生じますが、
MBSの買い入れは、紙くず同然のMBSを
FRBが買い入れてくれるので、
銀行に資金をただで与えている事に等しくなります。
■ MBS価格はFRBが保っている ■
実際にはほとんど価値が低下しているMBSも
FRBが購入している間は「価格」が維持されます。
しかし、FRBがMBSの購入を3月で停止すれば、
これらの価格は適正価格に暴落する事は必死です。
FRBの所有するこららの証券は、
この時点で時価評価すれば、大幅に減額します。
そうした目でFRBのバランスシートを眺めれば、
FRBは既に債務超過に陥っているとも言えます。
■ FRBの資産の質的変化に注目すべき ■
金融危機後に急増したFRBの資産は、
その後はほぼ同じ規模を維持しています。
しかし、その質は大きく変容しています。
返済が約束されたTAFから、
減額が約束されたMBSにすり替えられています。
さらに、長期国債も増え続けています。
20年後、30年後のアメリカの存続を誰が保障するのでしょう?
MBS購入も、長期国債買い入れも
貸し倒れ必至の、無担保融資の様な物です。
■ MBS買い入れも、長期国債買い入れも「金利抑制策」 ■
FRBがMBS購入を発表してから
長期金利が明確に低下している事からも、
MBS購入は、金利政策に直結しています。
同様に長期国債購入も、
国債の売れ残りによる長期金利上昇を抑制しています。
■ 出口の向こうは奈落の底 ■
FRBは先日公定歩合を引き上げ、
出口戦略の実施を匂わせました。
しかし、実際には3月に予定している
MBS購入の終了すら覚束ない状況です。
バーナンキは無責任に「出口」を口にしますが、
出口の先は奈落の底に直結しています。
・・・大丈夫か、アメリカ!!
・・・大丈夫か、日本!!