人力でGO

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無限国債の限界・・・現実的なシナリオ

2016-03-22 05:34:00 | 時事/金融危機
 
 
■ マイナス金利でも益出しが出来る日本国債 ■

普通に買えば損をするマイナス金利の国債を金融機関が敢えて買うのは何故か・・・それは将来的に国債金利がもっと下がる事を予想しているから。ここら辺は財務省・日銀と金融機関が阿吽の呼吸で間接的な日銀の国債買い入れを継続しているので、金融機関も安心してマイナス金利の国債を買う事が出来るのでしょう。

要は日銀が、もっと高い価格(低い金利)で国債を買い取る事が暗黙のルールとなっているという事。これが無限に続けは政府は国債発行益を得られる訳で、それこそ無税国家だって出来てしまいます。

■ 国債金利の下限は存在しないのか? ■

金利に下限が存在するならば、マイナス国債を民間金融機関が買う事が出来なくなる時が必ずややって来ます。では金利の下限は何処にあるのか・・・?

国債金利は本来市中金利を反映する物ですが、市中金利は間違ってもマイナスにはなりません。お金を借りたら利息が貰えるなんて事は絶対に起こり得ないからです。

このまま国債金利のマイナス幅が拡大すると、市中金利と国債金利の差が徐々に開いて行く事になります。この状態で景気回復が発生した場合、金融機関が国債購入で稼げる金利よりも、市中の貸し出しで稼げる金利の方が大きくなるので、金融機関は手持ち国債を売却しますし、当然新発国債の入札も手控えるでしょう。そうなると国債金利がピョンと跳ねあがて国債を大量に保有する金融機関が経営危機になります。

これを防ぐ為には「不景気の継続」が必要で、日本は少子高齢化で構造的にマイナス成長がて長期的に続くので、金利上昇をあまり心配せずに財務省・日銀は国債のマイナス金利を継続する事が可能となります。

■ 国債金利が不用意に低下し過ぎた時が危険 ■

現在は市中に資金は溢れていますから、これが効率的に海外にポンピングされなければ国内で資産バブルが発生します。円高によって国外投資の逆転が発生している現在、国内でバブルが発生し易い状況ですが、世界経済に黄色信号が点灯している事と、年初来の株安がバブルの発生を防いでいます。

なんだか、しばらくはマイナス国債の恩恵が続きそうな気がして来ましたが、問題は残されています。

仮に海外で再び金融危機が発生すれば、海外の資金が引き上げられ、短期的には資金の逃げ場は日本国債となるので、国債金利はさらに低下します。国債への資金流入が続く間は金利は下がり続けます。

この状態が危険だと私は考えています。日銀と金融機関の阿吽の呼吸で管理されていた国債金利が下がり過ぎると、その次は金利上昇がかならず発生します。ここで、金融機関が驚いて国債売却に走ると、一見完璧に見えた「財政ファイナンス」の方程式が崩れます。

「無限国債」や「無税国家」などは当然実現し得ないのですが、世界経済の状況如何によっては現在のマイナス金利国債の限界も意外に近いのでは無いでしょうか?


<追記>

日銀が当座預金の超過準備のマイナス金利適応規模を拡大しなければ、資金の逃げ込み先は日銀の当座預金となる事も考えられます。ここら辺の匙下限と、金融機関との連携が日銀の腕の見せ所となるのでしょう。