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無限国債は継続可能か・・・円の下落で崩壊するだろう

2016-12-06 07:00:00 | 時事/金融危機
 

■ 日本の財政の継続性よりも先に来るであろう危機 ■

現在の日本は「無限国債」が限定的に成立しています。

1) 10年債までの金利がゼロ以下
2) 借換債(10年債)の金利もゼロ以下
3) 日銀が現状は国債金利をコントロール出来ている
4) 10年以下の新発国債、借換債は国債発行益が出る状態(異常)

5) 少子高齢化で労働人口が減少する中で景気回復による物価上昇圧力は低い
6) インフレ要因は円安と資源高によるコストプッシュインフレでこれは景気には悪影響
7) 物価が上昇しても、資金需要は景気低迷によって低く、市中金利も低い
8) 円安で推移する場合は内外金利差で国内の資金は海外に流出し、国内景気を刺激出来ない
9) 低金利による住宅やマンションやアパートの供給は過剰であり、そろそろ値崩れを起こす

10) 日銀は政府の子会社なので、償還された国債費は日銀から国庫に納められる
11) 上記理由により利払い費の1/3は国庫に返納される
12) 日銀は償還期日を迎えた国債をロールオーバーして保有量を維持する

既発国債の1/3以上を日銀が保有し、この比率は今後1/2に向けて高まると思われます。金利の低い10年以下の国債は銀行などが落札した後、粛々と日銀に売却します。仮に金利が同じであっても帳簿上は金融機関に損失は発生しません。これは「義務」です。

一方、イールドカーブコントロールで金利が確保されている長期債は生保や年金など満期保有目的の機関が買い支えます。実はこれらの国債の借り換え債の金利もゼロ以下なので、政府に損失は発生しません。

■ 日銀の国債保有比率はどこまでが限界か? ■

大きな外的要因でも無い限り、「無限国債」のサイクルはしばらくは回り続けるでしょう。では、このサイクルはどこまで持続可能なのか?

1) 新発国債が発行される限り、日銀が市場から買う国債は無くならない
2) 日銀の買い入れ量を新発国債の発行額を少し上回る程度にしておけば大丈夫

3) 仮に日銀の保有率が1/2を超えても、国内金融機関が現状を維持する限り大丈夫
4) 海外の金融機関が投げ売りは、日銀の指値オペで牽制されている(空売りで儲からない)

・・・日本の国債は、ほぼ国内の金融機関が保有している為に、通常は一番安定している国債とも言えます。国内の市場参加者が「問題無い」と判断している間は、国債市場に大きな危機は訪れません。

■ 政府の債務残高はどこまで拡大可能か ■

一見「無限国債」が成立している様ですが、国債の発行残高は増え続けます。「それが何か?」と一部の人達は言いそうですが、たはして債務残高に限界は存在するのでしょうか?

1) 国民の預金残高が国債発行の上限と言われていましたが・・・
   異次元緩和によってこのハードルは取り払われています。現状は日銀が円を発行し続けて
   国債を買い続ける事が出来ます。

2) 日銀が低金利の国債を大量保有すると日銀が債務超過となる・・・
   日銀の保有する国債が額面評価される限り、債務超過にはならない

・・・政府の債務残高と、日銀の国債保有量は増え続けますが、当面、この循環が破綻する事は無いでしょう。

■ 為替市場で円の下落が止まらなくなると破綻する無限国債 ■

国内だけ見ると「無限国債」は継続可能に思われます。しかし・・・

1) 日銀の国債保有量が発行残高の1/2を超えさらに増加する様なら、さすがに円の信用は減る
2) 為替市場では150円(ドル/円)を超えて円安が進行するであろう
3) 資金の国外への流出が加速し、円安はさらに進む
4) 輸入物価が高騰するので国内の物価が上昇し始める(悪性のインフレ)

5) 国内の市中金利が物価上昇に引きずられて上昇し始める
6) 金融機関や生保などが保有する長期国債の実質金利が低下して(金利は日銀が固定しても)含み損が拡大し始める

7) 日銀があらゆる年限の国債の指値オペを実行に移す
8) 国内の金融機関や生保が日銀に手持ち国債を一斉に売却し始める

9) 上記状況を観て為替市場で円がさらに売り込まれる
10) 輸入物価が高騰して国内経済が壊滅的打撃を受ける(内需が一気に縮小する)

11) 個人が預金を引き出して海外資産に切り替える動きが強まる
12) 預金引き出しによって国内で一気に信用収縮が起こる
13) 銀行の手持ち資金が預金引き出しに耐えられなくなる
14) 銀行が破綻危機に陥り、一時的な預金封鎖などの処置が取られる
15) 国民がパニックになり円の信用が一気に失われる

パニックは一気に進行しますから、パニックのきっかけになるであろう為替市場の円安をどこまでコントロール出来るかが日本国債の命運を決めるとも言えます。

しかし、過去の為替介入の実績を観ても、為替介入によって為替の大きな動きを止める事は不可能です。資金流出が起これば金利を引き上げて対応する事が定石ですが、それは「国債市場の死」を意味するので、円の価値はさらに失われます。

■ インフレで政務債務がチャラになる ■

ここまで読まれると、「日銀も財務省もバカばかり」と勘違いする方も多いかと思いますが、これこそが財務省や日銀の真の目的だと私は妄想します。

最近「大きすぎる政府債務はインフレでチャラにしろ」という意見が急激に広がっています。しかし、日本を始め多くの先進国のインフレ率は財政赤字を縮小する程には高くありません。

そこで、通貨の信用を故意に毀損させたらどうなるか・・・・。強引なインフレが発生し・・・あら不思議。国民の預金は価値を失い、国の債務は実質的に大きく減る事に・・・。

これ、「インフレ税」と呼ばれるある種の「徴税」ですが、国家で増税を審議する事も、国民の同意を得る事も無く国家の債務が国民の資産によってファイナンスされるのです。


これが日本だけで起こるかと言えば・・・私はドルやユーロも含めた世界的なイベントによって先進国の債務が一気にチャラになるのでは無いかと妄想しています。アメリカの金利上昇で新興国の資金はドルに集まりますが・・・「カモーーーン、ベイブィーーー」って感じで、アメリカに吸い取られておしまい。



おーーと、今日は真面目に書くつもりでしたが、最後はいつもながら妄想が暴走しました。