行定勲はとてもよく出来た物語作家だ。お話でしかないようなストーリーを、リアルに見せるのではなく、お話そのものとして、丁寧に見せる。だから、見ていて心地よい。安心してこの物語にのめり込める。しっかりしたお話は、人の心を打つことが出来る。細部のリアリティーを大切にして、この小さなお話を綴る。『お話』なんて言いながら、実はこの映画にはほとんど話らしい話はない。
引っ越してきた部屋に残された前の住人 . . . 本文を読む
SFのスタイルで(というか、これはジャンル分けするとSFなのだろう)語られる子供の時間の終わりを描く佳作。閉ざされた時と場所で、永遠の17歳を生きる少年少女の物語。
彼らは18歳になるとここを出て行き戦場に送られる。だから、本当は永遠の17歳というのは嘘で、17歳でエンドを迎えるのだ。しかし、ここで生きる彼らはその短い時間を永遠のように生きている。不安の中で過ごす時間は諦めと背中合わせだ。個 . . . 本文を読む
久々に三田誠広を読んだ。『僕って何?』でデビューした頃は時代の旗手だった。そして、『いちご同盟』は青春小説のひとつの金字塔だろう。鹿島勤監督の同名映画も素敵だった、なんて懐かしく思い出すくらいに、いつの間にか彼の小説から遠ざかっていた。
これは中高生向けのジュブナイルだが、彼の優しさがしっかり伝わってくる作品だった。
正統派のラブストーリーであり、永遠に続く放課後にいつかピリオドを打たな . . . 本文を読む