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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

予断を持って観察すべき・・・小沢一郎

2010-07-15 09:46:00 | 時事/金融危機



■ あなたはミステリーをどう読みますか? ■

私も時々ミステリー小説を読みます。私の場合、扉ページの登場人物紹介を先ず丹念に読みます。

「・・・古い屋敷の主。足を患っていて車椅子の生活。気難しく、他人に厳しい。」
「・・・古くから屋敷に使える執事。主人に従順で仕事は真面目にこなす。」
「・・・主人の姪。派手で男好き。」
「・・・若いメイド。内向的で他人と話す事は少ない。」

ちょっとベタですが、だいたいこんな事が書いてあります。私は大体、この人物紹介で犯人の目星を付けてから、ミステリーを読み始めます。一番怪しそうな人物は、先ず外す事は鉄則です。残った登場人物の紹介を何回か読んでいると、何となく浮き出して来る人物が一人か二人出てきます。後は勘で犯人を断定してしまします。

不思議な事に、これが良く当たるのです。

私ほど極端で無いにせよ、皆さんもミステリーよ読む時には、犯人の目星を付けながら読まれる事でしょう。

■ 「小沢一郎=悪人」か ■

ミステリー小説は予断を持って読んでこそ面白い小説です。それでは実際の社会ではどうでしょう?

「色眼鏡で人を見てはいけないよ・・。」と子供は教育されますが、それは「多くの人が色眼鏡で人を見ている」事の裏返しでしかありません。実際の世界でも人々は予断を持って世界を眺めています。

それでは、人々は「小沢一郎」をどういう予断で見ているのでしょうか?

ニュースは真実と思って疑わないある年齢より上の方や、ワイドショーに洗脳された主婦の方々は、「小沢一郎=悪人」という刷り込みがされているでしょう。

一方、ネットを中心にしたネオ保守的な人々は、m「小沢一郎=日本に救済者」と見ている方が多くいらっしゃいます。小沢氏の言説が、日本の自主独立を追及する内容である事から、戦後のアメリカによる占領統治が現在も続いている事に意識的な人々は、アメリカに一定の距離感を示す小沢氏に期待を託しています。

いずれの見方をするにしても、「小沢一郎」の評価は、政治的スタンスによって決定されています。

■ 「小沢一郎=フリーメイソン」という仮定 ■

ここに全然違う角度から、「小沢一郎」を眺める尺度を設定してみましょう。それは、「小沢一郎はフリーメイソンのメンバーである」という仮定です。

仮定の裏づけとして、次のような情報を提示してみます。

http://blogs.yahoo.co.jp/haleshomahube/49681956.htmlより引用>

坂本龍馬とフリーメーソン  
明治維新の礎を築いた英雄は、秘密結社のエージェントだった!
鬼塚五十一・著  学研  2007年1月刊

   坂本龍馬と中岡慎太郎の銅像は、高知県を象徴する荒海の土佐湾に面して、海を見つめて立っている。中岡は室戸岬の突端に、龍馬は土佐湾のほぼ中央の桂浜にある。中岡の左手は刀を待ち、右手は腰にしっかりと添えられ、その姿はいかにも武士らしい。
  ちなみに、地元の土佐では、意外なことに龍馬より中岡のほうが人気がある。「龍馬は商売人だから」というのがその理由らしい。とはいっても、龍馬は若い人に人気がある。彼の銅像は中岡とは対照的に右に身を傾け、右手を懐に入れているが、その手は拳銃を握っているといわれている。
  土佐の英雄といえば、この中岡と龍馬のふたりと考えるのが一般的だろう。ところが、思わぬ人物がもうひとり、土佐には存在するのである。しかもこのところ、その人物の業績が急速に再評価され、土佐の英雄になりつつある。
  中浜万次郎――ジョン万次郎である。

  彼の銅像も土佐にある。東の室戸岬とは反対の西の奇岩を呈する足摺岬に、黒潮が渦巻く突端の断崖に立っているのだ。銅像が立てられたのは、1968年7月11日。地元のライオンズクラブの有志が中心となって設立された。
  そして、1991年11月7日には「ジョン万次郎漂流150周年」を記念して、「ジョン万次郎の会」が東京の憲政会館で結成されたが、その会長に選ばれたのは、およそらしからぬ人物だった。ロックフェラーといえば、アメリカのフリーメーソンのトップであるが、そのロックフェラー人脈のひとりである民主党党首・小沢一郎氏である。
  当時、彼はまだ自民党にいたが、3年後の細川連立内閣ができたとき、新生党を設立して参加し、連立内閣の陰の実力者となった。その新生党設立の際、当時の駐日大使のマイケル・アマコスト(現在はロックフェラーの米ブルッキングス研究所所長)を介して、ロックフェラーから約500億円の資金を提供されたといわれている。
  高知出身でもない岩手選挙区の小沢一郎氏が、なぜ「ジョン万次郎の会」の会長になどなったのだろうか? この会は彼の政治力を利用して、当時の外務省、通産省、郵政省、建設省、運輸省、自治省のなんと6つの省庁の許可のもと、その共同管理ということで設立された。
  しかも、わずか1年という異例の早さで承認され、設立年の9月、自動車、電車、電機、電力など財界の主要団体に、文書で5000万から6000万の寄付を要求し、3か月足らずでなんと5億6000万円もの設立運営資金を集めている。このことは国会でも問題となり、自民党の中川秀直議員によって追求された。これに対し、当時の柿沢弘治国務大臣と羽田孜首相は、のらりくらりと国会答弁して、責任の所在を曖昧にして逃げた。
  この会の目的は、日米の草の根交流の原点であるジョン万次郎を歴史の中から発掘し、彼の精神(ジョン万スピリッツと呼ぶ)を広め、日米友好関係を深めようというものだ。具体的には、日米交換留学制度や日米の草の根交流サミットなどの国際交流を行なっている。

  だがなぜ、急にまたジョン万次郎にスポットを当てようとしているのか。その理由は、彼の銅像が立つ足摺岬に行けばすぐにわかる。黒潮の風が強い足摺岬に、それはまるで古武道家のようなたたずまいで立っている。だがよく見ると、右手は強く握りしめ、左手には、なんと直角定規とコンパスを持っているではないか!
  直角定規とコンパスといえば、フリーメーソンのシンボル・マークである。あのトーマス・グラバー邸の石柱に刻まれていたものとまったく同じ直角定規とコンパスが左手に握られているのだ。
  ジョン万次郎はフリーメーソンだったのだろうか。だとすれば、これまでの謎がすべて解けるのである。そして、ロックフェラーの息のかかった小沢一郎がなぜ、会長になったのかもわかるだ

<引用終わり>

ちなみに、フリーメイソンのシンボルでは下の写真の通りです。



ヨーロッパの石工組合に端を発するフリーメイソンのシンボルは、当時の彼らの道具であった直角定規とコンパスです。

それでは、足摺岬に立つジョン・万次郎の銅像見てみましょう。




しっかりと、その左手に定規とコンパスが握られています。

これが日本地図を作成した伊納忠敬の銅像であれば、何の不思議もありません。しかしジョン・万次郎が定規やコンパスを握っている必要はありません。長崎のグラバー邸の柱にフリーメイソンのマークが刻まれている事からも、日本の開国にはフリーメンソンが何らかの関わりを持っており、ジョン・万次郎がフリーメイソンであった可能性は低くはありません。

そして、「ジョン万次郎の会」の会長として、この銅像の製作に尽力した小沢一郎氏とフリーメイソンに何らかの関係があるかもしれないというのは、ミステリー小説的には十分検討すべき伏線です。

■ 「イルミナティー・フリーメイソン→ロスチャイルド=ジェイ・ロックフェラー→小沢一郎」という関係 ■

小沢一郎がジェイ・ロックフェラーと繋がりがある事は良く知られています。ゴールドマンサックスのオーナであるジェイ・ロックフェラーはアメリカにおけるロスチャイルドを代表する人物です。

ロスチャイルド家がイルミナティー=フリーメイソンの一員である事も良く知られいます。

さて小沢一郎がフリーメイソンとして、ロスチャイルド家の利益を図るならば、彼はどう行動するでしょうか?

■ 日本の金融資産を狙うロスチャイルド ■

ゴールドマンサックスが小泉政権で仕掛けた郵政民営化の目的は、郵貯資金350兆円を欧米の金融市場で「運用」する事でした。

「運用」といえば聞こえは良いですが、様はアメリカ国債を買ったり、アメリカの地方債を買ったり、紙切れ同然のMBSやCDSを買ったりする事です。

■ 政権交代の目的 ■

小泉時代は騙されていた国民もさすがに麻生政権の時にはこのカラクリに気づき、自民党は国民の支持を失って行きます。マスコミも小沢民主党を持ち上げて政権交代を援護していきます。

「自民党政権では郵政資金がアメリカに取られる」という認識が作られたのです。

しかし、実際には麻生政権は郵政民営化を阻止していました。自民党時代、西川氏が社長であるにも関わらず、ゆうちょ銀行のドル建て債権は310億円でした。しかし、民主党政権下でこの額は半年間に23倍に膨れ上がっています。

リーマンショックが勃発してG20が開催された時、中川財務大臣は酩酊会見を開き世間のひんしゅくを買いました。しかし、アメリカはこの時、日本に100兆円の出資を迫っており、中川氏はIMFに10兆円を拠出すると発表する事で、この圧力に逆らい、日本の負担を1/10に軽減してしまったのです。その後中川氏は亡くなりましたが、この死因には、当然「黒い噂」が絶えません。

この様に、政権末期の自民党は、アメリカの要求に必死で抵抗していまいた。

■ 「郵政民営化反対」を掲げて政権を取った民主党 ■

民主党は「郵政民営化反対」を公約として、衆議院選を勝利し、政権を獲得します。
その後、亀井静香氏率いる国民新党と連立して、「郵政民営化修正法案」の成立を目指します。

この時期「政治とカネ」の問題から小沢氏が検察に追求され、マスコミも「小沢=悪者」というキャンペーンを張ります。

小沢氏への検察の不当な追及は、ネットの新保守達を小沢支持に大きく傾けました。アメリカに抵抗する小沢一郎を、CIAの手下の東京地検特捜部が痛め付けているという認識が広がります。

ところが、キャンベル国務次官補が来日して、小沢氏と会談した直後、検察は起訴をあきらめます。

その直後、亀井金融大臣が「ゆう預はアメリカ国債の運用も検討する」と発言し、小沢氏がキャンベル氏と手打ちをした印象を国民に与えました。

■ アメリカ国債を買い増す「ゆう貯」 ■

小沢氏とキャンベル氏との間にどんな話し合いがされたかは分かりませんが、民主党政権下でゆう預銀行は、アメリカ国債とドル資産を大量に買い増しています。

http://leny.iza.ne.jp/blog/entry/1623028/ より引用>

ゆうちょ銀、外国債を大量購入「運用多様化の第一歩」
http://www.asahi.com/business/update/0522/TKY201005220259.html

2010年5月24日0時1分


 ゆうちょ銀行が2009年度に外国の国債を大量に買い入れていたことが明らかになった。今年3月末時点の残高は3兆7100億円で、03年の郵政公社発足後で最も多い。鳩山政権は郵政改革の一環として、貯金として預かったお金の運用を日本国債に偏らず多様にする方針を打ち出しており、政府の意向を踏まえたとみられる。


 昨年3月末の外国債の残高は1兆2800億円で、残高は1年間で3倍に膨らんだ。保有する外国債のうち、最も多いのは各国政府などが日本で発行する円建ての「サムライ債」で、約7割を占める。


 昨年10月以降に増えたのが、米国債などの米ドル建て債券だ。昨年9月末の残高は310億円だったが、半年後の今年3月末は8700億円と28倍になった。昨年秋は14年ぶりに一時、1ドル=84円台になるなど円高が進んだ時期で、幹部は「為替差益も狙って、1ドル=80円台で大量の米国債を買った」と明かす。


 鳩山内閣が掲げる郵政改革は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融2社が収益力を高め、そのもうけで全国の郵便局ネットワークを維持することが柱だ。現在、ゆうちょ銀行は利用者から集めたゆうちょ資金約190兆円の8割を日本国債で運用している。だが、10年物の国債の運用利回りは1.2%程度で、米国債よりも約2%幅低い。日本国債に偏った運用が収益力の低さや、郵便貯金の金利が低いことにつながっている。


 亀井静香郵政改革相や原口一博総務相は、ゆうちょ資金の運用策として、海外の高速道路などの大型投資や個人向け貸し出しと並び、外国債の購入増もあげている。日本郵政の斎藤次郎社長も昨年10月の就任会見で「運用を日本国債の保有一本に限定する方法はとり得ない」としており、外国債購入は「運用多様化の第一歩」(幹部)といえる。


 ただ、外国債には損失を被る危険もつきまとう。外国の通貨建てで外国債を持った場合、円高が急激に進めば、円換算では価値が下がって損失になるおそれがある。ギリシャのように財政不安から国債価格が暴落する危険もある。01年にアルゼンチン政府発行のサムライ債が予定通り返済できない債務不履行に陥った例もある。斎藤社長も会見で「運用のテクニックやリスク管理で、人材を育てることが重要」としている。(堀口元)

<引用終わり>


「ドル安時に購入したので、利益が発生している」という言い訳は、ドルが88円に戻った現在は全く通用しません。長期的にはドル安になる事は子供でも予測できるので、ゆう貯銀行のドル資産の買い増しは、預金者に損失を与えています。

■ 普天間問題の挫折 ■

さらに小沢ー鳩山は、「普天間問題」でつまずき、小沢氏と鳩山氏は辞任する事となります。

しかし、普天間問題は日本にとって何ら切迫した問題では無く、鳩山氏の個人的信念に日本中が振り回されただけの結果に終わります。この間政治は停滞し、民主党の支持立率は下がり続けました。

■ 連立解消と共に消える郵政民営化修正と普天間問題 ■

「郵政民営化修正」は国民新党との連立の公約、「普天間問題」は社民党との公約とも言えます。社民党が連立を離脱した現在、「普天間問題」は既に「問題」にもなりません。

「郵政民営化修正」も国民新党の衰退と共にトーンダウンしています。

鳩山民主党の掲げた二つの大きな公約は、事実上、管内閣で破棄されたとも言えます。

■ わざと負けた小沢一郎 ■

郵政問題にしても、普天間問題にしても、表面的には小沢氏の敗北の結果、民主党の主張が後退した様に見えます。

しかし、小沢一郎と鳩山がフリーメイソンとして、ロスチャイルドを利する為に動いていたという予断をもって眺めれば、「小沢一郎は普天間問題で故意に躓いて、郵政問題を道連れに辞任した」と考えると、何故「普天間」なのか?何故「政治とカネ」なのかが釈然としてきます。

■ 「道化」の社民党、「芸達者」な亀井静香 ■

社民党に振られた役は、「道化」です。これはいつもの事です。

一方、亀井氏は警察官僚出身ですからCIAとも繋がりがあり、小沢氏の背後関係も十分承知しているはずです。小泉劇場の時と同様、亀井氏は「国民派」を演じているだけで、結果は逆に転んでいます。寝癖頭といい、ベランメイ口調といい、実にオジサンの心を掴むこつを知っている「芸達者」と見る事が出来ます。

■ 「みんなの党」の目的は官僚制度の破壊 ■

参議院選挙の結果、社民党と国民新党が退場し、新たな役者が登場しました。
「みんなの党」の渡辺氏です。

父親譲りの飾らないしゃべり口と、景気回復戦略で、新保守を中心に無党派層の票を獲得しています。

各党の選挙公約を眺めてみると、小さな政府を目指す「みんなの党」の方針は、一見一番まともです。

しかし、「みんなの党」のメンバに旧中曽根派が大勢いる事に注意が必要です。さらには渡辺氏は、福田内閣の閣僚時代に、「フレディーマックとファニーメイに100兆円出資すべき」と主張して、福田首相に罷免された前科があります。

■ 増税より、公務員改革 ■

民主党の菅氏の持ち出した消費税増税による財政再建に国民はNOを突きつけました。そして国民は「みんなの党」のアジェンダに注目しています。

増税の前に「公務員改革」。国民の意思は固まりつつあります。

■ アメリカの邪魔者である官僚機構を葬り去る ■

「管首相が財務官僚にそそのかされて消費税増税を主張した」的な報道がされていますが、私は景気後退期に増税する程、財務官僚がバカだとは思えません。

マスコミは今後、「みんなの党」の主張と、管首相の「大きな政府政策」を比較して、世論を「公務員改革=公務員給与引き下げ」に導いていく事でしょう。

しかし、「みんなの党」の公務員改革には「脱官僚機構」が包括されています。

戦後、「アメリカの進める日本の見えざる占領統治」に、影ながら反発してきたのは、日本の優秀な官僚達です。

アメリカの求める市場開放や、金融改革を半ば骨抜きにしてきたのは、官僚達です。
その官僚機構を悪者にして、葬り去るのがアメリカの目的です。

■ 危ない政治主導 ■

吉田茂を祖とする自民党経政会は、「面従腹背」を得意として、官僚と一体化して日本の利権を守ってきました。

「民主党」や「みんなの党」の掲げる政治主導は官僚の無力化を意味します。

新型インフルエンザ対策で、厚生官僚は、輸入ワクチンに反対しましたが、枡添大臣と一部の「アメリカ留学帰りの技官」の主張で、輸入ワクチンが購入されました。厚生官僚達の巧みな作戦で、国民は「怪しい輸入ワクチン」の投与を免れましたが、新型インフルエンザがペテンであった事は、現在は隠し様の無い事実です。

この様に、聞えは良いですが「政治主導」は、「アメリカに操られた政治家」により国民んの利益が失われる事を意味します。小泉改革が良い例です。

■ 改革すべきは地方公務員 ■

国民が本当に問題にすべきは、たいした仕事もせずに民間より多額の給与を貰う地方公務員という特権階級です。決して、優秀な官僚機構ではありません。

■ 予断を持って「小沢一郎」を観察すべし ■

世間は小沢一郎を「田中角栄の意思を継ぐ物」と見ています。しかし、小沢氏の行動は結果的にいつも政治を混乱させ、日本の国力を削いでいます。

私は小沢氏を「フリーメンソンの手先」という予断を持って観察しています。これはミステリー小説の人物紹介で犯人を断定するのに等しい根拠の無い行為ですが、そうする事で「小沢一郎」の行動の理解に役立つならば、プロファイリングとしてはあながち無駄な試みでは無いと思います。

さて、皆さんはどうお考えになられるでしょうか?

日本を食い尽くす世代間格差

2010-07-10 11:49:00 | 時事/金融危機



■ 本日は老人について考えてみます。 ■

またもやアニメネタとお思いのあなた、安心して下さい。今日は真面目に「老人と世代間格差」について考えてみたいと思います。

ただ、高齢の方に多少耳の痛い内容になりますので、何方かの写真を掲載しては申し訳無いので、ぱっと脳裏に浮かんだこの方のお顔を貼ってみました。

■  最大の争点は「世代間格差」 ■

参議院選挙が明日に迫っています。
しかし私は大変困惑しています。
だって、「自民党と民主党って何が違うの?」って感じではないですか。

消費税増税と対米服従路線に転向した民主党の政策は、従来の自民党の政策そのものではないでしょうか?2大政党と言っても、これでは国民に選択権はありません。

何故私達が選挙で困ってしまうかと言えば、社会的対立軸が政党の対立軸になっていないからです。

従来であれば、「資本家 VS 労働者」や「資本主義 VS 社会主義」という対立軸が政党の対立軸となって国民は政党や政策の支持を決めていました。しかし現在の日本では「資本家 VS 労働者」という対立軸は社会の主要な対立を構成しません。

確かに多くのサラリーマンは会社に収奪されている事が確かですが、不景気の折、給与の増額が会社の経営を危うくし、製造業に至っては、海外転出という形で自分達の雇用を奪うという事を労働者は理解しています。

ですから、高度成長期の様に、労働運動が活発化する事はありません。会社が気に入らなければ「転職」すれば良いと思っている若い世代は、会社は利用する対象であって、隷属する対象では最早無くなっているのです。

それでは現代の社会的対立とはいったい何でしょう。それは世代間格差です。税金と年金という二つの集金システムによって、若者の所得は不当に老人に移転させられています。その結果、明らかに「貧しい若者」と「豊かな老人」という歪が生じています。

しかし、「世代間格差」の是正を政策に掲げる政党はありません。なぜなら既得権者として選挙に足しげく通う老人達は政党にとって大きな票田だからです。

■ 確実に貧しくなる若者 ■

「貧しい若者」と言っても派遣労働者やニートやフリーターを指す訳ではありません。長引くデフレでサラリーマンの平均所得が低下し続けているのです。

一方、年金は減額される事はありません。確かに給付開始年齢は引き上げられましたが、平均寿命が延びているのですから、給付年月が短くなったわけではありません。

本来、年金の給付金額が、サラリーマンの平均所得にリンクしていれば公平が保たれるはずです。サラリーマンの給与が下がれは、厚生年金の徴収総額も低下しますから、年金支出はそれに応じて減額されてしかるべきです。

年金の給付金額は増ええ続け、年金収入は減り続けているのですから、そのしわ寄せは若者の将来の負担に積みあがっていきます。

若者は現在の年金負担と将来の税負担という二重の負担を強いられているのです。

■ 世界最大の世代間格差 ■

どのくらい若者が損をしているかというと、今の制度では「60代以上は生涯で5700万円の受益超過(税・年金)だが、20代は1300万円の負担超過」となる様です。

日本は「世界最大の世代間格差」社会となっています。

老人達の生きてきた時代は、インフレの時代、若者達の時代はデフレの時代ですから、負担金額を単純には比較できない事は確かですが、老人達の貯蓄が増えていて、若い世代の貯蓄が減っている事からも、格差が拡大している事は伺えます。

■ 個人金融資産の2/3が高齢者のもの ■

日本の個人の金融資産は1400兆円ですが、そのうち1000兆円を60歳以上の高齢者が所有しています。

高齢者の金融資産は、リスクの低い預貯金にプールされ、これが日本国債を買い支えていると言っても過言ではありありません。

一方、若年世代は子育て教育やマイホームなど本来消費性向が強いはずです。しかし、下がり続ける所得や将来の不安から、貯蓄を重視する傾向が高まってきています。

■ 不況を長期化する「世代間格差」 ■

「年金を貯蓄する老人」と「消費を切り詰める若者」によって、日本の経済は本来の実力以上に萎縮しています。」

政府がデフレ脱却とどんなに叫ぼうが、「世代間格差」が経済成長を阻害し、デフレを長期化させているのです。


■ アメリカの財政赤字を支える「老人資産」 ■


老人資産は日本国債を買い支えるだけでなく、アメリカ国債も買い支えています。

直接的には老人資産の運用として、金融機関が直接米国債を買い入れています。
ゆうちょ銀行は、昨年6月から3月の間に、アメリカ国債などドル建ての債権を保有額を28倍に膨らめています.


間接的には、政府が円高対策でドルを買い入れる為に生じる財政赤字を、老人資産を原資とする銀行や生命保険の日本国債買いが支えています。

■ 日本とアメリカの財布になる老人 ■

極論すれば、日本の老人は日本政府とアメリカ政府の財布であり、老人の財布にコツコツとお金と詰めているのが、日本の若者という事になります。

これをお読みの「若者」の方達は、腹が立ってきたでしょう?

■ 開き直る老人 ■

私も一般論として良く母に、この「世代間格差」のい話をします。
すると母は必ず開き直ります。

「だって、私達の若かった頃は本当に貧しかったのよ。」
「戦後は辛かったし、若い頃は給料も低かったのよ。」
「あなた達は私達に比べたら、随分と贅沢よ」・・・。

いちいち尤もなので反論に苦しみますが、しかし、現状、老人達が「働かずして貯蓄を増やし」、若者達が「働いても貯蓄が減る」事こそ直視すべきです。

■ 老人から老人に相続される既得権 ■

尤も、老人もいつか亡くなりますから、老人の資産は相続されます。ところが、平均寿命が延びている現在、平均相続年齢は67歳となっています。

老人の資産は老人に相続されているのです。

今のままでは、日本は老人に食い尽くされてしまいます。

「子供手当て」はバラマキかもしれませんが、「世代間格差」を多少なりとも是正します。「高速無料化」もその恩恵を若者が受けるのであれば無駄ではないかもしれません。

しかし、出費だけが増えたのでは、そのしわ寄せは将来的に若者に跳ね返ってきます。今やるべき事は、高所得者の年金給付の中止や、年金の上限金額の引き下げです。

はたして、こんな政策を掲げる政党は現れるのでしょうか?

惜しいなあ・・・「アリス イン ワンダーランド」と「宇宙ショーへようこそ」

2010-07-08 01:05:00 | アニメ




■ アリス・イン・ワンダーランド ■

金融危機後、二番底を予測してきたこのブログですが、二番底が確実になりつつあるので何となくテンションも下がっています。世間が右と言えば左を向くタイプなので・・・。

そこで久し振りに映画とアニメネタを一つ。

全世界で10億ドル以上を稼ぎ出したディズニー映画の「アリス・イン・ワンダーランド」。ティム・バートンジョニー・ディップの黄金コンビが送る実写3D映画です。

「シザー・ハンド」や「バットマン」からのティム・バートンのファンである身としては、当然外せない映画なのですが、何かイヤな予感がして劇場に足が向かいませんでした。尤も仕事の関係で見ない訳にも行かないので、平日の昼間のガラガラの劇場でゆっくり見てきました。

■ ワンダーで無いワンダーランド ■

内容は、成長したアリスが婚約発表のパーティーから逃げ出して、ウサギを追いかけていたら穴に落ち、行った先はかつて彼女が夢に見た「ワンダー・ランド」だったという、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の後日譚になっています。

監督がティム・バートンですから、一癖も二癖もある映画に仕上がっていますが・・・一言で言って「惜しい映画」になってしまっています。

本来ティム・バートンの良さは、彼の「子供趣向」をデフォルメして観客に見せ付けるある種の「イタズラ心」にあるのですが、「不思議の国のアリス」自体がまさにルイス・キャロルの「いたずら」以外の何物でもありませんから、どうも相殺し合ってしまった感があります。

さらに、3DのCGで作り出された「ワンダー・ランド」は全然ワンダーで無い事は致命的です。そもそも、「不思議の国のアリス」の魅力は、シュールな言葉が喚起する「ワンダー」であって、それをCG映像で見せられても「ワンダー」が発生しません。
ジョニー・ディップも特殊メイクで本人が演じているのか、CGなのか分からないくらいです。

■ 戦うアリスって・・・おいおい・・・ ■

しかし最大の問題点は、アリスが戦ってしまう事です。「不思議の国のアリス」の魅力は、アリスが夢という掴み所の無い世界に翻弄される事で、夢の中ですからアリスの意思など無関係に事態が進行します。

ことろが、今回のアリスはワンダーランドに着いた途端に、「戦う決断」を迫られます。最初は躊躇していたアリスも、仲間を助ける為に剣を取ってドラゴンと戦います。事ここに至って、原作の世界は完全に崩壊してしまいます。原作のアリスは何も決断しませんし、たしして精神的に成長もしません。

■ 「子供でも分かる」という罠 ■

ディズニー映画という事で「子供でも分かる」という事が重視されたのだと思います。「苦難に立ち向かって、困難を乗り越えて、勝利を勝ち取る」というストーリーは子供にも分かりやすく、教育的でもあるのですが、「不思議の国のアリス」の魅力は「訳分かんない」という「分からなさ」にこそあるので、「分かってしまう」映画はCGでどんなにワンダーランドを描き込もうが、既に原作の世界観を失っています。

さらに、ティム・バートンの良さは、「彼の自身のオタク的世界感への偏執的こだわり」にあって、そもそも誰かに「分かってもらう」性質のものではありません。「ドクドクしくて、ちょっとイビツで、メランコリックな恋愛」に観客が勝手に共感するだけの事です。

■ 惜しいなあ・・・ ■

実は「アリス・イン・ワンダーランド」は実に惜しい映画です。物語はアリスが20歳に成長した後日譚で、ちょっとエキセントリックな女性に成長したアリスは実は魅力的です。アリスを取り巻く現実世界の人たちも、ちょっとクセがあって面白みがあります。

私は、この現実世界のちょと変な人達が織り成す「ワンダーランド」が見てみたくてしょうがありません。現実世界で「不思議の国」を追体験するようなエピソードに仕上げたら、きっと名作が出来上がっていた事でしょう。尤も、その場合はディズニー映画にはなり得ませんが・・・。


■ 宇宙ショーへようこそ ■




「アリス・イン・ワンダーランド」がハズレれだったので、口直しで「宇宙ショーへようこそ」を見に行きました。名作TVアニメの「かみちゅ」のスタッフが集結した劇場アニメという事で期待していたのですが、・・・実はこちらも予告映像を見て「不安」を抱いていました。

「かみちゅ」は尾道を舞台に、神様になってしまった女子中学生の日常を描いて、近年日本アニメの傑作と言って良い作品かと思います。以前このブログでも取り上げました。
http://green.ap.teacup.com/applet/pekepon/20100111/archive

「宇宙ショーへようこそ」はワサビ田が広がる山間の全校生徒5人の小学校の子供達が、夏休みに1週間、子供だけの合宿生活をするというお話。ところが、合宿初日に子供達が助けた犬のポチは、実はイヌ型宇宙人で、彼は助けてもらったお礼に子供達を宇宙旅行に連れて行ってくれます。そして、子供達の冒険が始まります。

■ 覚えていない・・・■

実は、ストーリーを書こうにも、覚えていないのです。130分を超える映画を見たのに・・・、あまりの情報量に脳が麻痺したのです。就学旅行から帰ってきた子供3人が同時に旅行の様子を話出すのを聞いている状態・・とでもいうのでしょうか。

冒頭とエンディングの山間のシーンは完璧でした。ラジオ体操の音楽が流れる早朝の空気感とか、でこぼこ道を走る車の揺れ具合まで完璧でした。子供達も自然の中では魅力的で、「天然コケッコー」を彷彿させました。

ところが、宇宙に行った瞬間から・・・子供達の魅力が100%消失してしまったのです。これは、「不思議」をてんこ盛りし過ぎた為に、個々のエピソードや細かな所作が埋没してしまったのではないでしょうか?

■ サービス過剰? ■

「宇宙ショーへようこそ」は、子供向け映画です。スタッフは子供を喜ばせる為に色々アイデアを繰り出してきます。

宇宙人は・・・犬です。それも結構ブサイクです。これは子供にはたまりません。「ワア・・犬がしゃべった!!」これだけで大喜び間違い無しです。

さらには、色々な宇宙人が画面一杯に動き回っているし、次々にエピソードが繰り出されてくるし、もうサービスのメガ盛状態

スターウォーズのエピソード1とインディージョンズと銀河鉄道999をミキサーに掛けて、さらに昔の東映マンガ祭りの動物キャラが活躍するヨーロッパの童話ものにリメイクしたような状態と表現するのが最適かと思います。

「千と千尋の神隠し」も似た印象の映画でしたが、そこはさすがジブリだけあって、それなりに抑揚をつけて話をまとめていました。

■ 感情移入が出来なかった ■

「かみちゅ」では見事に人物の内面まで描いていた舛成孝二監督ですが、宇宙ショーでは個々のキャラクターがステロタイプで感情移入が出来ない事も気になりました。

「ドラえもん」や「ポケモン」に子供達が感情移入出来るのは、一種の「刷り込み効果」です。小さな時から見続けていれば、キャラクターなど単なる○でも□でも、感情移入可能です。

しかし、単発の劇場アニメで、短時間でキャラクターとシンクロする為には、現実感は重要な要素となります。「宇宙ショー」の失敗は、山村のシーンで獲得した現実感が、宇宙のシーンで情報の海に溺れて、完全に失われてしまう事にあります。

「サマー・ウォーズ」の細田守はこの事を良く理解していて、バーチャル空間ではキャラクターはアバターで単純化していますし、現実とバーチャルを交互に登場させて、リアリティーの喪失を防いでいます。

■ 「宇宙ショー」も惜しい映画 ■

舛成孝二監督は風景と子供達を描いたら天下一品のである事には変わりなく、youtubeで公開されている劇場版冒頭の山村のシーン(22分)だけでも一見の価値はあります。
http://gyao.yahoo.co.jp/player/00548/v09874/v0987400000000541488/


普通に素直に見れば「宇宙ショーへようこそ」は楽しめる映画です。
googleでググったら、こんな感想ページを見つけました。勝手にリンクして申し訳ありませんが、この方の楽しみ方が正当な楽しみ方でしょう。
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20100706/1278361943

この映画やアリスが素直に楽しめなかった私が、年を取ったという事なのかも知れません。



■ リアリズムを突きつける「KURENAI」 ■



2本立て続けに映画を「外した」ので落胆していましたが、ネットで思わぬ拾い物をしました。

昨年のTVで放映されていたらしい「KURENAI」というアニメが、実に素晴らしい。
http://www.samidareso.com/
監督は「千年女優」で演出を担当したらしい「松尾 衡」という人。製作は「かみちゅ」と同じ「ブレインズ・ベース」。「デュラララ・・」にしても「とある魔術師の超電磁砲」にしても、最近のブレインズ・ベースはいい仕事をしています。

「紅 KURENAI」の原作はライトノベルで、マンガにもなっている様ですが、原作は多分どうでも良い作品でしょう。最近、どうでも良い原作を元に、アニメで徹底的に作り込みをして良作になる例が増えているようです

■ ディテールだけで12話が進行する ■

「KURENAI」のストーリーは単純です。

武道に秀でた高校生の紅真九郎のアルバイトは「揉め事処理屋」という裏社会の仕事。そこで彼が引き受けたのは、7歳のの子供をボロアパートで預かる事。ところが、預かった女の子は大富豪の娘で、さらに彼女には一族の血にまつわる避けられない運命が・・・。

「KURENAI」が素晴しいのは、ディテールを徹底的に積み上げている事。
7歳の子供の仕草、高校生の表情、会話、風景など、これでもかというくらいに細部に拘っています。2話目くらいからキャラクターに血が通いだし、後は一気に12話が進展します。

10話以降で大富豪の家に連れ戻された子供を奪還するというアクションになりますが、作品としての面白さは、ボロアパートで繰り広げられる住人と少年、そして子供のズレまくりながらも、なぜかマッタリとシックリする人間模様です。

■ 会話劇の面白さ ■

アメリカのアニメや宮崎アニメが「動き」を発展させた事とは対照的に、日本のアニメは低予算を克服する為に「会話」を徹底的に発達させました。

「KURENAI」は、この会話の面白さが際立ています。

普通のアニメーションは出来上がった映像の口の動きに合わせて声優が音を当てる「アフレコ」が主流ですが、「KURENAI」で松尾 衡は、先に声優に演技させて、それに合わせて絵を動かす「プレスコ」という手法を用いています。

その効果か、会話がどれも生き生きしています。普通のアニメにありがちな妙な間もありませんし、セリフが重なり合う時のテンポなどは、アフレコでは実現出来ないものえしょう。

■ アニメのチカラ ■

いい年をこいてアニメとは・・・・と世間では思われがちですが、動きの一つ一つ、背景の一枚一枚、会話の一言一言を丁寧に積み上げなければ成立しないアニメは、TVの乱造されるドラマや、CGのビックリ映像とど迫力音響に頼る大作映画に比べて、圧倒的なクオリティーを有しています。(作品にもよりますが)

年に2~3本は水準以上のTVアニメが放映される日本に住んでいる私達は多分幸せなのかもしれません。さらには、日本語でそれを楽しめる私達は、日本人に生まれて来た事を感謝すべきかもしれません。



二番底が割れるかどうかが大問題

2010-07-03 10:52:00 | 時事/金融危機



■ 世界景気の二番底が現実に ■

世界同時株安が進行し、市場は世界経済が二番底に向けて下降すると予測しているようです。

しかし、事今に至っては、二番底の心配よりも二番底の底が抜ける心配の方が重要でしょう。

"Yes we can see the end of USA."と、どなたかが言いそうな勢いです。

■ 債務の付け替えは最終段階に ■

現在の世界経済の状況を端的にまとめた記事がフィナンシャル・タイムスに掲載されていたので、読んでみて下さい。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3877

要約すれば、金融バブルの発生以降、債務は次の1~4の過程を辿りながら、爆弾ゲームのごとく誰かに手渡し続けられているという事にります。

1)民間の債務の拡大・・・・・・不良債権を民間セクターにばら撒く
2)非金融機関の債務圧縮・・・・過剰債務がデレバレッジングを促進する
3)政府への債務の付け替え・・・金融機関や巨大企業を国家が救済し国家債務が増大
4)国家間での債務の付け替え・・国家間での債務移転

■ 増税という国内での債務の転化では景気は回復しない ■

現状は民間の債務が一通り国家に付け替えられたステージ3の段階でしょう。
G20で各国は国家の債務を圧縮する方向に舵を切りましたが、その為には国家の債務を再び国民か金融機関か、あるいは他国に付け替えなければなりません。

管首相を始め各国首脳は、財政の健全化が景気回復を促すと説明していますが、小学生が考えても増税が景気を一層冷え込ませる事は疑う余地もありません。

インフラが整備された先進国において、税金による政府支出は民間支出に比べ効率が悪く、民間の資金を吸い上げる事はそれだけ景気回復が遠のく事になります。

リーマンショック後、世界はGDPの7%の公的資金を投入して、3%の成長しか得られていません。実質マイナス成長です。

■ 他国に債務を転化する方法 ■

グローバル経済の時代ですから、債務の転化は一国で完結する必要はありません。記事にもある様に、ドイツはユーロを推進する事で、自国の債務を巧みに後進ヨーロッパ諸国に付け替えました。貿易黒字国であるドイツは、後進ヨーロッパ諸国がユーロによって増大させて購買力を頼りに、生産で生じる自国債務を、輸出によって他の国に転化しました。

これは日本でも同様で、日本は原料輸入や加工で生じる債務を、輸出という形でアメリカに転化しました。

■ 逆回転する歯車 ■

貿易黒字国が経常黒字を増大させ過ぎ、貿易赤字国が経常赤字を増大させ過ぎれば、世界の経済の循環に支障を来たします。

そこで、貿易黒字国が貿易赤字国の国債を購入して、一時的に資金を逆流させます。これで暫くの間は、世界の経済は循環する事が出来ます。しかし、国債が償還される時、貿易黒字国にさらなる資金還流が発生し、循環に支障を来たします。

循環の歯車を逆回転させない為には、資金還流を阻止する必要があります。例えば国債のロールオーバーも一つの方法です。しかし、それでは貿易赤字国は双子の赤字を限りなく増大させる事になります。いくらドルやユーロが打ち出の小槌の様なものであっても、限度を超えればドルやユーロの価値を脅かす事になります。

■ 借金は返さなければ良い ■

ステージ4の国家間の債務の付け替えの下準備は、日米間や日中間では既に終了しています。日中は貿易黒字に見合うアメリカ国債を所有しています。

「借金はどにかして踏み倒す」のが西洋の金融的思考です。膨らみ過ぎた国家の借金は返さなければ良いのです。デフォルトしてしまえば、良いのです。

■ アメリカやEUが国家破綻出来る訳 ■

ここで多くの方達は思考停止してしまうでしょう。仮にも世界最大の帝国であるアメリカや、先進国としての歴史の長いEU諸国が、デフォルトなどという無責任な事をするハズが無いと・・・・。

しかし、アメリカの連邦政府が無くなってしまったらどうでしょう?我々は誰を責めれば良いのでしょうか?州政府でしょうか・・・違います。アメリカ合衆国国民でしょうか?・・・合衆国が無くなれば国民も居なくなります。

逆の事がヨーロッパで起こるかも知れません。各国政府が金融危機を乗り切る為に、急激に統合を進めヨーロッパ連合になってしまったらどうでしょう?あなたの借金は私の借金と同義になってしまいます。

お気づきでしょうか? 「国家という枠組みに固執しなければ、借金はチャラに出来る」のです。国家も企業として考えるならば、国家が倒産したり、合併すると考えれば良いだけです。倒産した企業の社員は暫く路頭に迷いますが、消えて無くなる事はありません。

国家の滅亡や合併など、古来枚挙に厭いません。」国家とは遷ろうもので、ただ第二次世界大戦後にタマタマ少なかっただけ」と考える事も出来ます。近代国家とて、それを成立させている基盤が崩壊してしまえば案外脆弱なものです。

■ 非常時には信じられない事が起きる ■

アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国が無くなるなんてあり得ないとお思いでしょうが、現にソビエト連邦はこの世に存在しません。ユーゴスラビアもバラバラな小国に分断してしまいました。国家とは盤石に見えて、実に儚い存在です。

ドル崩壊や世界恐慌が世界を蹂躙する様な非常事態が発生すれば、「国家というシステム」の一つや二つが無くなるなど、想像の範囲内では無いでしょうか?

■ 進まないデカップリング ■

世界の人々がパニックにならないのは、デカップリングを信じているからです。
「中国が、インドが、ブラジルが、アジアが南米がアフリカが、目覚しい経済成長を遂げて消費によって世界の歯車を再び回し出すに違いない・・・。」

はたしてどうでしょう?中国の国民一人当たりの消費金額は日本の1/22に過ぎません。インドやブラジルにしても押して知るべしです。

いつかはデカップリングするかも知れませんが、2~3年以内で無い事は確かでしょう。

■ 借り手の理論 ■

世界経済のソフトランディング論者は、アジアやアフリカの台頭を待ってドル機軸制が崩壊すると予測しますが、それではアメリカの債務は減りません。アメリカ国民が貧乏を強いられながら、国家が債務を返済し続けるでしょうか?答えはNOでしょう。


「借金は返さなくちゃ」は、貸し手の理論であって、借り手の理論が異なる事に注意が必要です。そして、大きな借金程、返されずに終わるのが世の常です。

■ 結果か手段か ■

本日の話題は少し唐突だったかもしれません。
しかし、混迷する世界経済を予測しようとした時に、避けては通れないものがあります。

それは、金融危機は結果だったのか、それとも手段だったのか?という事です。

良心的な経済学者ならば、市場原理主義が富の最大化を求めた結果と言うでしょう。

陰謀論者であれば、ニューワールドオーダーの為の世界ほ改変の為に、金融危機は現状の世界の崩壊の為のトリガーであったと言うでしょう。

仮に前者が正しくても、或いは後者が正しくても、世界にばら撒かれた過剰なペーパーマネーと、それをを上回る6京円にも及ぶデリバティブ残高(不良債権)、さらには膨らみ続ける国家債務の負の連鎖は、既に景気回復のスレッショルド(閾値)を超えています。

■ 図らずも、あるいは意図的に国債市場に流入する資金 ■

株式やコモデティー市場からの資金回避は、国債市場に流入し、各国国債の金利は軒並み低下しています。財政出動で再び世界に溢れ出した過剰流動性は、少しでも有利な金利を求めています。国債市場の崩壊が明日で無ければ、世界のマネーは平気で不安定な国債市場に流入します。

各国は国債の発行コストが低下してほっとしているでしょう?或いは、国債市場を延命させる為に、国際金融マフィアがリスク市場の資金を国債市場に移しているのかもしれません。

調達コストが下がれば、国債市場はいくらかは延命し、しかしその反動として崩壊時の破壊力を増して行きます。世界に新秩序(ニューワールドオーダー)が訪れる為には、その前い圧倒的な破壊が必要です。

一説には2012年が世界崩壊の年となるようです。
世界的混乱は経済危機だけでは無いかもしれません。

オバマ大統領は、全く無意味なイラン制裁を一段強化するようです。
イスラエルはイランに近い基地に爆撃機を移送したとも言われています。

世界が偽りに満ちているならば、本当の事を訴えているのは悪に枢軸達なのかもしれません。

イランのアハマデ・ネジャド大統領やベネズエラのチャべス大統領、リビアのカダフィーの演説は過激ですが、筋は通っています。彼らの国連演説に、途上国の代表達は拍手を送ります。

一方、オバマ大統領の演説は、表面こそ立派ですが、中身が空っぽです。アメリカ版の「空き缶」大統領とも言えます。

「信じる者は救われる」と言いますが、私達は誰を信じたら救われるのでしょうか?