人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

肥大化するFRBのバランスシート

2010-02-27 17:00:00 | 時事/金融危機



■ FRBのバランスシート ■

金融危機後、FRBは輪転機をフル稼働し、
ドルを大量に発行しながら、
不良債権を一手に引きうけてきました。

さらに、禁じ手とも言える「米国債の直接購入」を行って、
政府の赤字も肩代わりしてきました。

この状況を端的に表すのが上のグラフです。

FRBの資産を現すグラフですが、
金融危機後、FRBのバランスシートが
約3倍にも膨れ上がっている事が分かります。

■ 資本注入からMBS購入へ切り替え ■

金融危機直後は流動性を供給する為に
TAFによって資金を提供していました。
しかし、TAFの金利は市場金利に近く、
結局、緊急性の低下と供に応札が減って行きます。

興味深いのはTAFの減少と平行して
MBS(=GSE発行・保障証券)の額が増えている事です。

FRBは銀行への資金提供の手段を
返済義務のあるTAFから、
MBSの買い入れへとシフトしていったとも受け取れます。

TAFは金利が発生し、返済義務も生じますが、
MBSの買い入れは、紙くず同然のMBSを
FRBが買い入れてくれるので、
銀行に資金をただで与えている事に等しくなります。

■ MBS価格はFRBが保っている ■

実際にはほとんど価値が低下しているMBSも
FRBが購入している間は「価格」が維持されます。

しかし、FRBがMBSの購入を3月で停止すれば、
これらの価格は適正価格に暴落する事は必死です。
FRBの所有するこららの証券は、
この時点で時価評価すれば、大幅に減額します。

そうした目でFRBのバランスシートを眺めれば、
FRBは既に債務超過に陥っているとも言えます。

■ FRBの資産の質的変化に注目すべき ■

金融危機後に急増したFRBの資産は、
その後はほぼ同じ規模を維持しています。

しかし、その質は大きく変容しています。
返済が約束されたTAFから、
減額が約束されたMBSにすり替えられています。

さらに、長期国債も増え続けています。
20年後、30年後のアメリカの存続を誰が保障するのでしょう?

MBS購入も、長期国債買い入れも
貸し倒れ必至の、無担保融資の様な物です。

■ MBS買い入れも、長期国債買い入れも「金利抑制策」 ■



FRBがMBS購入を発表してから
長期金利が明確に低下している事からも、
MBS購入は、金利政策に直結しています。

同様に長期国債購入も、
国債の売れ残りによる長期金利上昇を抑制しています。


■ 出口の向こうは奈落の底 ■

FRBは先日公定歩合を引き上げ、
出口戦略の実施を匂わせました。

しかし、実際には3月に予定している
MBS購入の終了すら覚束ない状況です。

バーナンキは無責任に「出口」を口にしますが、
出口の先は奈落の底に直結しています。

・・・大丈夫か、アメリカ!!
・・・大丈夫か、日本!!





真実を隠蔽する「虚構の対立」

2010-02-27 10:38:00 | 時事/金融危機
■ 虚構の民主主義 ■

私は民主主義は幻想だと思っています。

多くの人は「選挙で議会や大統領を選出するのだから
主権は国民にある」と思っています。

利益調整の地方政治ならば、
この考え方は成り立ちます。

しかし、国政レベルでは本当に我々が
国の将来を決定出来ているのか疑問が生じます。

「A政党かB政党を選べ」という、
2大政党制では、
さらに国民の意志が不在になります。

なぜならば、もしAとBが結託していたならば、
国民に選択肢など最初から存在しないからです。



■ 小泉と小沢が違うと誰が言えるのか? ■

親米の小泉と、反米の小沢は良く比較されます。

日本の知識層には、深層的な反米感情がありますから、
我々が「小沢を選択し、アメリカに見切りを付けた」と考えます。

しかし、多極化と中国の発展がアメリカの真意であるならば、
小泉だろうが、小沢だろうが
自民党だろうが、民主党だろうが、
初めから私達に選択肢など無いのです。

現在の多極化の流れは、
20年以上の時間を掛けて準備されています。
冷戦の終結によって、
グローバリゼーションの弊害となる
世界を二分する様な対立軸が消滅しています。

同時期に平行して日本においても、
自民党が二つに割れる事で、
新しい時代の枠組みの受け皿が用意されていったのでしょう。

■ 「対立」は思考停止を促す ■

世の中に「対立」は確かに存在します。
小学校のクラスの中にすら存在します。

それゆえに我々は、「対立」を疑う事をしません。
「ロックフェラー VS ロスチャイルド」
「共和党 VS 民主党」
「自民党 VS 民主党」

我々は対立構造が明確化すると安心し、
思考停止してしまいます。
無意識に、どちらかに加担して自分を納得させます。

マスコミも対立をことさら書きたてます。
ネットも、その様な書き込みに溢れています。


■ 「対立」は「共存」の関係である ■

しかし良く考えると、「対立」無くして成立たない組織が沢山あります。
人々が派閥に属したり、
政党に入党したり、
あるいは暴力団のある組織に入るのは、
「対立」が存在するからです。

もし「対立」が消え去れば、
世の中の多くの組織が消え去り、
「個人」が好き勝手に行動し始めます。

極言すれば、「対立」は究極の「共存」関係です。

その証拠に党内の対立が希薄化した自民党は
存亡の危機に瀕しています。
自民党の中には、好き勝手な「個」しか存在していません。

■ 「対立」を演出 ■

もし、世界を牛耳る者が「対立」を演出したらどうでしょう?
人々の目は「対立」を見るが故に、
その上位の存在を探す事を止めてしまいます。

2大政党制や、民主主義は民衆のガス抜きの為に考えられた
巧妙な治世手段です。

「ロックフェラー」VS「ロスチャイルド」も、
いかにも分かり易い「対立」です。

両派のそれぞれは、自分達の陣営を信じて
相手を蹴落とそうと必死なのでしょうが、
上位者は、どちらが勝っても構わないのです。

どちらが何時切り捨てられるかは、
その時々の状況に左右されます。
「対立」をる両極を支配する事で、
彼らには、いつも勝利が約束されています。

■ 民主主義を疑え!! ■

高学歴の者程、民主主義を錦の御旗の様に崇拝します。
これはアメリカやヨーロッパにおいても同じです。

アメリカは、自国の若者の血を流しながら「民主主義」を輸出します。
それだけの「価値」が民主主義にはあるからです。
それは、国民の為の価値では無く、
国民を支配する者達の価値です。

「自分達が選択の主体である」という思い込みは、
不満を沈静化します。

誰かが描いた筋書きを、
「あたかも自分の意志」であるかの様に洗脳する・・・。
マスコミはこの為にある機関です。

TVを消し、新聞を止めると
暫くすると洗脳が解けてきます。

■ 小沢を否定出来るか? ■ q

それでは、小沢を否定すれば問題は解決するのでしょうか?
小沢を否定しても、バックアップのストーリーは用意されているでしょう。

アメリカの自滅によって結局日本は中国寄りの政策を取る事になります。
その際の損失は、小沢路線よりも大きくなるでしょう。

■ 約束された未来 ■

約束された未来は一つです。
国家間の格差の縮小と、
国家内での格差の拡大。


途上国から先進国の富の移動には限界があります。
先進国には消費の限界が、
途上国には貧しさの限界が。

「金融資本家」が好むのは、「格差」による富の移動です。
彼らはそれに便乗して甘蜜を貪ります。

従来は途上国から先進国への富の移動のプロセスが多用され、
今後は先進国から途上国への富の移動が主流になります。

彼らは経済の「熱死」を避ける為、
絶えずエントロピーを縮小させ、
格差を生み出し続けます。

21世紀は先進国の衰退の時代です。
日本だけが例外である訳には行かないでしょう・・・。

結局我々は、民主主義の名の元に、
自ら衰退する未来を選択させられていくのでしょう。