■ 日本は国債を返し過ぎている・・・ ■
日経新聞が報じた国債を巡る安倍発言。シムズ教諭の影響を強く感じます。日経新聞や国債市場の関係者には評判の悪い発言ですが・・・私は「ガラガラポン教」の信者ですから、あえて否定しません。
■ 将来何も造れなくなる前にインフラの再整備をしておこう ■
日本の人口動態では画期的なイノベーションが起きて生産性が飛躍的に向上しない限り、財政赤字は拡大の一途をたどり、それを税金で返そうとすると将来世代の生活は破たんします。
「金融抑圧」も「シムズ説」もやっている事は同じで、「コントロールされたインフレ税を富裕層から徴収する」こと。ただ実体経済の成長率が低い状態で財政がいたずらに拡大してゆくと、どこかの時点で通貨の信用喪失が発生して、インフレ率をコントロールできなくなる事は財務省も日銀も当然予測している。
それでも尚、今財政を拡大する理由として唯一合理性を持つのは「造れるうちに造ってストックしておこう」という考え方。日
本のインフラの多くが高度成長期に建設されたもの。これらは将来的に耐久限度を迎えます。これらのインフラの整備を将来行うにも少子高齢化で財源は不足し、建築業界の人手も足りません。そこで、国債が無利子、或いはマイナス金利で発行できる今のうちに造ておいて、将来的なインフレで支払い負担を減らす事は、合理的な発想では?
■ お金はモノでは無くツール ■
「金兌換性の時代のお金の価値」と、現代の「情報化したお金の価値」は別モノで、どうやら現代においてはお金は「時間的な、或いは空間的は隔たりを超えて価値を創造するツール」と考えた方が良いかと思います。
金融スステムの発達した現代においては、お金は情報として高速でやり取りされ、地球の裏側の経済を刺激したり、金利という形で将来生み出されるであろう価値を現在に引き寄せたりします。お金事態の価値がある時代が終わり、時間と場所を超えるツールとして物々交換の時代にお金が生み出された本来の目的に回帰したとも言えます。
■ 日本において唯一公正な税 ■
国債市場や為替市場の参加者にとっては、商品価値を故意に既存する「インフレ税」は許しがたいものではありますが、「世代間格差の解消」の意味においては、公平性の高い税だとも言えます。
「お前が言っている事は三橋先生と同じじゃないか!!」とご指摘を受けると思いますが、バラ色の未来を語る三橋氏に対して、私はドブ色の未来を語ります。
三橋氏はインフレ率がコントロール出来る事を前提に語っており、私や池田信夫氏や、「牛さん熊さんブログ」の著者は、インフレ率のコントロールは難しいと考える。歴史的に見れば、政府が財政規律の維持を放棄すれば、いずれかの時点で通貨の価値が失われて来ました。
「生産力が余っている現在においてインフレは容易には起きない(デフレ時代)」というのは需給関係の話であって、「金融商品としての通貨や国債の価値」とは別問題です。一度市場がパニックを起こせば、それを抑える事は難しい。外為市場で円がパニック売りされ、一気に極端な円安が加速して、輸入物価が跳ね上がり、同時に通貨の価値が減る事を予測して国内金利が一気に跳ね上がります。これで、国内経済は一時的に機能停止に陥るはず。
■ インフレをコントロールする方法 ■
ではインフレをコントロールする方法が皆無かと言えば・・・無いわけでは無い。シムズ教授は「金利」と「準備率」でこれが可能だと考えている様ですが、パニック時には人々が我先に預金を引き出そうとするので、銀行は準備率をむしろ下げるでしょうし、金利も物価上昇に追いつきません。
私個人としては、電子マネーの導入でインフレ率がコントロールされるのでは無いかと私は妄想しています。電子マネーは個人情報とお金がくっついていると考える事も出来ます。そこで、緊急時には電子マネーの機能を利用して、個人の一か月の消費限度額を決める事も可能でしょう。
例えば、誰かがダイヤモンドや金や土地や外貨預金で資産を保全しようとしても、限度額を超えた場合は買い物や取引が出来ない様にすれば良い。これ、実際に戦後日本で預金封鎖と新円切り替え、引き出し限度額という方法で実行されています。それを、電子マネーを使えばスマートに実行出来、インフレ率をコントロールしながら規制額を決める事も可能です。
ただ、個人の財産権を大きく損なうので、「緊急事態」として「超法規的の措置」として実施されるのだと思います。
この方法で、インフレ率が発散してしまう事を防ぎ、200%とか500%を短期間に達成した後、規制を発動して物価上昇を抑え込み、その後ゆるやかに規制を解除して行く。
預金などの資産は実質的に1/2~1/5の価値になる訳ですが、一方政府の借金も実質的に1/2~1/5になります。これが「インフレ税」です。
■ 「魔法の対価」は安くは無い ■
一見、「資産家が損をして、若者はハッピー!!」に見えるインフレ税ですが、魔法には高い対価を払うのは世の習わし。
円が価値が棄損すれば、国内経済は大混乱に陥る訳で、企業の倒産が多発して失業する方も大勢出ます。年金制度は残るでしょうが、実質支給額は大幅に減額されれます。まさに「ソビエト崩壊後のロシア」、或いは「終戦直後の日本」の状況になる訳です。
ではどうすれば良いかと言えば、「自分の身は自分で守る」しか無い。
今安く買えて将来に役立つものは・・・多分、絶対に倒産する事の無い企業の株や、田舎の農地だったりするのでしょう。特に、将来の年金に不安を抱える私達の世代は、「自給自足」的な生活も覚悟した方が良いかも・・・。
■ 田舎と繋がる方法 ■
まあ、いつもの与太話になってしまいましたが、地方出身者でも長年離れた田舎に戻るのは難しい。まして、都会しか人の繋がりが無い人はなおさらです。
一つの方法として、在宅勤務が可能な仕事、或いはネットだけで仕事が成り立つ場合は、仕事場を田舎に移すという方法も可能でしょう。住民税を払えば、文句は言われませんし、田舎も若い人が増えれば活気が出ます。消費も増えます。
エーそんな作家みたいな人は居ないよ...って言われそうですが、10年後には私達の働き方は大きく変わっていると思います。「人と直接コミュニケートしなければ仕事にならない」なんて考えているのは私達の世代位まででしょう。時代が進めば、「直接会う=仕事」という概念は崩壊するはずです。
私は現在の日本の金融財政政策の先に「ドブ色の未来」を予測しつつも、実は結構「虹色の未来」を夢想して楽しんでいます。
<追記>
尤も、そんな遠くない未来に「世界的な金融緩和バブル」が大崩壊を起こすでしょう。これをどう乗り切るかが問題だ・・・。仕事が一瞬で蒸発するのはリーマンショックや311で経験してるし・・・。