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尖閣ビデオ流出事件・・・情報管理危機国家

2010-11-05 23:43:00 | 時事/金融危機



■ 尖閣問題のビデオが流出 ■

先般の外事3課の情報流出といい、今回の尖閣問題のビデオ流出といい、この国の情報管理はいったいどうなっているのでしょうか?

海上保安庁が「義憤にかられて」情報を漏洩するはずが無く、明らかに海上保安庁からビデオを入手した何者かが意図的な情報漏えいした可能性を疑うべきです。

■ 流出したビデオは編集後のビデオ ■

Youtubeで流出ビデオをご覧になれば分かる通り、流出ビデオは3部構成になっています。

① 巡視艇「よなくに」が中国漁船の進路規制をし、中国漁船が網を上げる
② 巡視船「よなくに」に中国漁船が衝突
③ 巡視船「みずき」に中国漁船が衝突

この他に、同海域に居た巡視船「はてるま」からの映像も流出しています。

流出したビデオはタイトルや時間が後から編集で入れられている為、生のビデオが流出したのでは無く、国会議員に見せる為に編集されたビデオである事が伺えます。

■ 百聞は一見にしかず ■

漁船衝突時の模様には、ネットを中心にいろいろと噂が流れています。板垣英憲氏のブログでは、米軍との共同作戦によって中国漁船を追い込んだ「キーン作戦」という謀略説まで載せられています。

一方、ネト右を中心に、中国漁船自体が中国のスパイだという書き込みが多く、いろいろと妄想を掻き立てられているのは、私だけでは無いようです。

しかし、今回流出した映像を見ると「百聞は一見にしかず」という諺の意味を痛感します。

■ 巡視艇は4隻以上いた ■

映像を見る限り、現場海域には3隻以上の巡視艇がいたようです。

① 1回目の体当たりをい受ける「よなくに」
② 「よなくに」と行動を共にする「はてるま」
③ 応援に駆けつけ、2回目の衝突を受ける「みずき」

さらに「はてるま」の映像中、「4番船みずき」と言っている事から、現場海域には少なくとも4隻以上の巡視艇が出動していた事が伺えます。

■ ビデオ① 「よなくに」による進路規制 ■

ビデオの第一部は、尖閣近海で網を引いて操業中の中国漁船の進路を、巡視艇「よなくに」が規制する所から始まります。

漁船は網を引いて操業中でしたが、進路を「よなくに」に阻まれ、停船して網を引き上げます。

ここまでの映像は落ち着いており、「通常任務」を遂行している感じがします。ただ、ビデオの後半のナレーションはアフレコの様な気もしますが・・・。

■ ビデオ② 「よなくに」に漁船が衝突 ■

網を引き上げた後、漁船は急発進し、左に舵を切り「よなくに」の右舷前方に衝突して逃走します。ビデオの記録時に読み上げられた時間から推測するに、10時15分頃だと思われます。

中国漁船が右舷に傾いている事からも、この衝突は明らかに中国漁船が故意に仕掛けています。ヤンキーが切符を切られた腹いせに、パトカーを蹴飛ばして逃走する行為と同じです。

衝突された「よなくに」の船上ではにわかに緊張感が走ります。しかし「よなくに」は「現場確保」の為に停船し、逃走する漁船を追跡しません。

その後「よなくに」と行動を共にしていた巡視艇「はてるま」が中国漁船に接近するのを、「よなくに」からの映像で確認できます。


■ ビデオ③ 「みずき」に衝突する漁船 ■

3本目の映像は、応援に駆けつけた「みずき」が漁船に並走して停船警告を行う所から始まります。

漁船と並走する「みずき」からは中国語による停船命令が叫ばれ、サイレンも鳴っており、それなりに緊張した空気が漂っています。

漁船は減速する様子も無く、しばらく「みずき」と並走した後、「みずき」が漁船の前方に出る所を、「みずき」の右舷後方に衝突します。

衝突の直前から「みずき」甲板上では「衝突するぞ、当ててくる!!」などの声が聞かれます。

この映像では、漁船が左舷に舵を切って「みずき」に衝突したのか、「みずき」が右に舵をい切って漁船の衝突を誘発したのか良く分かりません。

■ 第4のビデオ 「はてるま」の映像 ■

「みずき」と漁船の折衝を客観的に確認できるのは「はてるま」からの映像です。

第一回目の衝突後「よなくに」は追跡に参加していない事が、ビデオの音声から伺えます。ここら辺のやり取りは笑い声交じりで、「はてるま」船上ではそれ程の緊張感は感じられません。

「はてるま」のビデオが漁船に接近する「みずき」を撮影します。

「みずき」は漁船の左舷後方から接近し、左に舵を切りながら漁船と並走する体勢を取ります。

「みずき」は漁船の進路を阻む為か、漁船のやや前に出ようとします。

漁船との衝突の瞬間は、「みずき」の影で良く見えませんが、漁船が加速した結果、「みずき」の右舷後方に衝突します。

この衝突は漁船が加速しなければ回避出来たので、「漁船が衝突してきた」という海上保安庁の主張はあながちウソではありません。

ビデオを見る限りでは、「みずき」が漁船の進路を妨害したとも主張出来、「よなくに」への衝突程、中国漁船の故意は明確ではありません。

尤も、「みずき」もかなり執拗に「停船」を迫っており、「よなくに」に衝突させた漁船船長の性格から考えても、「みずき」側も衝突をある程度予測していた様にビデオからは伺えます。

■ 「つまらない事件」が大事になった ■

海上保安庁としては「日本の領海内」で巡視艇2隻が故意に衝突された訳ですから、中国船長の身柄を拘束するのは当然の行為で、全く合法的処置です。

パトカーに腹いせに衝突した暴走族を現行犯逮捕するのと同じです。

しかし、船長を長期拘留して起訴するかどうかで問題が拗れてしまいました。

海上保安庁は当然、法律に従って船長の拘留、捜査、検察への報告を行います。

通常はこの時点で政府にも連絡が行き、中国を刺激したくない従来の日本政府は、船長の身柄を早期に中国側に引き渡たしていたのでしょう。

ところが、今回は民主党が不慣れだったのか、あるいは前原前国交相の思惑が働いたのか、船長の拘留は長期化して、中国はこれに抗議します。

中国にしてみれば「尖閣」は自国領土ですから、船長拘束の正当性を認める訳にはゆきません。通常であれば、外交ルートでちょっと抗議すれば、日本政府は折れるはずでした。

ところが、前原国交相も民主党幹部も妥協しなかった為に、問題が拗れてしまいました。

事件はたいした事では無く、巡視艇の乗員は、「よなくに」の衝突後も、「はてるま」船上では笑い混じりでビデオを撮影する程度の事件でしたが、政治が問題を大事にしてしまいました。

■ ビデオ流出は大問題 ■

尖閣問題自体は、とてもチャチな事件です。

しかし、国際問題化している事件のビデオが流出する事は尋常ではありません。

本来、このビデオは存在すら公開せず、中国に対するカードとして有効に使うのが外交の常識でしょう。決定的証拠は裏でこそ効力を発揮するものです。
ところが、今回はビデオを誰かがネットに流出させました。

この問題点は二つあります。

① 情報管理が出来ない国家は信頼されない
② 情報操作を画策する勢力が存在する

■ 世論を硬化させるビデオ流出 ■

今回の流出ビデオをじっくり眺めれば、現場レベルでは日常的な国境でのイザコザです。

巡視艇の乗員も、緊張はしていますが、「しょうがない奴らだなあ」というトホホな空気も感じられます。

ところが、世間は衝突とい事実しか目を向けません。

今後、日本の世論は中国に対して益々硬化し、中国の世論も加速度的に半日かするでしょう。

■ アメリカを利するビデオ流出 ■

笑いが止まらないのは・・・アメリカです。

オバマ政権は発足当時こそ親米政権でしたが、中国が元を切り上げないので、親米派のリーダーであったクリントン国務長官も中国対して強硬姿勢を取り始めました。前原外相とクリントンが阿吽の呼吸で、尖閣問題を盛り上げています。

アメリカはベトナムやフィリピンと中国の領土問題でも、尖閣問題と同様に緊張を煽る行動に出ています。

「アメリカは将来ハワイ・グアムまで後退して、太平洋の西半分は中国に任せる」と米軍幹部が中国軍幹部に語る程、中国に譲歩していましたが、ここに来て180度方針を転換しています。

尖閣、台湾、西沙諸島 南沙諸島と、中国の外洋進出を阻む領土問題を煽って、中国に対して最大限の嫌がらせをしています。

これでしばらく世間の目は尖閣問題に釘付けです。その間に経済が崩壊して行くのにも気付かずに・・・。