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人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

今期アニメ 人力ベストテン・・・「王道」には敵わない

2013-03-30 04:38:00 | アニメ
 

今期アニメもほぼ終了しました。
今期アニメの特徴は、2期連続が多かった事で、
一期ものと二期ものを同列に扱うのは不公平かも知れません。

それでも強引に行ってみましょう!!
恒例の、「人力・アニメ・ベスト10」

第1位 『たまこまーけっと』



このOPだけで今期最強・・・『たまこまーけっと』

いやー、完全に京アニにやられましたね。
文句無しの第1位。

アニメというのは、人の動きに一つ一つ、背景の一つ一つを「無」から創造してゆきます。
それに対してドラマや映画などでは、セットやロケ地の中で俳優が演技します。

この違いはとても大きく、特に動きに関してはアニメは非常に自由度が高い。
生身の人間で『ドラゴンボール』の動きをする事は不可能ですが、
アニメでは、派手な戦闘シーンも自在に演出する事が出来ます。

逆に現在のCGを駆使して実写でアニメの動きを再現する事は可能ですが、
デフォルメを前提とするアニメ描写を実写にすると「ギャク」にしか見えません。
アニメはある意味画面の情報量が少ないので、自由度が非常に高いのです。

では、実写の様な演出がアニメで不可能かと言えば、そうではありません。
「完璧を追求できる」という意味において、アニメは実写を上回る可能性を秘めています。

背景も、人物の動きも、セリフ回しも、全てを監督がコントロール出来ます。
この究極の演出は、原恵一の『カラフル』で見る事が出来ます。
背景の夕暮れの光の変化を、巧みに演出に取り入れていますが
実写では、数分で移ろう夕暮れの光で、一発取りの様な撮影はほぼ不可能です。
非凡とは何か・・・原恵一/カラフル

『たまこまーけっと』の最大の魅力は「動き」です。

オープニングでの「たまこ」の動きは圧巻です。
スカートの揺れ方の一つまで、完璧に神経が行き届いています。

本編でも、実写映画の様なオーソドックスなカメラ位置を意識しながら、
その中で、たまこを始めとする登場人物達が、
完璧にコントロールされた「動き=演技」を繰り広げます。

そして、時々見せる大胆な構図がまた映画的で素晴しい。


フレームアウトしてみせたり

足だけのショットを繰り返したり

ちょっとやりすぎかなと思う構図もあったり・・・

基本的には、小津安二郎や山田洋次が作り上げた
日本のホームドラマの伝統に上にしっかりと乗っかりながら、
アニメならではの世界感を見事に作り上げていて、
「完璧」に近い出来栄えです。


これは「絵作り」だけでなく、「ストーリー」の骨格も
「たまや」と「とらや」に置き換えたら・・・これって「寅さん」じゃないか!!
さしずめ「デラちゃん」が「寅さん」
「たまちゃん」は「さくら」といった所でしょう。
そして、マドンナ役が「しおり」さん。



私、ローソンかファミマが「たまやの豆大福」を売り出したら
絶対に買っちゃいます!!。

元『instant cytron』 (インスタント・シトロン)の片岡知子による音楽も最高でした。


第2位は 『僕は友達が少ない NEXT』



実は2位は迷ったのですが、やはり「はがない」は素晴しい。
何が素晴しいかと言えば、「オタクハーレム展開」というラノベやアニメの王道を
3回転半くらいヒネリながらも、オタクの心に「ジン」と訴える何かがある。

再生産によって純化するライトノベルの本質・・・「僕は友達が少ない」

ハーレム展開というのはモテナイ男子の究極の願望な訳ですが、
ラノベやアニメの視聴者達は、「そんな現実は自分には絶対訪れない」事は百も承知です。

そんなオタクの願望を安直に具現化した「ハレム設定」を採用しながらも、、
「誰かを選んだ瞬間に、このぬるま湯的な人間関係は壊れてしまう」という
極めて現実的な苦悩に主人公は苦しみます。

美少女ゲームでは、「ルートの選択」で済む問題。
「破局」したら、「ルートを選直せば良い」問題ですが、
現実の世界では、ルート選択の失敗は、致命傷になります。

だから、「誰も選べない」という主人公の苦悩は、
極めてアニメ的な構造の中に、極めて現実的な問題を外挿した意味で非常に興味深い。


『僕は友達は少ない』はハルヒを始めとする「ハーレム」ラノベの
いわゆるパロディーの様な作品です。

しかし、原作者の視点は極めて醒めています。
「ハーレム展開」という構造に発生し得る、ほんの少しの歪みを上手く利用する事で、
作品の中に、上手に「情緒」みたいなものを浮び上がらせるセンスは卓越しています。

「集団躁状態」の中に現れる、ほんの一瞬の沈黙みたいな時間に敏感なのです。

そして、これこそが、自分にキャラ付けしてアニメさながらの「躁」を演じる
現代の子供達が、一番恐れる瞬間なのかもしれません。
「オマエ、何素に戻ってんの?!」みたいな・・・。


こういう表現はセンスが無ければ出来ませんので、
原作者のセンスに敬意を表して、第2位としました。

それにしても、第2期は「りかちゃん」の為にある様なシーズンでした。
まさか、こんなにカワイイキャラになるとは・・・。
「もう、りかちゃんでいいじゃん!!」って気がするのですが・・・。


第3位は 『まおゆう魔王勇者』



経済アニメというジャンル・・・『まおゆう魔王勇者』と『狼と香辛料』

世界史の教科書や、現代社会の教科書では伝わらないもの・・・
それは、歴史や経済のリアリティーです。
そこに目を付けて、をれをエンタテーメントに昇華したのにはビックリです。


特に9話の農奴の娘の演説は圧巻でした。
教科書からは伝わって来ない、民主主義の本質がビンビンと伝わってきます。

先物取引や、通貨の変動相場など、興味深い内容が満載です。

第4位は 『PSYCHO-PASS サイコパス』



確実に存在しながら、存在しないもの・・・『PSYCHO-PASS』に見る警戒心の麻痺

これ、ベスト1でも良い内容なのですが、
とにかく「出来すぎ」ているのがツマラナイ。

確かに「SF王道アニメ」なのですが・・・
『たまこまーけっと』『ガールズ&パンツァー』の様な
「開き治った王道感」に乏しい感じが・・・・。

『天元突破グレンラガン』以降、SFアニメは難しくなりました。
(これ、次回取り上げます)

 第5位は 『ROBOTICS;NOTES ロボテクツノーツ』



ロボットは「夢と希望とロマン」だ・・・『ROBOTICS;NOTES』に見るサイバニクスの未来
低血圧の神アニメ・・・『ROBOTICS;NOTES』(ロボティクス・ノーツ) 

この作品、実は大好きなのですが、
オレの瑞榎(れいか)を何故殺したーーー!!
・・・という事で、5位認定。

主人公2人と、その姉との葛藤が物語りの中心なのですが、
この3人が実に良くない。
それとは裏腹に、脇役がとても素晴しいという、実に困ったアニメです。

最終回に突き抜けた感動があれば2位でも良かったのですが、
最終回の出来は、明らかに『サイコパス』の方が上でした。

第6位は 『ささみさん@がんばらない』



バッターボックスに後ろからボールが飛んで来る衝撃・・・『ささみさん@がんばらない』

これ、 新房昭之の超絶演出を堪能する作品ですが、
個人的にはエンディングだけでも十分楽しめました。

ようやく最終回でっさみさんの歌声が聞けた・・・。
エンディングを作詞作曲したヒャダインもようやく一安心でしょう。

第7位 『新世界より』



読書の悦楽・・・アニメでは見たくない『新世界より』 

これは一言、原作を読んで欲しい。
良くも悪くも、アニメや映画の限界を感じさせる作品。


7位以下は、無しです。


そして輝ける スーパーベストワンは『ガールズ&パンツァー』



「あり得ない」を吹っ飛ばす「ディテールの積み上げ」・・・・『ガールズ&パンツァー』 
王道・スポ根アニメ・・・熱過ぎるゼ、『ガールズ&パンツァー』
オタクアニメと侮るなかれ・・・・ただただ素晴らしい『ガールズ&パンツァー』

前期終了アニメなので、ここで取り上げるのは違反ですが、
あまりに凝った映像の為(多分)製作が間に合わなかったので、
ようやく今週、最終話を見る事が出来ました。

「王道」を超える「王道」

最後の戦車の一騎打ちには、手に汗を握りました!!
とにかく見るしか無い!!

「パンツァー・フョー!!」


さて、今回も勝手にベストテンを選出しました。
異論反論、ドシドシお寄せ下さい!!