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「サービスしないホテル」・・・OYOの行方

2020-08-21 04:04:00 | 時事/金融危機
 



■ OYOホテル?? ■

皆さんは「OYO」というホテルチェーンをご存じでしょうか。

ソフトバンクが巨額投資するインドのベンチャーホテルチェーンで全世界で展開しています。

1) AIを用いた料金設定や宿泊管理システムを提供
2) 予約やクレーム対応などをOYOが担当
3) 宿泊施設はフランチャイズ契約で「OYO」のロゴとシステムが使える
4) フランチャイズ料は売上の1割程度

「AIを駆使して宿泊料の最適価格を日々算出することによって客室稼働率を高め、利益を生み出す」というのがOYOホテルのビジネスモデルです。

さらに、無駄なサービスは一切しないというのも特徴です。

孫さんは「AIを用いたビジネスモデル」に魅力を感じた様んで巨額の投資を行います。これらの資金を元手にOYOはインドや中国を中心にフランチャイズを拡大し、日本にも「上陸」しました。


■ OYOホテルに泊まってみた ■

今回の草津旅行で私が泊まった「ビジネスホテル」はOYOホテルでした。

「前日に予約が出来、一人で泊まれて、草津の街中に近く、1万円以下の宿泊費」という条件では一択だったのです。

現地に行ってみると、古い施設の外装などは特に手を入れた様子は無く、玄関正面に「OYO」のロゴが書かれています。ただ、白字に黒文字で、OYOのイマージカラーである「赤」は外装には使用されていませんでいした。景観規制が掛かっているのだと推測されます。

玄関を入ると、黒と赤を基調にした現代的なカーペットとカウンター周りのインテリア。これはOYOに加盟してからリフォームしたと思われます。

カウンターには呼び鈴が設置されおり、これを押すとオーナーさんが現れます。料金は事前にカードで支払っているので、600円の入湯税を現金で払います。鍵を渡され、簡単な施設ほ説明を受けます。夜間は玄関が施錠されるので11時以降は出入が出来ません。

深夜や早朝などは、カウンターの呼び鈴は停止されており、用のある客は書かれている携帯番号に連絡する仕組みです。今回はオーナー様のご自宅が併設の施設でしたが、夜間は無人オペレーションがOYOの基本スタイルなのでしょう。

ロビーを過ぎると築50年というスキー客向けの宿泊施設のままの設え。特にリフォームされた形跡も有りません。ここら辺はオーナー負担となる様ですので、無駄な出費を抑えたのでしょう。

部屋にアメニティーやタオルは有りません。トイレはシャワートイレにリニューアルされていましたが、排水溝の位置が和式の時にままなので、便座が前方の壁側に寄っていました。便器に座ると頭が壁に当たります。排水経路の変更まで予算が無かったのでしょう。

洗面所は古い手洗いと鏡のみ。元々、古い旅館を外装をロッジ風に改装してスキー客向けの宿泊施設としていた様で、部屋は昔ながらの床の間を備えた旅館仕様でした。

畳みはちょっと古くなっていますが、清掃も行き届いているので、清潔感が有ります。冷蔵庫は空っぽで電源は入っていました。クラーは有りませんが、実は標高が高いので窓を開ければクーラーは要らない。

布団も自分で敷きます。寝具は清潔で、シーツもパリっとノリが掛かっています。民宿だと思えば及第点です。

食事は付きません、持ち込みは自由です。これ、若い人達にとってはかえって嬉しいでしょう。夕食を外食で済ませ、後は部屋飲みというパターン。

料金はトップシーズンのお盆で、12畳の部屋を一人で使って7000円。通常は4000円で宿泊出来る様です。(観光地だから高めの値段設定)

OYOの街中のビジネスホテルなどは1泊一人2000円というプランも有るので、徹底したローコストオペレーションが特徴なのでしょう。

■ 風呂は最高でした ■

このサービスで7000円は高い。ただ、元旅館というだけあって、源泉かけ流しの風呂は最高でした。かなり酸性が強いお湯で、さらに50℃近い高温。これぞ「草津の湯」という感じ。

脱衣場も風呂場も古いのですが、清潔は保たれているので、こんなもんかな・・・って感じ。少なくとも並みの民宿やペンションではこのお湯には勝てません。

風呂は掃除時間以外は24時間使用可能です。まさに、風呂が売り物の一点突破のサービス。


■ オーナー様とたまたま話が出来たから楽しい旅行になった ■

私はたまたま風呂でオーナー様とご一緒になり、色々と話が聴けたので楽しい宿泊になりました。その後もロビーでお会いして、ご家族の話なども色々と伺いました。

もし、この語らいの時間が無ければ・・・評価はだいぶ下がると思います。「古い旅館にOYOのロゴを付けただけ」と酷評していた可能性も有る。


■ OYOの「再生ビジネス」は興味深いけれど、外国人旅行者向け ■

OYOのビジネスモデルは、採算の取れないホテルにOYOのロゴと、宿泊管理システムを貸すことでフランチャイズ料を取るといったものです。

ホテルオーナーは宿泊予約や日々の価格設定をOYOに任せる事になり、経営的負担をアウトソーシング出来るのが魅力です。事前に入金うするシステムなので、ドタキャンのリスクも低減出来ませす。

ただ、夜間の無人オペレーションなど、徹底した省力化は、外国人には受け入れられますが、「ホテルはサービスが良くてナンボ」と考えている日本人には、馴染むのに時間が掛かるでしょう。まあ、ビジネスホテルだち考えれば良いのですが・・・。

海外は格安ホテルが沢山有りますから、宿泊者もシンプルなサービスに慣れています。コロナで無ければ、外国人が大勢泊まりにいらしたでしょう。

そうなると・・・入浴のマナーも分からない人も多いので、お風呂のお湯も汚れる可能性が高い。(実際、垢だらけでとれも入れない温泉に行った事が有る)


OYOはコロナ禍で大規模なリストラを断行中ですが・・・OYOのビジネスモデルを真似したチェーンも進出して来ており、OYOのビジネスは「New Work]同様に苦しい事になるでしょう。

ソフトバンクが大量の株を取得してますが、はたしてどうなるのやら・・・。

GoToトラベルは地方にウィルスを拡散する・・・メリットとデメリット

2020-08-21 03:06:00 | 新型コロナウイルス
 



■ GoToキャンペーンは地方にウイルスを拡散させる ■

「GoToトラベルが新型コロナウイルスを全国に拡散している」というの確かな事実です。しかし、政府は「ウイルスに曝露しても98%が無症状」という事実を知っていますから、瀕死の旅行業界を救う為に、GoToキャンペーンを強行しました。

新型コロナウイルスは「8割おじさん」が想定していたよりもかなり実効再生産数が低い様で、特に人口密度の低い地域では感染のチェーンを維持する事が不可能な様です。岩手県の感染者が少ない事などは、これに起因します。

GoToトラベルが、この様なウイルスが持ち込まれていなかった地域にウイルスを持ち込む事は明らかです。しかし、これが悪い事かと言えば、良い面と悪い面の両方が有ります。


■ <良い点> 未だウイルスが持ち込まれていなかった地域に集団免疫を形成する事。 ■

現在のウイルスは4月頃に比べて弱毒化している可能性が有ります。重症者や死者の増加が顕著で無い事からそう推測する事も出来ます。一方で、PCR検査の条件が大幅に変わっていますので、現在の状況が感染が再び拡大している状況とは限りません。実効再生産数は1を切っていて、減少傾向にあるので、現在は感染収束のテール部分にあると考える事も出来ます。その場合は、弱毒化の結果重症や死者が減っているのでは無く、新規感染者数事態が減っていると考える方が自然です。実際にロックダウン戦略を取らなかったスエーデンは4月以降、新規感染者数が減り続けています。実質的に同様の対策の日本も4月以降、新規感染者は減り続けている可能性は高い。ただ、PCR検査の件数の増加が、「減少を増加に見せている」だけだと私は考えています。

何れにしても、毒性の低い、若い人には風邪程度のウイルスなので、積極的に全国にウイルスを拡散する事は、医療体制の範囲内であれば悪い戦略では有りません。


■ <悪い点> 地方の脆弱な医療体制を崩壊させる可能性■ 

一方で、70歳以上の高齢者、特に基礎疾患を持たれている方には確実に新型コロナウイルスは脅威になります。高齢化率の高い地方にウイルスが持ち込まれた場合、高齢者を中心に重症者や死者は確実に増えます。

地方の高齢者施設にもウイルスが侵入する危険性が高まりますので、ここでクラスターが発生したら、脆弱な地方の医療体制は崩壊する可能性も有ります。スエーデンの様に基礎疾患を有する高齢者の治療をしないと決められる場合は問題有りませんが、日本は高齢者でも集中治療室で人工呼吸器に繋ぐ国です。「無意味な医療崩壊」は起こり得るリスクです。


■ 直接給付よりもGoToトラベルが優れている点 ■

「ウイルス拡散のリスクを冒してGoToトラベルを強行するよりも、直接給付の方が優れている」という意見は良識的な人達から良く聞かれます。

宿泊施設など最低限の経営が維持出来る金額を給付すれば確かに廃業などは先延ばしできます。しかし、休業中の施設の従業員にいつまでも給料を払う事は出来ませんし。雇用を維持する為にも開業は不可欠ですが、客が居ないのでは破綻を早めるだけになります。

直接給付の乗数効果は大きく見積もっても「1」に過ぎません。宿泊施設が差し迫った支払いをするだけで終わってしまう。

一方、GoToトラベルならば、雇用を維持しながら、かつ利益を出す事も出来ます。旅行者は旅先で様々な出費をしますので、お土産屋や飲食店なども営業が出来ます。一説によればGoToトラベルは直接給付に比べて4~5倍に経済効果を地域にもたらすらしい。

仮にウイルスが宣伝されている程の脅威で無い場合は、直接給付よりもGoToトラベルの方が費用対効果が高い事は明らかです。

■ 「旅行」の潜在需要を引き出す効果 ■

GoToトラベルの効果は「旅行の潜在需要」を引き出す事でも発揮されます。

「家族良好は1年に2回の帰省だけ」というご家庭も多いかと思います。子育て世代は資金的に余裕が有りませんから・・・。

ところが、GoToトラベルはこの様な仮定に帰省以外の旅行の楽しみを提供した可能性が高い。「今年は帰省しないでね」という田舎のご両親も多いでしょう。帰省した家族がウイルスを持ち込んだと疑われない為です。ご自身は家族の顔や孫の顔を見たくても、地域の為に「帰省しないでくれ」と言わざるを得ない。

結果的に「GoToトラベルを利用して、旅行でもしようか」と考えたご家庭も多いでしょう。そして、帰省とは違う旅の魅力を思い出す・・・。「ママ、又来たいね!!」という子供の声は、観光地にとっては何物にも代えがたい「援護射撃」です。

私なども、しばらく忘れていた宿泊旅行の楽しみをGoToトラベルで再認識しています。そして、普段よりも1グレード高い施設に泊まれる魅力は非常に大きい。


■ 「GoToトラベルなどケシカラン」の裏に隠れる「利己主義」 ■

「GoToトラベルなどケシカラン」と考えている多くの人が高齢者でしょう。

「ウイルスを持ち込まれたら自分も感染して重症化したり死んだりするかも知れない」という恐怖が、地域の経済の活性化よりも優先されるのです。

この様な高齢者は、自分達の年金の出所を忘れています。現役世代の年金や税金が、高齢者の年金を支えているのです。過剰なコロナリスクで税収が落ち込んだり、雇用が悪化すれば、現在の年金支給額の維持が難しくなる可能性が高い。(特にGPIFが巨額損失を出す可能性が高いので)

「若い人達が一所懸命に働いて所得を得て税金や年金が払える環境」が維持されなければ高齢者の年金生活は成り立ちません。(MMT的な話はひとまず置いておきます)


確かにGoToトラベルはリスクを伴う政策ですが、あなたなら労働者の生活と、高齢者の生活、二社択一ならば、どちらを優先しますか・・・。GoToトラベルはその踏み絵を私達に求めているのかも知れません。