■ 本日は老人について考えてみます。 ■
またもやアニメネタとお思いのあなた、安心して下さい。今日は真面目に「老人と世代間格差」について考えてみたいと思います。
ただ、高齢の方に多少耳の痛い内容になりますので、何方かの写真を掲載しては申し訳無いので、ぱっと脳裏に浮かんだこの方のお顔を貼ってみました。
■ 最大の争点は「世代間格差」 ■
参議院選挙が明日に迫っています。
しかし私は大変困惑しています。
だって、「自民党と民主党って何が違うの?」って感じではないですか。
消費税増税と対米服従路線に転向した民主党の政策は、従来の自民党の政策そのものではないでしょうか?2大政党と言っても、これでは国民に選択権はありません。
何故私達が選挙で困ってしまうかと言えば、社会的対立軸が政党の対立軸になっていないからです。
従来であれば、「資本家 VS 労働者」や「資本主義 VS 社会主義」という対立軸が政党の対立軸となって国民は政党や政策の支持を決めていました。しかし現在の日本では「資本家 VS 労働者」という対立軸は社会の主要な対立を構成しません。
確かに多くのサラリーマンは会社に収奪されている事が確かですが、不景気の折、給与の増額が会社の経営を危うくし、製造業に至っては、海外転出という形で自分達の雇用を奪うという事を労働者は理解しています。
ですから、高度成長期の様に、労働運動が活発化する事はありません。会社が気に入らなければ「転職」すれば良いと思っている若い世代は、会社は利用する対象であって、隷属する対象では最早無くなっているのです。
それでは現代の社会的対立とはいったい何でしょう。それは世代間格差です。税金と年金という二つの集金システムによって、若者の所得は不当に老人に移転させられています。その結果、明らかに「貧しい若者」と「豊かな老人」という歪が生じています。
しかし、「世代間格差」の是正を政策に掲げる政党はありません。なぜなら既得権者として選挙に足しげく通う老人達は政党にとって大きな票田だからです。
■ 確実に貧しくなる若者 ■
「貧しい若者」と言っても派遣労働者やニートやフリーターを指す訳ではありません。長引くデフレでサラリーマンの平均所得が低下し続けているのです。
一方、年金は減額される事はありません。確かに給付開始年齢は引き上げられましたが、平均寿命が延びているのですから、給付年月が短くなったわけではありません。
本来、年金の給付金額が、サラリーマンの平均所得にリンクしていれば公平が保たれるはずです。サラリーマンの給与が下がれは、厚生年金の徴収総額も低下しますから、年金支出はそれに応じて減額されてしかるべきです。
年金の給付金額は増ええ続け、年金収入は減り続けているのですから、そのしわ寄せは若者の将来の負担に積みあがっていきます。
若者は現在の年金負担と将来の税負担という二重の負担を強いられているのです。
■ 世界最大の世代間格差 ■
どのくらい若者が損をしているかというと、今の制度では「60代以上は生涯で5700万円の受益超過(税・年金)だが、20代は1300万円の負担超過」となる様です。
日本は「世界最大の世代間格差」社会となっています。
老人達の生きてきた時代は、インフレの時代、若者達の時代はデフレの時代ですから、負担金額を単純には比較できない事は確かですが、老人達の貯蓄が増えていて、若い世代の貯蓄が減っている事からも、格差が拡大している事は伺えます。
■ 個人金融資産の2/3が高齢者のもの ■
日本の個人の金融資産は1400兆円ですが、そのうち1000兆円を60歳以上の高齢者が所有しています。
高齢者の金融資産は、リスクの低い預貯金にプールされ、これが日本国債を買い支えていると言っても過言ではありありません。
一方、若年世代は子育て教育やマイホームなど本来消費性向が強いはずです。しかし、下がり続ける所得や将来の不安から、貯蓄を重視する傾向が高まってきています。
■ 不況を長期化する「世代間格差」 ■
「年金を貯蓄する老人」と「消費を切り詰める若者」によって、日本の経済は本来の実力以上に萎縮しています。」
政府がデフレ脱却とどんなに叫ぼうが、「世代間格差」が経済成長を阻害し、デフレを長期化させているのです。
■ アメリカの財政赤字を支える「老人資産」 ■
老人資産は日本国債を買い支えるだけでなく、アメリカ国債も買い支えています。
直接的には老人資産の運用として、金融機関が直接米国債を買い入れています。
ゆうちょ銀行は、昨年6月から3月の間に、アメリカ国債などドル建ての債権を保有額を28倍に膨らめています.
間接的には、政府が円高対策でドルを買い入れる為に生じる財政赤字を、老人資産を原資とする銀行や生命保険の日本国債買いが支えています。
■ 日本とアメリカの財布になる老人 ■
極論すれば、日本の老人は日本政府とアメリカ政府の財布であり、老人の財布にコツコツとお金と詰めているのが、日本の若者という事になります。
これをお読みの「若者」の方達は、腹が立ってきたでしょう?
■ 開き直る老人 ■
私も一般論として良く母に、この「世代間格差」のい話をします。
すると母は必ず開き直ります。
「だって、私達の若かった頃は本当に貧しかったのよ。」
「戦後は辛かったし、若い頃は給料も低かったのよ。」
「あなた達は私達に比べたら、随分と贅沢よ」・・・。
いちいち尤もなので反論に苦しみますが、しかし、現状、老人達が「働かずして貯蓄を増やし」、若者達が「働いても貯蓄が減る」事こそ直視すべきです。
■ 老人から老人に相続される既得権 ■
尤も、老人もいつか亡くなりますから、老人の資産は相続されます。ところが、平均寿命が延びている現在、平均相続年齢は67歳となっています。
老人の資産は老人に相続されているのです。
今のままでは、日本は老人に食い尽くされてしまいます。
「子供手当て」はバラマキかもしれませんが、「世代間格差」を多少なりとも是正します。「高速無料化」もその恩恵を若者が受けるのであれば無駄ではないかもしれません。
しかし、出費だけが増えたのでは、そのしわ寄せは将来的に若者に跳ね返ってきます。今やるべき事は、高所得者の年金給付の中止や、年金の上限金額の引き下げです。
はたして、こんな政策を掲げる政党は現れるのでしょうか?