人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ドル・ボム

2010-11-14 10:36:00 | 時事/金融危機





現状の世界を私なりにイラストにするとこんな感じ・・・。

まさに、ドル・ボム!!

とうとう30年物米国債の金利が上昇してきました。
FRBの買い入れも短期国債が中心です。
世界が敬遠する米長期国債を買い支えるのは・・・やはり日本?


本日はツイッター風にまとめてみました。

尖閣流出ビデオ・・・ロイターの写真の怪

2010-11-11 04:38:00 | 時事/金融危機



■ 海保職員がビデオ流出を認める? ■

尖閣ビデオ流出事件は、投稿者のIPアドレスから神戸のネットカフェからの投稿と報道され、さらにその直後に神戸の第五管区海上保安部の43歳の職員が、上司に「自分が流出させた」と話したことから、急展開を見せています。

ネットなどでは、この職員を褒めたたえる書き込みが目立ちます。

■ 謎が多すぎる ■

この事件は謎が多すぎます。

① 管轄の違う第五管区(神戸)の職員がビデオを入手した経路(沖縄は11管区)

管轄の違う第五管区(神戸)の職員が容易に尖閣ビデオを入手できたとすると、海上保安庁の情報管理がズサンだという事になります。この職員は「誰でも入手できる状況であった」と警察に話しているようですが、はたして本当なのでしょうか?

② 海上保安庁の43歳の職員がビデオを流出させる動機

この事件で一番不可解なのは、43才の分別もあるであろう海上保安庁の職員が、問題のビデオを流出させた動機です。ネットカフェから投稿するなど、一応、身元がバレないような工作をしていながら、上司に「自分が流出させた」と告白してしまう理由が分かりません。

そもそも、管轄の異なる保安部の職員が、こんなリスクを犯してまでビデオを流出させる理由などあるのでしょうか?

③ 世間に流れる、職員殉職の噂

ネットでは尖閣の漁船拿捕の際に、海上保安庁の職員が二人殉職し、一人負傷したという噂が真しやかに流れています。

石原慎太郎氏が「複数の関係者から聞いた噂ですが・・・」と前置きしてこの件を話すビデオも流されています。

しかし、この件は「デマ情報」であるという書き込みも多く、被害者の氏名が時間と共に変わっていたりと、信憑性が非常に怪しい情報です。

もしこの噂が本当であるならば、神戸の職員がビデオを流出させる気持ちも分からないでもないのですが・・・。

■ 「衝突」だけでは事件性が薄い ■

このブログでも何度も書きましたが、「漁船衝突」だけでは国境に海の日常でたいした事件ではありません。

2008年には台湾の「遊漁船」と巡視艇「こしき」が接触し、「遊漁船」が沈没する事件も起きています。この時は海上保安庁が謝罪して問題を沈静化させています。

「遊漁船」と書くと実態が分かりませんが、「遊漁船」に乗っているのは台湾や中国の活動家達で、尖閣上陸など実力行使なども行う人たちです。尖閣近海では、海上保安庁とこれらの活動家達、さらには中国や台湾漁船などが入り乱れてつばぜり合いする事が日常化しています。

ですから、今回の「漁船衝突事故」は「衝突」だけでは事件性が薄く、当初の日本政府の強硬な対応の理由が不明確でした。

私もこの点において、政府の対応も拙さを指摘してきました。

しかし、もし逮捕時に何かトラブルがあったとしたら話は全く変わってきます。

政府も海上保安庁も検察もそれなりの対応を迫られます。


■ ロイターに載る不可解な画像 ■

冒頭の画像は、ロイターが流出事件後に掲載したスライドショーの一枚です。中国漁船に接近するゴムボートが写っています。
http://jp.reuters.com/news/pictures/cslideshow?sj=2010092884254-2165-JP.js

何でもない一枚の様に見えますが、実はこのシーンは、流出した6本のYoutube動画のどれにも現れていません。ロイターはこの画像をどこから入手したのでしょうか?

■ 肝心の船長逮捕の瞬間が抜けているビデオ ■

今回の流出ビデオ6本には、我々が一番知りたい船長逮捕の瞬間が抜けています。

「海に落ちた海上保安庁の職員を、中国人船員がモリで突こうとした・・」という噂は比較的初期の頃からありました。これが本当であれば重大な事件です。

ネットでは始め、殉職した職員の名を、佐〇氏、〇岡氏といった様に伏字で示していた様ですが、いつの間にやら谷岡俊一や谷岡敏行というフルネームが流され始めました。谷岡敏行はご存知の方も多いでしょうが、落馬して死亡したジョッキーの名である事が、googleで検索すれば直ぐに分かります。他の職員名についても、「ゲイビデオの役名だ・・」などと噂され、「殉職」した職員がいたという噂自体がデマであった可能性が高まっています。

今、ネットの住人達が一番知りたいのは、「ぶつけられた」かどうかでは無く、「殉職」が事実かどうかです。
そういった意味から。今回流出したビデオは、最大の関心から目を逸らす働きをしている事も事実です。

■ 情報を情報で覆う、陰謀論の常套手段 ■

私は「陰謀論」を否定しません。その方が、世の中の動きが合理的に見える事が多いからです。

陰謀の首謀者は、陰謀論を色々な手口で否定します。
その常套手段は、「流出した陰謀を、さらに荒唐無稽な話で覆い尽くす」というものです。

「海に落ちた職員をモリで突こうとした」
「海に落ちた谷○さんをモリで突こうとした」
「谷岡俊一氏が海に逃れた所を、モリで突き、さらに漁船を乗り上げスクリューに巻き込んだ」

という様に、噂はどんどんエスカレートしていきます。最後の噂話などほとんどあり得ないだろー!!という感じですが、最初の「モリで突こうとした」という噂までがエスカレートした噂によって否定されてしまいます。

■ ロイターの写真の怪 ■

今となっては、トンデモ話の一つになっている「殉職」問題ですが、事件が起こるとすれば、今回流出したビデオの後になります。

政府がビデオの公開をひたすら拒んだのは、実は「流出ビデオ」の後を知られるのを恐れたからでは無いかと私は疑っています。

もし「モリで突く」よぷなシーンが撮影されていれば、それが仮に「仕草」であったとしても、国民感情は沸騰します。

そこで、問題にならない「衝突」シーンを流出させ、世間の目を「衝突」という事実に向けさせて、「逮捕時の状況」に蓋をしたのでは無いでしょうか?

その意味でも。本来存在するハズの無い、流出ビデオの後の、「小型体で漁船に接近する」ロイターの写真の存在は無視できません。

ロイター、あるいは一部の人間が「流出ビデオの後」の映像にアクセスしているという事実は看過できません。



上は再びロイターの写真。保安官が中国漁船に乗船している写真です。
オイ、オイ・・・・いったいこの写真はどうして手に入れたの???

最もこの写真を見る限り、漁船の制圧は問題無く行われた様に見えます・・・。

いずれにしても、事態がこれだけ拗れたからには、政府がビデオの全容を公開するまで、この事件は様々な憶測を呼び続けるでしょう。

知っているようで知らない「日本国債」

2010-11-07 16:20:00 | 時事/金融危機



■ 加速度的に増大する国際残高 ■

物事の実態はグラフ化すると分かりやすいものです。「日本国債の発行残高がが900兆円、GDPの200%に達する」と言われても、それがどの位酷いのか実感出来ません。しかし、上のグラフの様に、国債発行残高の推移をグラフ化すると、その異常さが明確になります。失われた20年の間に、日本はこんなにも国債を発行し続けていたのです。

赤色の部分が国内保有分、青色が海外保有分です。黄色は政府短期証券で、これは為替介入などの時に発行されます。

グラフからは2006年以降、国債の増加が鈍っている事が分かります。2006年9月に安部内閣がスタートしています。小泉時代の終焉と共に、国債発行が鈍化した事に何か意味がありそうです。政治主導で緊縮財政路線に変更されたのか、大蔵閥の小泉の退場で、財務省が政治に対してNOと言い始めたのは興味が持たれます。

■ 長期国債を手放した三井住友銀行 ■

先日、「景気の先を見通したければロスチャイルド系の企業をウォッチすべき」と書きましたが、フィナンシャル・タイムスが面白い記事を載せています。

<フィナンシャル・タイムスより引用>
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4788

失われた20年、まだ日本を待ち受ける苦境

大手商社、三菱商事の年金基金の大部分は日本国債に投資されている。10年物国債の利回りが現在の約1%という水準まで低下してきたため、国債は長年、利益の出る投資だった。

 だが、日本国債の長い上昇相場は今後も続くのだろうか? 現時点では、これ以上の価格上昇余地はあまりない。そして、利回りが低下するに従って、潜在的なマイナス側面が大きくなっている。

 三菱商事の年金運用に携わっているある人物によれば、国債利回りの低下によって同基金は多額の利益を享受してきた。だが、将来は利益を上げるのが非常に難しくなると同氏は認める。

多額の利益を生んできた国債投資だが・・・
 実際、日本国債への投資は先々、以前よりずっとリスクが高いものになると懸念する市場参加者が増えている。

 外国人投資家は長らく、日本の国債市場を疑ってかかってきた(もっとも、彼らはそのおかげで損をしてきた)。しかし今初めて、日本人投資家の間でも懐疑的な向きが増えている。一部の財務省、日銀関係者さえも、警戒の言葉を口にするようになった。


三井住友銀行は投資戦略を変え始めた

 ある日銀関係者は、今は国債利回りが低位で安定していると指摘する。しかし、日本はこの状況が永遠に続くことを当てにしてはならないと警告し、人々が日本には財政赤字に取り組む意思がないと考えるようになれば、国債利回りに影響が出るとつけ加える。

 例えば、厳格なリスク管理文化を持つ三井住友銀行は最近、投資戦略を変え始めた。今では同行が保有する日本国債は、ほぼすべてが1年ないし2年の短期保有となっている。今のような国債の低利回りは永遠には続かないと考えてのことだ。

 ある政府高官は、国債市場は今後1~2年間は安定した状態が続くと考えているが、数年後には財政状況が崩壊すると警鐘を鳴らす。

5年後には民間貯蓄で財政赤字を埋められなくなる

 数字を見ると、真剣にならざるを得ない。JPモルガン証券のチーフエコミスト 菅野雅明氏によれば、日本の債務残高は今年末までに国内総生産(GDP)の約200%に達し、2014年までに約300%に膨れ上がるという。ただ、これまでは、家計と企業の貯蓄がこうした憂慮すべき数字を埋め合わせてきた。

 だが、2015年までには国内の民間貯蓄が不足して財政赤字を埋められなくなると菅野氏は言う。実際、現在の貯蓄率は2%と、伝統的に浪費家の米国家計の貯蓄率を下回っている。さらに菅野氏は、(かつて米国との大きな摩擦の原因となっていた)日本の経常黒字がその後間もなく完全に消滅すると予想している。

(後略)

<引用終わり>

三井住友銀行が短期国債以外の日本国債を手放したようです。この事はロスチャイルドが日本国債を長期的に信用していない事を示しています。

■ 国債に誘導される国内資金 ■

この記事にもあるように、日本国内の資金は意図的に国債へと誘導されています。BISの規制が厳しくなる中で、自己資本の制約を受けない国債保有へと金融機関は益々傾倒していくでしょう。

さらに日銀は、マネーサプライを絞って景気浮揚を阻害している疑いがあります。金融緩和で低金利政策を取ったり、量的緩和を実行する傍らで、市場から資金を回収しているのでは無いでしょうか?リーマンショック後、世界の多くの国がマネーサプライを増大させる中で、日本は増加率が105%と低水準です。

市中金利が上がっては、国債の魅力が薄れます。国債の入札が不達のような事態が生じれば、日本国債が暴落する可能性もあります。

■ 国債金利とはどうやって決まるのか? ■

国債が原則的の年2回、金利が支払われます。
2010年の10年物の国債金利は1.186%です。

額面100円の10年国債を所有していれば、毎年1.186円の利息が得られます。
10年後には額面の100円も手元に戻ってきます。

ところで、国債は市場で売買されるもので、価格も市場が決定します。
借りに額面100円の国債が90円に値下がりしていれば、金利は1.317%に上昇します。

新規に発行される金利も市場の国債金利を参考にしますから、国債価格が下がると国債の金利は上昇します。

■ 国債金利と金融機関 ■

国債の金利は低い方が、政府は金利負担が少なくて済み、より多くの国債を発行する事ができます。

民間の金融機関は国債金利が低くても、不景気で他に安全で魅力的な資金運用先が無ければ、安全資産としての日本国債を購入します。

900兆円にも上る国債残高を抱える日本現在の日本では、国債金利の上昇は財政を破綻させかねません。ですから、政府日銀は金利が上昇するような思い切った経済政策を取ろうとはしません。

景気の改善で税収増加は見込めますが、税収が増えるまでにはタイムラグがあります。それ以前に金利上昇によって国内の金融機関が国債離れを始めれば、国債の金利が上昇し始め、ある時点で「日銀の国債の直接買い入れ」に陥る可能性があります。

中央銀行の国際の直接買い入れは「禁じ手」ですが、FRBもヨーロッパ中央銀行も既にこの禁断の領域に踏み込んでいます。

しかし、国債の発行残高がGDPの200%という日本でこの様な事態が発生した場合、はたして民間の金融機関がリスクを犯してまで国債を保有し続けるでしょうか?

現に三井住友銀行は長期国債を手放しています。

■ 国債金利は低下し過ぎてもいけない ■

現状は非常に低金利でも他の資金運用先が無いので、日本国債は人気があります。

しかし、あまり人気が高まると国債金利が低下します。

銀行も郵便局も、年金基金も国際の利払いから預金者の利息を払ったり、年金を支払ったりしています。国債の利回りがあまり下がると、彼らは逆ザヤが生じる為、国債を手放さざるを得ないケースも発生します。

国債の入札が未達に終わるような事態が生じれば、今度は国内の金融機関が一気に国債を手放すかもしれません。

国債金利はあまりに低すぎてもダメなのです。

■ 現状、日銀は上手くやっている ■

日銀の経済政策は、「国債の安定消化」に主眼を置いているようです。
ですから、景気は程ほどに悪い方が良い。

輸出企業の多くも、日本国債の金利が上昇すると、アメリカとの金利格差が逆転して、ドル安-円高が一気に加速するので、日本国債の金利上昇は望みません。

こと国債金利だけに注目するならば、日銀はなかなか上手い運営を行っているとも言えます。

■ いずれ訪れる終焉 ■

日本国債が安全だという方々の根拠は、「日本国債は日本人が所有している」という事です。

しかし、景気低迷が長引けは、預金残高は減少し、金融機関の国債購入力も低下します。この様な事態が訪れるまで、5年程猶予があるようですが、5年以内に景気が回復する保証はありません。

一方、世界に目を転ずれば、アメリカの広義の失業率は20%に迫り、リバタリアン(ティーパーティー)が台頭するなど、暴動が発生する下地が整いつつあります。アメリカが再び一つにまとまる為には有事が必要です。中東や東アジアの安全が脅かされるリスクも高まっています。

三井住友銀行で無くとも長期国債を手放したくなる理由が目白押しです。まして、今後の世界が予見できるとすれば・・・。

尖閣ビデオ流出事件・・・情報管理危機国家

2010-11-05 23:43:00 | 時事/金融危機



■ 尖閣問題のビデオが流出 ■

先般の外事3課の情報流出といい、今回の尖閣問題のビデオ流出といい、この国の情報管理はいったいどうなっているのでしょうか?

海上保安庁が「義憤にかられて」情報を漏洩するはずが無く、明らかに海上保安庁からビデオを入手した何者かが意図的な情報漏えいした可能性を疑うべきです。

■ 流出したビデオは編集後のビデオ ■

Youtubeで流出ビデオをご覧になれば分かる通り、流出ビデオは3部構成になっています。

① 巡視艇「よなくに」が中国漁船の進路規制をし、中国漁船が網を上げる
② 巡視船「よなくに」に中国漁船が衝突
③ 巡視船「みずき」に中国漁船が衝突

この他に、同海域に居た巡視船「はてるま」からの映像も流出しています。

流出したビデオはタイトルや時間が後から編集で入れられている為、生のビデオが流出したのでは無く、国会議員に見せる為に編集されたビデオである事が伺えます。

■ 百聞は一見にしかず ■

漁船衝突時の模様には、ネットを中心にいろいろと噂が流れています。板垣英憲氏のブログでは、米軍との共同作戦によって中国漁船を追い込んだ「キーン作戦」という謀略説まで載せられています。

一方、ネト右を中心に、中国漁船自体が中国のスパイだという書き込みが多く、いろいろと妄想を掻き立てられているのは、私だけでは無いようです。

しかし、今回流出した映像を見ると「百聞は一見にしかず」という諺の意味を痛感します。

■ 巡視艇は4隻以上いた ■

映像を見る限り、現場海域には3隻以上の巡視艇がいたようです。

① 1回目の体当たりをい受ける「よなくに」
② 「よなくに」と行動を共にする「はてるま」
③ 応援に駆けつけ、2回目の衝突を受ける「みずき」

さらに「はてるま」の映像中、「4番船みずき」と言っている事から、現場海域には少なくとも4隻以上の巡視艇が出動していた事が伺えます。

■ ビデオ① 「よなくに」による進路規制 ■

ビデオの第一部は、尖閣近海で網を引いて操業中の中国漁船の進路を、巡視艇「よなくに」が規制する所から始まります。

漁船は網を引いて操業中でしたが、進路を「よなくに」に阻まれ、停船して網を引き上げます。

ここまでの映像は落ち着いており、「通常任務」を遂行している感じがします。ただ、ビデオの後半のナレーションはアフレコの様な気もしますが・・・。

■ ビデオ② 「よなくに」に漁船が衝突 ■

網を引き上げた後、漁船は急発進し、左に舵を切り「よなくに」の右舷前方に衝突して逃走します。ビデオの記録時に読み上げられた時間から推測するに、10時15分頃だと思われます。

中国漁船が右舷に傾いている事からも、この衝突は明らかに中国漁船が故意に仕掛けています。ヤンキーが切符を切られた腹いせに、パトカーを蹴飛ばして逃走する行為と同じです。

衝突された「よなくに」の船上ではにわかに緊張感が走ります。しかし「よなくに」は「現場確保」の為に停船し、逃走する漁船を追跡しません。

その後「よなくに」と行動を共にしていた巡視艇「はてるま」が中国漁船に接近するのを、「よなくに」からの映像で確認できます。


■ ビデオ③ 「みずき」に衝突する漁船 ■

3本目の映像は、応援に駆けつけた「みずき」が漁船に並走して停船警告を行う所から始まります。

漁船と並走する「みずき」からは中国語による停船命令が叫ばれ、サイレンも鳴っており、それなりに緊張した空気が漂っています。

漁船は減速する様子も無く、しばらく「みずき」と並走した後、「みずき」が漁船の前方に出る所を、「みずき」の右舷後方に衝突します。

衝突の直前から「みずき」甲板上では「衝突するぞ、当ててくる!!」などの声が聞かれます。

この映像では、漁船が左舷に舵を切って「みずき」に衝突したのか、「みずき」が右に舵をい切って漁船の衝突を誘発したのか良く分かりません。

■ 第4のビデオ 「はてるま」の映像 ■

「みずき」と漁船の折衝を客観的に確認できるのは「はてるま」からの映像です。

第一回目の衝突後「よなくに」は追跡に参加していない事が、ビデオの音声から伺えます。ここら辺のやり取りは笑い声交じりで、「はてるま」船上ではそれ程の緊張感は感じられません。

「はてるま」のビデオが漁船に接近する「みずき」を撮影します。

「みずき」は漁船の左舷後方から接近し、左に舵を切りながら漁船と並走する体勢を取ります。

「みずき」は漁船の進路を阻む為か、漁船のやや前に出ようとします。

漁船との衝突の瞬間は、「みずき」の影で良く見えませんが、漁船が加速した結果、「みずき」の右舷後方に衝突します。

この衝突は漁船が加速しなければ回避出来たので、「漁船が衝突してきた」という海上保安庁の主張はあながちウソではありません。

ビデオを見る限りでは、「みずき」が漁船の進路を妨害したとも主張出来、「よなくに」への衝突程、中国漁船の故意は明確ではありません。

尤も、「みずき」もかなり執拗に「停船」を迫っており、「よなくに」に衝突させた漁船船長の性格から考えても、「みずき」側も衝突をある程度予測していた様にビデオからは伺えます。

■ 「つまらない事件」が大事になった ■

海上保安庁としては「日本の領海内」で巡視艇2隻が故意に衝突された訳ですから、中国船長の身柄を拘束するのは当然の行為で、全く合法的処置です。

パトカーに腹いせに衝突した暴走族を現行犯逮捕するのと同じです。

しかし、船長を長期拘留して起訴するかどうかで問題が拗れてしまいました。

海上保安庁は当然、法律に従って船長の拘留、捜査、検察への報告を行います。

通常はこの時点で政府にも連絡が行き、中国を刺激したくない従来の日本政府は、船長の身柄を早期に中国側に引き渡たしていたのでしょう。

ところが、今回は民主党が不慣れだったのか、あるいは前原前国交相の思惑が働いたのか、船長の拘留は長期化して、中国はこれに抗議します。

中国にしてみれば「尖閣」は自国領土ですから、船長拘束の正当性を認める訳にはゆきません。通常であれば、外交ルートでちょっと抗議すれば、日本政府は折れるはずでした。

ところが、前原国交相も民主党幹部も妥協しなかった為に、問題が拗れてしまいました。

事件はたいした事では無く、巡視艇の乗員は、「よなくに」の衝突後も、「はてるま」船上では笑い混じりでビデオを撮影する程度の事件でしたが、政治が問題を大事にしてしまいました。

■ ビデオ流出は大問題 ■

尖閣問題自体は、とてもチャチな事件です。

しかし、国際問題化している事件のビデオが流出する事は尋常ではありません。

本来、このビデオは存在すら公開せず、中国に対するカードとして有効に使うのが外交の常識でしょう。決定的証拠は裏でこそ効力を発揮するものです。
ところが、今回はビデオを誰かがネットに流出させました。

この問題点は二つあります。

① 情報管理が出来ない国家は信頼されない
② 情報操作を画策する勢力が存在する

■ 世論を硬化させるビデオ流出 ■

今回の流出ビデオをじっくり眺めれば、現場レベルでは日常的な国境でのイザコザです。

巡視艇の乗員も、緊張はしていますが、「しょうがない奴らだなあ」というトホホな空気も感じられます。

ところが、世間は衝突とい事実しか目を向けません。

今後、日本の世論は中国に対して益々硬化し、中国の世論も加速度的に半日かするでしょう。

■ アメリカを利するビデオ流出 ■

笑いが止まらないのは・・・アメリカです。

オバマ政権は発足当時こそ親米政権でしたが、中国が元を切り上げないので、親米派のリーダーであったクリントン国務長官も中国対して強硬姿勢を取り始めました。前原外相とクリントンが阿吽の呼吸で、尖閣問題を盛り上げています。

アメリカはベトナムやフィリピンと中国の領土問題でも、尖閣問題と同様に緊張を煽る行動に出ています。

「アメリカは将来ハワイ・グアムまで後退して、太平洋の西半分は中国に任せる」と米軍幹部が中国軍幹部に語る程、中国に譲歩していましたが、ここに来て180度方針を転換しています。

尖閣、台湾、西沙諸島 南沙諸島と、中国の外洋進出を阻む領土問題を煽って、中国に対して最大限の嫌がらせをしています。

これでしばらく世間の目は尖閣問題に釘付けです。その間に経済が崩壊して行くのにも気付かずに・・・。

アイルランドは事実上のデフォルト?

2010-11-04 18:26:00 | 時事/金融危機




■ アングロ・アイリッシュ・バンクがデフォルト ■

結構大事なニュースなのに何故か世間では殆ど騒がれていないのが、アングロ・アイリッシュ・バンクのデフォルト。

アングロ・アイリッシュ・バンクはリーマンショックで経営難に陥り、アイルランド政府が国有化した銀行です。云わば、アイルランド版のリソナ銀行。

そのアングロ・アイリッシュ・バンクの債券の価値を元値の20%に圧縮するとアイルランド政府が発表しました。

<毎日jpより引用>
http://mainichi.jp/life/money/news/20101023k0000m020008000c.html

アイルランド:国有化した大手銀行 事実上の債務不履行に 

アイルランド政府が国有化した同国の大手銀行アングロ・アイリッシュ・バンクは21日、総額約35億ユーロ(約4000億円)相当の劣後債を整理すると発表した。事実上の債務不履行(デフォルト)。負債を減らして自己資本比率など財務内容を改善するのが狙い。

 08年秋の金融危機の直撃を受けたアイルランドで銀行の債券がデフォルトに陥る初のケース。対象債券を保有する金融機関には多額の損失が発生する。日本の金融機関が同債券を保有しているかは不明。

 約15億7500万ユーロ分は、元の20%の価値の新たな政府保証付き債券と交換。約19億3000万ユーロ分は5%相当の現金を支払う。今回のデフォルトで、他の金融機関が発行する同種債券の価格が下落するのは必至。欧州では、アイスランド最大手カウプシング銀行が発行した円建て外債(サムライ債)が08年にデフォルト、大手邦銀などが損失を被った。(共同)

毎日新聞 2010年10月22日 18時10分

<引用終わり>

■ アイルランドは事実上の国家デフォルトでは? ■

「国有化した銀行の債券がデフォルトする」という事は、国家が補償した銀行の債券がデフォルトする訳ですから、実際的には国家破綻を意味するのでは無いでしょうか?

アイルランドには債務の支払い義務があり、国家としてその義務が果たせないという事は国家破綻と同義のはずです。

ちょっと調べてみたら、問題の劣後債の国家補償は9月29日までの期限付きでした。・・・・限りなくインチキ臭い処理と言えるでしょう。劣後債ですから、アングロ・アイリッシュ・バンクが破綻した後では、殆ど紙屑同然になってしまします。それよりも20%に減額されても政府が保証してくれるなら、その方がオトク・・・劣後債の所有者がそう判断するしかありません。

■ ギリシャは騒がれて、アイルランドは隠される ■

同じPIGSと揶揄されたギリシャはデフォルトしていませんが、あれ程騒がれました。
ところが、アイルランドは事実上の国家デフォルトでも殆ど騒がれません。
この違いな何なのでしょう?

ギリシャ危機は、ヨーロッパ各国が巨大な財政出動をしている最中に発生しました。ユーロッパ各国はギリシャ危機の後、緊縮財政へと政策を180度転換します。

ギリシャ危機は緊縮財政政策への口実として使われた感あります。

一方、ヨーロッパ各国が財政再建路線に切り替えた後のアイルランドのデフォルトは、財政再建路線に水を差しかねません。

ユーロ危機が再び吹聴されてば、緊縮財政で減速を余儀なくされているヨーロッパ経済に大きなダメージを与えます。

■ 格付け機関の反応も鈍い ■

ムーディーズなどの格付け機関の反応も鈍いようです。アイルランド銀行とアングロ・アイリッシュ・バンクの格付けを地味に1段引き下げただけでし。

ドル安政策を推進するアメリカにとって、ユーロ危機の再来は喜ばしくありません。

オバマ政権は中間選挙前に今以上のマイナス材料を増やしたくありません。
景気回復の遅れが最大のマイナス要因と言われる中、ヨーロッパの危機が喧伝されれば、アメリカの不景気をいやが上にも意識せざるを得ません。

■ 危機は深化しているのに異様な静けさ・・・ ■

アイルランドに限らず、金融危機は深化しています。ここに来て、米大手銀行の収益も悪化しています。しかし、リーマンショック直後の様な危機感は世界中から薄らいでいます。

「危機に慣れてしまった」と言えばそれまでですが、私には、嵐の前の静けさに感じられて仕方がありません。

アメリカが新100ドル紙幣の発行を延期した事と合わせて、「何かの仕掛け」が発動するタイミングを計っているような、不気味な気配を感じます。

可能性としては、中東危機か中国バブルの崩壊でしょうか?金融危機の再来は不可避となりつつある現状で、人々の関心は「いつ」と「どの様に」に移っています。

仕掛ける側は、不意打ちこそ最大の効果を発揮しますから、イベントの予測は困難でしょう。私達に出来るのは、心の準備くらいでしょう。