人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

米株式バブルの背景・・・最後のバブルが膨らむ

2017-06-13 10:35:00 | 時事/金融危機
 

■ トランプラリーにトランプの影響無し ■

トランプ大統領の当選以来、米株式ハトランプラリーと呼ばれる上昇相場に突入しました。この好循環はトランプ大統領の期待剥落と共に調整されるかと思われましたが、ダウは史上最高値を更新しています。

アメリカの実体経済は確かに底堅い物が在りますし、欧州や日本も経済は危機的状況を脱して安定していますので、リーマンショック以降の金融緩和の効果がようやく株式市場に表れたと考えている方も多いかと思います。

しかし、私はお金は金利が高い所に流れるだけだと考えます。

1) リーマンショック後、いち早く高成長に復帰した新興国でバブルが膨らむ
2) 新興国の需要の高まりの影響を受けて原油やその他の資源価格が上昇しバブル化する

3) FRBのテーパリング、金利引き上げに伴い新王国バブル、資源バブルが収束する

4) 米利上げとそれに伴うドル高の新興で、米国債に資金が逃避する

5) トランプの登場と同時期に米国債金利が上昇、一方ドル安に振れ米国債から資金が米株に逃避する


まあ、こんな感じで、その時々の金利をリスクの兼ね合いで資金がグランドローテーションしており、現在は米国株に大量の資金が流入しているだけの事。

企業の業績発表や、雇用統計によって若干相場は上下しますが、基本的な資金の流れに変化が無い限り、暫くの間は米国株バブルは膨張を続け、その影響で各国の株式市場も上昇を続けます。

この大きな流れにトランプ大統領の影響は殆ど無く、彼が弾劾でもされない限り米株上昇の機運は高まり続けます。同様に若干の相場変動の材料となれど、米実体経済の状況からも株式市場は乖離しています。そう、これは明らかにバブルなのです。

■ ボルガー・ルールの撤廃が決まれば最後の花火が上る? ■

トランプ政権はリーマンショック以降、米国の銀行を縛って来たボルガールールの撤廃も検討しています。ボルガールールによって米銀行は自己資本を厚くする事を求められ、又、自己資金によるリスク投資を制限されて来ました。

その為、資金の多くはリスクウェイト0の米国債にプールされて来ましたが、ボリガールールが撤廃されれば、米国債に縛り付けられていた資金の一部は株式市場やヘッジファンドに流れ、米株バブルは最後の仇花を咲かせると妄想しています。

そして、そのバブルの大花が散るには何時か・・・・兆しは今年の後半からと妄想していますが、止めを刺すのは、長期金利のサイクルとFRBの利上げのタイミングでは無いかと・・・。



36万Bqってどんな量なの?・・・前立腺癌治療と比較してみる

2017-06-09 09:38:00 | 福島原発事故
 

■ 36万Bqもの内部被曝 ■


大洗町の原子力施設で発生したプルトニウムの吸入事故。36万Bqのプルトニウムやアメニシウムを体内に取り込んだ可能性があると報道されています。

この報道に接した方の多くが、「とんでもない被曝事故」「きっとこの方は亡くられるに違いない」そう思われる事でしょう。

■ 甲状腺癌の治療に用いられる放射性ヨウ素131の服用量はケタが違う ■

一般的な甲状腺癌の治療に用いられるヨウ素131の投与量が1110(MBq)=111000万Bqだそうです。全身に転移しても甲状腺癌の細胞はヨウ素131を選択的に取り込むので癌細胞は放射線で死滅します。今回36の事故での吸引量36万と、甲状腺癌の治療の111000万ではケタが大きく異なります。

ヨウ素131とプルトニウムでは体内での振る舞いが違います。ヨウ素131は甲状腺や甲状腺癌の細胞に選択的に取り込まれ、80日でほぼ半分の量が体外に排出されます。ヨウ素131の放射線の半減期は8日なので、ヨウ素131は体内に留まる短時間の間に大量の放射線を発しますが、多くは甲状腺や甲状腺癌の細胞中での放射となります。

もちろん、こんな量のヨウ素131を投与された患者は歩く放射線発生源ですから、投与直後は患者から1m離れた所で72µSv/hの線量になる様です。

プルトニウムは吸入された場合、約50日の半減期で肺から排出されますが、その後、骨などの組織に吸収され、生物学的半減期は50年の長きを及びます。今回吸入事故に遭った方々にはプルトニウムを吸着して体外に排出するキレート剤が速やかに投与されたはずですから、36万ベクレルの内の一部が体内に留まり、α線などの放射線を放出し続けます。プルトニウムの放射線の半減期は24000年と長いので、体内に残ったプルトニウムの放射する放射線はほとんど減少する事はありません。

ヨウ素131の服用治療では短期間の間に強い放射線を発しますが、継続時間は短い。一方、プルトニウムの内部被曝では長期間に渡り放射線が持続的に放射される違いが在ります。

この様に医療用の放射線治療は大きな線量の放射線で一気に癌細胞を死滅させますが、今回の事故ではキレート剤で排出されなかったプルトニウムが長期に渡りジワジワと放射線を放出し続けます。

■ 内部被曝に対する細胞の反応 ■

プルトニウムはアルファー線核種なので、エネルギー値の高いアルファー線の影響による近接している細胞は死滅します。

近年の研究では細胞破壊時における周辺細胞の面白いふるまいが明らかになっています。ダメージを受けた細胞の直近の細胞はアポトーシス(細胞死)し易い状態に変化します。一方、それより外側の細胞は免疫力を高めます。これにより、ダメージを直接受けた、或いはその周囲でダメージを受けた可能性の在る細胞は「自殺」してガン化を防ぎ、そお周辺細胞は活性酸素への耐性を上げるなどの免疫反応によってガン化を抑止します。これらのコントロールはダメージを受けた細胞が発する伝達物質が関与していると言われています。

「放射線はとっても怖い」と主張する方々は、プルトニウムなどのアルファー線核種の内部被曝は、直近の細胞に繰り返し強い放射線が照射される事からガンの発生が起こりやすいという「ホットパーティクル仮設」を主張していますが、最新の研究では細胞はアルファー線の内部被曝などの影響を巧みに緩和する機構を備えている可能性が指摘されています。


■ 東海村の臨界事故とは異なる事を理解して下さい ■

今回の事故で東海村の原子力施設での臨界事故の事例を挙げて放射線の恐怖を煽っている方々が居る様です。

しかし、東海村の事故は致死量を超える中性子を直近から浴びるという、超小型核兵器を直近で使用されたに近い事故であり、当然被害者は短期間で全身の細胞が死滅して死に至ります。

しかし、今回の事故は微量のプルトニウムの吸入事故で、その影響はこれから何十年と経過観察して分かるか分からない程度のものです。

■ 小さじ1杯で2千万人が死ぬプルトニウム? ■

プルトニウムは最凶の放射性物質として「スプーン1杯で2千万人が死ぬ」とか「スプーン5杯で日本人が全滅する」などと吹聴されてきました。しかし、これは確率的死亡リスクを無意味に拡大しただけの数字の遊びに過ぎません。(これを主張している人は統計学を理解していないので本気で恐れているのでしょうが・・・)

この仮定が成り立つ為には日本人全員が同じ量のプルトニウムを吸引する必要が在りますが、どんな苛烈事故でも、そんな状況は起こり得ません。現場の作業員がプルトニウムを吸引したり、逃げ遅れた住民がプルトニウムを吸い込む程度です。

そして、例えプルトニウムを吸引しても速やかにキレート剤を投与してプルトニウムの体外排出を促せば、後は非常に低いガンの確率的発生に注意を払うだけで健康に別段問題は在りません。それも何十年後かのガンの心配です。

ちなみに今回のプルトニウムの吸引量ですが、体外排出され難い肺の2.2万Bqを重さに換算すると、ラフな計算で0.0000956g=0.00956mgとなりそうです。プルとニウムの吸入による致死量(15年後)が0.26mgという資料を見つけましたので、今回の吸入事故が即将来的な癌による死に繋がる事は有りません。

プルトニウムの最大許容身体負荷量(原発作業員などが1年間に許容される摂取量)は1500Bqですので、今回の吸入量はこの10倍を超えています。これだけ見ると決して軽微な事故では無いのですが、ロスアラモスの事故ではこの最大許容身体負荷量の10倍の吸入量の作業員も癌の発生も無く何十年も元気だったそうです。

原子力規制委員会の伴信彦委員は7日の定例会で「2万2千ベクレルの検出は半端な状況ではない。命に関わることはないだろうが、軽微なものではない。」とコメントしています。「まあ、心配は要らない」と言ってしまうと袋叩きにあうので、ちょっと硬い表現をしています。

■ 発癌の要因が一つ増えたと考える程度が妥当 ■

現代は高齢者の半数は癌を患います。多分高齢の方を精密に検査したら何等かのガン細胞が見つかるはずです。

数々の化学物質の摂取や過剰なストレス、さらには生物的寿命を医療で延長する事によるDNAの自然的劣化(=老化)によって人々は癌のリスクにさらされています。プルトニウムの吸引も、そんなリスクの内の一つに過ぎない・・・私はその程度に考えています。大量な喫煙や、大量の飲酒の方が余程怖いと・・。



<再録>プルトニウムの毒性・・・アメリカのWikpediaの訳文を見つけた

2017-06-08 09:14:00 | 福島原発事故
 
大洗町の原子力施設でプルトニウムの吸入事故が発生しました。最大22000ベクレルの吸入量だそうです。

「ベクレル=1秒間に放射性元素が崩壊する個数」です。プルトニウムは半減期が24000年と非常に長いので(崩壊する頻度が極めて低く、放射能が非常に低い元素)、22000ベクレルを計測しているとすれば、それなりの量のプルトニウムを吸入した事になります。

今回の被爆のシーベルト換算の試算をみつけました。


<引用開始>

今回の被曝量の年間推定は1.2SV(=1200mSV)、1日当たり、3.29mSV 、1時間当たり0.137mSV(137μSV)

で大体2時間毎にX線1発、一日に最低1発のCTスキャンを受けることになる。これが最大50年間続く。

<引用終わり>


決して低い数値ではありませんが、137µSV/hという線量率は決して高い数字ではありません。X線(レントゲン)やCTスキャンは短時間に照射されるので線量率が圧倒的に高くなります。乳癌の放射線治療では一瞬で2SVという高い線量の放射線を一日置きに照射しますが、通常の細胞はこれによって癌になる事無く自らズタズタになったDNAを正常に再生します。

今回のプルトニウム吸入事故で多くの方が東海村の臨界事故を想像されたと思いますが、あれは直近から大量の中性子を浴びてしまった最悪の事故で、今回は多分50年後も皆さんピンピンとお元気ではでは無いでしょうか(相当高齢ではありますが)。事故に遭われた方には申し訳ありませんが、プルトニウムの安全性を将来的に証明する事案になるかもしれません。

以前、アメリカのロスアラモスで複数の作業員がプルトニウムの蒸気を吸入する事故が発生していますが、全員命に別状はなかったという記録が在ります。

その件について以前記事にしたので、私自身が思い出す為に再掲載いたします。


<pan style="font-weight:bold"><再録>プルトニウムの毒性・・・アメリカのWikpediaの訳文を見つけた

「人力でGO」 2012.04.09 より



■ プルトニウムは本当に最凶の放射線元素なのか? ■

最近、福島原発周辺にウランやプルニウムが飛散している可能性を示す
データや噂がネットに見受けられます。

プルトニウムは「史上最凶の放射物質」で、
「角砂糖5個で日本人を皆殺し」などと言われています。

ところで皆さんはプルトニウムについて調べた事はあるでしょうか。
Wikipediaにそこそこ載ってはいますが、
アメリアカおWikipediaに日本版よりも詳しく載っている様です。
日本語訳を見つけたので、紹介します。

(プルトニウムに関しては神経質な方が多いので、
 元ブログの方に迷惑が掛かるといけませんので、
 元のブログの紹介は避けさせて頂きます。

<引用開始>

訳:
プルトニウム同位体は放射性物質であり骨髄に蓄積される。原子力兵器や原子力発電所などの事故によって酸化プルトニウムが生成、拡散される。広島や長崎に落とされた原子爆弾の被害者から、プルトニウムの危険性や摂取による症状が報告されている。

プルトニウムの崩壊によって、α、β、γと3種類の放射線が放出される。α粒子はごく短い距離しか飛ぶことができず、ヒトの皮膚によって防ぐこと ができる。β粒子は皮膚は通過してしまうが、体全体を通り抜けることはない。γ線は体全体を通り抜けてしまう。高濃度かもしくは長期間放射線に晒されてし まうことで、放射線病、癌、死の原因となり得る。危険性は晒された放射線量に依存する。

プルトニウムによるα粒子は皮膚さえ通り抜けることができないが、吸い込んだり摂取することで内臓へ影響を与える。プルトニウムは骨の表面に吸収 されたり、肝臓に蓄積されたりすることで人体に害を与える。プルトニウムは人体へ効率的に吸収される物質ではなく、酸化プルトニウムを摂取しても 0.04%しか吸収されることはない。吸収されたプルトニウムは生体半減期が200年であるため、とてもゆっくりと排出される。プルトニウムはとてもゆっくりとしたスピードで細胞膜や腸壁を通り抜けるため、骨格へと吸収されるのにとても時間がかかる。

プルトニウムは摂取するよりも吸い込んだ方が危険が大きい。プルトニウムは肺に合計400ミリシーベルト吸い込まれると、肺癌の発生率が増加する。アメリカ合衆国エネルギー省によると、5000のプルトニウム粒子を吸い込むことで癌の発生率が平均から1%増加するとしている。

大量のプルトニウムを摂取または吸引することで、被曝や死の原因となるが、これまでにプルトニウム摂取や吸引による死者は確認されておらず、また多くの人々は体内にプルトニウムが確認で きる。(これらは過去の核実験によって、地球上にばら撒かれたプルトニウムによるものです。)

放射性粒子による放射線が肺細胞に局所的な害を与えると言う、ホット・パーティクル説(hot particle theory、hot particleは放射性を持った粒子です)はこれまでの実験では肯定する結果はでていない。これらの粒子はこれまで考えられていたものよりも動的で、粒 子による毒性の上昇は見られなかった。

しかし吸入されたプルトニウムは血流へ乗ってしまう。一度血流へ乗ってしまうと、プルトニウムは体中に広がり、骨格や肝臓、その他の臓器へと貯めこまれる。体内へと到ったプルトニウムは何十年もそこに留まり、放射線によって周りの細胞を傷つける。

広島や核実験場付近の住民や作業員が、プルトニウムによってどのような害が起こっているのかが現在まで調査、解析されている。これらの研究は、プ ルトニウムの高い毒性やプルトニウムによる癌発生率の増加を示していない。

他の例では、過去にアメリカのロスアラモス国立研究所による実験で1940年代に25人の作業 員が相当量のプルトニウムを吸い込んだ。ホット・パーティクル説によると、彼らは現在までに99.5%の確率で肺癌によって亡くなっているはずだが、彼らの中では1人として肺癌にかかった人はいなかった。

補足:
アメリカ合衆国エネルギー省によって発表された危険性の値は以下のようになっています。
プルトニウム239:吸入‐1.073×10^-9 %/Bq、摂取:4.81×10^-12 %/Bq
(吸入で1ベクレルにつき0.0000001073%上昇、摂取で1ベクレルにつき0.00000000000481%上昇)

<引用終わり>

赤字箇所は私が赤字にしました。


■ 私は放射性ヨウ素131の方が怖い ■


原子炉がフルオープン状態で爆発したチャルノブイリでは
福島とは比較にならない量のプルトニウムやウランなどを放出しています。

プルトニウムやウランは中性子を放出するα線核種です。
これは一見恐ろしい物質の思えますが、
自然の状態でこれらの物質が中性子を放出する事は稀です。

さらにα線崩壊もほとんど起しません。
プルトニウムは2400年という長い半減期を持っているので、
単位時間内での放射線の放出は非常に少ないのです。

一方、8日という短い半減期でどんどん崩壊して放射能を放出するヨウ素131は
とても恐ろしい放射性物質とも言えます。

ヨウ素131の比放射能(単位時間での放射線の影響の強さ)は、
プルトニウムの10万倍にも及びます。

「プルトニウムが体内に入ると一生放射線を出し続けるので危険」と言われますが、
これは誤りです。

「体内に入ったプルトニウムは、人間の寿命よりもはるかに長い年月を掛けて
 徐々に放射線を放出する」という書き方が正しいのだと思います。

チェルノブイリではヨウ素131による子供の甲状腺癌は多発しましたが、
ウランやプルトニウムによる害は発生していません。
(WHOやICRP,IAEAを信用するならば・・・ここがちょと見解に分かれる所)

■ プルトニウムは食べても大丈夫? ■

「プルトニウムは飲んでも大丈夫」とは、以前原発の資料館の啓蒙アニメの中で
プルトン君というキャラクターが発したセリフですが、
プルトニウムは吸収率が非常に低いので、
あながちこのセリフは間違いではないでしょう。

こんんな事を書くと、「お前が飲んでみろ!」とか、
「福島原発で働いて来い、東京駅にレンガを持って見送りに行ってやる」と脅されますが・・。


■ ホットパーティクル理論(仮説)は正しいか? ■ 

プルトニウムが危険という理由に挙げられるのが、
「ホットパーティクル理論」です。

「プルトニウムのα線は4μmの範囲に大量のエネルギーを放出するので、
肺の組織に吸着したプルトニウムから発するα線は、
周辺細胞に甚大な影響を及ぼし、高い確率で癌を発生させる」という「仮説」です。

この説の主張者達は、「プルトニウムのα線の影響は1億倍程度過小に評価されている」
などと言います。

上のWikipediaの引用で赤字に直した箇所は、
ホットパーティクル理論(仮説)を否定するものと言えます。
人数が25人ですから統計的に意味のあるデータとは言えませんが、
それでも、このデータの持つ意味あいは小さくありません。

一方、アメリアでは末期の胃癌の患者で、プルトニウムの服用実験も行われています。
実験台になった患者は何人かいらっしゃるのですが、
なんと、死を覚悟した末期の胃癌患者が、その後長生きして天寿を全うするという
驚くべき結果となってしまったようです。
(別にプルトニウムが胃癌に効果がある訳ではありません)

この様に、プルトニウムの毒性を補強するホットパーティクル論(仮説)ですが、
実際のデータはこの理論(仮説)が、被害を過大評価しすぎる事を示しています。

■ バイスタンダー効果 ■

弱い放射線の影響を重要視する方達は、
近年「バイスタンダー効果」という現象を引き合いに出します。

少し難しい内容なのでうすが、
非常に細く絞ったX線やα線粒子を細胞に照射すると
1%の細胞に照射したにも関わらず、
周辺の30%の細胞に変化が現れるという効果です。

放射線の影響を直接受けた細胞が、ある種の細胞伝達物質を分泌して
周辺細胞に変化を及ぼすと考えられています。

<wikipediaより引用>

放射線に直接曝露された細胞とそうでない細胞(バイスタンダー細胞)間のシグナル伝達系が重要な役割を果しているとされる[1]。

バイスタンダー効果は、遺伝的不安定性[2]、DNA損傷、染色体異常、細胞分裂・増殖阻害、アポトーシス(細胞の自殺)、突然変異の誘発など[3]といった負の面が多かったが、最近では増殖促進、分化誘導、放射線抵抗性及び温熱抵抗性の獲得という有益な影響が確認されている[2]。

全体の1%の細胞に低線量のアルファ線を照射した際、30%の細胞に染色体の変化が起こったとの発見報告がある[4]。

ヒト正常胎児線維芽細胞に1.2 - 100mGyのX線を照射した実験では、ギャップ結合(バイスタンダー効果の誘導に関与していることが知られている細胞間接着装置の一種)をリンデンで阻害した群と、阻害しなかった群を比較した場合、1.2 - 20mGyまでの低線量域では線量に依存して大きな差が出ている(阻害しなかった群に、より大きな影響が出ている)。20mGy以上では、阻害した群と阻害しなかった群で有意な差は出ていない[5]。

<引用終わり>

以前は弱い放射線でもバイスタンダー効果によって、放射線の影響が拡大するから
「弱い放射線でも危険」とされる論拠とされてきました。

しかし近年、バイスタンダー効果が放射線を浴びていない細胞の
放射線への耐性を向上させる事が明らかになってきています。


私自身の勝手なイメージでは(完全に無根拠です!!)

1) バイスタンダ効果には細胞死を誘発する効果と、細胞の耐性を高める効果の2種類がある
2) 細胞死を高めたり、染色体異常を高める効果は放射線を浴びた直近の細胞のアポトーシスを促す?
3) 細胞の耐性を高める効果は、比較的放射線から遠い細胞で現れる

生物の生体反応は非常に合理的に出来ています。
例えば、α線被曝では、α線の影響を直接受けた細胞の周辺にも、
大量の活性酸素種が、壊れた細胞から供給される可能性があります。
ですから、α線の粒子を限られた細胞に打ち込むようなケースでは
周辺細胞は、活性酸素に対して脆弱な状態を作り出して、
積極的にアポトーシスを誘発したら、免疫細胞に駆逐される状態に変化して、
結果的に、DNA損傷が組織の残存する確立を減らすと考えたらどうでしょう。

一方、弱いX線などの部分照射では、活性酸素の発生も少ないので、
次の放射線照射に備えて、周辺細胞の放射線に対する耐性を高めて、
次なる被曝にたいする組織や体全体の防御を活性化させると考えられます。
これは「放射線ホルミシス効果」と呼ばれる現象となって現れるのでしょう。

科学者はなるべく主観を排して研究に当たります。
しかし、「放射線は危険」と考えている科学者と
「放射線は安全」と考えている科学者では、
結果の解釈が異なってきます。

α線粒子を当てた細胞の周辺で、細胞が変異したり死滅する効果が高まったという実験結果に対して、
「放射線は危険」と思っている学者は、「放射線被害が拡大した」と解釈します。

一方「放射線は安全かも知れない」と考える学者は、同じ減少を体の放射線に対する防衛反応と解釈しようとするはずです。


どちらも「仮説の域」を出ないので、
「バイスタンダ効果によって微弱な放射線の影響が拡大する」と言う結果だけが
唯一の事実として伝わってゆきます。

しかし世間の多くの人は、「放射線は危険」と思い込んでいますので、
バイスタンダ効果は「弱い放射線でも危険」という結果として解釈されてしまうのです。

私は生き物が好きで、中学の頃は「生物部」でしたから、
生物の体は不思議なくらい「合理的」に出来ていると考えています。
ですから「バイスタンア効果は放射線の影響を低減する為の生物の精緻なシステム」と解釈します。

■ 自分の生命力を信じられるかどうか? ■

私はフルマラソンを走ったり、自転車で200Km近く走りますから、
過剰な負荷に対する肉体の防御機構と、適応反応を日々実感しています。

46歳を過ぎても、計画的にトレーニングすれば
肉体は30代のパフォーマンスを発揮する事も身を持って知っています。

要は「人間の肉体はそんなにヤワじゃない」と信じているのです。
自分は「癌になっても、自己免疫で勝手に治る」と思い込んでいます。
この「思い込み」こそが免疫効果を高めるのだと思います。

風邪を引いたら、ウィルスをやっつける免疫細胞の活躍をイメージして、とっとと寝ます。
すると、だいだい1日で熱は下がります。


逆に放射線に体の細胞が蹂躙されるイメージを浮かべたらどうなるでしょうか?
きっと免疫は低下するはずです。

なんだか精神論の様になってしまいましたが、
要は、放射線に対しても「健康に良いらしい」とポジティブに捉えれば本当に健康になり、
「ああ、きっと癌になるに決まっている」とネガティブに捉えれば、ストレスによって癌になります。

きっと生命力とは、そんな単純な思い込みから生まれてくるのだと思います。

ですから「放射脳」を患っていらっしゃる方達は、
「放射線が飛んでいるから外出はしない」のでは無く、
満開の桜の下で、思いきり美味しいものを食べて、美味しいお酒を飲めば、
きっと「報謝脳」という症状からも開放されるのでは無いでしょうか。


46歳にもなってアニメを観て喜んでいるオヤジの話など、
世間にはほとんど影響を与えないでしょうから、
ホラ話の一つとして、笑い話のネタにでもして下さい。


金と仮想通貨・・・不換通貨の終焉

2017-06-01 10:17:00 | 時事/金融危機
 
■ 現代の通貨は国や誰かの借金の小口債権 ■

リーマンショック以降、中央銀行は大量の通貨を供給して来ました。

中央銀行は資産を買い入れて通貨を発行します。一般的には資産は自国国債であったり、外貨であったり、外国の国債であったり、リーマンショック後はMBSであったり、株式であったりします。これらに共通するのは、債券である事です。(株式は違いますが)

要は、発行された通貨にバランスする中央銀行の資産のほとんどが国や誰かの借金の証書なのです。現代の通貨とは小口の借用証書だとも言えます。

■ 国債の価値は国の信用力に担保される ■

現在、各国中央銀行のバランスシートの半分以上を占めるのが国債です。それを元に通貨を発行している訳ですから、通貨の価値を担保しているのは国債の価値だとも言えます。では、国債の価値が何によって担保されるのか・・・。

国債は国の借金ですから、ある時期が来れば返さなくてはいけません。では国債の償還の原資は何か・・?一般的には税金です。国が借金をしても、それによって供給される資金が、経済を拡大させ、税金として国に戻って来るのなら、国債の価値は担保されます。

ところが、現在の日本では、国債を発行する為に赤字国債を発行しています。これは謂わば借金の自転車操業状態。かつては国債の買い手は主に銀行などの金融機関でした。金融機関が国債を購入する原資は預金や生命保険料ですから、日本国債は国民の資産によってファイナンスされていました。要は、国債にはしかりと価値の裏付けがあった。

しかし、現在日本は日銀が国債を市場から大量に買い入れています。その原資の何割かは日銀に豚積みされている民間金融機関の資金ですが、それ以外は国債発行に伴って日銀が通貨を大量に擦る事でファイナンスされています。

最近では「中央銀行は政府の持ち物なのだから、中央銀行がファイナンスした政府の借金はチャラになる」などという「統合政府」という発想が浸透したので、財政赤字に対して国民の一部は不感症になって来ています。彼らの主張は次の様なものでしょう。

・日銀は政府の子会社なのだから連結決算では日銀保有分の国債は相殺される
・国債償還時の金利も日銀から政府に返納されるのだから、日銀保有分の国債利息は実質ゼロ
・日銀は償還された国債を国債に再投資出来るから、償還期限無限の国債と考えられる

これは間違いでは無いのですが、長期的には通貨と財政赤字の両方が増え続ける事になります。財政赤字は統合政府でチャラになるとして・・・通貨量の増大は本来は確実にインフレを招きます。ところが彼らはこうも主張します。

・デフレなのだからインフレは起こりにくい。実際に金利はゼロ(マイナス)だ。
・インフレが加速したら、日銀が金利を引き上げればいい
・銀行の準備率を高くして市中のマネーを吸収する方法も有効だ

確かにこれも間違いでは無いのですが、現代の金融の問題は実体経済が刺激する前に資産市場でバブルが発生してしまう点です。特に成長力の落ちた経済では実体経済よりも手取早く金利が得られる資産市場に資金は集中し易い。現実に東京ではアベノミクス以降不動産バブルが膨らみ、今まさにそれが崩壊し始めています。アメリカでも株式市場は完全にバブルの様相を呈しています。

ところが積極財政論者は日本が財政破綻しても大丈夫だと主張します。

・日本国は世界最大の債権国だから財政破綻はしない
・日本国の資産は沢山あるのだから財政破綻はしない

日本国の債権の多くが米国債ですが、これを売る事は事実上不可能です。もし、日本政府が米国債売却の動きを見せたら、アメリカは躊躇する事無く日本政府が保有する米国債の売買を停止します。現在の米国債は電子化されアメリカが管理しているので、闇のルートで売るなんて事は出来ません。

日本国の資産の多くが橋や道路といったインフラです。これも財政が破たんしそうだからと言って切り売りする事は出来ません。

国民の資産で日本国債がファイナンスされている間は日本国債には価値の裏付けが在りましたが、中央銀行がファイナンスする日本国債には価値の裏付けが希薄です。「国債=通貨」なのですから同時に通貨の信用力も次第に低下します。

要は、日本国債が暴落せずとも為替市場で円が次第に下落し、結果的に通過の価値が棄損します。当然輸入物価がジリジリと上昇し、景気が悪化する中で物価が上昇するスタグフレーション(悪性インフレ)になります。これの極端な例が現在のベネズエラです。

ベネズエラは石油輸出で外貨を稼ぐ事が出来ますが、原油安で経済は悪化し易い。そこにさらに政治的混乱が加わり、一気に通貨が下落し、国債もデフォルト一歩手前です。


■ ドルという商品 ■

日本を例に取りましたが、FRBも似たり寄ったりの状況です。FRBのバランスシートは米国債とMBSなどが積みあがっています。

しかし、目下の所ドルは通貨であると同時に人気商品です。

ドルは基軸通貨で貿易決済通貨ですから、従来はドルを手にしなければ外国から物資を買い付ける事は出来ませんでした。ですから、日本やドイツは工業製品を輸出してドルを稼いでいた。石油や鉄鉱石を輸出する国もあれば、農産物を輸出する国もある。

とにかく世界の国がドルを欲しがる限り、アメリカは米国債を発行してドルを生み出し続ける事が出来たのです。

■ ドル1極からの脱却 ■

世界はドルを欲していますが、同時にドルの信用が将来的に続くかを危惧しています。リーマンショック直後にドルの信用に疑問が持たれ。IMFのSDRを元に新な国際通貨を作る研究がされましたが、金融危機が収束する過程で、ドルの信用は回復して、新な基軸通貨作りの話はフェードアウトしました。

しかし、各国は準備通貨のドルの比率を下げ、他国通貨や金に置き換え始めています。中国やインドやロシアは世界中の金を国家と国民が買い集めています。フランスもアメリカに預けていた金を軍艦で自国に運びました。ドイツ議会もアメリカから金を取り返す決議をしましたが・・・これは履行されていないと記憶しています。

一方で、中国とロシアは両国の通貨を持ち合って貿易決済に使用しています。ユーロも貿易決済で使われています。最早、世界はドルの一極体制から脱却し始めているのです。

これは裏返せばドルの魅力が薄れている事を示します。


尤も現在のドルは貿易決済で使われる量よりも、金融取引などで使われる量が圧倒的に多いので、ドルの需要は衰えていません。結果的に極端なドル安は発生せず、むしろFRBの利上げを睨んで、ドル高のバイアスが掛かっています。

しかし、次なる金融危機が発生した場合、再びドルの信用不安が発生する可能性は高い。いえ、ドルだけでなく、既存の通貨の全ての信用が低下すると私は妄想しています。

リーマンショック以降、中央銀行は狂った様に通貨を増刷して来たのに、結局リーマンショック以上の危機が起きれば、中央銀行や国家に経済危機を打開する手段が無いという事に誰もが気付くからです。これは、お金の価値に疑いを持つ事と同義です。

「人気取で通貨を増刷した国家は通貨が暴落する」これは過去から何回も繰り返され、歴史が証明する所です。


■ 金・仮想通貨・ブロックチェーン ■

「金」「仮想通貨」「ブロックチェーン」。この三つのキーワードでピンと来た方は陰謀脳の持ち主でしょう。

リーマンショック直後と同様に、次なる金融危機が発生すれば必ずやドルに代わる基軸通貨の話し合いが持たれるでしょう。いえ、世界的な通貨システムの見直しがされるはずです。「紙切れ」と認識された通貨に再び価値を持たせなければなりません

一時的ではあれ「通貨を価値とリンク」させる手段が模索されるはずです。伝統的には「金」がその最有力候補です。金兌換制度の復活です。

ただ、単純に通過と金を交換出来る様にすると、人々は金で価値を保全する事を選び、経済から流動性が一気に枯渇してしまいます。ですから、単純な金兌換という手段は取らずに、中央銀行が保有する金の量に比例する通貨が発行出来るシステムが模索されるでしょう。

同時に通貨の電子化も検討されるはずです。既に多くの国で高額紙幣が廃止されています。日本も1万円札を廃止する検討が始まっています。これは表向きは、マネーロンダリングなどを防ぐ為とされますが、結果的に現金の使用を制約します。

10万円を千円札で財布に入れると「ブタ財布」になってしまいます。人々はクレジットカードやスイカの様な電子マネーを利用する様になります。

ここで、中央銀行が通貨を電子マネー化したらどうなるか・・・。スイカなどの電子マネーもゆくゆくは中央銀行のシステムに統合されて行くでしょう。

この過程で重要になるのが、電子マネーの安全性です。ビットコインなどはハッキングされ盗まれる事件が起きています。これを防止しない限り、通貨の電子マネーへの移行は不可能です。

電子マネー導入の信用の障壁を超えるものとして期待されているのがブロックチェーンという技術です。データを分散管理し、過去のデータを改竄出来ない様にしたものと要約できますが、これによって通貨がコピーとして増える事を防ぎ、勝手に使われる事もブロックします。


ビットコインなど怪しい電子マネーが野放しになっている背景には、これらを使って電子マネーの実証実験をしているのでは無いかと私は妄想しています。人は完全に電子化したマネーを信用出来るのか?どの様なリスクが在るのか・・・そんな検証がされているのでは無いか?

■ 全ての取引が把握される電子マネー ■

電子マネーには個人情報が張り付きます。誰のお金が分からなくなると困るからです。

これにより個人、或いは企業のお金の流れは全て明確になります。例えば、商品を買った場合現在は消費税は一旦商店が預かり、決算の時に納税します。しかし電子マネーでは徴取した消費税が直接納税される様にシステムを組む事が出来ます。これにより、省力化と税金徴取の確実性の両方が実現できます。

一方。アンダーグランドなマネーの流れも丸見えになってしまいます。これは地下社会の住人や政治家にとっては都合が悪い・・・。

もしかすると、ドルが生き残るとするならば、このアングラマネーの世界では無いか・・・。そんな妄想に耽っていたら・・・おっと仕事しなくちゃ・・。