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金は天下の回りもの

2010-07-20 23:14:00 | 時事/金融危機




■ 宵越しの金は持つな・・? ■

「金は天下の回りもの」と申します。

バブルの時は、それこそ「宵越しの金は持たない」勢いで、国民がお金を使いまくりました。人々の手から手にお金が渡ってこそ、経済は回転します。

「景気が先か、消費が先か」という議論はありますが、「先行きに不安が無く、通貨が潤沢に供給されている時」好景気が訪れます。

仮に誰かが「預金」をして、通貨の循環が途切れたとしても、銀行が民間に融資をする限り、お金は回り続けます。この場合銀行は、お金が余っている所から、お金が足りない所へ迅速に資金を提供する役割を担います。言うなれば資金のハイウェーとして景気循環を加速します。

■ 資金の滞留と、海外流出が不景気をもたらす ■

国内でお金が人々の間を循環している事を「好景気」と言うならば、この流れが阻害される事を「不景気」と呼ぶ事が出来ます。

国内の資金の循環を妨げるものを挙げてみましょう。

① 海外投資
② 外債投資
③ 外貨預金

これら三つは、国内の資金が直接海外に一時的にせよ流出します。

④ 過剰な預金
⑤ 金融機関の日本国債の購入

これら二つは、国内の問題ですが、不景気や高齢化など将来の不安から銀行に過剰預金が生じます。銀行が民間に融資すれば問題はありませんが、銀行が民間融資を手控え、代わりに日本国債を購入すれば、民間の資金の循環は妨げられます。

日本国債は財政支出として、国内の経済に還元されますが、銀行の融資の様に、資金需要が切迫した所には支出されず、衰退産業の保護や、社会保障など非効率な分野に投資される事は、近年の日本の状況が証明しています。

■ 不景気は資金流出によって作り出される ■

好景気・不景気の景気変動はいつの時代、どの国にもありますが、20年以上に及ぶ長期の不況は、自然な景気変動を阻害する要因がある事を示しています。

日本が長期不況に突入したのは、1991年のバブルの崩壊以降です。その後若干の利上げはありましたが、日銀は超低金利や量的緩和など、通貨供給量を増やす政策を続けますが、景気は浮揚しませんでした。

その理由は、「グローバル経済においては高い金利を求めて国内資産が海外に流出する」からです。

① 円キャリートレードの発生
② 投資信託など外貨による資金運用の本格化
③ 金融機関の外債投資など外貨運用

リーマンショック後FRBを初め各国の中央銀行が、「出口戦略」を目指す理由は、資金の海外流出を食い止める目的があります。

■ 金利を上げられないジレンマ ■

日銀をはじめ世界の中央銀行は、金利を上げたいと思っています。(ポーズだけかもしれませんが・・・)ところが、デフレ下で金利を引き上げれば景気はさらなるダメージを受け、悪性インフレを引き起こす可能性すらあります。

各国中央銀行は、金利のジレンマに陥っています。

■ アメリカ国債バブル ■

金融マフィアが誘導したギリシア危機以降、世界の資金は「安全資産」であるアメリカ国債に向かっています。

金融マフィアが演出した世界同時株安によって行き場を失ったお金も、アメリカ国債を買っています。

さらにドル安対策で、中国と日本が米国債を買い支えています。

これは「アメリカ国債バブル」とも言えます。

■ アメリカの倒産した地方銀行を買いあさる邦銀 ■

さらに不思議な事に、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行は、倒産しかけたアメリカの地方銀行を買っています。

人が来ないショッピングモールや、人が泊まらないホテル。空室が埋まらないオフィスビルに投資して倒産しかけたアメリカの地方銀行に、投資の妙味はあるのでしょうか?日本はバブルの時にアメリカの不動産に手を出して大火傷をしています。

本来なら日本人の預金は、日本国内で運用され、日本の景気循環に寄与すべきものです。ところが邦銀はその資金を、経営の危ぶまれるアメリカの地方銀行に投資しているのです。

もしドルが暴落したら、この損失を被るのは預金者である日本国民です。

■ 生命保険会社の資産運用規制の緩和 ■

金融庁は生命保険会社の資産運用の規制を撤廃すると発表しました。

国内株式や外貨建て資産での運用をそれぞれ総資産の3割以内に抑えるといった規制を撤廃し、海外を含めた柔軟な運用を認める方針です。

これによって生命保険各社が日本国債から、外貨建ての運用にどの程度シフトするかは不明ですが、外貨による運用の枠が外された意味合いは小さくはありません。

■ 個人年金など長期運用の危険性 ■

私は生命保険会社の個人年金は危険だと思っています。

バブルの頃に契約した商品は5%を超える様な結構な利回であったりして、老後の資金として多くの方が、コツコツと生命保険会社にお金を払い続けている事でしょう。

しかし、20年後の金利と元本を誰が保証してくれるのでしょう?

年金など返済期日の長い商品は、長期国債や住宅債権で運用されている事でしょう。海外の投資家は、現在長期の米国債にはほとんど投資していません。日本の機関投資家と政府がアメリカの長期国債を買い支えています。

■ 日本の不景気は意図的に低迷している ■

先日、ゆう貯資金の外貨建て運用が民主党政権になってから3倍に増えたと書きましたが(米国債は26倍)、この様に、国と民間を挙げて国内資産を海外に移転しているのですから、国内の景気が良くなるハズはありません。

「みんなと党」が主張する様に、日銀が紙幣を増刷しても、その資金は一時は国民の手に渡ったとしても、将来の不安を国民が抱く限り、貯蓄されて金融機関によって海外に投資されてしまいます。

理由は「国内より海外の金利が高いから」です。しかし、そこには本来織り込むべき、ドル暴落や、米国債のデフォルト。フレディーマックやファニーメイの破綻は織り込まれていません。

当然のリスクを国や年金基金や金融機関が無視する限り、「長期化する日本の不景気は意図的に作られたものである」と考えざるを得ません。

さて、皆さんはどう思われるでしょうか?