かなり微妙な作品に仕上がっている。これでは解らないという人も多いのではないか。作、演出の中山治雄さんはいつもながら、とてもテンションの低い芝居を作る。こういう過激な内容で犯罪すれすれのものを扱っても、いつも同じである。
今まで静かに話していた男が、ある瞬間スイッチが入ったように逆ギレしてしまい、暴走していく。静かなドラマだったのに、いきなり暴行、監禁のバイオレンスになってしまう。その突然の展 . . . 本文を読む
元ランニング・シアター・ダッシュの岡部尚子さんを中心にして結成された劇団の旗揚げ公演。さすがにとてもよく入っていて凄い。芝居自身はあまりに単純すぎて、僕は、ちょっとひいてしまったが、ダッシュのファンの人たちはとても暖かくこの作品を受け入れているんだなぁ、と思うと、なんだかそういうコミュニティーって決して悪くない、と思った。終わりのほうでは、泣いている人もたくさんいて、そんな心優しいファンに恵まれ . . . 本文を読む
ロクソドンタというスペースは、そこそこ広いのに、客席が迫っているために、ダンサーたちの息遣いまでもが、伝わってくるのがいい。『ダンスの時間』は批評家の上念省三さんが、自分の目でセレクトしたダンサーたちを、彼自身の紹介のもと、それぞれのパフォ-マンスを見せていくという企画だ。
このあくまでも個人的な、というところがいい。上念さんの演者に気を使ったインターミションがいつも素敵で、それぞれのパフォ . . . 本文を読む
久々に力の籠ったいい映画を見た。緊張が持続したままラストまで一気に突き進み、見終えた後には、何とも言い難い昂揚が残る。うまく言葉にはならない興奮が、体全体を駆け抜けていく。もどかしさではない。心地よさであり、痺れるような快感なのだ。
何よりもまず、ロケーションの凄さ。この映画の描こうとする世界の空気のようなものが刺激的だ。冒頭描かれるスラムの風景。四人の部屋から彼らが出て行く場面が空撮で捉え . . . 本文を読む