■ 世界景気の二番底が現実に ■
世界同時株安が進行し、市場は世界経済が二番底に向けて下降すると予測しているようです。
しかし、事今に至っては、二番底の心配よりも二番底の底が抜ける心配の方が重要でしょう。
"Yes we can see the end of USA."と、どなたかが言いそうな勢いです。
■ 債務の付け替えは最終段階に ■
現在の世界経済の状況を端的にまとめた記事がフィナンシャル・タイムスに掲載されていたので、読んでみて下さい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3877
要約すれば、金融バブルの発生以降、債務は次の1~4の過程を辿りながら、爆弾ゲームのごとく誰かに手渡し続けられているという事にります。
1)民間の債務の拡大・・・・・・不良債権を民間セクターにばら撒く
2)非金融機関の債務圧縮・・・・過剰債務がデレバレッジングを促進する
3)政府への債務の付け替え・・・金融機関や巨大企業を国家が救済し国家債務が増大
4)国家間での債務の付け替え・・国家間での債務移転
■ 増税という国内での債務の転化では景気は回復しない ■
現状は民間の債務が一通り国家に付け替えられたステージ3の段階でしょう。
G20で各国は国家の債務を圧縮する方向に舵を切りましたが、その為には国家の債務を再び国民か金融機関か、あるいは他国に付け替えなければなりません。
管首相を始め各国首脳は、財政の健全化が景気回復を促すと説明していますが、小学生が考えても増税が景気を一層冷え込ませる事は疑う余地もありません。
インフラが整備された先進国において、税金による政府支出は民間支出に比べ効率が悪く、民間の資金を吸い上げる事はそれだけ景気回復が遠のく事になります。
リーマンショック後、世界はGDPの7%の公的資金を投入して、3%の成長しか得られていません。実質マイナス成長です。
■ 他国に債務を転化する方法 ■
グローバル経済の時代ですから、債務の転化は一国で完結する必要はありません。記事にもある様に、ドイツはユーロを推進する事で、自国の債務を巧みに後進ヨーロッパ諸国に付け替えました。貿易黒字国であるドイツは、後進ヨーロッパ諸国がユーロによって増大させて購買力を頼りに、生産で生じる自国債務を、輸出によって他の国に転化しました。
これは日本でも同様で、日本は原料輸入や加工で生じる債務を、輸出という形でアメリカに転化しました。
■ 逆回転する歯車 ■
貿易黒字国が経常黒字を増大させ過ぎ、貿易赤字国が経常赤字を増大させ過ぎれば、世界の経済の循環に支障を来たします。
そこで、貿易黒字国が貿易赤字国の国債を購入して、一時的に資金を逆流させます。これで暫くの間は、世界の経済は循環する事が出来ます。しかし、国債が償還される時、貿易黒字国にさらなる資金還流が発生し、循環に支障を来たします。
循環の歯車を逆回転させない為には、資金還流を阻止する必要があります。例えば国債のロールオーバーも一つの方法です。しかし、それでは貿易赤字国は双子の赤字を限りなく増大させる事になります。いくらドルやユーロが打ち出の小槌の様なものであっても、限度を超えればドルやユーロの価値を脅かす事になります。
■ 借金は返さなければ良い ■
ステージ4の国家間の債務の付け替えの下準備は、日米間や日中間では既に終了しています。日中は貿易黒字に見合うアメリカ国債を所有しています。
「借金はどにかして踏み倒す」のが西洋の金融的思考です。膨らみ過ぎた国家の借金は返さなければ良いのです。デフォルトしてしまえば、良いのです。
■ アメリカやEUが国家破綻出来る訳 ■
ここで多くの方達は思考停止してしまうでしょう。仮にも世界最大の帝国であるアメリカや、先進国としての歴史の長いEU諸国が、デフォルトなどという無責任な事をするハズが無いと・・・・。
しかし、アメリカの連邦政府が無くなってしまったらどうでしょう?我々は誰を責めれば良いのでしょうか?州政府でしょうか・・・違います。アメリカ合衆国国民でしょうか?・・・合衆国が無くなれば国民も居なくなります。
逆の事がヨーロッパで起こるかも知れません。各国政府が金融危機を乗り切る為に、急激に統合を進めヨーロッパ連合になってしまったらどうでしょう?あなたの借金は私の借金と同義になってしまいます。
お気づきでしょうか? 「国家という枠組みに固執しなければ、借金はチャラに出来る」のです。国家も企業として考えるならば、国家が倒産したり、合併すると考えれば良いだけです。倒産した企業の社員は暫く路頭に迷いますが、消えて無くなる事はありません。
国家の滅亡や合併など、古来枚挙に厭いません。」国家とは遷ろうもので、ただ第二次世界大戦後にタマタマ少なかっただけ」と考える事も出来ます。近代国家とて、それを成立させている基盤が崩壊してしまえば案外脆弱なものです。
■ 非常時には信じられない事が起きる ■
アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国が無くなるなんてあり得ないとお思いでしょうが、現にソビエト連邦はこの世に存在しません。ユーゴスラビアもバラバラな小国に分断してしまいました。国家とは盤石に見えて、実に儚い存在です。
ドル崩壊や世界恐慌が世界を蹂躙する様な非常事態が発生すれば、「国家というシステム」の一つや二つが無くなるなど、想像の範囲内では無いでしょうか?
■ 進まないデカップリング ■
世界の人々がパニックにならないのは、デカップリングを信じているからです。
「中国が、インドが、ブラジルが、アジアが南米がアフリカが、目覚しい経済成長を遂げて消費によって世界の歯車を再び回し出すに違いない・・・。」
はたしてどうでしょう?中国の国民一人当たりの消費金額は日本の1/22に過ぎません。インドやブラジルにしても押して知るべしです。
いつかはデカップリングするかも知れませんが、2~3年以内で無い事は確かでしょう。
■ 借り手の理論 ■
世界経済のソフトランディング論者は、アジアやアフリカの台頭を待ってドル機軸制が崩壊すると予測しますが、それではアメリカの債務は減りません。アメリカ国民が貧乏を強いられながら、国家が債務を返済し続けるでしょうか?答えはNOでしょう。
「借金は返さなくちゃ」は、貸し手の理論であって、借り手の理論が異なる事に注意が必要です。そして、大きな借金程、返されずに終わるのが世の常です。
■ 結果か手段か ■
本日の話題は少し唐突だったかもしれません。
しかし、混迷する世界経済を予測しようとした時に、避けては通れないものがあります。
それは、金融危機は結果だったのか、それとも手段だったのか?という事です。
良心的な経済学者ならば、市場原理主義が富の最大化を求めた結果と言うでしょう。
陰謀論者であれば、ニューワールドオーダーの為の世界ほ改変の為に、金融危機は現状の世界の崩壊の為のトリガーであったと言うでしょう。
仮に前者が正しくても、或いは後者が正しくても、世界にばら撒かれた過剰なペーパーマネーと、それをを上回る6京円にも及ぶデリバティブ残高(不良債権)、さらには膨らみ続ける国家債務の負の連鎖は、既に景気回復のスレッショルド(閾値)を超えています。
■ 図らずも、あるいは意図的に国債市場に流入する資金 ■
株式やコモデティー市場からの資金回避は、国債市場に流入し、各国国債の金利は軒並み低下しています。財政出動で再び世界に溢れ出した過剰流動性は、少しでも有利な金利を求めています。国債市場の崩壊が明日で無ければ、世界のマネーは平気で不安定な国債市場に流入します。
各国は国債の発行コストが低下してほっとしているでしょう?或いは、国債市場を延命させる為に、国際金融マフィアがリスク市場の資金を国債市場に移しているのかもしれません。
調達コストが下がれば、国債市場はいくらかは延命し、しかしその反動として崩壊時の破壊力を増して行きます。世界に新秩序(ニューワールドオーダー)が訪れる為には、その前い圧倒的な破壊が必要です。
一説には2012年が世界崩壊の年となるようです。
世界的混乱は経済危機だけでは無いかもしれません。
オバマ大統領は、全く無意味なイラン制裁を一段強化するようです。
イスラエルはイランに近い基地に爆撃機を移送したとも言われています。
世界が偽りに満ちているならば、本当の事を訴えているのは悪に枢軸達なのかもしれません。
イランのアハマデ・ネジャド大統領やベネズエラのチャべス大統領、リビアのカダフィーの演説は過激ですが、筋は通っています。彼らの国連演説に、途上国の代表達は拍手を送ります。
一方、オバマ大統領の演説は、表面こそ立派ですが、中身が空っぽです。アメリカ版の「空き缶」大統領とも言えます。
「信じる者は救われる」と言いますが、私達は誰を信じたら救われるのでしょうか?