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■ エジソンの永遠のライバル、ニコラ・テスラ ■
『昭和元禄落語心中』と『僕だけが居ない街』という2強によって影が薄い今季アニメ。それでも地味に面白い作品が有ります。それは『Dimension W』。
XYZの次元座標の次に発見された次元軸W。このW時限から無限ノエネルギーを取り出す事が出来るのがテスラーコイルという装置。ここまで読んだだけで「陰謀論者」ならば狂喜乱舞するような内容。
アメリカ人の科学者ニコラ・テスラ(1856年7月10日 - 1943年1月7日)は交流電流、ラジオやラジコン(無線トランスミッター)、蛍光灯などを発明し、磁束密度の端員「テスラ」にその名を残します。
上の写真はテスラが発明した高電圧を発生するテスラコイルによる放電実験です。テスラコイルは1次コイルと2次コイルの共振を利用して高電圧を作り出す装置です。一般的にトランスで昇圧を行う場合、巻き数の少ない1次コイルと巻き数の多い2次コイルの巻き数の比の分だけ昇圧が可能です。ですから高圧を得ようとした場合、2次コイルの巻き数を多くすれば良いのですが、それに従って効率が低下するという欠点を持っていまいした。テスラの作り出したコイルは2次側コイルの漏れ磁束が1次コイルの磁束と共振して効率良くエネルギーを取り出すという物で、共振周波数を多数有する事でさらに効率が高まります。
現在でも蛍光灯や高圧放電灯の点灯回路に応用されていますが、発表当時は上の写真の様に「見せ物」的に注目を集めた様です。(当時の科学は多少なりとも見世物的要素を含んでいまた)
テスラは同時代のエジソンと並ぶ発明家でしたが、彼はどうやらエジソンを相当ライバル視していた様です。
■ 陰謀論のヒーローとしてのテスラ ■
陰謀論者の間ではテスラさんはヒーローとされていますが、それは彼が「無限エネルギー」を発明したと信じられているから。130年前にテスラー発明したとされる「テスラ発電機」は1KWの入力で10Kwの出力が得られるという熱力学の法則を無視したキテレツな発明。
テスラ発電機を外部の力で始動すると、共振現象によって発電機自身がパワーを生み出し続け、外部の力を遮断しても発電機が回り続けるとされています。これが事実だとすれば、テスラー発電機は無から有を生み出している訳で、まさに「無限エネルギー」を実現している事になります。実際には発電機を回転させるエネルギーは発電機の外側から供給されているはずで、多分、地球の磁界がこれを供給していると私は妄想しています。
さて、テスラさんが何故陰謀論者のヒーローになったかと言えば、彼が「無限機関(フリーエネルギー)」を発明した事よりも、その研究を何物かに阻止された事に原因しています。テスラーの研究室は襲撃され、その資料はFBIに押収されたと言われていますが、その背後には銅の利権を独占していたJPモルガンが居たと囁かれる。或いは石油利権のロックフェラーが居たとか・・・。テスラの発電機が実用化されれば地球上どこでも石油を使わずに電力を取り出す事が出来る訳で、石油も送電線用の銅も需要が大幅に減少するからだとされています。
実はテスラコイルに似たフリーエネルギーに関する研究を成功させた科学者や発明家はその後にも登場しますが、皆研究を断念しています。様々な妨害にあったと陰謀論者は信じて疑いません。
■ 良質な「空想科学絵巻」としての『Dimension W』 ■
『Dimension W』は「テスラコイル」と呼ばれる装置が発明された世界のお話。第4の次元Wから無限のエネルギーを取り出す「テスラコイル」の実用によって地球はエネルギー問題から解放されています。そのエネルギーを統括するのがNTE(ニューテスラエナジー社)。しかし、彼らはテスラコイルの闇の一面を隠匿しています。
NTEが供給するコイルはトレース機能が付いていて違法の使い方が制限されています。その為に不正コイルが闇市場で流通していますが、不正コイルは不安定で事故を起こし易く危険です。不正コイルを回収する職業が「回収屋」ですが、マブチ・キョーマはその一人。大のコイル嫌いで、トヨタ2000GTを未だに乗り回す彼ですが、実は凄腕の回収屋です。そんな彼がロボットのミラと関わる事で物語は動きだします。
NTEが秘匿しているのは、テスラコイルが次元Wの限定されたエネルギーしか取り出していない事。この制限が緩い違法コイルは時として過剰のエネルギーを取り出してしまい事故を起こす可能性が有る。さらには「ナンバーズ」と呼ばれる開発段階に配布された実験用コイルはエネルギーだけでは無く、「事象の可能性」まで取り出す事が出来る様です。要は「変えたい過去を変える事が出来る」可能性を秘めている。このナンバーズを巡り、過去にキズを持つ者達が暗躍します。多分、キョーマも過去を引きずる一人・・。
■ 良質な「科学ミステリー」としての『Dimension W』 ■
SFとしこの作品はとても魅力的ですが、さらには「ミステリー」としても良く出来ています。
『怪人二十面相』を彷彿とさせる第二話「ルーサー」と第三話「ナンバーズを追え」
ちょっとノスタルジックな幽霊ミステリーの第四話「八十神湖に潜む謎」と第五話「亡者の可能性」
そしてアンドレー・タルコフスキーの『ストーカー』さながらの第8話「虚無に落ちた島」
物語は未だ半ばですが、テスラコイルを軸に様々な表現を見せてくれるこの作品。良質なミステリーとしても大いに楽しめます。
■ 良質な「美少女アニメ」としての『Dimesion W』 ■
とまあ、SF作品として、ミステリー作品としての魅力に溢れた『Dimennson W』ですが、その最大の魅力はキョーマの相棒を務めるロボットのミラちゃんがムチャクチャ可愛い事。
人間以上の感情表現をするこのロボット、実はテスラーコイルの発明者百合崎博士と行動を共にしていました。失踪した博士に何やら使命を託されていると思われるミラちゃん。キョマーの悲しい過去とも何やら関係が有りそうで目が離せません。
実はこういう話方をする「純真ぶりっ子キャラ」を私は「大嫌い」なのですが、ミラちゃんは別。ロボットという本人が「性」を意識していないという「設定」故に「純真」がイヤミにならないのでしょうか・・・。はたまた、彼女の悲しすぎる過去を色々と想像してしまう故でしょうか・・・。
もう、その小さなおしりからチョロンと生えたプラグコードも、感情にリンクしてパタパタする頭のアンテナ(耳?)も、チョーOKっす。
この耳、どこかで見た事あるぞと思ったら、シリーズ構成を務める菅正太郎が『輪廻のラグランジェ』でマドカにくっつけていましたね。あのウサギの耳も可愛かった。
■ 「動く絵=アニメ」の真骨頂としての『Dimension W』 ■
色々書いて来ましたが、『Dimenson W』が一級の作品と問われたら・・・答えは「否」です。二流の作品です。
しかしOPの映像だけは「超一級」です。消されてしまわないうちに見てみましょう。
OPの監督は「世界の梅津」こと梅津 泰臣(うめず やすおみ)。最近では『ガリレイドナ』が記憶に新しいのですが、彼の真骨頂はエロアニメの『カイト』で世界中のファンは異論は無いでしょう。18禁作品だけに紹介するのは、少々はばかられる所もありますが・・。かつての日活ロマンポルノ同様にエロを入れておけば、どんな表現も有る程度許される18禁アニメ。日本のアニメが現在の様にチヤホヤされていなかった1998年の作品ですが、才能にあふれたクリエーター達は18禁の分野で、その才能を如何なく発揮していました。
この作品はアクション作品として実写も含めた日本の映像作品の中で5本の指に入るでしょう。殺し屋に拾われた少年と少女の過酷な運命を描くシリアスな内容ですが、とにかくアクションシーンの素晴らしさは特筆に値します。
欧米でも熱烈なファンが大勢いるこの作品、アメリカとメキシコ合作で『A KITE』として実写映画化されていますが、まあ大した事無いでしょう。アニメの動きを実写でやろうとして成功したのは『マトリックス』くらいしか思い当りません。
さて、『Dimension W』のOPですが、何故か冒頭キョーマが踊っています。何故?何故?と首を傾げたくもなりますが、この動きの凄い事。
人間の動きをアニメでリアルに再現する方法にロトスコープという手法が有ります。実写を先取りして、それをアニメに描き起こすのです。昔の『白雪姫』などのディズニー・アニメがこの手法を用いています。ところが、ロトスコープはリアルになればなる程不自然さが拭えません。CGに感じる気持ち悪さと同質のものですが、2次元である絵が三次元的に動く事に脳は違和感を覚えるのでしょう。
『悪の華』ではその気持ち悪さが良い方に働いていたロトスコープですが『信長協奏曲』では最悪の効果を生み出していました。最近のロトスコープで最も成功しているのが『すべてがFになる』のOPでしょう。ネットの動画が見当たらないので探してみて下さい。単純な線画と自由な形態変化を採用する事で、ロトスコープ特有の気持ち悪さを回避する一方で、実写でしか再現し得ない人間の動きの特徴を「絵」として抽出する事に成功した奇跡的な作品です。きっと実験アニメの分野では昔から試みられているとは思いますが、センスに脱帽です。
一方、梅津の監督するOPのキョーマの動きは実にアニメ的にカッコいい。一種の「ケレンミ」の有る動きで歌舞伎などにも通じますが、「静止」の瞬間がしっかり取られているので動きにメリハリが有ります。そして「力が抜ける瞬間」が有ります。これ、武術の達人の動きですよね。人の頭の中で動きを作り出して、それを絵として定着される作業にはセンスが要求されます。優れたアニメーターにだけ許された資質なのです。
さて、人物の動きだけでなく、カーチェースのシーンも見ものです。これは「視点」のサーカスの様な表現ですが、カメラは寄ったり引いたり、ターンしながら動きを動的に負い続けます。カーチェースが好きなハリウッドのクリエーター達がメニターに噛り付いている様が目に浮かびます。
興味深いのが『Dimension W』のED。こちらは完全に『鉄腕バーディー DECORD』へのオマージュが溢れていますね。こちらは動く事への執着が感じられます。作画なんて多少崩れたって・・・。
■ 今季アニメはOP/EDが秀逸 ■
実は今期アニメはOP、EDに注目すべき作品が多い。
駄菓子屋トリビア・アニメの『だがしかし』のエンディング。ただ走っているだけですが、アニメ的な魅力に溢れています。動きのデフォルメですが、手の振りや足の跳ね上げ方でどうやって躍動化を生むかのお手本の様。動きでキャラクターの性格を表現する事だって出来るんです。歌の『カロリー・クイーン』も素晴らしい。こういうキャッチーに振り切れた歌、良いです。
こちらは『昭和元禄落語心中』のOP。「椎名林檎のコピーじゃん!!」って思ったら作詞作曲はご本人でした。歌は林原めぐみ・・懐かしい。センスさえあれば、絵なんてたいして動かさなくても良いという好例。EDも絵なんて動きませんが・・・全然OK。
ところで、この作品、NHKの朝の連ドラにしてくれないかなあ・・・きっと大ヒット間違い無し!!
こちらは既存曲が作品世界に見事にマッチした稀有な例。曲はアジアン・カンフー・ジェネレーションの「Re:Re:」。彼らの2004年のアルバム「ソルファ」の中の名曲ですね。この歌詞、本当に作品の内容にベストマッチしてますね。ちなみに上の映像はMAD(偽物)。本物は削除されてますが、MADも素晴らしい出来ですね。
こちらは異色の石膏アニメ、『石膏ボーイズ』のED。EDだけでは無く、本編の中もで主人公は石膏像。写真では無くて絵で描き起こしている所がミソ。さらに登場人物の絵の表現手法がバラバラで、「鷹の爪」に匹敵する挑戦的なギャグアニメ。『おそ松さん』よりもニューウェーブな笑いです。・・・・思い出しただけで涙が・・・「ジョルジョってる?」「節子のヤーヘー」・・・ウププ・・・。
ちなみに作詞は『ゆり熊嵐』の『あの森で待てる』で一躍有名になったボンジュール鈴木。