■ 全く異なる絵を思い描いていたのかも知れない ■
文科省のパソコンから「ご意向」文章が複数見つかり、加計学園問題は一見進展した様に見えます。しかし、私は前川前事務次官の次の発言が気になります。
<引用開始>
「森友問題も加計問題も地方と国が同時に関わり、国の中でも複数の省庁にまたがる案件。そういった多くのプレーヤーをうまく組み合わせて全体を調整する司令塔がいないと、うまくいかない。役所のどこを押せばどう動くかということを熟知した人間がいなければなりませんし、そういう才能を持った人なんて、そう多くはいません。官邸の中でも、私には今井尚哉首相秘書官(叔父は安倍首相と近い今井敬経団連名誉会長)、和泉首相補佐官くらいしか思い当たりません」(
<引用終り>
前川前次官の仇敵は菅官房長官の様に見えていますが、彼が今回実名を挙げたのは「今井尚哉首相補佐官」と「和泉洋人首相補佐官」
私にはこの実名告発は陰謀センサーに引っかかるものがあります。
私は以前の記事で官邸内での今井尚哉補佐官の影響力の低下が森友学園問題などの根底にあるのでは無いかと書いています。要は安倍政権内での権力闘争の結果、劣勢になった今井派が自民党の反安倍勢力と組んで菅官房長官一派を揺さぶっているのでは無いかと妄想していました。
しかし、前川前次官が今井補佐官を実名で名指しした事で、全く違う妄想がムククムと湧き上がって来ました。
■ 前川氏はどうして堂々とリークを続ける事が出来るのか? ■
そもそも以前から気になっていたのは、前川氏がどうして堂々とリークを続け、それをNHKを含めメディアが取り上げる事が出来たのか。
今までであれば、安倍政権に忖度してメディアは森友問題も加計問題も大々的には報道しなかったはず。それが、何かタガが外れたかの様に安倍首相にまつわる疑惑を報道し、前川氏のインタビューを放送、或いは掲載しています。
当然、安倍政権にダメージがある訳ですから政権側がこれを許しているとも思えず、ならば日本の政権よりもさらに高位の権力の力が働いていると妄想していました。そして、その目的は「恫喝」であると・・・。「共謀罪」や「憲法改正」や「日米貿易協定」などを強行に進めなければ政権を崩壊させるぞという恫喝。
前川氏の攻撃に対して応戦していたのが菅官房長官だったので、そういった印象がさらに強まっていたのですが、今回前川氏が実名を挙げて攻撃したのは今井氏と和泉氏。
今井氏は経産省出身ですが安倍首相の片腕として菅長官と共に安倍政権を支えて来た人物。そして和泉氏は国交省出身で民主党の野田政権の時から首相補佐官を務め、安倍自民党内閣においても協力を仰がれた人物。
この二人を名指しする理由は表面的には文科省の聖域を犯した事への恨みだと世間は解釈するでしょう。特区を名目にして文科省の許認可権を無効化し、オリンピックのスタジアムでは文科省主導のザハ案を廃止に追い込み和泉氏が調整役となって新案が決定された。ここら辺に前川氏の個人的、いえ文科省全体の怨恨があったのでは無いか・・・。そう考えるのが自然です。
要は、前川氏の発言を素直に受け取れば、官邸主導によって奪われた省益と官僚のプライドを取り戻す為の闘い。
しかし、陰謀論的には釈然としません。いくら前川氏が正義のヒーローを気取った所で、国家権力を相手に個人の力を弱い。この場合「国家権力=国家の暴力」です。警察や公安を始め、反社会勢力も含めて、前川氏を黙らせる手段を国家は沢山持ち合わせています。
それなのに、前川氏が自由に発言し、メディアが自由に報道しているのは何故か・・・。それは前川氏が安倍政権とグルだから・・・今回の実名告発でこんな妄想がムクムクと・・・。
■ 得をしたのは誰だ? ■
陰謀論の作法に従えば、「誰得の理論」で読み解けば陰謀論的結論が見えてきます。
今回の騒動で一番得をしたのは誰か・・・
それは、「共謀罪」を国会通過あせた安倍政権では無いのか?
本来であれば「共謀罪」に関する報道はもっとされるべきです。ところが、自民党の強硬採決という手段に際しても、世間の注目は「文科省のPCにデータは残っているのか」と言う方向に向いてしまった。
実は森友問題にしても、加計問題にしても、これを政治事件化する事は非常に難しく、ましてや安倍首相を刑事訴追する事は絶対に不可能です。ですから、安倍政権内の誰かをスケープゴートにすれば世間は次第に関心を失ってゆきます。
報道も新しい事実が見つからなければ、新鮮さが失われ、ワイドショーが取り上げる時間も減って行きます。
では今回の一件でダメージを負うのは誰か・・・・。安倍首相や菅氏のイメージはだいぶ悪くなりましたが、仮に前川氏の矛先が今井氏や和泉氏に向かった場合、これらの事件の裏で各省庁を動かし調整したであろう彼らの立場が一番危なくなります。
まあ、真相などは最後まで闇の中でしょうが・・・・何となくこの事件、私の中ではストンとある場所に収まった気がします。
全くの陰謀論的妄想ではありますが・・・。