■ 科学的に見えて、短絡的? ■
最近はやっているダイエットに「糖質制限」というものがあります。食事中の炭水化物を極力減らしてて、タンパク質主体の食事にするダイエットです。
炭水化物はブドウ糖に分解され、細胞活動のエネルギーとなります。筋肉を動かしたり、脳を働かせるのがブドウ糖です。血中のブドウ糖濃度が上昇すると、インスリンが分泌され、ブドウ糖を細胞内に取り込む様に指示が出ます。さらに余ったブドウ糖を脂肪として脂肪細胞に貯蔵する様に指示が出ます。脂質やたんぱく質ではインシュリンは分泌されず、脂肪の貯蔵も起きません。それならば糖質を摂取しなければインスリンが分泌されず脂肪も増えないと「短絡的」に考えたのが「糖質制限ダイエット」です。
■ 「糖質制限」を止めた途端にリバウンドする ■
これ、絶対にリバウンドします。「糖質制限=飢餓状態」と体は判断しますから、入って来た栄養を体細胞に貯蔵しようとします(ホメオスタシス機能)。「糖質制限ダイエット」をずと続けられる人は良いですが、止めた途端にリバウンドが発生します。
一般的に肥満になる人は「自己抑制が低い」ので肥満になり易い。だから様々なダイエットに失敗して糖質制限にたどり着き、これもきっと途中で止めてしまう人が多い・・・。
■ インスリンの低下は「幸福感」を奪う ■
人はお腹一杯食事をすると幸せな気分になり、これはインスリンが幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンの原料物質が脳に取り込まれるのを促進する為です。
一方、お腹が空くとイライラして攻撃的になります。これは「空腹」というストレスが欲求ホルモンのドーパミンの放出を促す為です。
セロトニンの分泌に異常をきたすと人は「鬱状態」(うつ病という病気は無いと私は考えています)になります。拒食症や過食症は、無理なダイエットでセロトニンとドーパミンの制御に異常を来してしまった人で、セロトニンの分泌の減少は拒食症を、逆にドーパミンの分泌過多は過食症を引き起こすと考えられます。
■ 運動しないで痩せる・・・いえいえ「等価交換」の原理は生きている ■
糖質制限ダイエットの最大の魅力は「空腹感が無い」「運動しないでも痩せられる」という従来のダイエットに付き物な「我慢」や「努力」が少ない点です。そして比較的短期間の体重が減って行くのが実感できるのも魅力の一つです。
しかし、自然界に「等価交換」の理から外れた事象は存在しません。糖質制限の代償は、食費の上昇だけではありません。
脳の燃料は「ブドウ糖」です。「糖質制限」をしていても脂肪やタンパク質などを分解して体はブドウ糖を作り出していますが、「糖質制限=飢餓状態」においては、脳は優先的にブドウ糖を確保する為に、体の他の部位がブドウ糖を吸収する事を抑制します。
具体的にはコルチゾルをを分泌して細胞のブドウ糖吸収を阻害し、さらに交感神経から指令を出してインスリン抵抗性を上げます。さらに摂取して脂肪の一部は遊離脂肪酸となり、これもインスリン抵抗性を高めます。この状態は糖尿病の初期の状態で、初期の糖尿病の方が間違った「糖質制限」をすると糖尿病の症状が進む恐れがありあります。
■ 「糖質制限」をすると死亡率が上がる ■
糖質制限をした人は、糖質制限しない人の20~30パーセント死亡率が上昇したとの統計データも発表されています。
原因は糖質制限にあるのか、それとも脂肪や動物性のタンパク質の過剰摂取にあるのか解明していませんが、別の統計では糖質制限をして、かつ植物性のタンパク質を多く取った場合、死亡率が20%減少したとの結果もある様です。
いずれにしても、「楽に痩せられる」と糖質制限ダイエットを実行している多くの人が、リバウンドを体験して、また新しいトレンドに踊らされるのでしょう。
ちなみに、痩せたい人は、お酒を控えるのが良いみたいですね。肝臓がアルコールを分解している時には食べ物は脂肪として蓄えられ易くなるとか。これ知り合いの医師の受け売り。確かにアルコールを止めるのはお財布に優しいけれど・・・・私にとっては最強の幸福物質だけに・・・無理。