小説家になるために身を削るようにして生きてきた女が、新人賞に引っ掛かり、なんとか、デビューする。だが、そこが到達点では当然ない。スタートですらないほどだ。作家としての免許のようなものを手にしても、仕事はない。必死に書いた小説は歯牙にもかけられない。編集者は忙しいから、読みもしない。でも、石にかじりついても書くしかない。
なんとも壮絶な生きざまが描かれる。しかも、彼女はベストセラー作家にもなる . . . 本文を読む
この映画もまた、物足りない。とても期待したのだ。なんだかワクワクする映画だ、と思った。今ではあまりお目にかかれない家族劇で、そかも佐々部清監督の新作。なのだが、前作『東京難民』に引き続き、残念な作品になった。狙いはわからないでもないのだが、台本はつまらなさすぎた。鹿児島のさびれた商店街のなかにある「とらや」という和菓子屋を舞台にして、そこの美人三姉妹のお話だ。次女が東京から出戻ってきている。長女 . . . 本文を読む
震災後の被災地に自分から望んで神戸から(彼もまた阪神大震災の被災者だ。妻子を亡くしている)やってきた教師が、そこでの子供たち、大人たちとの関係の中から、自分にしか出来ないことを通して、彼らに生きる勇気を与える。そんな風に書くとなんだか臭そうなヒューマンドキュメントみたいだが、これがとてもいい。6つの短編連作になっている。
そこに描かれるさまざまな問題が切実で、被災して心が折れてしまいそうにな . . . 本文を読む
トライアウトの作品から大幅な変更はない。骨格は同じで、細部を丁寧に作り上げる。今回の作品には最初からぶれがない。それはいいことでもあるし、少しつまらないことでもある。なんだか複雑なところだ。土橋さんが取材し、書き進めるうちにどんどん違う方向にずれてきて、その結果トライアウトとは似ても似つかぬものとなる、というパターンをほんの少し期待したからだ。
先日たまたま劇場で条あけみさんと一緒になったと . . . 本文を読む