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千葉の秘境シリーズ・・・紅葉の梅ヶ瀬渓谷

2016-12-05 04:12:00 | トレッキング/旅行
■ 千葉県の紅葉の名所「梅ヶ瀬渓谷」へ自転車でGO!! ■

千葉県は関東地方でも一番遅い紅葉が楽しめる場所です。東京からのアクセスも良いので、鎌倉と並び、「遅い紅葉スポット」として人気があります。特に養老渓谷は「滝 + 紅葉」「渓谷 + 紅葉」というセットでお得感バッチリ。さらには鉄道でアクセスの場合、小湊鉄道というローカル線も楽しめるとあって、バリューセットみたいな紅葉スポットです。

本日は関東最後の紅葉を堪能する為に、養老渓谷の「梅ヶ瀬渓谷」に自転車でGO!。本日ばかりは本格的なトレッキングなのでビンディングシューズでは無理でしょう。という訳でフラットペダルの街乗りMTB、ラレー君で出発です。本当は朝早く出かけるべきでしたが、家内とゆっくり朝食をしていたら出発は9:30になってしまいました。

急がないと12月の日暮れは早い。山の中で暗くなるのは勘弁なので、ブロックタイヤをブンブンウナラセて養老渓谷には13:15分に到着。休憩せずに、そのまま梅ヶ瀬渓谷に向かいます。

■ 千葉県の谷って結構深いんです ■
 
養老渓谷は房総半島のほぼ中央部に位置します。養老川が柔らか地層を深く浸食して出来た谷なので、畑の向うがいきなり断崖絶壁になっていたりします。


養老渓谷の駅の裏の田んぼの先は・・・断崖。



■ ファミリー向けのコースです ■


梅ヶ瀬渓谷は養老川の支流の梅ヶ瀬川が大福山の麓に刻んだ谷です。入口の「女が倉」は養老渓谷駅からは徒歩30分程度。そこから川沿いのコースを1時間から1時間30分歩くと紅葉の絨毯で有名な「田中邸跡」に到着します。健脚ならばそこから大福山に登るコースを選んでも良し。或いは川沿いのコースをUターンして戻っても良し。距離が短いので、ゆっくり歩けばお子様連れや、高齢者でも楽しめるコースです。


■ トンネルを抜けると、そこは紅葉だった・・・ ■

車で行かれる方は、「目ヶ倉」のトンネルの手前に民間の駐車場が在ります。この先に公営の駐車場もあるので、ハイキングコースの入り口までは車でアクセスが可。私は自転車を民間の駐車場に停めさせて頂きましたが、「おいくらですか?」って聞いたら「自転車だからタダで良いわよ」と親切な御婆さん。それでは申し訳無いので、では300円をと言うと、バイクだって100円だから100円で良いと・・。さらに「庭先に停めておいてね。取られない様に見張ってるから」とありがたいお言葉。

「地図持って来なさい、大福山に登っちゃいなさいよ若いんだから。」とのアドバイス。時間が遅いので、渓谷を往復するだけのつもりでしたが、こう言われては山登りに変更です。

民間の駐車場の先にトンネルが在ります。


トンネルの先のY字路を右に行くと「大福山」。こちらは舗装道路です。左に進むと梅ヶ瀬渓谷沿いのハイキングコース。私は左をチョイス。


しばらく車も通る林道を歩きますが、すでに紅葉を堪能できます。本当は先週が一番の見頃だったと思いますが天気が悪かったので・・・。今週が最後の見頃でしょうか。


■ 川筋は細いけれで谷は深い ■

梅ヶ瀬川は川と言うよりは「沢」と呼ぶ様な細い流れです。しかし、柔らかな房総の地層では、こんな流れでもガンガン侵食されて深い谷を刻みます。途中、崖を近くで見られる所が有りますが、砂の層と粘土の層が幾重にも重なっています。かつてこの地が海の底であった事が良く分かります。

梅ヶ瀬渓谷からは世界最大のトドの化石が見つかっています。現在のトドの1.5倍の大きさがあったと考えられていますが、トドが出現した時代は、まだこの地が海底であったのです。その為、堆積層の深さは浅く砂岩の層は比較的柔らかです。


房総特有の「川回しのトンネル」が彫られていますが、地層が柔らかいので手堀りで比較的簡単に掘削出来るのです。江戸時代後期には新しく開拓された新田には年貢が掛からなったので、新田開発が活発になります。房総では複雑に蛇行する川筋をトンネルで短絡させ、蛇行部分を田にしていました。面積としては僅かなのですが、山間には貴重な田でした。


しばらくは杉林の中を歩きますが、コケやキノコを観察できます。




■ 渡河が多いので靴には注意を ■

実は梅ヶ瀬渓谷のハイキングコースは「渡河」が多い。渡河と言っても浅い流れを飛び石で渡るだけですが、濡れた飛び石は滑り易く、中にはグラグラする石もあるので、なかなかスリリングです。高齢の方は杖があった方が安全です。小さなお子様は長靴が一番。



途中、岩壁から水が滴っていました。こういう水を集めて川が出来ているのが良く分かります。



■ ここは千葉県ですか? ■

冬の午後は山の影で谷筋は日陰になっています。時折、眺望が開ける場所で見上げると、見事な紅葉が日の光に照らされています。


進むにつれて谷は深く、狭くなります。だんだんとここが千葉県である事を忘れそうな風景になって来ます。秘境指数は結構高い。




上流に行くに従って、紅葉も増えてきます。


■ 梅ヶ瀬に理想郷を建設しようとした明治の偉人、田中誠実 ■

そろそろハイキングコースも終点が近づく頃、いきなりコンクリートの構造物が現れます。これ、橋の後だと思うのですが、こんな所に道が通っていたのでしょうか??或いは砂防ダムの成れの果てなのか??


今では、こんな丸木橋で沢を渡ります。これ・・・お子様やお年寄りには結構デンジャラス・・。


丸木橋の先で右が二つに分岐します。真直ぐ進むと「紅葉の絨毯」で有名な「田中邸跡」。右に進むと大福山への登山道です。


「田中邸」って、こんな山奥に家があったのかと驚きますが、明治の偉人の一人田中誠実(のぶざね)の家があった場所だそうです。宮崎出身の田中誠実は陸軍の近代化に貢献した後、この地を陸軍から譲り受けます。教育者でもあった彼は、この地に理想郷を築くべく、明治18年ここに梅を植え、近隣の農家に畜産や近代農業を教え、21年梅ケ瀬書堂を開校して周辺の子弟に和漢、英算、剣道などを指導したという。彼を慕って多くの若者が梅ヶ瀬書道に集った。大福山山頂には当時の教え子達による立派な石碑が建てられています。

田中誠実の理想郷の夢は実現しなかった様ですが、今ではこの地は都会の自然愛好家の理想郷となり、梅ヶ瀬書道は建物こそ無くなりましたが、今でも多くの人がここを訪れ、田中誠実お理想に思いをはせるのです。


■ 結構な急坂の大福山登山道 ■


本日は時間が無いので、グっとこらえて大福山の登山道に進みます。大福山の登山道は結構な急坂が続きます。


ひとしきり坂を上ると、視界が赤と黄色で占領されます。ここが「もみじ谷」。先ほどまで谷底から見上げていた紅葉地帯の真っただ中に居る事に気づきます。もう、言葉も出ない美しさ。野鳥の澄んだ囀りが美しさをさらに引き立てます。ガイドの地図には「サンコウチョウ」や「ヤマセミ」も生息していると書かれていました。




ひたすら紅葉の中を進んで尾根筋に出ます。房総特有の両端が切り立ったやせ尾根ですが、木の根が張っているので足元はしっかりしています。



本日は人手も多いので野生のサルやシカに出会いませんでしが、マムシやヤマビルにも注意が必要です。イノシシもいきなり出くわすと突進して来る事が在るので危険。まあ、彼らの住処に人間が入り込んでいる訳ですから文句は言えません。ヤマビルの心配が要らない今の時期は快適です。




最後の階段を登り切ると東屋が建っています。ここに田中誠実の石碑が在ります。紅葉シーズンなので屋台が出ていまいた。いつも自転車で登って来る場所に、足で登るのも不思議な感じです。大福山は標高は標高は295mですが、市原市の最高峰。


実は大福山は日本の南と北の動植物が出会う場所として、その筋の方には有名な場所らしい。動植物の種類が非常に多いのです。


■ 紅葉のトンネル ■

ここからは舗装道路を3Km程、目が倉に向けて下って行きます。道端に植えられた紅葉がまさに見頃で、「紅葉のトンネル」という形容がぴったりです。いつもは自転車でヒーヒー言いながら登ったり、逆に高速で下るので景色を見る間も在りませんが、たまには歩くのも悪くは無い。





道端にリンドウが咲き残っていました。


ナナカマドの葉の赤が一際目を引きます。



4時も近くなると冬の太陽は山の端に隠れはじめます。


自転車の停めてある駐車場まで急いで戻ります。短時間でしたが、紅葉を満喫しました。帰路は上総牛久からは大多喜街道を進みます。完全に夜間走行ですが、MTBは渋滞の車列の横をドブ板走行出来るので便利。八幡宿で電車に乗ります。


本日はMTBで112Km走り、簡単な登山もセットで・・・新たな遊びの1ページを開いた気がします。


梅ヶ瀬渓谷、お勧めです。特に川を渡る時のスリルが楽しい。フィールド・アスレチック感覚でお子様連れで是非。今週中は紅葉も見れるかと・・・。