習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

堺東高校『夏空の光』

2017-07-28 21:24:16 | 演劇
こういうファンタジーはよくある。いささか食傷気味だ。だが、堺東高校のこのチームは真正面からこの題材に挑み、90分の長さを飽きさせることなく、しかも、淡々としたタッチで最後まで見せきった。特筆すべきは、主人公の駅長を演じた中林幸穂。彼女の芝居が凄い。あの静かで、余裕のある口跡。なんだか、引き込まれる。大人っぽい、とか、そういうのではない。それどころか、子どもっぽい顔をした少女なのに、駅員の姿をし . . . 本文を読む
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緑風冠高校『うさみくんのお姉さん』

2017-07-28 21:23:15 | 演劇
  1日前の関大一高を見た後だから、分が悪い。同じように「学園もの」で、主人公の正義感が主題となる。だが、台本のレベルにあまりに歴然とした差があり過ぎて、これではちょっと気が抜ける。だが、もちろん、これはこれで悪くはない。それどころか、実によく出来ている。   ちゃんと作り込んだ美術も好感が持てる。高校の教室というよくあるパターンなのだが、椅子と机を並べて終わり、というよ . . . 本文を読む
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すかんぽ長屋 『どんぐり侍』

2017-07-28 21:22:15 | 演劇
  浮狼舎、神原組の神原くみ子が、ハレンチキャラメルを解散して新たに立ち上げた劇団。神原さんのバイタリティにはいつも圧倒される。そこにあるのは、何が何でも芝居を作ってやる、という彼女の強い意志。自分たちが今、芝居をしている、という確かな充実感。それが彼女の全身から伝わってくる。だから、劇団員のみんなにも、しっかり伝わっていく。暑苦しいくらいに熱い。   今回は神原版『ゴド . . . 本文を読む
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関大一高 『走れ!! あの日のヒーローみたいに』

2017-07-28 21:21:16 | 演劇
  とても上手い。役者たちの達者な芝居に舌を巻く。この作品に限らず最近の高校生たちは実に達者だ。昔はもっとへたくそな芝居をする演劇部員は大勢いた。だが、それはそれで愛嬌があり悪くはなかったし、微笑ましく思えた。でも、今の高校生は実に巧みに演じる。先日の池田高校を見たときにも、思ったし、この作品の後で見た緑風冠も、堺東だってそうだった。今回4本見て、4本とも、なのである。もちろんレベルの . . . 本文を読む
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『彼女の人生は間違いじゃない』

2017-07-28 21:20:14 | 映画
  廣木隆一監督が初めて書いた小説の映画化作品。もちろん、自身が監督した。映画化を前提にした書き下ろしなのか、映画化を考えずにまず書きたいと思って書いた小説なのか、僕は知らない。しかも、原作は読んでないから、まるでそのへんの事情はわからないけど、この映画に秘められた覚悟は確かに伝わる。もちろん、廣木監督はいつものように、無理なく自然体でこの難しい映画に挑む。   震災から . . . 本文を読む
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『僕らの青春白書』

2017-07-28 21:17:06 | 映画
  このなんとも安易な日本版タイトルに騙されてはならない。この傑作映画をスルーするのは、あまりに残念だ。とか、言いながら、自分も今まで見てなかったのだから偉そうには言えない。実は一昨年の夏、ロードショー公開時にとても気になっていた。シネマートで貰ったモノクロのチラシに引っかかっていたのだ。モノクロというのはそういうデザインということではない。予算のためか、わざとカラー刷りしていないチラ . . . 本文を読む
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宮西真冬『誰かが見ている』

2017-07-28 21:16:06 | その他
  これは痛い。ここに描かれる4人の女性たち。彼女たちがそれぞれの環境の中でもがき苦しみながら生きている姿を目撃しながらも、目を背けたくなる。小さな話だ。このちいさなコミュニティで閉じてしまう。社会に目を向けたなら、もっといろんなことがあるのだが(そんなこと、わかっている)そんな余裕はない。   まず、一人目の女性の問題。目の前の幼い娘(終盤で彼女が娘ではなく、息子だった . . . 本文を読む
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『ハイライズ』

2017-07-28 21:14:40 | 映画
  こんな未来は嫌だ。誰もがそう思うはず。SF映画のおもしろさは世界観の造形にある。高層マンションの林立する世界で(そんなのは未来ではなく、今だってそうだし、今この窓の目の前にも20階くらいまであるマンションが見えている)底辺の世界と、上の世界に分断された世界で起きている出来事を富裕層の側から描く嫌みな作品。   ここに描かれる未来は今としっかりつながっている。とてもリア . . . 本文を読む
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