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安倍政権を牽制しているのは誰か?

2017-06-21 03:25:00 | 時事/金融危機
 
■ 潮目が変わった ■

文科省の内部文書の存在が正式に明らかになった事で、加計学園問題の「潮目」が明らかに変わりました。

松野文科相は萩入田官房副長官に謝罪するという異例の展開となっていますが、この騒動に国民は萩入田氏の発言があったという確信を強めていると思います。そして、「総理のご意向」もあったと。

どうやら加計学園問題は、トカゲの尻尾切では終わらない気配が漂ってきました。安倍政権の支持率も急落し始め、「敵無し」の安倍政権に動揺し始めています。

安倍総理も従来の様な強気な発言で押し通す事が出来ないと悟ったと見え、「丁寧な説明」を心掛ける様です。菅官房長官も「怪文書なんて信用できない」というスタンスを取る事が出来なくなっています。

■ 中曽根大勲位がご立腹? ■

一部では中曽根元首相が安倍首相の暴走にご立腹なのが今回の一連の情報リークの現況とも噂されています。中曽根元首相の息子の中曽根弘文氏は文科大臣や科学技術庁長官を務めるなど文教族の議員です。

オリンピックのメインスタジアムは文科省主導で計画が進められて来ましたが、ザハ案が撤回されると同時に仕切りは国交省出身の和泉首相補佐官に代わるなど、文科省の利権に安倍政権が横やりを入れています。

加計学園問題では、文科省の聖域とされる「学校の許認可権」が首相の横やりで侵されています。

安倍首相の限度を超えた利権拡大に、文教族議員達は煮え湯を飲まされた思いで、中曽根元首相、もご立腹というのが噂の根拠。(噂に根拠などあるのかという問題はありますが・・・)

■ 獣医師会と関係が深い麻生財務大臣の陰謀? ■

麻生太郎財務大臣は獣医学部新設に反対していた一人です。彼は獣医医師会と関係が深く、「獣医の質の低下を招く」として新設に反対していた様です。

獣医師会としては、「限られたパイを食い合う業界に、今以上の獣医が増えたら分け前が減る」というのが反対の理由でしょう。加計学園が新設する獣医学部の定員は160名。現在、国公立私学合わせて930名程の定員の獣医学部に、さらに160名の定員が加わる影響は少なくありません。(尤も、国家試験に合格するかは別問題ですが)

いずれにしても、「次の首相」の座を狙う麻生財務大臣の存在は気になる所・・・。

■ 経産省潰し? ■

私は今回の事件の背後にはアメリカの意思が働いていると妄想しています。

安倍政権は短命だった第一次安倍内閣の反省を踏まえ、アメリカと対立する事を極力避け、TPP交渉では甘利氏もアメリカに大幅な譲歩を示しました。

ただ、これは「面従腹背」的な要素が強く、国内の規制緩和はあまり進んでいません。第一次安倍内閣から安倍首相を支える今井 尚哉首相秘書官は経産省の出身です。

経産省の前身は通産省ですが、戦後の日本の産業の発展に通産省の果たした役割は大きい。

官庁的には大蔵省や旧内務省の警察庁、国土交通省、厚生労働省、総務省よりも格下とされた通産省ですが、自由闊達な雰囲気で、業界団体を統制して技術向上を推進し、自動車や半導体を始めとする産業の育成に貢献します。

しかし、日米貿易摩擦が発生すると、アメリカは崩壊した旧ソ連よりも日本を敵視します。そして通産省は当然攻撃の対象となります。「通産省解体論」「経産省解体論」を主張する人達も多いのですが、「経産省の業界支配が日本の産業の発展を妨げている」と彼らは言います。要は「経産省の影響を排除して規制緩和と構造改革をもっと進めろ」というのが彼らの本音。

■ 岸信介元首相は商工省出身 ■

実は通産省の前身は商工省ですが、安倍首相の祖父である岸信介元首相は商工省の官僚でした。彼は満州で活躍(暗躍)した後、後に首相にまで上り詰めます。

戦後創設された通産省は資源確保と産業育成を目的として白洲次郎が発案した組織だと言われています。その為に旧来の役所に比べ、横断的組織で自由闊達だった。一方、発足当時から「外交派・通商派」の吉田茂ラインと、「産業派」「統制派」の岸信介ラインには確執があった様で、これは現在も省内に残っているとか・・・。

岸元首相のブレーンが経産省出身の今井秘書官というのは偶然では無いのかも知れません。

■ 憲法改正とアメリカからの独立? ■

安倍首相はアメリカに従順である面と、日本会議に代表される「古い時代の保守」の相反する二面を持ち合わせています。どちらが素顔かと言えば、私は後者かと妄想しています。

自民党設立時からの悲願は、自主憲法制定とアメリカからの独立ですが、安倍政権はようやく憲法改正に取り掛かろうとしています。

一方、アメリカにしてみれば、日本が普通の国になってアメリカから離れてしまうのは喜ばしくありません。だから憲法を改正するにしても「程々」が良いと思っているはず。自衛隊の存在がきちんと憲法にうたわれ、集団的自衛権を日本が認める程度で良い。

この改正によって自衛隊をアジアの集団安全保障体制の中に組み込み、米国の戦力は徐々にアジアから撤退させたい・・・アメリカの本音はこんな所では無いでしょうか。

「憲法改正まではやってもらうけど、その後に変な方向に突っ走らないでね・・・」といった所でしょう。

■ 山口県と天皇家 ■

アメリカが危険視しているのは日本会議に代表されう「日本の古い保守主義」ですが、これは明治維新に起源を持つと思われます。

明治維新は薩長が共同で幕府を倒しますが、その後は長州藩が薩摩藩を政権から駆逐して実権を握ります。明治維新で重要な役割を果たした伊藤博文や山形有朋らは山口県出身です。

岸信介、佐藤栄作兄弟、安倍晋三現首相も山口県出身。

これが偶然かどうかは歴史の裏に隠れて良く見えませんが、明治維新政府はそれまで政治の表舞台に立つ事のなかった祭祀長である天皇を、西洋的な国王に仕立て上げます。そして「天皇教」とも言える「国家神道」を作り出し、教育勅語によって国民にそれを浸透させてゆきます。これは西洋のキリスト教の代用として「近代国民国家」の重要な要素となっています。

伊藤博文は一方で天皇機関説を主張するなど、「天皇を利用する」という姿勢も明確です。

どうも山口閥は明治維新以来、天皇を国政に利用する伝統があるのでは無いか・・・・そんな観点から見ると、一見時代遅れに見える「古い保守主値」の復活こそが、彼らの権力の原点なのかも知れません。

アメリカはそれの増長を警戒している・・・。


加計問題のゴタゴタから要らぬ妄想が膨らんでしまいました。