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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

子宮頸がんワクチン・・・被害者連絡会が発足

2013-03-27 03:20:00 | 危険なワクチン
 


■ 「宮頸がんワクチン被害者連絡会」発足のニュース ■

「痛みに苦しむ少女多数…子宮頸がんワクチン被害者連絡会が発足」(産経新聞 2013.03.26)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130326-00000511-san-soci より

<引用開始>

宮頸(けい)がんワクチンの予防接種を受けた女子中高生らの一部に重い副反応が出ている問題で、東京都杉並区内の被害者家族5人や医師らが25日、千代田区永田町の星陵会館で記者会見し「全国子宮頸癌(がん)ワクチン被害者連絡会」(約50人、池田利恵事務局長)を結成を発表した。

 連絡会は同日発足。設立趣意書によると、情報の収集、共有、広報を通じて、被害拡大を防ぐ活動に取り組む。

 会見で杉並区内の母親は、一時登校できなくなり、いったんは回復に向かった中学生の娘が再び歩行困難になった近況を報告。「激しい痛みが体のあちこちに移動する症状に苦しむ少女が多数いる現実を直視してほしい。積極的な調査をすれば、共通する症状が見えるはず」と訴えた。

 別の母親も「接種部と痛む部位が異なるとして救済されない壁に直面している。定期接種化でさらに多くの子供に接種するなら、情報提供、専門家による治療など支援態勢を充実してほしい」と述べた。

 同会には北海道をのぞく26都府県から相談が寄せられている。近く町田、多摩両市議会が接種に関する意見書提出を検討している。

<引用終わり>


■ ワクチンを疑え!! ■

私が所謂「陰謀論者」になったのは、
「新型インフルエンザ」騒動がキッカケでした。

WHOのマガレット・チャンを初めとする主要メンバーが居並んだ記者会見で、
彼らが新型インフルエンザのパンデミックが発生したと発表しました。

丁度、東南アジアで鳥インフルエンザの人→人感染が疑われていた時期なので、
私は「大変な事が起きた」と思い、ネットで情報を集めました。

ところが、WHOが警告する程、新型インフルエンザの死亡率は高くありません。
いえ、むしろ、近年まれに見る死亡率の低いインフルエンザである事が直ぐに判明しした。

ところが、WHOは世界に向けて警告を繰り返し、
日本は国内のワクチン製造業者だけではワクチンの製造が間に合わないので、
海外のワクチンを輸入する事を決定します。

「近年稀に見る弱毒性ウィルス」に対する過剰な報道と対策に、
私はWHOやマスコミ、そして各国政府に対して不信感を抱きました。

初めはWHOは製薬会社と結託してワクチンの販売促進をしている!・・・そう考えました。
欧州委員会も同様に考えた様で、WHOの理事を公聴会に呼んでいました。

「新型インフルエンザ」騒動の原因は、
WHOが「パンデミック」の定義を勝手に変更した事にありました。
「重要な影響のあるウィルス感染が大陸を越えて広がる事」という定義を、
「新型の感染症が大陸を越えて広がる事」に、こっそり変更していたのです。

ですから、「強毒性の鳥インフルエンザ」も、「弱毒性の新型インフルエンザ」も
等しく「パンデミック」として扱われたのでした。
そして、WHOは、今まさに世界中が危機に陥った様な演出をしていたのです。

調べれば調べる程、私の「善良な市民としての常識」は崩壊し、
「世の中は何か信じられない様な原理で動いている」と思う様になりました。

それまでバカにしていた「陰謀論」の一部が、
以外にも合理的である事に思い至ったのです。


■ アジュバンドって何 ■

インフルエンザワクチンについて、情報を集めるうちに
一つのキーワードが浮びあがってきました。
それが「スクワレン・アジュバンド」です。


スクワレン自体はオリーブオイルにも含まれ、
人間の体内にも普通の存在するタンパク質です。
このスクワレンを特殊に加工してワクチンに加える事で、
ワクチンの働きを強化する事が出来ます。

同様な効果はアルミ化合物と界面活性剤の組み合わせなどでも達成出来、
この様なワクチンの効果を補強する物質を「アジュバンド」と呼んでいます。

ワクチンは「癌ワクチン」など次世代医療として注目を集めています。
「癌ワクチン」などの次世代ワクチンに用いられる抗原は、
本来、免疫の喚起効果が弱く、ワクチンの効果を得る事が難しい抗原です。

この様に、免疫喚起効果の弱い抗原に、
充分な免疫喚起を起させる為に加えられるのが「アジュバンド」です。

次世代ワクチンは「アジュバンド」の技術とセットなのです。

■ 安全性の疑問視されるアジュバンド ■

ところが、アジュバンドの安全性は100%確立しているとは言えません。

オリーブオイルに含まれるスクワレンを口から接種しても何ら問題は有りません。
普通に消化されて吸収され、体内でタンパク質を合成する際の原料となります。

ところが、これを皮下注射した時の影響は未知数です。

人間の体には免疫反応が備わっています。
皮下注射の様な形で体内に侵入した物質を「異物」と認識すると、
その物質に対する抗体が作られます。

スクワレンは体内に普通に存在する物質なので、
通常、スクワレンを皮下注射しても抗体が形成される事はありません。

しかし、何かのキッカケでスクワレンに対する抗体が出来る事が疑われています。

湾岸戦争の当時、従軍する米国軍の兵士達は、沢山のワクチンが接種されました。
その中の炭疽菌ワクチンに、米国では使用が認められていなかった
スクワレンアジュバンドが使用されていました。

湾岸戦争に従軍した兵士の多くに「湾岸戦争症候群」なるものが発生します。
頭痛や眩暈、体の節々の痛み、不安・・・兵士達は様々な症状を訴えます。
ストレス性の症状とも、膠原(こうげん)性の疾患の様にも見える症状が多発します。
これらの兵士の血液を検査した結果、スクワレンの抗体が検出された様です。

スクワレンは体内や脳などに普通に存在する物質です。
スクワレンに対する抗体が生成されると、
体のあちこちに存在するスクワレンで免疫反応が発生します。
多くは、炎症の様な症状となると思われますが、
「スクワレンのアレルギー反応」と考えると理解し易いかも知れません。

「湾岸戦争症候群」については未だ原因は未確定で、
「劣化ウラン弾」の使用による放射線障害が疑われたり、
心的外傷ストレスも原因では無いかと言われていますが、
スクワレンの嫌疑が晴れた訳ではありません。

いずれにしても、アメリカ食品医薬品局(FDA)も、
日本の厚生労働省もアジュバンド入りワクチンを認可していません。

ところが、「新型インフルエンザワクチン」では特例として、(ドサクサ紛れで)
アジュバンド入りのワクチンが採用されました。

■ 「不妊化ワクチン」というウワサ ■

新型インフルエンザワクチンに含まれる、スクワレンアジュバンドの組成が、
ペットの不妊化ワクチンの組成に似ている事が問題になります。

ノバルティス社の新型インフルエンザワクチンに含まれる
スクワレン・アジュバンドMF59の製法が、
同社が以前販売したペットの不妊化ワクチンに含まれるアジュバンド9に似ていたのです。

そこで「新型インフルエンザワクチン」=「イルミナティーの断種ワクチン」という噂が広がります。

この噂自体は、根拠に乏しく、疑わしい程度の内容でした。

■ 「子宮頸がんワクチン」の強制接種が疑いを増長させた ■

「アジュバンド」=「断種ワクチン」の疑いが持たれた頃、
欧米で「子宮頸がんワクチン」の「強制接種」が始まります。

14歳以上の女子に強制的にワクチンが接種され始めたのです。

子宮頸がんは、人パピローナウィルス(HPV)の感染も原因の一つとされています。
性交渉によって感染する人パピロナウィルスは極めて影響の少ないウイルスですが、
稀に子宮頸において、慢性的な炎症を引き起こします。
この慢性炎症が原因となって、子宮頸がんが発生する事があります。

胃癌のピロリ菌と共に、感染による発生が確認された癌です。
ウィルスが特定されているので、ワクチンが開発されました。
人類史上で始めて、ワクチンによって予防される癌が「子宮頸がん」だったのです。

ところが、子宮頸がんは乳癌や大腸癌や胃癌や肺がんなどに比べてポピュラーではありません。
そして、早期発見によって癌の死亡率は大幅に低減できる癌です。

実際に日本では検診が普及しているので、年間の死亡者は3000人程度です。
これとて、検診のさらなる普及で、もっと少なくなる事が予想されます。

この程度の癌に、「ワクチンの強制接種」が実施されたので、
一部の人達(私も含め)は、製薬会社と政治家の癒着や、さらに「断種ワクチン」の疑いを持ち始めます。


■ 単なる噂に過ぎない不妊? ■

「アジュバンド=不妊化」というのは単なる噂に過ぎないかも知れません。

何故なら、不妊化するためには免疫反応が卵子や精子、
或いは生殖細胞自体を攻撃する必要があり、
その為には、卵子や精子、又は生殖細胞に特有のタンパク質を抗原として加える必要があります。

新型インフルエンザの時に不妊化が疑われたのは、
ペットの不妊化ワクチンに含まれていた豚のタンパク質構成要素と、
当初ブタインフルエンザを呼ばれた新型インフルエンザのワクチンの抗原に使用された
H1N1のブタのタンパク質が、不妊化ワクチンと共通要素だと疑われた為です。

要はは、不妊化の原因は、ブタのタンパク質であり、
不妊化ワクチンのアジュバンド9は、免疫効果を高める為に加えられたに過ぎません。


■ 子宮頸がんワクチンのアジュバンドはスクワレンでは無い ■

色々な噂のある子宮頸がんワクチンですが、
ノバルティス社のサーバリスクに含まれるアジュバンドは、
水酸化アルミニウム+MPL(AS04)MPL:Monophosphoryl Lipid Aです。

MPLは免疫反応を増強する為に転嫁される免疫賦活剤で、
昆虫(ひぐらし)の細胞由来の成分を使用しています。

グラクソ・スミス・クライン社のアジュバンドは
アルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩で、従来型です。

これらのアジュバンドは、スクワレンを使用していないので、
スクワレン抗体を生成する事は無いと思われます。


■ 今問題となっているのは「普通の副反応」 ■

アジュバンドの問題をクリアーしたとしても、
ワクチンには極めて低い確率で、「副作用」が発生します。

有名なものに「ギランバレー症候群」があります。
急性・多発性の根神経炎の一つで、主に筋肉を動かす運動神経に障害が発生します。

ギランバレー症候群のメカニズムには不明な点も多いのですが、
感染症によっても発生しますし、
インフルエンザなどのワクチンの接種によっても発生します。

今回の「宮頸がんワクチン被害者連絡会」の方々の障害が、
歩行障害だったりする事を考えると、
「ギランバレー症候群」の発生が疑われます。

「子宮頸がんワクチン」の接種者が増えている事で、
ワクチン接種で定率(低率)で発生するギランバレー症候群の
発生件数も増えているのかもしれません。

■ 「子宮頸がんワクチン」の接種の必要性こそ問題視されるべき ■

私は当初、子宮頸がんワクチンは不妊化ワクチンでは無いかと疑っていました。
しかし、アジュバンドの組成を見る限りは、この疑いは杞憂の様です。

一方で、検診にる早期発見が可能な子宮頸に対して、
単に「ワクチンの効果が確認された」という理由から、
子宮頸がんワクチンを強制接種したり、集団接種する必要性があるかは疑問です。

アメリカでは男子にまで接種の義務化を進める動きもありますが、
これも過剰な反応といわざるを得ません。

そもそも、子宮頸がんワクチンの効果は年が経つにつれて薄れるので、
14歳で接種しても、30歳頃には効果は消失しています。

それ以降の感染による子宮頸がんの発生は、
やはり検診による早期発見しか防ぐ手立ては有りません。

子宮頸がんワクチンが全ての子宮頸がんを予防出来ない事を考慮しても、
結局、若いうちからの、検診の受診でしか、
子宮頸がんを防ぐ事は出来ないというのが、医療関係者の共通の認識だと思います。

ギランバレーなどの副作用の発生を秤に掛けた時、
子宮頸がんワクチンの集団接種や強制接種の妥当性があるのか、
もう一度、医療関係者もじっくりと考える必要があるかと思われます。


韓国のサイバーテロ・・・決して対岸の火事では無い

2013-03-26 16:35:00 | 時事/金融危機
 


■ TVの報道では良く分からない韓国のサイバーテロ ■

今回韓国で発生したサイバーテロはTVなどの報道では理解が難しいというか、
原因の本質を意図的に隠していると言うか・・・。

ネットの不確実な情報を元にするならば・・・

1) 韓国では不正コピーされたWindousOSが広く流通している
2) 韓国軍が不正Windousの使用料をMSに請求される程、不正コピーは蔓延している

3) MSは毎週水曜日にWindowsアップデートを実施している
  (良く勝手にシャットダウンするやつですね)
4) Windowsアップデートで非正規版ソフトはアップデートを受けられない
5) 韓国では大手ウィルスソフトメーカーが不正ソフト用アップデートを配布している
6) サーバーに繫がった企業の個々のPCがMSのサーバーに繫がる時はIPアドレスを偽装

7) このウィルスソフトメーカーが配布するパッチにウィルスが侵入
8) PCのハードディスクを破壊

9) ウィルスに感染したPCのみならず、ネットワークで繫がるサーバーも攻撃
10)  LinuxをOSに使用したサーバーでも攻撃対象となる


信憑性に乏しいネット情報ですので参考までに・・・。


不正コピーが蔓延に対する実力行使による警告の様に受け取れますが、
このウィルスってリナックスサーバーまで攻撃するとなると、
世界中の銀行システムが同様の危険に曝される事になります。


今や銀行預金も電子データの時代。
韓国の事件は、決して対岸の火事ではありません。





預金に最大40%課税・・・キプロス問題はロシアのン問題?

2013-03-26 07:59:00 | 時事/金融危機
 

■ 10万ユーロまでの預金は保護=ペイオフ ■

キプロス問題は、キプロスポピューラー銀行の破綻処理という一般的な民間銀行の破綻処理の方式を取る様です。


1) キプロス・ポピュラー銀行をグットバンクとバットバンクに分割
2) 不良債権をバットバンクに集める
3) 優良債権はグッドバンクでに集める

4) 10万ユーロまでも預金は保護する=ペイオフ
5) グットバンクと、保護された預金はキプロス銀行が引き受ける
6) 中央銀行からキプロス銀行が90億ユーロの緊急流動性供与を受ける

7) キプロス・ポピュラー銀子の10万ユーロ以上の預金を凍結する
8) この預金凍結で42億ユーロを捻出する

言うなれば預金者の自己責任で解決しろという事。
「金利=リスク」という大原則に立ち戻っただけとも言えます。

■ ロシア人のマネーロンダリング潰し ■

キプロスの銀行は4%の利子が付いて、なおかつ非課税であった事から
海外のマネーの逃避地として、特にロシアの資金が集まっていました。

高い金利を支払う為には無理な運用もしますし、
そもそもそれだけの金利を支払える見込みも元々無かったのでしょう。
金融危機が発生し、資金流出が起きれば、一気の破綻するのは当然の事です。

キプロス人自体は、それ程裕福ではありませんので、
大口預金者の多くはロシア人だと言えます。

キプロスの財務省はロシアに支援要請をしますが、
プーチンは一刀両断に断ります。
当然です。
マネーロンダリングで海外に流出した資産を救う必要はロシア政府には微塵もありません。

むしろプーチンはユダヤ系の新興財閥との戦いで今の地位を築きました。
今週、イギリスの亡命していたユダヤ系財閥のボス、
ボリス・ベレゾフスキーが変死しましたが、
ロシアによる暗殺が疑われています。

プーチンはロシアの国益を損ねる行為に容赦ありません。
マネーロンダリングの怪しい資金など、助けるはずがないのです。

■ アメリカや先進国では踏みにじられ、キプロスでは厳守される「原則」 ■

過剰な投資で銀行が破綻の危機に陥った状況は、
リーマンショック後の大手銀行も、キプロスの銀行も変わりありません。

しかし、大手銀行は「大きすぎて潰せない」として政府の資本注入で生き延びます。
一方、キプロスの銀行は、破綻処理され、責任は預金者が負う事になります。

これこそ、ダブルスタンダードの最たるものですが、
リーマンショック後に原則を貫けば、現在の世界の銀行はおとんど全て消えています。

■ 預金が安全でないという前例は、ギリシャやスペインに悪影響を与える ■

「預金者が責任を負う」という「原則論」が示された事は、
今後のユーロの動向に、悪影響しか与えません。

何故なら、ギリシャ国民や、スペイン国民は、
自国銀行の預金を引き出してタンス預金にするか
あるいは、ドイツなどの銀行に預けなおす可能性があるからです。

ギリシャでは危機発生以降、銀行の預金流出が続いていますが、
この動きを加速する恐れがあります。

一方で、ロシア人の預金が没収されたのを見た金持は、
海外の預金が安全でない事に怯えているはずです。

■ トロイカはユーロを崩壊の寸前まで追いやる ■

ユーロは欠陥通貨です。

財政が統合されていないユーロ圏では、
徴税による資金の循環のシステムが有りません。

景気の良い時は、ドイツに集まった資金は、
民間投資や国債投資という形で南欧諸国に還流しました。
これが、南欧諸国で不動産バブルを膨らめました。

しかし、一端金融危機が発生すると、資金の循環が逆転します。
もの凄い勢いで、南欧諸国への投資た引き揚げられたのです。

財政が統合されていれば、ドイツ人が儲けた事によってドイツで徴収された税金は、
ドイツの利益の源になった、南欧諸国への公共投資によって還流させなければなりません。
好景気の時は民間で行われるこの循環を、不景気の時は政府が行なう必要があるのです。

ところが、ドイツ国民は自分達の税金が「なまけ者」の為に使われる事には納得しません。
「民主主義」といえば聞こえは良いですが、結局、国民は「身勝手」なのです。

ドイツ国民が渋々、ユーロ圏の財政統合に合意するには、
財政統合をしなければ、もっと酷い状況が発生する所まで追い込む必要があります。

ドイツはユーロ統合のマーレヒト条約を批准するときに、
国民の同意があればユーロを離脱できる法律も採択しています。
ドイツ国民の多くは、いざとなればユーロを離脱すればよいと考えています。

しかし、ドイツがユーロを離脱したらどうなるでしょう?

1) 復活したマルクは暴騰
2) ユーロは暴落
3) 極度なマルク高で外需依存度の高いドイツ経済が大打撃を受ける
4) ユーロの暴落で、ドイツ人のユーロ資産は紙屑に

そう、ドイツがユーロを離脱する事は、現在のドイツの繁栄を手放す事を意味します。
ギリシャやスペインがユーロを離脱しないのも、この現実を理解しているからです。

そして、何よりもこの事実を理解しているのがテクノクラート達です。
彼らは、一つのヨーロッパ実現の為に、ユーロ危機を演出して、
ドイツ国民を追い込んでいるのです。

■ 問題はユーロ危機の仕上げの時期と、ドルと円の状況 ■

問題はユーロが崩壊の危機に瀕した時、
ドルと円が元気な状態では、ユーロが本当に崩壊してしまう事です。

ですから、ユーロが崩壊に瀕した時に、
ドルと円も足並みを揃えて危機である必要があります。

多分、全ての引き金は、再発する金融危機によって引かれるのでしょう。

その引き金が何によって引かれるのか・・・・
最近、アメリカの国防省やロシアの国防省が
盛んにサイバーテロの危機を警告しています。

そして、韓国で小規模なサイバーテロの実験が行なわれました。
銀行の顧客情報が消失したという、信じられない事態が生じています。

「テロとの戦争」の時も、「イスラム教との衝突」というイメージが先行して作られました。
何だか、同じニオイがしてきます。


あくまでも私の妄想に過ぎませんが、
「北朝鮮の捨て身のサイバーテロで世界の金融が崩壊」というシナリオならば、
誰も責任を問われません。
北朝鮮は、「わが国はやっていない!!」と主張出来ますし、
多分、サイバーテロを仕掛けるのは世界の経営者達なのですから、
北朝鮮は濡れ衣です。

そんなバカナとお思いかも知れませんが、
サーバーも含めて、MSのウィンドウズが支配する世界の恐さを
皆さは想像する事は出来るでしょうか?

意図的に放置されたセキュリティーホールを突かれたたら、
世界中のサーバーやPCは一瞬で崩壊するかも知れません。
韓国の事件は、こういう事もあり得るというイメージを作る為に仕掛けられた可能性があります。


世の中、何が起きるか分かりません。
だんだんと、危機の足音が近づいている様に感じます。

何事も起きないのが一番ですが、
金融にポッカリ空いた大穴は、依然として塞がってはいません。
そして、回復が宣伝されるアメリカ経済は、
実は昨年後半から、景気後退に入っているとのウワサもチラホラと。

QE3で何とか誤魔化していますが、いつまでもQEを続けると、
今度はバブルが膨らみます。
世界中で上昇する株価が、最後のバブルの膨張でしょう。

アベノミクスで浮かれているのはマスコミだけの様ですが、
皆さんご注意あれ・・・。


本日も、「いつも外れる人力未来予測」でした。

道州制について勉強する・・・自公の議員立法で提出されるらしい

2013-03-24 04:08:00 | 時事/金融危機





http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/55/index.htmlより


■ 道州制が自公の議員立法で提出されるらしい ■

第一次安倍政権でも提出された「道州制」
どうやら、今回も自民党と公明党が議員立法で国会に提出する準備が進んでいます。

自民党の一部は、元々「道州制」に積極的な政党です。
ですから、今回の議員立法提出は当然予想される事でした。

自民党と公明党、そして道州制に積極的な維新の会が賛成すれば
これらの政党が衆議院で2/3以上の議席を占める状況では、
道州制法案が成立する可能性が高いと思われます。

参議院で否決された法案でも、
再び衆議院で採決して出席議員の2/3以上の賛成があれば法案は成立します。


http://chie.yakudachidata.com/cpdata/cpi/isyakai/%E7%A4%BE%E4%BC%9A/%E8%A1%86%E8%AD%B0%E9%99%A2%E3%83%BB%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E3%80%80%E8%AD%B0%E5%93%A1%E6%95%B0%E3%81%AE%E5%85%9A%E5%88%A5%E5%89%B2%E5%90%88/

法律案の議決
衆議院可決後に参議院で否決され返付された(又は修正議決され回付された法律案への同意を否決した場合の)衆議院議決案を衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律となる。衆議院可決案の受領後60日以内(※)に参議院が議決しない場合、衆議院は参議院が法案を否決したとみなすことができる(憲法第59条)。


■ 道州制とはそもそも何なのか? ■

自民党は「アベノミクス」による追い風と、
衆議院の優越権を武器に、今まで通らなかった法案を一気に通す勢いです。

要は、今回提出される道州制法案は、自公が党議拘束を掛け、
維新の会が賛成に回れば、極めて成立する可能性が高いと言えます。

ですから、国民が巷でチマチマ反対しても、
日本において道州制がスタートする可能性は極めて高くなりました。

では、道州制とはいったい何なのでしょう?

依然から道州制の導入に積極的な大前健一氏の以前の記事が
道州制について詳しいので参照します。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/a/55/index.html

1) 道州制とは日本を10個程度の行政区分に分ける制度
2) 財源を国から道州に大幅に移譲する
3) 行政権においても道州の独立性を高める
4) 中央政府(国)は、外交や防衛などを専ら担う

道州制の究極目標はアメリカ型のシステムだと思われます。
韓国は既に道州制が実施されており、8つの道に区分されています。
韓国は大統領制も実施されているので、
日本よりもよりアメリカに近い政治行政形体です。

■ 道州制のメリットとは? ■

日本は明治以来、強い中央集権制度によって発展してきました。
国の地方への統括力は極めて高く、
道州制は、この中央集権を弱める働きをします。

では道州制のメリットとは何なのでしょう。

1) 国全体の利害の調整をしなくて良いので、意思決定がスムーズ
2) 県という行政区分を廃止すれば、行政コストが低減する
3) 河川整備などの広域事業の調整が容易

4) 道州毎に独自の政策が実施できれば、地方行政の自由度が高まる
5) 中央の規制を受けずに執行できる予算が増える

■ 道州制のデメリットとは? ■

道州制は以前も国会に提出されていますが、成立せいていません。
それは、道州制に反対する議員が多いからです。
では、道州制のデメリットな何があるのでしょうか?

1) 地方において州都だけが発展し、過疎化が加速する地域が増える
2) 道州間における格差が広がり、EUにおけるギリシャの様な州が現れる
3) 税の再配分のシステムに不備があると、道州間の格差が広がる
4) 道州の行政府のレベルは国に比べて劣る

5) 道州議会で外国人参政権が認められる可能性が高い

1)~4)は一般的に心配される事です。

5)は特殊ですが、例えば人口減少の著しい州が、
外国人の受け入れで活性化を図るケースなどが考えられます。
これをデメリットとするか、メリットとするかは微妙ですが、
これを反対の理由に挙げる人も意外に多い事も事実です。

■ 道州制導入へのステップ ■

中央官庁、特に総務省や国土交通省は既得権を手放したく無いので、
道州制の過度の進展にブレーキを掛けるはずです。

さらに既存の都道府県の知事や職員も、あるいは議員も
自分達の職が危ぶまれますので、道州制に反対の立場です。

ですから、法案の中身を見ないと何とも言えないのですが、
道州制の導入には、いくつかのステップを踏むはずです。

1) 都道府県を10個程度のグループにまとめて広域事業の調整を行なう上位機関として
   道州政府を位置づける

これが初期の道州制になると思われます。
国からの権限委譲も、道州の行政機関を国の出先機関的に扱えば、
中央官庁の抵抗も少なくて済みます。

但し、これは明らかな二重、あるいは三重行政で、
行政の効率化と地方自治の拡大という道州制の趣旨に逆行します

2) 道州政府の権限を強化し、都道府県の知事や議会を廃止し、州知事、州議会に一本化

第二段階は政治の統合から始めるのでは無いでしょうか。
行政機関を統合しても、政治が横槍を入れるのでは機能しません。
先ず、都道府県議会を廃止し、立法府を整理する事から始めるのでは無いでしょうか。
同時に、都道府県知事が廃止され、州知事に一本化します。

3) 都道府県庁を廃止して、郡や市町村を州の下に付ける

政治統合の次は、行政の統合が進むのでは無いでしょうか。
道州制の目的は、行政の効率化ですから、
都道府県庁は廃止、あるいは州政府の出先機関として縮小されます。

4) 国から道州に大幅に権限を移譲する

道州の行政、政治機構が確立した後、国から徴税権や行政権の大幅な移譲が行なわれます。
これによって、中央政府の紐付きから、道州政府は本当の意味で独立性を獲得します。

■ 道州政府のレベルによってはデメリットが目立つ ■

道州制の良し悪しは一概には判断出来ません。

将来的に少子高齢化で成長力が低下する日本では、
東京などの国際競争力を維持する為には、
成長力が低い地方を切り捨てる必要があります。
維新の会などは、露骨にこの路線を推進するでしょう。

一方で、競争力の低い地方の道州は、中央からの資金が減れば
当然、成長が鈍化して、生活レベルや行政サービスレベルが低下します。
地方で独自の成長戦略の導入を迫られますが、
結局、外資の積極的な受け入れや、
移民や外国人労働者受け入れという安易に走る可能性が高くなります。

言うなれば、九州などは中国資本に買占められる可能性が高くなります。
又、東北の都市の中心部をアメリカの銀行が買い占めるなどという事態も生じるかも知れません。
高齢者の保険を維持できずに、外資の保険会社に丸投げする州も現れるかも知れません。

いずれにしても、明治以来続いた強い中央集権が崩れる事で、
地方行政のレベル如何によっては、メリットよりもデメリットの方が増えるかも知れません。

■ 国際政治的な政治システムのフラット化 ■

自民党が道州制の導入に積極的なのはTPPへの参加と無関係ではありません。

TPPを導入するにあたっては、国家間の行政システムな似ているほうが都合が良い。
要は、TPPを環太平洋地域の国家連合の基礎と考えるならば、
道州レベルで、地域連合への参加を決定する事もあり得るかも知れません。

現代は近代国民国家の崩壊する時期に当たると考えた場合、
道州制の導入は、新たな時代の始まりを予感させるのかも知れません。

私個人としては、日本なんて小さな国なのだから
10個に細切れにする必要があるのかなと疑問にも感じます。

東日本と中日本と西日本の3分割でも十分で、
その他に東京、大阪、名古屋、福岡の特別区でも作れば良いんじゃないかと。

しかし、日本は狭い国土に1億3千万人が住んでいますから、
アメリカなどと州の人口バランスを取るとすれば、
やはり10分割になるのかなとも・・・。

将来的にはアメリカの大統領戦の様に、
州単位で選挙を行って、環太平洋地域大統領選挙などというのもあり得るかも・・。

SFとは何か?・・・『ねじの回転』と『蒲生邸事件』の埋めがたい差

2013-03-23 01:55:00 | 
 



■ 恩田陸のSF ■

恩田陸は『夜のピクニック』『ネバーランド』など、
高校生達の生活の一瞬を描かせたら当代一の作家では無いでしょうか。

この世代が持つ、なんとも言えないアンバランスさを
甘酸っぱい青春映画の様なタッチでスケッチしてゆきます。

小説というバーチャルリアリティー・・恩田陸「夜のピクニック」(人力でGO 2008.12.01) 

恩田陸は『光の帝国 常野物語』というSFファンタジーを執筆していますが、
今回取り上げる『ねじの回転』は、かなりガチな本格SF小説です。

■ 226事件のSF的再体験 ■

『ねじの回転』は、タイムマシンを使って歴史に干渉する物語で、
歴史変革のターゲットは、ずばり「226事件」。

時間遡行の技術が確立した未来、
国連は過去の過ちを歴史改変する事で
「今よりもより良い現在」を作り出そうとします。

ところが、タイムマシンによる歴史改変によって、
人類は致死性の伝染病の蔓延という思わぬ「現在」に陥ってしまいます。

そこで国連は歴史上の重要なターニングポイントを選び出し、
その時代のその場所にスタッフを送り込んで、
改変された歴史を、本来の歴史に再改変しようと試みます。

幾多の歴史上の大事件の中に一つとして「226事件」が選ばれます。

歴史の再改変の方法はいたってアナログです。
国連職員は「シンデレラの靴」と呼ばれる装置と共に過去に遡行します。
そして、その時代の何人かの人物を選び出し、
彼らの「懐中連絡器」を携帯させます。

選ばれた人物達は、正しい歴史における記憶を保持しています。
そして、彼らは、改変後の歴史が、自分達の記憶の歴史とずれる事を阻止する役を担います。

今回のミッションで「懐中連絡器」を持たされたのは、
安藤輝三大尉と栗原安秀中尉。
彼らは「皇道派」の青年将校として226事件を起した張本人達です。

皮肉な事に彼らは自分達の決起が失敗に終わる事も、
そして自分達が処刑され、命を落す事も記憶に留めています。
それどころか、国連職員による教育により、
日本が太平洋戦争に突入し、そして負ける事も知っています。

それなのに、彼らは「226事件の失敗を確実なものにする」使命を負うのです。

彼らの心境は複雑です。
歴史の改変を正しく再改変して未来を救う重要性は理解しています。
しかし、一方で「226事件を今度は成功させられるのでは無いか」という
強い誘惑との葛藤に苛まれます。

そんな彼らの苦悩など意に介さぬがごとく、
昭和11年2月26日の歴史が再生されてゆきます。
若き青年将校らに率いられた陸軍の部隊は、
雪の降りしきる都心の坂道を黙々と登り始めます。

ところが、歴史再現はなかなかはかどりません。
酔っ払いが兵士達に絡んで、時間的にズレが生じたり、
死ぬはずでは無かった鈴木侍従長が死んでしまたりと、
正しい歴史とは違う出来事が度々発生します。

歴史再生が正しく行なわれているかどうかは
「シンデレラの靴」と呼ばれる装置が監視しています。
この装置に入力された「正しい歴史」と、
現実に再生されている歴史に大きな隔たりが生じた場合、
「シンデレラの靴」は歴史再現を中止して、
問題の無い時間まで、時間を蒔き戻し、そこから再現が再スタートされます。

「懐中連絡器」を持たされた安藤や栗原は、
これらの全ての時間を認識し、記憶しています。
時間再現が停止されると、彼らの周囲の時間は止まり、
蒔き戻される時には、眩暈にも似た感覚を覚えるのです。

国連のミッションにはタイムリミットがあります。
国連スタッフは、過去の色々な時代の歴史再現を成功させ、
最後のミッションとして、226事件の再現に取り掛かっています。
「シンデレラの靴」も度重なる酷使で、壊れかけています。

時間との戦い中で、人類は「正史」を取り戻す事が出来るのか?

■ およそSF的でないSF小説 ■

『ねじの回転』は立派なSF小説です。

「シンデレラの靴」や「懐中連絡器」などSF的ギミックも満載で、
時間遡行とタイムパラドクスというSF小説の永遠のテーマに正面から挑んでいます。
時間遡行物のお約束の「どんでん返し」も用意されていて、
このジャンルを充分に研究されて書かれた小説です。

文庫版の後書きには、「素晴しいSF小説」との書評が載っていますが、
不思議な事に、私にはこの作品が「SF小説」とは感じられません。

何故そんな感想を抱くのでしょうか・・・?

それは、この小説にエッジが無いからかなと私は勝手に思っています。
エッジとは、その時代の最新科学の理論を用いる面白さと解釈して下さい。

SF小説は科学が新しい原理や理論を生み出す度に、
それを踏み台にして、未来の社会や、現実の世界への影響をシミュレートします。

相対性理論が発表されれば、「うらしま効果」をギミックに用い、
多元宇宙論や平行宇宙論が発表されれば、奇想天外な作品が発表される。
バイオテクノロジーの発達は、
『ジュラシックパーク』や『ブラッドミュージック』を登場させました。

一方で、「認識論」や「脳科学」の進歩は、
フィリップ・K・ディッックの諸作を生み出しています。

又、SF小説は作家達が生きた時代の社会背景とも無縁ではありません。

旧共産圏の作家達は、SFというお伽噺に体制批判を隠しました。
ウーマンリブやフェミニズムの時代には、
女性と男性の役割の変革を、SF的にシミュレーションする女性作家達が活躍しています。

この様なSF小説というジャンル独特の「エッジ」が
『ねじの回転』には存在しないのです。

「単純な時間遡行」というギミックは、既にSF的ガジェットとしては古過ぎます。
「歴史改変の修正」というアイデアは面白いのですが、
何となくその描き方が「手垢にまみれた」様な印象を受けます。

『境界線上のホライズン』の様な、圧倒的な意外性が欠けているのです。

■ 恩田陸が描きたかったのは226事件そのものなでは? ■

私は恩田陸が描きたかったのは、SF小説では無くて
226事件そのものだったのでは無いかと妄想しています。

歴史的にも謎の多いこの事件ですが、
恩田陸自身も含めて、現代の人達はこの事件を教科書以上には知りません。

多分、恩田陸は何かのきっかけで226事件に興味を持ち、
この事件の持つ意味や時代背景を、現代の視点から見つめ直したかったのでしょう。

それを歴史小説として描くには、膨大な資料の調査も必要ですし、
まだ一部の人達にとっては、記憶が生々しい事件だけに取り扱いも難しい。

そこで、SFという逃げ道を用意して、
この謎の多い事件を彼女なりの解釈で提示したのでは無いでしょうか?

ところが、226事件をどう解釈するか彼女自身が決めかねている。
と言うよりも、一般的な226事件の解釈以上のものがこの作品には見られない・・。
皇道派の青年将校達を煽っておきながら、
彼らを見捨てた軍の幹部達を暗に非難する程度の内容になっています。

226事件や満州建国、石原莞爾らの存在は、
日本の国内事情だけ見ると、とても不可解ですが、
当時の世界情勢とイギリスやアメリカの世界戦略(イルミナティー?)を考慮すると、
何だか黒いものがドロドロと蠢いていて非常に面白い題材です。

現代の小説としては、是非ここら辺に迫って欲しい所ですが、
結局、タイムトラベルSFというジャンルに閉じ篭ってしまった感じがします。

着眼点は良いだけに、非常に勿体無い小説ですが、
私達が226事件を楽しく学ぶには、結構良いテキストかも知れません。

■ ライバルの宮部みゆきの226事件をテーマにした『蒲生邸事件』は素晴しいSF ■



非常に興味深い事に、恩田陸のライバルとも言える宮部みゆきは
226事件を題材にして『蒲生邸事件』という小説を発表しています。

こちらもタイムトラベルSFですが、第18回日本SF大賞を受賞しています。

ところが、『蒲生邸事件』はほとんSF的ギミックが存在しません。
時間遡行能力を持つ「平田」という人物が、
火災現場から「尾崎」という少年を助け出します。

その助け方は、時間を遡行するというものでした。
「平田」は代々、時間遡行能力を持つ一族の出身だったのです。
彼らの辿り付いた先は昭和11年の東京。
まさに226事件が起こるその時間に「尾崎」は連れて来られます。

「尾崎」は戸惑い、「平田」に自分の生きていた現代に戻してくれと頼みます。
しかし、再度時間跳躍を試みた平田は、力の使い過ぎによって昏睡睡状態に陥ります。

一人、昭和11年の世界に取り残された「尾崎」が身を寄せたのは
平田が使用人とて働いていた「蒲生憲之」の邸宅。
蒲生憲之は陸軍予備隊大将で、かつては皇道派の大物でした。

226事件が起されると、蒲生憲之は自宅で自害します。
「この国はいちど滅びるのだ」という遺書を残して。

しかし「尾崎」は蒲生の自害に疑念を抱きます。
蒲生の弟、蒲生の後妻、蒲生の息子や娘、使用人・・・
誰もが、何がしかの殺害の動機を持ち、
そして、屋敷の中で微妙なバランスを取りながら共同生活しています。

「尾崎」は持ち前の好奇心から、
犯人は誰かを突き止めようとします。


さて、この作品のどこがSFなのでしょう?
単なる密室殺人ミステリーの大道的作品では無いか?

しかし、私にはこれこそがSF小説の醍醐味と感じさせる作品です。

平田の持つ「時間遡行」という能力は、
単に、現在の普通の若者である「尾崎」を
226事件という特殊な状況下に置かれたたとはいえ、
その実、どこにでもありそうな大家族の中の放り込む為だけのギミックです。

この作品の醍醐味は、「時間」でな無く、
過去のある時代に放り込まれた「現代の普通の若者」の行動観察なのです。
これこそ「思弁小説」としてのSFの面目躍如的作品です。

確かに過去にも「時間遡行」によって過去の文化とのギャップを楽しむ作品は存在します。
しかし、それらの作品の主人公達は、たいがい過去の大事件のど真ん中に放り出されます。そうする事で、作品にエンタテーメント性を確保しているのです。

当然、過去にタイムトリップした者達は歴史に影響を及ぼし
タイムパラドクスという矛盾を生み出す事になります。
恩田陸の『ねじの回転』も、まさにお約束通りの作品です。

ところが『蒲生邸事件』の舞台で殺された蒲生憲之は
歴史上大して重要な人物ではありません。

実は殺されるのは蒲生憲之で無くとも、
そこそこの邸宅に住む主人ならば誰でも良いのです。
ただ、昭和11年という時代のニオイを生み出す為に
226事件と、蒲生憲之が選ばれたに過ぎません。

宮部みゆきが描こうとしたのは、「未来から来た探偵」という存在です。
歴史的には蒲生憲之は自殺とされているが、
そこに小説的ギミックで疑問を挟む事で、読者を引きつけます。

そして、現代的な感覚の青年が、現代の視点で、
当時の人達と交流し、そして謎を解いてゆく様を
作者自身、興味深くシミュレーションしているのです。

『ねじの回転』では歴史は確定的に扱われますが、
『蒲生邸事件』においては、「自害」以外の確定的要素が存在しない史実を敢えて選ぶ事で、
「歴史」というものが、実際には不確定なものである事を浮き彫りにします。

「蒲生憲之の自殺」という歴史の記述の裏側に、
人々の普通の生活や愛憎がしかりと存在していた事を描き、
現代と歴史の関係性を、新たな視点で相対化しています。

この作品において蒲生憲之が自殺か他殺かすらも大きな問題では無く、
ただ、「歴史的事実」が実際には検証不可能な故に「事実」とは異なる事を
明確に指摘している上で、極めて野心的な作品と言えます。

そして、しんしんと雪が降る東京の街で、
遠くに響く軍靴の音が、これ程効果的な作品もありません。


226事件を題材にした、当代人気を二分する女性作家のSF小説を対比する事で、
素晴しいSF小説とはいったい何かという問題の答えの一つが見つかるかも知れません。



本日は私の勝手な思い込みの内容です。

恩田陸さん、宮部みゆきさんともに素晴しい作家である事は疑いようがありません。