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日本経済の将来は、やはりアメリカ次第・・・インチキ金融の限界

2013-03-28 09:03:00 | 時事/金融危機
 

■ アベノミクスの効果 ■

アベノミクス効果で日本の景気の先行きに明るさが見え始めたと言われています。
リフレ派の高橋洋一氏の主張される金融緩和の効果は次の順で現れると言います。

1) 金融緩和によるマネタリーベースの増加が予想インフレ率を押し上げる
2) ソロスカーブ(通貨間のマネタリーベース比)変化で円安が起こる
3) 輸出企業の業績が好転する
4) 株価が上昇し始める
5) 不動産価格が上昇し始める
6) 輸出企業の売り上げが増加し、徐々にその影響が内需に拡大する
7) 内需の拡大が本格化し、消費が拡大する
8) 設備投資が回復し始める

高橋氏は構造改革派ですから、財政政策には否定的です。
あくまでも金融緩和だけで景気を回復させた場合の予測となっています。

現在は不動産価格に回復の兆しが見え始めた様ですから、
5)のフェーズに差し掛かったと言えます。

今までは金融緩和の掛け声だけでしたが、
今後日銀が本格的にマネタリーベースを増やす中で、
どれだけ内需が喚起されるかが、景気回復のカギとなります。

■ 全ては「実質金利」によって決まる ■

高橋氏は「ソロスカーブ」などと言っていますが、
為替相場も、株式相場も、不動産相場も、
「実質金利」によって動くと私は考えます。

結局投資家は、投資のポジションを「いくら儲かるか」によって決定します。
要は「実質金利が幾ら稼げるのか」が投資判断の基準になります。

■ 金融緩和が成功するかどうかはアメリカの金利次第 ■

アベノミクスの金融政策が成功するかどうかは、
アメリカの金利の影響が、日本国内の影響よりも大きいかも知れません。

日本では国債金利が下がり続けていますが、
アメリカの国債金利は上昇に転じています。
景気回復期待よりも、財政の崖問題などが原因の金利上昇ですが、
日米の金利差が広がり始めています。

アメリカはQE3の出口を模索し始めています。
しかし、QE3を終了すると、低利の資金が枯渇して景気が失速し、
最悪は金融危機の再発という事態を招きます。

そこでアメリカが目を付けたのが日本ではないでしょうか。

1) 日銀に大胆な金融緩和を実行させる
2) アメリカの金利を少しずつ上昇させる
3) 日本の金利はゼロ張り付く
4) 円キャリートレードの復活で、金利の安いマネーがアメリカに供給される

私はアベノミクスはアメリカの描くアメリカの出口戦略の一部だと考えています。

■ 2002年から2008年頃に似た偽りの実体の無い景気回復 ■

アベノミクスで日本経済のV字回復が期待されていますが、
輸出企業の業績は、自民党政権末期も悪くはありませんでした。
円安による輸出の好調で、「イザナギ景気越え」の、長期の景気拡大を記録しています。

ところが輸出企業は、利益の多くを株主に分配し、
一方で非正規雇用による人件費圧縮でさらに利益を拡大しました。
株主の半数近くを外国人投資家が占める日本の大手輸出企業は、
最早、日本人に利益を還元する事は無かったのです。
(社員は別ですが、社員の比率はドンドン低下しています)

一方で、世界で唯一ゼロ金利政策と量的緩和を実行していた日銀の資金は、
アメリカの金利に誘われて、国内では無く海外に流出しています。
所謂「円キャリートレード」です。
この安い金利の資金が、アメリカでサブプライムローンを支えていました。

■ 円は消えて無くならない ■

三橋貴明氏は円は消えて無くならないのだから、
円キャリートレードが発生しても円は日本国内で使われると主張します。

しかし、実際に2002年から2008年当時、
私達は景気が回復しているという実感を持っていません。
むしろ物価は下がっていましたから、デフレが進行していました。

では、日銀の緩和マネーはどこに行っていたのでしょう。

この時期、輸出企業は輸出増を背景に内部保留を拡大しています。
こららの資金は銀行に預け入れされたり、
あるいは、海外で金利目的に運用されていたります。

一方で輸出企業は設備投資を拡大していましたので、
内需もソコソコの規模で発生していたとも言えます。
実際にこの当時、輸出企業の正社員のボーナスは高かったですし、
工場の設備増強などで、建築業界にもある程度の資金は流れていました。

2002年から2008年を振り返ると、
2003年頃からは百貨店の新規出店も加速しいましたし、
郊外の大型ショッピングモールの建設ラッシュも起きていましたので、
消費者心理もそんなには悪くなかった様に思います。

■ 新興国からの安い輸入の増大が、物価を押し下げていた ■

今から思えば、この時期日本は「軽い好景気」だったのでは無いでしょうか?

しかし消費者物価はそれ程値上がりしていません。
年平均の消費者物価は2007年になってようやくプラスに転じています。


http://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html より

1) 新興国の生産力が増大
2) 新興国の技術力が進歩
3) 日本の輸出産業生産拠点を新興国移転

これらの要因、世間的には「ユニクロ効果」によって、
日本の消費者物価は、強い下落圧力を受けていたのでしょう。

ですから、内需産業は物価下落によって売り上げが下がり続け、
結局、賃金も下がるというデフレ状態が発生していた。

外需の好景気を、内需の値下がりが相殺する形で、
好景気と言われる割には、私達には景気回復実感が乏しかったのでしょう。

しかし、リーマンショック後から比べれば、
当時ははるかに景気が良かった事は確かです。

■ アベノミクスは先の好景気を超えられるか? ■

日銀の金融緩和は、円安と輸出企業の業績回復までは達成するでしょう。、
ここまでは、先の安倍政権時代とたいして変わりありません。

問題は、それ以上の需要を国内で生み出せるかどうかです。
それには、やはり「インフレ予測」を高める必要があります。
「日銀がジャブジャブお金を刷るのだからインフレになる」と市場に思わせる必要があります。

アベノミクスはそこにさらに「公共投資」を加えて
インフレ予測を確実なものにしようと試みています。
これは、その後の景気回復で財政が改善するのであれば有効な手段です。

高橋洋一氏ら構造改革派のリフレ論者は、
公共投資の拡大は好ましくないと主張しますが、
金融政策の緩和だけでは、円キャリートレードを生み出すだけで、
内需が本格的に回復しないのは2002年~2008年が証明しています。
(アメリカの金利にもよりますが)

いずれにしても「インフレ予測」は、
「株価」や「不動産」が値上がりするという予測につながり、
これらの価格が本格的に回復し始めれば、プチバブルが訪れます。

現状も株価の値上がり率を見れば、充分プチバブルですが、
株価を牽引しているのは外国人投資家の様です。
彼らは円安になった分、日本株を買いましているだけとも言えます。

国内の投資家達は、永年の冬の時代にすっかり臆病になっていますから、
3月決算後も株価が持続する事を確認してから、
本格的に動きだすのかも知れません。

株価が本格的に回復し始めると、「株で儲けた人達」が現れ始めます。
この人達が、車や不動産などにお金を使い始めると、
不動産価格の上昇が始まります。

■ 個人消費の回復は住宅価格の回復から ■

不動産価格が上昇し始めると、庶民の住宅ローンという不良債権の価値が回復します。
現状、住宅価格が元本割れして、ローンの借り換えが出来ない人達も、
住宅価格が回復すれば、低利のローンへの借り換えが容易になります。

ローンの負担が軽減すれば、個人の可処分所得が増加して、
それが消費も回れば、内需の歯車が回転し始めます。

■ 問題は出口戦略 ■

ここまで、トントンと上手く事が運んだとして、
その先には「出口」が待ち受けています。

そう、日銀による金利の引き上げです。
この時、日本の財政が税収増で改善していなければ、
金利の上昇は、国債の金利負担を一気に増加させ、
日本の財政の継続性に赤信号が灯ります。


■ 出口の前に、世界経済が破綻しそうだ・・・ ■

アメリカの描くQEによる景気回復も日本と同じ様なシナリオでしょう。
だから、盛んに株式市場を刺激して景気回復のイメージを作り出しています。
そして、住宅価格の回復を懸命に演出しています。

しかし、問題はアメリカの金融機関には依然大量のい不良債権が眠っているという事。

日本のバブル崩壊は不動産バブルの崩壊でした。
不動産価格は一気に下落しましたが、無価値には成りませんでした。
金融機関の不良債権も、金融庁が徹底的に洗い出しました。
オリンパスの様な飛ばしもありますが、
日本の不良債権はあらかた明るみに出て、
日本は粛々とその精算を続けています。


一方、リーマンショックで欧米の銀行が抱えた不良債権は日本のバブルの比ではありません。
彼らはインチキ住宅証券を、さらにレバレッジを掛けて取引していましたから、
これらのゴミ証券や、怪しげなデリバティブがどこかに死蔵されています。

欧米の銀行のストレステストなんて建前だけでしたから、
日本に様な条件で、不良債権を洗いざらい明らかにすれば、
世界の大手銀行はどこも未だに、経営破綻状態でしょう。

これらの隠された爆弾が破裂するのは、
金利が上がる瞬間です。

だから、アメリカはQE3を止める事が出来ない。
FRBがひたすらMBSと国債を買い続けています。

これは国民の将来の税収で、不良債権を買い続けているに等しい。

キプロスでは、一気に国民に負担を迫りましたが、
アメリカでは、ジワジワと将来の国民負担が積み上がっています。
一方で、不良債権をFRBが買い上げる事で銀行を利益を拡大しています。

・・・これが続く訳が無い・・・。

結局私たちは、アベノミクスの成否を心配するよりは、
アメリカのインチキ財政と金融システムの崩壊を心配する方が、
現実的なリスク管理となるのでしょう。

勿論、欠陥通貨であるユーロも相当にヤバイ。
キプロスの現状を見たら、南欧諸国の預金は一斉に逃げ出すかも知れません。


結局、世界の危機は同時多発的に発生し
人々は逃げ場も無く、次の世界を選択せざるを得ないのでしょう。



本日も、朝から気分が暗くなる「当たらない人力予測」でした。

たまには「アベノミクスでウハウハ!!」って記事を書けよと言われそうですが、
そういうのは、マスコミや自民党サポーターにお任せします。



3月を乗り切る・・・あと2日乗り切れば決算はクリアー

2013-03-28 09:02:00 | 時事/金融危機
 

■ 3月27日はどうにか乗り切った ■

アベノミクス絡みの3月相場が崩れ始めるとすれば
株の配当絡みで3月27日という予測も聞かれましたが、
どうやら、昨日の株式市場は多少もみ合っていますが、
若干のプラスで終了しています。

日経平均株価が下がり掛けると、
買いが入って買い支えている様に見えるチャートですが、
実際の所はどうなのでしょうか・・・。

ヨーロッパでキプロス危機が「宙ぶらりん」状態で、
とてもユーロ圏には資金還流出来ない事も幸いしたかも知れません。

一方、嘘か本当か、アメリカの経済指標は上向いているので、
ヨーロッパを回避した資金が、ダウに流れ込んでいる様です。
日経平均株価はダウに連動する傾向を見せるので、
ユーロ危機に感謝といった所でしょうか?

日本の企業関係者は、このまま何も起こらないまま、
3月期末の決算を乗り切りたいと、神にも祈る心境でしょう。

■ マスコミの宣伝効果で個人消費に回復に兆し ■

TVでは連日、アベノミクス効果が宣伝されているので、
世の中にだいぶ、景気回復への期待が醸成されて来た様です。

春の訪れも人々の気持を明るくするのか
百貨店の買い物客も増えている様です。
消費が回復しているのは高齢者が中心の様ですが、
株で儲けたのか、プチセレブの若い奥様達の姿も目に付きます。

いずれにしても個人消費が上向く事を喜ばしい事です。

■ 不動産価格も回復の兆しが見える一方で、低迷する自動車販売 ■

不動産価格もインフレ期待で少し回復している様です。
不動産価格を牽引しているのは個人の取引というよりは
不動産業者やファンド関係が動き出したのでは無いでしょうか。
本格的に物件が値上がりする前の、
金利が低い内に在庫を充実させておこうという動きでしょう。

その一方で、大型の耐久消費財である新車の国内販売は低調の様です。
2月の国内販売(軽を含む)の前年度同月費は、マイナス8.1%と振るいません。
特に、軽自動車以外の落ち込みが、前年同月比マイナス12.2%と顕著です。
こちらは、エコポイント制度で需要を先食いした反動が尾を引いているのでしょう。

■ 円安でも低調な輸出 ■

一方で輸出はマイナスで推移しています。
本来円安で輸出増となるはずですが、ヨーロッパは景気後退局面、
ヨーロッパの不況に引っ張られる形で中国やその他の新興国も景気には黄色信号が灯っています。

唯一、好調に見えるアメリカですが、
こちらも日本車の1月の輸出台数は北米向けが前年同月比89.8%。
アメリカ国内での自動車販売台数は増えているので、
円安でありながら、日本車の輸出不振の理由は、
在庫が無くなるまでは値下げされていないなどの理由が考えられます。

一方、アジア諸国への材料や部品の輸出は、
輸出先の台湾などから、円安分、価格を割り引けとの圧力が掛かっています。
ここら辺が、素材、部品輸出の辛い所で、価格決定力は輸入国が握っています。

■ 金融緩和が動き出す ■

アベノミクスは期待は先行で日本の景気の先行きに薄日が射しています。

しかし、実際の政策としては補正予算の成立と、
日銀総裁副総裁をリフレ派に変えただけです。
補正予算の実行も10%程度ですから、景気刺激効果が出る段階ではありません。

麻生さんではありませんが、
「まだ何もやっていない。ちょっとアゴしただけ」とも言えます。

昨日、黒田日銀総裁が金融緩和の具体的は方法に言及しました。

1) 日銀の国債購入を1本化する
2) 残存年数の長い国債も買い入れる
3) 日銀券の発行総量による規制を緩和する

概ねこの様な内容で、これを受けて長期金利が低下しています。
銀行は日銀の当座預金に資金が積み上がっていますから、
優良な物件があれば投資に積極的な様です。

ところで銀行にとって優良な物件とは何かと言えば、
担保がしっかりしている借り手です。
中小企業でも担保のある無しで、明暗がはっきり分かれている様です。

不動産価格が上昇し出せば、担保価値が増えるので、
少しずつですが、貸し出しも増えて行くでしょう。

しかし、土地担保が無ければリスクを負わない日本の銀行は、
日本の景気回復を邪魔し続けています。
ここら辺は、アメリカの銀行などを見習うべきです。

■ 3月末で金融円滑化法(モラトリアム法)が終了する ■

一方で、実質的には経営が破綻しているであろう数万件の中小企業に、
モラトリアムで融資し続けたてきた中小の銀行は、
モラトリアム解除によって、どの位の損失が出るのか戦々恐々としています。
とても、担保も取らずにこれらの企業にさらなる融資を出来る状態で無い事は理解出来ます。

3月末に起源が切れる金融円滑化法(モラトリアム法)の影響が
中小企業にどのくらい出るのか、心配な状況が続きます。