これは壮大な冒険物語だ。1942年フランス。ナチのユダヤ人狩りの犠牲になった人たちの悲惨な体験が描かれるのだが、それをサラという少女の目線から描く部分と、現代からあの頃何があったのかを調べていくジャーナリストの視点から描く部分が交錯していく。2つの時代がやがてひとつにつながる。70年以上の歳月を隔てて、サラのなぞを追う女性の想いが、たくさんの人たちの心を動かしていく。
これは過去のお話ではな . . . 本文を読む
実は先に書いたこの小説に関する記事は、読後に書いたのではなく、半分くらい読んだ所で、書いたものだ。だから、あそこにはまるでこの小説がノーテンキなひと夏の物語のように書かれてあるが、既に読んだ人はこれが必ずしもそんな小説ではないことはお見通しだろう。
僕も後半を読みながら、これってちょっと前半と違うじゃん、と思わざる得なかった。秘密のことが、明らかになったところから、だんだん暗い話になっていく . . . 本文を読む
ここまでで終わりにしてもいいくらいに完成度は高い。お話の落とし所は、もうなんとなくわかっているから、着地点には興味はない。ただ、このまどろみの時間(でも、彼らにしてみれば凄い冒険!)をたゆたっていたいだけだ。でも、もう450ページも楽しませてもらったので、結構まんぷくである。第5夜がスタートしたところで、上巻は終わる。お話の途中で、「続く」と出る。いいところで、終わる。なんだかいやらしい。でも、 . . . 本文を読む