人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

身ぐるみ剝がされる東芝・・・次は日立か?

2017-04-13 05:57:00 | 時事/金融危機
 
アメリカで行き詰った原発事業を日本が引き継いだ所で上手く行くはずが無い。そんな事は東芝も日立も三菱も百も承知でしたが、仕方が無かったのでしょう。経産省も積極的に動いていましたし。そういう経緯が有るから粉飾決算にもお咎め無し。

今は、半導体事業の売却に問題は移っています。アメリカ企業がいかに安く手に入れるか。

政府は中台韓には売らせないとしており・・・一方で台湾企業が米国内の特許で難癖を付け・・・WDも契約問題をチラつかせ、ディスカウントを迫っています。本当は日本が官民一体で守るべきですが、何故か政府は動かない。

WHをチャプター11で処理して、隠れ損失を東芝が被る前に、東芝を解体して主要部門を国内で守る方が正しい処理なのは誰もが分かっていましたが、麻生大臣がWHを処理しろと発言するなど、もうこの問題は東芝の手に負えない。

NOと言えない日本の、NOと言いたい官僚と政治家が、イロイロと夢と野望を膨らませた結果、米英の方が一枚も二枚も上手だったという事。政官民のヘンテコな国粋主義が手玉に取られた・・・

日立も米国内での損失が明らかになり始めており、第二の東芝となる可能性が有ります。

それでも何故か、三菱がアレパに出資する不思議・・・。もんじゅ・・・プルトニウムを巡る役人達の墓標となりそうですね。

アメリカは地上戦をする事は無い・・・トランプのパフォーマンス

2017-04-10 06:35:00 | 時事/金融危機
 

■ 予算の天井 ■

アメリカは議会の承認無には、米国債の発行上限を増やす事は出来ません。これをデッド・シーリングと呼びますが、2015年3月15日から2017年3月15日まで、大統領選に影響を与えるデッド・シーリングは議会によって停止されていました。

今年3月15日からデット・シーリングが発動されますが、政府にはこれを回避する様々な方法が存在するので、以前起きた様な米国債のデフォルト危機に発展するのは秋ごろからだと言われています。ただ、その前にシーリングを引き上げる決議を議会がすれば問題は有りません。

一方、17年度予算を昨年合意する事が出来なかった議会は、17年4月28日までの半年間の暫定予算で合意し、それがもうすぐ失効します。4月29日からの予算を議会が合意しなければ、アメリカの行政機関は緊急性の乏しいいくつかの帰還で業務を停止する可能性が有ります。

■ とても戦争を遂行できる様な財政状況では無い ■

シリアへの空爆で勇ましい姿を世界にアピールしたトランプ大統領ですが、現在のアメリカの財政状況は、大規模な地上戦を行える状況にはありません。シリアを散発的に空爆する事は出来たとしても、イラク戦争の様に地上部隊を大量に投入する事は不可能です。

ただ、シリアは長年の内戦で政府の影響力が低下しているので、リビアのカダフィー大統領を殺害した時の様に、NATOが協調して大規模な空爆を行い、特殊部隊がアサドを殺害すれば、シリアの政府は瓦解するでしょう。

しかし、アサドにはロシアという後見人が着いていますから、アサドを殺害するというカードは切れません。そんな強引な事をすれば、ロシアとアメリカの関係は決定的に悪化します。

結局、シリア空軍基地への爆撃は、トランプお得意のパフォーマンスに終わるでしょう。

■ 北朝鮮に対して強硬策に出れないトランプ ■

シリア空爆で中国にプレッシャーを掛けたと報道されていますが、中国は北朝鮮の金王朝の崩壊を喜びません。そんな事をすれば大量の難民が中国国内に押し寄せますし、韓国によって統一された北朝鮮に米軍が駐留す場合、米軍は中国とロシアと国境で直接睨み合う事になり、軍事均衡上、好ましからざる事態に陥ります。

北朝鮮は「緩衝地帯」として作られた国家ですが、これは中国にとってもアメリカにとっても必要な国家であり、これを容易に崩壊される事は、トランプの軍事顧問達が認めないはずです。

■ 早々にレイムダック化したトランプ政権 ■

トランプの支持率はジリジリと下がり続け、シリア攻撃前は34%まで低下していました。政府ポストの人選や議会承認も遅れており、予算が組める状況にもなっていません。

そんなトランプが派手な花火を打ち上げて人気回復を図ったのがシリア爆撃ですが、米国の保守派や好戦的な人々は、一時的にはトランプ支持を強めています。

しかし、最初に書いた様に、アメリカは本格的な戦争が出来る財政状態に無いので、パフォーマンスも単発、或いは散発的なものとなり、トランプの支持はズルズルと低下する可能性が高い。

トランプ政権は発足直後からレイムダック状態に陥っているとも言えます。

■ 「悪い株価上昇」には注意が必要だ ■

今回のシリア爆撃はアメリカの雇用統計が発表される直前に実行されましたが、雇用統計の内容は思わしいものではありませんでした。

本来ならば株式市場は大きく下落してもおかしく無い内容で、トランプラリーの終焉の始まりとなりかねませんでしたが、シリア爆撃のニュースのショックで株式市場は雇用統計に反応出来ませんでした。

しかし、このままでは、国境の壁の予算も付きませんし、減税の財源も確保されませんし、オバマケアーの廃止も合意出来ないので、早々に経済からは「期待」が剥落して行きます。

ここに来て米国債の金利上昇が止まっているのは、米国経済の停滞を予見しているからで、これは金融緩和バブルの崩壊を先送りするには有利ですが、9月に向けてデッド・シーリングの問題がクローズアップされると、米国の長期国債の金利がジリジリと上昇を始めます。

米国債を逃避したマネーが株式市場に流れ込むめば、見た目の好景気は維持されますが、実体経済と株価が乖離すると、バブル崩壊の危険性が増大します。

何となく、次なる危機は米国株式の暴落から始まる予感がします。

■ 戦争の為のトランプ政権 ■

今は未だトランプ政権の戦闘行為はパフォーマンスに過ぎませんが、次なる経済危機が発生したら、アメリカに限らず中国も「戦争」によって国民の目を経済崩壊から逸らそうとするかも知れません。

或いは「戦争」によって非常事態宣言を発令し、一時的に経済を統制化に置く可能性もあります。

中国、アメリカのどちらが仕掛けるかは分かりませんが、「戦時下の大統領」としてトランプのキャラは引き立つでしょう。

日本とて蚊帳の外に居る訳には行きません。その前に「憲法改正」によって「戦争が出来る国」になる必要が有り、その為には北朝鮮の挑発行為が不可欠です。

トランプが北朝鮮を追い詰めるのは、北朝鮮の暴発を促す為・・・そう考えると、北朝鮮のミサイルを笑っていられる状況では無いのかも知れません。


「ミサイル除け」のお札を売り出したら儲かるかも知れません。八方除けの寒川神社なんてどうでしょう・・・。

トランプに期待する愚・・・ネットB層を手玉に取る世界の経営者

2017-04-09 03:23:00 | 時事/金融危機
 

■ ネットB層 ■

インターネットには様々な情報が溢れています。ネットを日常的に活用する人は、陰謀論も含め「世界の裏側」に触れる事も出来ます。

そうしたネット利用者の多くは「新聞やTVニュースは嘘ばかり」と考える様になり、さらにはそうした媒体に情報源を頼る人達(多くは高齢者)を「情報弱者」と蔑む様になります。

では、そうした人達が優れているのでしょうか?いえ、大方は所謂「B層」に分類されてしまうでしょう。

「B層」とは、郵政改革において小泉政権が戦略的に支持基盤とした具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を何となく支持する層」に由来する言葉で、「B層=情報操作に対して免疫を持たない人たち」と解釈する事も出来ます。

当時は「子供や主婦やシルバー層」がB層の主要な構成要員でした。ネットなどの多様な意見に触れる事無く、メディアが垂れ流す「イメージ」に支配され易い人達であっとも言えます。

さて、20年が経過した現在、多くの人達がネットを通じて多様な情報に触れる事が出来る様になりました。それではB層と分類される人達は減ったのでしょうか・・・。答えは否です。トランプを大統領に選んだアメリカを例に取るまでも無く、「ネットB層」とも呼べる「情報操作に弱い人達」が大量に発生していると私は考えます。

「支配者達は子供を生贄にした儀式をしている」という情報に踊らされた「ピザゲート事件」に始まり、ネットにはセンセーショナルな情報が溢れています。「ネットB層」は、ワイドショーのネタに飛びつくのと同様に、ネットに散らばる「煽情的」な情報を収集し、「本当の世界は・・・」という妄想に取りつかれていきます。私も例外ではありません。

■ ネットB層を手玉に取ったトランプ ■

トランプの登場は「ポピュリズムの台頭」などと評価されていますが、私は「世界の闇の勢力と戦うトランプ」というイメージ戦略も彼を大統領に押し上げた要因と見ています。

ネットでは「イルミナティーを中心とする勢力がアメリカを利用して世界を支配している」というイメージが出来上がっています。そして、何故か「プーチンはイルミナティーに対抗する正義の味方」というイメージも広がっています。

実際にはプーチンは派遣国家であるアメリアに対する対立軸としてのロシアの代表であり、ソビエト崩壊後に西側勢力と結託して国家の財産である資源利権を私有化しようとしたオルガリヒと呼ばれるユダヤ勢力を駆逐して、国家権力を自分に集中させたに過ぎません。ただ、その結果、アメリカや一部のユダヤ勢力と対立している様に見えるだけです。

その様なネットB層の妄想である「イルミナティーと戦うプーチン」というイメージを、トランプを担ぎ挙げた人たちは選挙戦に上手に取り込みます。

選挙戦中はトランプはプーチンと親密さをアピールし、プーチン政権と対立を深めていたオバマやヒラリーこそ、「悪のイルミナティーの手先」だというネットB層の妄想を利用したのです。

ところが、当選後のトランプは手のひらを反す様に政権中枢を反ロシア勢力で固めてゆきます。

■ ロシアや中国を挑発するトランプ ■

今回のシリア攻撃は明らかに習近平のアメリカ訪問にタイミングを合わせて行われました。北朝鮮に対する中国の決断を迫る為だと解釈している人も多いでしょう。しかし、中国もロシアも今回のシリア攻撃によって、トランプ政権と距離を取らざるを得ません。なぜなら、中東における両国の利権は、シリアやイランによって担保されており、それらの勢力の崩壊を目論むアメリカとは決定的に対立するからです。

ロシアはアサド政権の後ろ盾となっていますが、それは地中海に面したロシアの軍港をシリア国内に構えているだけでも、アサド政権を支える十分な理由になります。さらに、シリアは中東からヨーロッパへのパイプラインの要の位置にあります。ウクライナと同様に、ロシアが絶対に影響力を低下させたく無い地域なのです。

■ ISISを援護するシリア空軍への攻撃 ■

トランプはCIAの演説で「ISISを殲滅する」とぶち上げました。ネットB層はISISの後ろにCIAやアメリカの軍需産業が居る事を知っていますから、「トランプがCIAを敵に回した」として、トランプを英雄視しました。

しかし、実際にはどうでしょう?シリアの空軍基地爆撃によってISISを援護しています。現在ISISはシリア軍やロシア軍の空爆によって支配地域を縮小しています。シリア空軍への直接攻撃によって、ISISは再び勢力を拡大する可能性が有ります。

■ シリア政府が化学兵器を使うはずが無い ■

シリア政府軍の化学兵器使用はアメリカやNATOの介入の原因になります。前回の化学兵器使用疑惑の際も、オバマが空爆に踏み切ろうとしますが、ロシアの圧力でこれを見送っています。

後日、国連の調査で、シリア軍が化学兵器を使ったという証拠は判明しませんでした。むしろISIS側の使用が疑われました。

シリア政府が化学兵器を保有していたとしても、その使用はアメリカやNATOの介入を呼ぶだけですから、アサド大統領がその使用を認めるはずはありません。仮にシリア軍が化学兵器を使用したとしても、その決断にアサドは関与していないはずです。むしろ、シリア軍が化学兵器を使用したならば、その決断を下した軍人はアメリカのスパイの可能性高い。

尤も、シリア軍にアメリカが化学兵器を使用する様に工作するよりも、ISISに化学兵器を使用させて、「シリア軍が化学兵器を使った!!」と触れ回る方が余程簡単です。

■ 合理的に考えれば、アメリカの奥の院に逆らう大統領が誕生するはずが無い ■

ネットB層はトランプがアメリカの「支配者」に対抗しているという幻想を膨らめて来ました。しかし、選挙が不正に操作されているなどの主張は、ネットB層が主張していた事です。

もし、仮に選挙が不正の操作されていたならば、その操作権を持つアメリカの奥の院が自分達に敵対する大統領を容認する訳が無い。そう考えれば、トランプが当選した時点で、ネットB層の理論に従うならば、トランプは「アメリカの奥の院が選んだ大統領」という事になります。

ネットB層の私は、そう解釈しています。

■ トランプだから容認されるシリア攻撃 ■

今回のシリア攻撃に対して、いつもはトランプを批判しているアメリカのマスコミも肯定的です。むしろトランプの行動力を評価している。

そして、トランプを支持したネットB層は、態度を決めかねている様に感じます。まさかこんなにも早くトランプが自分達の期待を裏切って、プーチンと敵対するとは思ってもみなかったからです。ただ、ネットB層も含め、「トランプだから仕方ない」という空気が蔓延している事も確かです

「トランプは何をするか分からない」「ビジネスマンのトランプの思考は普通の政治家とは違う」「トランプは初めにガツンとインパクトを与える。今回は習近平に対する先制攻撃だ}

だいたい、こんな理由を付けて、トランプのシリア攻撃を正当化しようとします。

「トランプもヒラリーと同じ穴のムジナだった」と彼らが気付くのには、まだ時間が掛かりそうです。

気の利いたヤツを一発頼む・・・北朝鮮の挑発y

2017-04-06 06:13:00 | 時事/金融危機
 

トランプ  ミスター・キム、景気はどうだい?

キム    最悪さ。まあ、ボクの生活費には困らないけどね。

トランプ  そいつは良かった。

      ところで、ミスター・キンペイが来るんだが、景気付けに一発頼めるか?

キム    分かった、新しい個体燃料のヤツでイイ?

トランプ  そいつで頼む。移動発射台ってやつも送ってあったよな。

キム    ああ、あれはカッコイイよ。

トランプ  くれぐれも日本の経済水域には打ち込むなよ。話がヤヤコシクなる。

キム    分かってる。上に打ち上げれば良いんだよね。

トランプ  そうさ、ミサイルってヤツは真っすぐおっ立ってる方がカッコイイ。

      オレのアレみたいにさ!!

キム    アンタのはバイアグラだろ?

トランプ  バカ言え、現役でギンギンさ。

キム    それは良かった。

トランプ  ところでキンペイはどうなんだろう?

キム    漢方は効くって言ってたよ・・・。

トランプ  そうか、じゃあ、会談で聞いてみよう。




北朝鮮がミサイルを発射する度に、バカな事を妄想してしまうワタクシ。

トランプは強硬な発言を繰り返していますが、中国を差し置いて北朝鮮に攻撃を加えるリスクは侵さないはず。一方、中国を加えた「制裁」はあるかも知れませんが、それとて、いつもの実効性の低い制裁となるはずです。苦しむのは人民であって金王朝では無い。


ところで、アメリカが本気で戦争を望むなら、その切っ掛けに韓国か日本へのミサイルの着弾ぐらいのインパクトは欲しい。韓国を未だ北朝鮮と戦争を継続していますから、狙うのならば日本がイイ。

だから、北朝鮮のミサイルには最大の注意が必要ですが、多分狙った所には到達せずに、どこぞの山だか海だかに落下する可能性が大きい。それでも日本を戦争に巻き込むには十分の効果が有ります。

自主避難は自己責任か?・・・それよりも大臣のネクタイが気になる・・・

2017-04-06 04:33:00 | 福島原発事故
 





■ 「出て行きなさい!!」 ■

記者会見でフォトジャーナリストの追及にマジ切れした今村復興大臣。ネットニュースでそのやり取りの仔細を読む事が出来ます。

1) 自主避難者の住宅支援が打ち切られる
2) 自主避難者の支援は国の責任では無いのか

こう追及する記者に大臣は次の様な見解を示しています。

3) 自主避難は自己責任だ

これに対して記者は「無責任だ」と大臣や国を非難し、今村大臣がキレます・・・。

■ 法的には国が支援する必要は無いはず ■

日本は法治国家ですから、「自主避難=自己責任」である事は明らかです。ただ、原発事故には国の責任もありますから、温情的に国は自主避難者を支援して来ました。

1) 強制避難地域の線引きは放射線量によってされている
2) 放射線量は事故当時よりも徐々に下がって来ている(セシウム137の半減期30年)
3) 強制避難地域の外側の放射線量も事故当時と比べれば下がっている

要は、国としては「問題の無い地域からの自主避難者はそろそろ帰って下さいね」というメッセージが自主避難者に対する支援の打ち切りだとも言えます。

■ 前橋地裁の判決は法的根拠とは未だ言えない ■

前橋地裁は先般、「自主避難者に対して国は東電と同様の賠償責任が有る」との判決を下しています。

「自主避難は自己責任」と言う大臣を批判する多くの方が、この前橋地裁の判決を例に取って「国にも責任が有る」と主張しています。

この判決を読むと、国と東電に責任が有るとするのは、「国も東電も津波が防波堤を超える予測が出ていたにも関わらず適切な対策を怠った」というものです。この判決に対して国も東電も控訴しています。

前橋地裁の判決をして「法的に国に責任が有る」と主張する人達は、日本の裁判制度を理解していません。日本は「三審制」ですから、被告である国と東電が上告している以上、最高裁の判決が法的な決定としての意味を持ちます。

そもそも前橋地裁の判決でも、自主避難地域の方のうち43人に対して7万から73万円の賠償を認め、72人の請求は退けています。ここでも線引きはされています。


■ そもそも避難する必要が無い ■

私はICRPの定める放射線の防護基準は厳しすぎると主張していますから、そもそも自主避難地域などは避難の必要性が無い地域だと考えています。

尤も、小さなお子様がいらっしゃる方などは当然不安を抱かれるでしょうから、自主避難は個人の選択肢として「安心とコストのトレードオフ」としては間違っていないと考えます。但し、このコストを国が払う必要があるかと言えば答えはNOです。

国は強制避難の基準を20mSV/年としています。これは外部被曝だけの数値ですから、内部被曝も含めれば50mSV/年程の数値となるでしょう。チェルノブイリでの強制避難の基準が5mSV/年でしたので、日本の国が定める20mSV/年という基準値が高すぎるという主張は当然在ります。

一方で、チェルノブイリでは強制避難による失業による精神的ストレスやそれによるアルコール中毒が問題となりました。放射線による被害よりも、強制避難による間接的被害の方が大きかったのです。

確かに「安全」だけを求めるならば、国の基準値は低すぎるという主張は間違っては居ません。ただ、強制避難が地域コミュニティーを崩壊させ、避難者の生活を不安定にする以上、「安全だけ」を重視した基準値の設定も多くの問題を抱える事になります。


■ 豊洲問題と酷似している ■

福島原発事故の自主避難問題は、豊洲問題を例に取ると分かり易い。

仮に市場が豊洲に移転したとして、地下水の汚染は取引される食品に一切の影響を与えません。しかし、豊洲が100%安全だと考えない消費者も居ます。その様な消費者が豊洲を経由した食品を購入しない場合、仮に余分なコストが掛かったとしても、その負担を都に請求する事は先ず不可能でしょう。都は「個人の安心」のコストを負担する義務を負わないからです。

福島の自主避難の問題も同様で、20mSV/年以下は「安全」とする国が、20mSV/年以下の地域からの自主避難者を支援したら、「国の定めた避難基準は何なの?」という事になってしまいます。この自己矛盾を発生させない為にも国は自主避難者の支援を継続させる事は合理性に掛けます。

現在の国が定めた20mSV/年を下回る地域からの自主避難は「安心」の為の避難であり、そのコストを本来国は追わないのです。

■ 前橋地裁の判決は、20mSV/年という基準の妥当性には触れていない ■

福島原発事故の損害賠償を命じた前橋地裁の判決に関しても、裁判長は「津波の予測が出来たにも関わらず、その対策を怠った」責任は認めていますが、20mSV/年という避難基準の妥当性には触れていません。

本来、自主避難の支援打ち切りに対する不服が有るならば、20mSV/年という基準値が妥当かどうかで裁判は争われなければなりません。しかし、この安全性、或いは危険性を判断する基準を科学は提示する事は出来ません。存在しない物は証明できないからです。(危険性が存在したとしても、ジョギングやストレスによる活性酸素の増加の影響の方が遥かに大きい)

■ 今村大臣の失敗は記者の挑発に乗ってしまった事 ■

私は今回の今村大臣に同情的ですが、大臣に問題が在るとするならば、それは記者の挑発にまんまと乗せられてしまった事にあります。

件の記者はネットの情報を見ると、所謂「左巻き」の方の様ですが、彼に掛かれば「何だって国が悪い」「個人の責任は無い」になってしまいます。報道関係にはその様な短絡的思考の方が大勢いらっしゃいますが、そんな記者の挑発に公の記者会見の場で乗ってしまった・・・。

復興大臣として、それなりに努力しているのにそれを否定されたのだから感情的になるのは理解できますが、そこを丁寧に煙に巻く力量が政治家には求められます。

ただ、私は大臣の人間味溢れる?マジ切れは嫌いではありません。

■ 記者とのやり取りより、大臣のネクタイが気になって仕方無かった ■

実はこの事件、私は報道を観ながら記者とのやり取りより、今村復興大臣のネクタイが気になった仕方ありませんでした。

あれ・・エヴァンゲリオンだよね・・・。

ネットで調べたら、福島のガイナックスを訪問した際にプレゼントされたとか・・・。

70歳の大臣が締めるには勇気の要るネクタイですが、エヴァネクタイをしていると多くの方が「それ何ですか?」と質問するのだそうです。

そこで、大臣は「福島にあるガイナックスさんから頂いた。ガイナックスさんは福島で頑張っていらっしゃる」的な事を答えられるそうです。

どうやら、このネクタイ、麻生財務大臣が羨んだそうで・・・このニュースをきっかけにきっとブレークします。値段は8千円以上とちょっとお高いですが・・・。

「自主避難者を自己責任とはケシカラン」とおっしゃるアタナ、是非、このネクタイを買って「福島支援アピール」に役立てられては如何でしょうか。

「・・・エーーこんな柄恥ずかしいくて絞められない。」ですって・・・。それでは大臣に気概で負けてますって・・・。



<追記>

当ブログは、ICRPの定める防護基準が厳しすぎる事で様々な問題と利権が生じていると主張し続けています。興味の有る方は「福島原発事故」のタグで過去記事をご覧になって下さい。